現在では、ノルウェー・アイスランドの古い言い伝えを書き記した、散文・詩を総称して「エッダ」と呼んでいます。
もともとはスノゥリ・ストゥルルソン(1178〜1241)が、当時の若いスカールド(宮廷詩人のような存在で、特定の王侯と行動を共にしその功績を即興で謡う)たちの参考書のような目的で、記したものらしい。
古い神話や英雄伝説を集め、ケニングとよばれる言い換えの技巧(例えば、剣についた血を「剣の露」などと言い換える)についても、故事来歴などが説明されている貴重な本です。
スノゥリはこの書物を「エッダ」と名付けたが、その由来ははっきりしていません。エッダには「曾祖母」という意味があり、年寄りが孫たちに語って聞かせるような話だからだとか、スノゥリが若い頃勉学にいそしんだ地「オッディ」からきているので「オッディの書」というべきであるとか、いろいろな解釈があります。
スノゥリのエッダには古い詩が引用されており、スノゥリ自身も何かを元に「エッダ」を執筆したと推測されていましたが、この元となった(らしい)二十編の詩が17世紀の半ばにアイスランドの僧院で発見されました。これは現在「王の写本」と呼ばれているもので、十三世紀後半に書かれたものです。
発見者はこれを「エッダ」と呼んだため、その後、いろいろな写本に散在する似たような性格の作品を集めて、今日ではだいたい四十編くらいを総称して「エッダ」と呼ぶようになりました。
王の写本と区別するため、スノゥリの書いたエッダは「スノゥリのエッダ」「新エッダ」「散文エッダ」等と呼ばれることが多いです。
「北欧神話」と呼ばれるものは、このエッダの各作品を補いあうような形でつなぎあわせたもの。例えていうならば「古事記」をベースに欠損部分を「日本書紀」や各「風土記」などで補い「日本の神話」として1つの話にまとめるようなものなのでしょう。