THE RING  日本版とUSAリメイク版の相違点

劇場で1回見ただけなので,ちょっと怪しいところもあるかと思いますが,ご勘弁を。

●冒頭

始まりは全く一緒。テレビを見ながら語る女子高生2人,呪いのビデオの話,そこへ親からかかってくる電話。冷蔵庫から飲み物を出すと,居間のテレビが…

日本版は親の回想で死に様が始めてわかるが,USA版だと女子高生が自室へ戻ると,床から水がしみ出ており,扉を開けテレビを見ると同時に「呪いを受けた」ように女子高生の顔が変化する。貞子(サマラ)が「来た」事を象徴する効果音も,ほぼ同じ。

女子高生は主人公の姪(姉の娘)であり,お通夜の時に彼女の部屋で写真の現像預かり証を見つける。仕上がった写真は顔がぐにゃっとなっていた。写真は全てポラロイド(日)だったのが,コンビニのレジ脇にある,店内監視モニタに写った映像や,デジカメになっていた(米)。

●モーテル

写真からモーテル(コテージ)の場所を割り出した主人公は,その現場へと向かう。伊豆パシフィックランド(日)は,テニスコートやレストランがあり,浅川玲子はカレーを食べたりしていたが,モーテルはホントに山の中で,全く何もなかった。ココなら,井戸の水を自力で汲みだしても,不思議はないだろう。(日本版では,ポンプを借りてきた方が,断然早いと思われるのだ)近くの丘の上には,赤く燃え立つ紅葉が生えている。

●呪いのビデオ

冒頭は井戸の中から外を望む(人物無し),鏡のシーン,最後は井戸のカット。それ以外ははかなり違っている。

日本版は主に貞子が見てきた「母へ対する仕打ちと自分が受けた理不尽な出来事」についてだが,USA版はサマラの境遇を表すものや,場所などが写っている。
また,日本版には音声付き(逆回しすると「ショーモンが…」)なのに対してUSA版は音無し。
浅川玲子がビデオを見終わった後,テレビに貞子の影が一瞬よぎるが,USA 版にはこれはなかった気がする。

ビデオを見終わった後電話が鳴るが,日本版では鈍い金属音,USA版では子供の声で「...Seven days」と告げられる。

●息子の父親とその能力

主人公の元夫,高山竜司には霊感があり,息子陽一にも遺伝しているが,USA版のノアにはそういった能力がないようで,最初は「呪い」自体を受け入れない。モニタや写真に写った自分の姿を見て,始めて信じるようになる。

また,陽一がビデオをみた理由は,犠牲となった仲のよかったいとこの霊が「見ろ」と言ったからですが,USA版では「眠れなかったから」になっていた。
後に息子のエイダンは,サマラの霊魂を見るようになり,会話を交わすまでになる。

●事件を調べる

自分の命と息子の命を救うため,ビデオを頼りにいろいろ調べるわけだが,浅川・高山コンビ(日)は図書館で古い新聞→大島での噴火→山村志津子→超能力者→貞子とたどり着きましたが,レイチェル(米)はビデオの片隅に写っていた灯台と,鏡に映った髪をとく女性から,モエスコ島→相次ぐ馬の自殺事件→牧場主の妻アンナ・モーガン→精神病院へ入院後死亡→娘のサマラとインターネット検索でたどり着く。製作された時期が違うせいもあるとおもうけど…さすがインターネット大国。

●腕に残る手形

山村老人(山村志津子のいとこ)に触れた高山竜司を介して,回想の中へ迷い込む浅川玲子。そこでは志津子への超能力検証の実験が…。「インチキ」呼ばわりされて苦悩する母を見て,男を殺してしまう貞子。逃げてきた貞子に出会い,腕を捕まれた玲子の腕には,手形が残される(日)

何かを感じ息子の部屋を見に行くレイチェル。部屋の扉からは水が漏れてきていた。扉を開けると水浸しになった床の上に,向こうを向いて椅子に座る黒髪の少女(この時点ではサマラの存在は明らかになっていない)。部屋の隅にはテレビ。のばした腕を捕まれ,はっと目覚めるが,腕には手形が残っていた。

