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水晶竜の巻

1.ベルンのディートリッヒ

主な登場人物

アーマラー(アーメルング)一族の中で最も名の知られた支配者は、ディートマル王とオーディリアの間に生まれたベルンのディートリッヒであった。
彼の力はたいそう強く普通の人には考えられないほどの力だったが、粗野で乱暴というわけではなく、彼の手は美しく顔は細く整っており鋭い黒褐色の瞳で見つめ、肌は白かった。紙は長い巻き毛で見事な金髪だった。後にエッツェル王の宮廷でハーゲンとグンターを倒すことになる。

2.ヒルデブラント

後にディートリッヒの良き相談役となるヒルデブラントは、ヴェネチア公爵のレギンバルトの息子で、容姿はりりしく綺麗な肌の色と鼻筋が通った大きな顔、人並みはずれた鋭い目つきで、髪と髭は金色の絹のような巻き毛だった。戦の才能に長け、気前もよく勇気ある伊達男だった。

彼は30歳の時に名声を上げようとディートマル王のベルンへと訪ねていった。当時ディートリッヒはまだ5歳だったが、すぐにヒルデブラントに信頼をよせ、ディートリッヒが12歳になるまで彼の教育係を務め武芸や兵法、狩猟の習わしなどを教えた。

ある時2人で狩りに出かけたが、鹿を追っていてこびとと遭遇し、ディートリッヒはそのこびとを捕まえた。こびとは「自分を解放してくれたら、ディートリッヒの父が所有しているくらい多くの宝物がある場所へ案内しましょう。そこの番人のヒルトとグリムが持っている素晴らしく優れた刀“ナーゲルリング”は私がこしらえた物ですが、この刀さえあればどんな戦にも勝利することが出来るのです」と懇願する。
ディートリッヒが「今日中にその刀を手に入れられるのであれば、お前を離してやろう」と言うと、こびとは9時間後に再び合う約束をしたのでディートリッヒはこびとを離してやった。

約束の時間に峡谷の入り口にこびとはやって来た。こびとの名はアルベリッヒといい、約束の刀をディートリッヒに手渡すと「険しい岩の側のぼた山にヒルドとグリムが住む洞窟があり、宝物はその中にある。あなた方はもう二度と私を捕まえられない」と言い残して石と石の間に姿を消してしまった。2人はその石をしっかり縛り、ぼた山を通って宝物の番人のいる地下道へと進んでいった。グリムは刀が盗まれたことを知り怒ったが、ナーゲルリングを持ったディートリッヒにはかなわず、殺されてしまった。彼の妻ヒルトは多少の魔術があったが、やはり倒されてしまった。

2人は持てるだけの財宝を持ち、残りは洞窟の中に隠した。宝物の中にディートリッヒは素晴らしい兜を見つけ、それにヒルデグリムと名を付けて多くの戦に被っていった。

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