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◆エリン(Erinn)

エリンとはアイルランドの古名。

名前の由来は、ゲール語(アイルランド語)で書かれた『侵略の書(または侵攻の書、レオル・ガヴァーラともいう)』に見ることが出来ます。これにはアイルランドを占領した神々(具体的には海を渡ってアイルランドに入植した他民族のことだと思われる)やダナー神族との戦い、そしてケルト人がダナー神族にエリンを譲られるいきさつが語られています。

それによると、「ノアの大洪水」のあと、魔法使いのセセーアとその侍女たちがアイルランドに移住してきました。しかし、彼女たちは種族ごと滅んでしまいます。次にやってきたのがパルホローン(パローローン)という人物が家族と3人のドルイド、そして大勢の仲間と共にギリシアからアイルランドにやって来ました。
(パルホローンを「王子」としている本もあります。また、最初に移住してきたのはノアの息子ビトの娘セゼール、あるいはアイルランドの土地の女神バンヴァで、大洪水の時にフィンタン(後にトアンとして生まれ変わり歴史を語ることになる)以外は全て死に絶えてしまったという説もあります)

彼らは疫病で全滅してしまい、そのあとフィル・ボルグ族が、ついでフォモーレ族がやって来ます。そしてダナー神族<トゥアザ・デ・ダナーン>がアイルランドに来て彼らと戦い勝利し、アイルランドの支配者となりました。
その後、ケルト人の祖先となる「ミール(ミレシアまたはミレシウス)の息子たち」の子孫であるゲール人(ミレー族ともいう)がアイルランドにたどり着き、ベルティナの祭の5月1日にエリンの南西部に上陸します。彼らが右足を大地の上に下ろしたとき、予言者(フィーレ)で詩人アヴァルギン(アヴィルヒン)が彼の中に全てのものを取り込むという詩を歌いました。

「ミールの息子たち」はタラへと向かいました。その途中で土地の女神である、バンヴァ、フォーラ、エリウという3人の女神と出会います。女神たちはアヴァルギンに、「もし、この土地(アイルランド)に定住することに成功したら、自分たち3人の女神にちなんだ名を土地に付けるように」と言いました。アヴァルギンはそれぞれの女神に最後に出会ったエリウに対して彼女の名を主要な島の名前にすると約束し、この島はエリン(Erinn:エリウのものという意味)と名付けられたのです。(古くは3つの名前で呼ばれていたが、エリンに総称されていったという説もあります)

エリウはミールの息子たちに対して「エリンは常にミールの息子たちに属する」と予言しますが、エリウに対して敬意を払わなかった彼らの長ドゥンには、「彼もその子供たちも島から利益を受けることはない」と宣言、ドゥンは南西の海岸で溺死し、それ以来「ドゥンの家」と呼ばれる岩だらけの小島に埋葬されました。

その後、ケルト人はダナー神族と戦い勝利しました。ダナー神族はエリンをケルト人に譲り渡し、彼岸の国へとも地下の王国(シー)へとも去ったと言われています。