●島へ

主人公は事件の舞台となった島へ渡る。
USA版ではフェリーの中で,載せていた馬がレイチェルが触れたために暴れ,暴走して自ら海にダイビングして死亡する,というエピソードが入っている。
日本版では嵐に遭い,帰りが困難になっているが,USA版にはない。

●事件の全容

島では医師から「何年も子供を待ち望んでいたモーガン夫婦が,ある時子供を連れて戻ってきた」事を聞きく。子供は養子だということだったが,子供が来て以来,アンナ・モーガンは幻覚に悩まされるようになり,牧場の馬が自ら海に飛び込んで死ぬ,という事件が起こった。

アンナの入院していた病院に忍び込んだノアは,カルテから過去に66回も流産していたことと,サマラにはなにか特殊な能力があり,それをテストしていたが父親の要望で中止されていたことを知る。詳細はビデオに残されていたようだが,そのビデオは紛失していた。

サマラの父親の家でそのビデオを手に取るレイチェル。ビデオには医師とサマラとのやりとりが録画されていた。
「あたしがいると,ママが困るの」「困らせたくないだろ?」「うん。ママに会いたい。でもやめられないの」

幻視に悩まされた夫妻は,サマラが近くにいるせいだろうと,彼女を精神病院へ入れてしまった。精神病院の井戸の前に立つサマラに,泣きながら袋をかぶせて井戸へ突き落とすアンナ。

●貞子(サマラ)の能力

貞子の能力は「人が殺せる(本人が意図していたかどうかは別として)」事だったが,サマラの能力とは近くにいる者に「馬の幻覚を見せる」ものだったようだ。その結果,ノイローゼになったりしたらしい。
馬は皆,自分から海に飛び込んで死んだという。
貞子は念写も出来たようだが,アンナのカルテと一緒に「燃写実験なんたら(正しい名称は忘れてしまったが、“念”ではなく“燃”という字を使っていたように記憶している。もしかして誤植?)」というフィルムが出てきたので,サマラも念写が出来たのかもしれない。

アンナは66回も流産し,サマラは島の医師の話では養女だと言うことだが,実は何らかの遺伝子操作などを行い,無理矢理作り出した子供なのかもしれない。サマラの父親は「子供を作ったのは間違いだった。それ以来,全てが狂ってしまった」というようなことを言っていたが,「養女をもらった」とは言わなかったからだ。

ちなみに,アンナは49才で死亡たので,サマラが井戸に突き落とされた時仮に5才だとすると,18才で結婚して治療を受け始めたと仮定して,2年に5回流産する計算になる。

●死者との会話

実はレイチェルの息子エイダンは,いとこの死亡事件より前に不吉な絵を描くようになっていた。学校の担任はそのことを相談するが,最初は取り合わなかったレイチェルだが,島へ渡る前に渡された絵には,モーガン家とまったく同じ家が描かれていたのだった。(アンテナのある2階建て,庭にはブランコ,そして,サマラと思われる女の子も)電話でエイダンはサマラが見えると言い,サマラは「納屋は馬が騒ぐからキライだった」と言っているらしい。納屋に行ってみると,納屋の屋根裏にはサマラの部屋があり,ハシゴをかけないと出入りできないようになっていた。部屋にはベッド,そしてテレビと椅子。サマラの部屋の壁紙を剥がすと木の形に焼けこげた壁面が現れる。それは,モーテルの岡に生えている紅葉だった。

●井戸のある場所へ

日本版では,井戸があることをある程度見当をつけてからロッジに戻ってきていたが,USA版では紅葉の木を頼りに戻って来るものの,何をするべきなのかわからずに,置いてあったものを床にたたきつけると,ビー玉が特定の場所に集まってきた。カーペットを剥ぐと,そこには円くカビが…

床板を剥がすと,石で蓋をされた井戸が現れる。蓋をどけて中をのぞき込んでいると,床を止めていたネジが,全て上に持ち上がっていき,外れてしまう。部屋の床が急に落ち,レイチェルは滑ってきたテレビに,井戸の中に突き落とされてしまった。直前にテレビが勝手についたりして,サマラの意志を感じる。

