3.ハイメ |
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シュヴァーベンの国の森にシュトゥーダスという家族が農場を営んでいたが、ここの息子は気性がハイメという竜に似ていたため、ハイメと呼ばれていた。 ハイメが17歳の時「他の国で名声と栄誉を手に入れたい。ベルンのディートリッヒ王子と剣を交えてどちらが強いか試したい」と馬のリスぺに乗り、ブルートガングという刀を吊して家を出た。このようにディートリッヒに一対一で決闘を申し込んできた者は今までいなかったが、ディートリッヒは申し出を受けた。 ディートリッヒは12歳だったためハイメは自分にかなうはずがないと思っていたのが、槍で打ち合うとハイメは軽い怪我をおわされ、終いに2人の槍は折れてしまった。次に刀で打ち合うと、ディートリッヒの兜ヒルデグリムを打ったブルートガングは柄のところで二つに折れてしまい、武器を亡くしたハイメはディートリッヒに負けて降伏した。 |
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4.ヴィテゲ |
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ヴィテゲは鍛冶ヴィーラントとニードングの娘の間に生まれたが、父の跡を継いで鍛冶師になることを拒み、誰か主君に仕えたいと思っていたので、ディートリッヒに一騎打ちを申し込み力試しをしたいと父親に言った。ヴィーラントは反対したが、ヴィテゲの意志は固かったので、息子のために作ってあった刀ミームングと鎧兜一色を持たせて旅立たせた。 アイデルという大きな川に出たときヴィテゲは馬を木に繋ぎ、鎧兜を脱いで浅瀬を探すために川に入っていった。ちょうどそこへヒルデブラント、ハイメ、ホルンボゲの三人が主君ディートリッヒの命を受けての旅の途中に通りかかり、川の中に頭が一つ出ているのを見て、「あれはこびとのアルベリッヒだろう。捕まえてまた身代金を取ってやろう」と言った。それを聞いたヴィテゲはあわてて川から上がり、自分の素性と旅の目的を三人に語った。 川からあがったヴィテゲをみたヒルデブラントはその立派な体格に驚き、ディートリッヒは今までにいろいろと決闘を申し込まれたが、今回ばかりは苦戦してしまうだろうと一計を案じ、「自分はヴェネチアの公爵レギンバルトの息子でボルトラム、連れはジストラムとホルンボーゲ公爵だ」と名のり、ヴィテゲと兄弟のちぎりを交わして一緒に旅をすることにした。 しばらく行くと分かれ道があり、ヒルデブラント達は遠回りだが安全な道を行こうと言うが、ヴィテゲは危険で通行料を取り立てる盗賊がいるかもしれない近道を行こうと主張する。ヒルデブラントたちはヴィテゲの勇気に驚いたが、ヴィテゲに従い近道を行くことにした。 リューラの森の手前の城塞が見えてきたとき、ヴィテゲは先に行って通行料を払わなくていいようにしてくるからと言って、1人先に進んでいった。盗賊たちは立派な装備のヴィテゲがやってくるのを見て、装備の分け前を決めてヴィテゲにそれを渡すよう要求したが、ヴィテゲは渡さずに城塞の橋を渡ろうとすると盗賊が襲いかかってきたので、やむなく盗賊を切り伏せた。その様子を遠くから見ていたヒルデブラント達は、もしヴィテゲが1人で盗賊をやっつけてしまったら、助太刀しなかったのは自分を見捨てたからだ、と思われてしまっては困ると思い、ヴィテゲに加勢した。 盗賊たちは殺されるか逃げてしまったため、一行は城塞の中に入り盗賊が蓄えた食料と酒で腹ごしらえをし眠りについたが、ヒルデブラントはヴィテゲが1人で盗賊の親分とその仲間を6人も殺害してしまったことで、ヴィテゲの持つ刀の力に脅威を感じていた。ヒルデブラントはこっそりヴィテゲのミームングと自分の刀の刃の部分を取り替えて眠りについた。 翌朝、ヒルデブラントはヴィテゲに自分の本当の名前をあかして、これからも兄弟のちぎりを固く守って欲しいと言い、自分とヴィテゲはベルンのディートリッヒの所へ向かい、残りの2人には警護のためにここに残ることを提案した。しかしヴィテゲは自分にそのような決定権はないが、盗賊の巣窟になるような城塞は取り壊してしまった方がいい、と言うと、ホルンボゲが実際に要塞を落とした本人に決めてもらおうじゃないか、と言った。するとヴィテゲは要塞から必要なものを運び出し、建物に火をつけて焼いて壊してしまった。 しばらく行くとウェーゼル川に着いたが、橋は要塞から逃げた盗賊たちによって壊されてしまっていた。ヴィテゲは愛馬スケミングで川の流れを飛び越えたが、ヒルデブラントとホルンボゲは川に落ちてしまい、泳いで向こう岸へ渡った。ハイメの馬リスぺはスケミング同様オーディンの馬スレイプニルの血を引く馬だったので、ヴィテゲのように川を飛び越えることが出来た。先に向こう岸に着いたヴィテゲは盗賊五人と戦っていたが、ハイメの助太刀を末までもなく盗賊を切り伏せてしまっていた。 |
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