2014年1月10日から3月29日にテレビ東京で放送された ドラマ24「なぞの転校生」に関連する豆知識などのメモ。(2023.7/20追記)

※番組に関連するネット記事や、岩井俊二をはじめ作品関係者の発言などから、個人的に面白いと感じた部分のみを箇条書きにしていたメモです。またcatalina個人の想像や主観も含まれます。
事実と異なる記載がありましたら、コメント欄からご指摘ください。


岩井俊二が深夜ドラマの依頼を受けたのは2013年9月頃。※この時点ではまだ「なぞの転校生」に決まっていない*1

物語の舞台を1970年代の設定にする案もあった。*2

脚本は、まず岩井俊二が書いたプロットに、ワークショップの様なスタイルで若手スタッフ(アシスタントライター)たちがダイアローグを加え、最終的に岩井俊二がまとめ仕上げるという流れで行われた。2013年11月中に脱稿していた模様。*1

アシスタントライターはエンドクレジットにも出ている3人。*3
 久野遥子 くの ようこ
 田井えみ たい えみ ※本作では監督助手も兼任
 夏野嗣実 なつの つぐみ ※本作ではプロデューサーも兼任する水野昌 みずの あき のペンネーム

岩井俊二は登場人物などの名前を考えるのが楽しかったと語っていて、伊達坂は岩井が通う歯医者の名前、アゼガミは以前働いていたスタッフの名前とのこと。*2

鎌仲はドキュメンタリー映画監督の鎌仲ひとみ から取った名字?。(想像)

番長に才蔵、裏番に小次郎と、忍者キャラクターの名前が付けられている。また、江原はかつてサスケという犬を飼っていたという。(想像)

広一の漢字を分解すると「ムー」になる。(想像

水野昌は、冴木、咲和子、才蔵、坂井(銀次)など、名前に「さ」のつく登場人物が多いと語っている。*3

SF研の後輩 鈴木郎、太田くみ の二人は、名前からもオタク感を出しているとのこと。*3

台本は、表紙にモノリスをイメージした黒い長方形がデザインされ、裏表紙にはアステロイドをイメージしたのか星形がデザインされている。*3

撮影に使用したカメラは、RED(レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニー)の5K解像度シネカメラ。
 モデルは不明だが、EPICまたはSCARLETと思われる。

主に撮影に使用したレンズはシネレンズではなく、スチールカメラ用レンズを使用したという。

撮影はかなりタイトなスケジュールの中で行われ、撮影期間は2013年11月から1ヶ月ほど。単純計算では、1時間で1分の映像を撮るペースで撮影されたと長澤雅彦監督は語っている。*2

4月スタートのドラマ24「リバースエッジ 大川端探偵社」(大根仁監督)も本作と同じ時期に撮影されており「むこう(大根組)の方が(時間的な)余裕がある」と岩井俊二。*2

岩田家と江原宅はセットではなく、実際に団地を借り撮影されている。*2

編集は掛須秀一が繋いだ物に、岩井俊二がさらに手を入れている。ある時期から「ルパン三世」を制作中の北村龍平に掛須秀一を取られたらしい。*2
 ※#9までは岩井俊二はクレジットされていない。

#10、#12の挿入歌「風が吹いてる」(「吹いている」ではない)は、桑原まこ・岩井俊二・椎名琴音のユニット「ヘクとパスカル」の楽曲で、太田くみ役で出演している椎名琴音がボーカルを唄っている。元々は、2013年10月頃から秋田県のブライダル企業イヤタカのCM他に使用された楽曲で、このCMには監督に秋田県出身の長澤雅彦、撮影に神戸千木が参加している。(イヤタカCM:http://youtu.be/OcM8RlGmLgU)(iTunes配信:風が吹いてる – Single – ヘクとパスカル

長澤雅彦監督の映画「遠くでずっとそばにいる」公開時(2013年6月28日)に行われた音楽イベントの時点では、桑原まこ・岩井俊二の音楽ユニット名が決まっておらず、ステージ上では「れんげ」という仮のユニット名を名乗っていたが、その後「ヘクとパスカル」(ヘク=桑原まこ/パスカル=岩井俊二)に決まった様だ。 ※この時点では椎名琴音が入っておらず、二人のユニットだった。