日本版では「骨を拾って供養すれば,成仏して呪いは解ける」と考え,貞子の骨を探すために井戸の底に降りて水をかい出すが,西洋にはこういう考えはないようだ。
井戸の壁に剥がれたツメを発見するのは同じ。

●現れる貞子(サマラ)

必死で水をかい出し,半ば感覚が麻痺してきた感じのところで貞子の髪に触れ,ようやく見つけたという思う浅川だが(日),レイチェルはサマラを探しだそうという気はあまりないようで,水中でもがく手がサマラの髪に触れ,一瞬ぎょっとする。浮かび上がってきたのは生きているというか,さっき死んだばかりのような少女。抱きかかえるとCGで急速に白骨化していく(米)。うーん,この表現もなんだかなぁ。

日が暮れて、主人公がビデオを見た時間が過ぎ、呪いが解けていることを、井戸の外から元夫に知らされるのは同じ。
井戸から助け出され、警察が検分している脇で、毛布にくるまる2人。「井戸の中で何日生きられると思う?」というノアの問いに「七日間よ。…せいぜいが生きて七日間…」と応えるレイチェル(米)。このあたりの理由付けはうまいなぁと思った。

●解けない呪い

レイチェルは,息子の元へ帰るが,エイダンの「彼女はどうなったの?」と言う問いに「助けてあげたわ。もう大丈夫」と答える。「どうしてサマラを助けたの?彼女は眠らないよ。」との息子の問いに,呪いが解けていないことを知る。あわてて電話をかけ,ノアの元へと車を飛ばすレイチェル(米)。

●井戸から…

全てを解決したと思い,家に帰る高山。が,突然テレビがつき電話が鳴る。画面には井戸が…!後ずさりする高山。貞子が這い出てきて,恐ろしい目で…!(日)

家に帰り,仕事をするノア。すると,テレビが勝手につく。リモコンで消すが,再びついたときには画面に井戸が…!レイチェルからの電話が鳴り響く中,ノアは水浸しになった床を歩いて,テレビへ近寄っていく。井戸から這い出て来て,そしてテレビからも…!後ずさりして棚を倒したときに割れたガラスの破片で傷を負い,血のついた手で部屋の隅へと逃げるが,サマラはテレポーテーションのように空間を移動して近づいてきた。そして,髪の間からのぞくゾンビのような顔色と恐ろしい目つき…!(米)

●元夫の死

高山に電話をしても出ないため,不吉なものを感じて高山のアパートへ飛んでくる浅川。部屋の前には呆然となった高山の助手であり恋人である高野舞が呆然と座り込んでいた。「私が来たときにはもう,先生はすごい形相で…」既に遺体は運び出された後だった。(日)

ノアの仕事場へと急ぐレイチェル。運転しながら電話しているが,出ない。エレベーターを待つのももどかしく,階段で部屋へ上がり中に入ると,ノアはテレビに向かった椅子に座り,こちらに背を向けている。床には逃げたときについた血の後が。おそるおそるこちらを向かせると,その顔は…!(観客には見えません)悲鳴を上げるレイチェル。(米)

予告などに使われていた叫ぶシーンは,多分このカット。この叫び声は,ホントに恐怖を感じました。それにしても,部屋の隅に逃げたはずなのに,なんでテレビの前に戻ってるんだろう?謎。

息子にかかった呪いを解くべく,階段を下りて1回に戻ると,ノアの助手がエレベータに乗るところだった。柱の陰に身を寄せ,そのまま彼女を行かせてしまう。(米)

●ラスト

「私がして,あなたがしなかったこと」「コピーを取った」ここはほぼ同じだが,浅川はビデオデッキを車に積み,父親に「見せたいものがあるから今から行く」と電話して両親の元へ向かう。街では女子高生が会話している。「呪いを解く方法があるんだって」「コピーして他人に見せるの」「でも,死にたくなかったら,やるでしょ?」(日)

レイチェルは,息子の手でビデオをデッキに入れ,ボタンを押し,コピーを取る。「ママ,コレを見た人はどうなるの?」「ママにもわからないわ」サマラの「やめられないの」という映像が流れ,ノアを含む犠牲者たちの死に様が走馬燈のように流れる。(米)