ルーグの子でマナナン・マク・リールの兄。ブラーンとは「ワタリガラス」あるいは「カラス」という意味。
アイルランドではこの神は消えてしまっていますが、ウェールズでは偉大な英雄です。(そのためアリアンはロンディヌムの彼の墓で出会ったときに、その神を知らなかったと思われます)ウェールズの神話「マビノギ(マビノギオン)」では、ブラーンにはブランウェンという妹がいます。
彼は非常に体が大きく、彼の乗れるような馬はないが、アイルランド海を簡単に歩いてわたれます。不思議な大釜を持っており、その釜の中で死者を蘇らせることが出来たそうです。
竪琴弾きでもあり楽人でもある彼は、糸の保護者であり、吟遊詩人の庇護者でもありました。冥府の王でもあるブラーンは、自分の様々な魔力のある宝を奪おうとして戦いを挑んできたダナーの息子たちと戦いになり、勝利をおさめるものの毒矢に傷ついてしまいます。
ブラーンは苦痛を短くするため自分の首を切り落とし、自分の部下に『ロンディヌム(ロンドン)の「白い塚(現在のタワー・ヒル?)」へと運び、そこに東(南という説もあり)に向けて首を埋めよ』と言い渡します。
そうすればどんな国のものもブリテン島に侵攻することは出来ないというのです。
首は生き続けて部下たちと話を交わし、最後の埋葬まで腐敗することなく魔除けとなりました。首をロンドンまで持っていく途中、部下たちは7年間ハルレヒ(「マビノギ第二、第三分枝編の舞台となるアイルランドの王の城もしくは都市)の地をさまよい、そしてまた80年の間、グワーレスの「幸多き」島に留まりますが、80年という年月を考えると、ここはどうやら「常若の国」ような場所と考えられます。
後にアーサー王がこの首を掘り出してしまったので、サクソン人の征服が可能になってしまったと言われています。
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