「ヘクとパスカル」というユニット名は、脚本家の北川悦吏子が考案したもの。
 パスカルという名前は「リリイシュシュのすべて」のBBSで岩井俊二が使用していたペンネーム(ハンドルネーム)だが、北川悦吏子はそれを意識した訳ではなく偶然だろうとのこと。

#10の挿入歌「風が吹いてる」に似たタイトルのアニメーション映画「風が吹くとき」は、核兵器による被曝で弱り死にゆく老夫婦を描いた作品で、この楽曲が流れたシーンのアゼガミとスズシロが連想される。 この映画は2012年1月に日本映画専門チャンネルと岩井俊二映画祭の共同企画として放送された特集「映画は世界に警鐘を鳴らし続ける」の1本にも選ばれた。
なお、この映画のジミー・テルアキ・ムラカミ監督は#10放送の約1ヶ月前に、80歳で亡くなっている。

ネスレが特別協賛だが、コーヒーを飲むシーンは数えるほどしか登場しない。


<2014.3/29追記>
岩田家の表札には、NHK放送受信章シール(地上波カラー契約用)を模した「RSK」シールが貼られている。

SF研究会の部室には「地球防衛軍」「妖星ゴラス」「宇宙大戦争」「マタンゴ」「ガス人間第一号」など実在の東宝映画作品のポスターの他、岩井俊二がデザインした「大怪獣ドドラ」「1999」という架空の映画ポスターが貼られている。

「大怪獣ドドラ」のポスターでは、東玉、本多獅子郎、円谷英地、田中友達、フランキー火災など、東宝特撮映画でお馴染みの名前がパロディ化されている。

アゼガミ役の中野裕太には、監督から「シェイクスピアの様に」と、演劇の様な演技を求められたという。


<2014.4/5追記>
岩井俊二は「”始まって15分位で転校生がやってくる”という事だけはやりたくなかった」と語っており、転校生を1話目に登場させないことも、はじめから考えていたことだという。典夫が第1話のラストカットに登場することにも抵抗があった様で、「妥協して出した」と語っている。*4

つくりながら設定を変更していった部分もあったようで、岩井俊二は「つくった側にも(設定に)ミステリーが残っている」と語っている。たとえば#6の終盤、団地屋上でスズシロが「こんな世界があったのに、なぜ彼らはああもやすやすとこれらを手放せたのだろう」というセリフの、「彼ら」とは誰の事を指しているのかなども、特に決めてはいなかったようだ。*4

NHK版で香川みどり役を演じた伊豆田依子に桜井美南が似ている(特に口元)と岩井俊二は語っており、高野浩幸も同様の印象を持っていた様だ。*4

ドラマとは関係が無いと思われるが、「香川みどり」という芸名の演歌歌手がいる。(2014.4月現在では、美土里りんご という芸名で活動している模様)



<2023.7/20追記>
広一の父親を演じた高野浩幸は、当初、最終回の脚本に自分の出番がないのを残念に思い、長澤監督を通じ出演を要望したという。
これをきっかけに脚本は変更され、高野浩幸はD-15世界の岩田広一(つまりNHK版の広一 本人)として登場、このテレ東版「なぞの転校生」がNHK版の”リメイク”ではなく、平行世界の物語であったことが明確になる。
高野さんナイスアシスト!!

香川みどり役を演じた桜井美南はこの作品の数年後に一時芸能活動を休止していたが、その後、村中 暖奈(むらなか はるな)という名前で芸能活動を再開している。
村中暖奈Twitter:@haruna_muranaka
村中暖奈Instagram:@haruna_muranaka17


※何か興味のある情報が有れば追記するかも。


<関連>
・ヘクとパスカル「風が吹いてる」のiTunes Store配信が開始されていた–なぞの転校生/岩井俊二/桑原まこ/椎名琴音
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2014-06-03-5
・「岩井俊二映画祭」最新号が無料化–なぞの転校生 ヘクとパスカル「風が吹いてる」生演奏ver.も無料配信中
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2014-05-31-3
・ブルーレイ岩井俊二「Love Letter」が届いたー♪
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-04-12-4
・岩井俊二「ヴァンパイア」「undo」「PiCNiC [完全版]」「スワロウテイル」BDと「friends after 3.11 劇場版」DVDが届いたー♪
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-03-20-4
・岩井俊二「四月物語」「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」のブルーレイが届いたー♪
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-09-05-1
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 桃井かおり映画祭!」は明日8/16夜 日本映画専門チャンネルで
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-08-15
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 石井岳龍映画祭!」は明日7/19夜 日本映画専門チャンネルで–石井岳龍/黒木華/刈谷友衣子
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-07-18-2
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 寺山修司映画祭!」は明日6/21夜 日本映画専門チャンネルで–三上博史/黒木華/刈谷友衣子
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-06-20-1
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 長澤雅彦映画祭!」は明日5/17夜 日本映画専門チャンネルで–長澤雅彦/倉科カナ/郭智博
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-05-16
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 大島渚映画祭!」は明日4/19夜 日本映画専門チャンネルで–大島新/崔洋一/黒木華/刈谷友衣子
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-04-18-2
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 北村龍平映画祭!」は明日3/1夜 日本映画専門チャンネルで–VERSUS-ヴァーサス-
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-02-28-2
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 クロード・ガニオン映画祭!」は明日2/1夜 日本映画専門チャンネルで–keiko
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-01-31-2
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 行定勲映画祭!」は明日1/11 日本映画専門チャンネルで–Eテレ「スコラ 音楽の学校」第3シリーズも岩井俊二 出演
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2013-01-10
・「岩井俊二映画祭 presents マイリトル映画祭「警視-K」映画祭!」は明日12/7夜 BS/CS日本映画専門チャンネルで–中村玉緒/奥村真粧美/江口洋介/黒木華/刈谷友衣子
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-12-06-1
・ガメラ3「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭 樋口真嗣映画祭!」は明日11/2夜 BS/CS日本映画専門チャンネルで
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-11-01-3
・無料放送–岩井俊二映画祭presentsマイリトル映画祭「北川悦吏子映画祭!」は明日10/5他 BS日本映画専門チャンネルで–Love Letterも放送
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-10-04-2
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「忍者武芸帳映画祭!」」は明日9/7夜 日本映画専門チャンネルで–大島渚
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-09-06-3
・岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「keiko映画祭!」は明日8/3夜 日本映画専門チャンネルで–黒木華/刈谷友衣子
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-08-02-1
・岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「円谷英二映画祭!」/「長谷川和彦映画祭!」【後篇】の2本立ては明日7/6夜 日本映画専門チャンネルで–樋口真嗣
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-07-05-2
・ゴジ「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「長谷川和彦映画祭!」【前篇】」は明日6/1他 日本映画専門チャンネルで–「太陽を盗んだ男」本編も
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-05-31-1
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「篠田正浩映画祭!」」は明日5/4夜 BS/CS日本映画専門チャンネルで
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-05-03-3
・「岩井俊二映画祭 presentsマイリトル映画祭「犬神家の一族」映画祭!」は明日4/6ほか BS/CS日本映画専門チャンネルで
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-04-05-2
・トーク番組「岩井俊二映画祭presents マイリトル映画祭」は明日3/4他 BS日本映画専門チャンネルで無料放送–第1回は「北の国から」杉田成道
 (http://catalina.blog.ss-blog.jp/2012-03-03-4

*1 岩井俊二映画祭 Vol.32 2013.12月号 片づかない部屋「会長、2013年を振り返る」
*2 最新ドラマ「なぞの転校生」見逃し一挙放送&岩井俊二生出演最新話生実況-2014.3/14
*3 岩井俊二映画祭 Vol.34 2014.2月号 片付かない部屋+. 岩井流脚本塾を終えて
*4 岩井俊二映画祭 Vol.36 2014.4月号 『なぞの転校生』長澤監督×岩井プロデューサー対談 第2弾