マーメイド・イン・パリ

監督:マチアス・マルジウ
脚本:マチアス・マルジウ/ステファヌ・ランドフスキ
音楽:ディオニソス/オリヴィエ・ダヴィオー
製作総指揮:ニコラ・バリー/ナタナエル・ラ・コンブ

ガスパール:二コラ・デュヴォシェル
人魚ルラ:マリリン・リマ
ロッシ:ロッシ・デ・パルマ
ミレナ:ロマーヌ・ボーランジェ
ガスパールの父:チェッキー・カリョ

天使とデートみたいな映画だと思った。
人魚は歌っている人と演じている人、別人だよね?
随所に「予算ないのかなぁ」というB級映画的な印象が。

オープニングがコマ撮りアニメ、ローラースケートで水浸しのパリの街から海の中へ。
飛び出す絵本をプレゼントされるが、部分的にCGだろう。

ガスパールはフラワーバーガーというセーヌ川に止めたレストランの船底のクラブ?の歌手だった。
客席は普通の客船のレストランだが、合言葉を言うと地下のクラブへ案内してくれる。
かつてのオーナーはレジスタンスを支援し、暗号を伝えるためのレコード・ボックスもあったが、現在経営しているガスパールの父はこの店を売ると言う。
ガスパールは「思い出だ」と言うが父は「切り捨てるべき過去だ」と言った。
仕事を終えたガスパールが店から出てセーヌの河口をを歩いていると、人魚が倒れていた。
人魚であることにガスパールは全く驚かないのだが、この人魚の尾ひれも「コスプレだよね?」のクオリティ…。
頬を叩くが、反応なし。上半身裸なので上着を着せ病院に連れて行こうとするが、タクシーが捕まらないので、走っていたトゥクトゥクを捕まえ「貸して」と自分の靴を置いて強引に乗り込む。
着いた先の病院では患者が何人も長時間待合室で診察を待っているが「保険証がなければ診られない」と受付の女性に冷たく言われてしまう。
「自分の保険証ならある」とカバンを探るために飛び出す絵本を取り出してカウンターに置くと、外から悲鳴が聞こえ、本を置きっぱなしにして飛び出して行くガスパール。

この病院に勤めていた女医のミレナは、タバコを吸っていた夫の医師に病院の入り口で妊娠を報告(妊婦にタバコは良くないんじゃないの?)、しかし患者急変の呼び出しがあり「一緒に帰るために待っていて」と言って仕事に戻って行った。夫の医師は人魚の歌を聴き、ふらふらと人魚に吸い寄せられるように近づいていく。
ガスパールが医師に近づいていくと、医師はフラフラと待合室へ入り、椅子に座ってうわごとのように「歌が…」と言うようなことを言い、知らせを受けた妻のミレナが戻って来るが夫は急に倒れ込み、慌てて処置をするが息絶えてしまった。
ミレナが心臓マッサージをしていたが、胸を押すテンポが遅すぎると思う…

さっきまでピンピンしていた夫の突然の死。
翌日、ミレナが病院の受付で昨夜変わったことはなかったかと聞くと、「直前に来た患者を診るために表に出て言った、しかもこの本を忘れて言った」と聞き、本を持って通りに出ると青いネバネバした液体が地面に落ちていた。
調べてみると、この青い液体は水生動物の血だという。
そして夫の死因は血液中の窒素が増え、麻酔によったような感じになり、心不全の状態になっていたという。

病院で診てもらえなかったため、仕方なく人魚を家に連れ帰るガスパール。
男を惑わし、命を奪う歌声を出す人魚。何度も歌を歌うが、ガスパールには全く効果がない。
「なぜ自分の歌声を聴いて心臓が痛くならないのだ、みんな恋に落ちて心臓が痛くなって死ぬのに。あなたは漁師なの?」
「いっぱい失恋したからもう恋はしない。第一君はタイプじゃないし、俺は死なないよ」

太陽が2回登るまでに海へ戻らなければ死んでしまうから海へ返して欲しい、とガスパールに頼む人魚のルラ。
しかしガスパールは足ひれに怪我をしているのでダメだ、明日仕事から帰って来たら海へ連れて行ってあげる、という。
この尾の部分がちゃちい「作り物」っぽいのだ。どうみても生の魚ではなくレジン製だよね!!!という出来。お腹が減ったらしく、アヒルちゃんをかじって首チョンパさせたり、石鹸を食べてシャボン玉を口から吐いていたが、人魚は石鹸を食べても死なないのか、と思った。

何か食べないと、と冷凍の魚を調理して出すが、人魚に魚?共食いでは…?
「パリの魚はうまいんだよ、冷凍だけど。食べて見て」と自分が食べて見せ、その後使ったフォークで進めると一口食べてまぁまぁ、と言うように頷くが、このご時世「フォークを使いまわすとコロナが…」と思ってしまうのだった。人魚は関係ないか?

「恋ってどんなもの?」とルラが聞くとガスパールは「喜びとすごく痛い」
仕事に行ってくる、帰るまで映画でも見ていて、と小さなブラウン管のテレビを浴槽の脇へ置き、海底三千里?のような人形のコマ撮りのビデオをかけていく。時々笑いながら見てるルラ。なんとVHSだった。
この映画、本当にある作品ならちょっと見たい…と思った。

隣に住んでるロッシはストーカーのようにガスパールが帰って来るのを玄関の覗き穴から監視していて、ガスパールが帰って来るとすっ飛んで行ったりしていたので、ガスパールのことが好きなのかと思ったが、親のような気持ちだったらしい。
ガスパールが出かけると、玄関マットの下に隠した鍵で勝手に部屋に入って来て、ルラを見つけると、ガスパールの父が経営するフラワーバーガーの成り立ちを話してくれる。
ロッシも人魚であることに全然驚かない。
ガスパールの祖母が店を始め、戦時中はレジスタンスの支援をし、サプライザーとして嬉しい驚き?を演出する店員たち。
ロッシが残して言ったタバコに火をつけて吸い、咳き込んでタバコを落とし、香水の瓶も落としてマットに火がつき、ボヤを出してしまう。

ロッシからの電話で慌てて部屋に戻って来るガスパール。「彼女は隠れている」とロッシに教えられ、「全焼にならなくてよかったな。タバコの火には気をつけろよ」と消防隊員に注意され「俺はタバコは吸わない」と言うがロッシのタバコの箱を手渡された。
浴室に入るとなぜか床に真珠が散らばっており、ガスパールは滑って転んでしまう。
ルラは浴槽の下に隠れていた。

部屋が消火で水浸しになったため、ロッシの部屋へルラを連れて行き世話を頼むガスパール。
部屋を片付けたガスパールは、ルラをロッシの部屋から連れ戻し、話をしたり、レコードボックスで二人で歌を歌い、それをレコードにしたりする。見つめあってガスパールがキスをするように顔を近づけるが、レコードが出来上がった音でキスはできなかった。

ルラをフラワーバーガーへ連れて行くために、ロッシがルラにお化粧をして、車椅子に乗せて店へ連れて行った。
ガスパールの父親は、息子がガールフレンドを連れて来たことに喜び、目隠しをしてハートの風船をルラの頭の上で割る儀式を行う。
「ルラを殴るなよ」の掛け声とともにうまく風船は破られ、中からハート型の紙吹雪が舞った。
二人で録音したレコードを流し、皆に祝福され楽しい時間を過ごす二人。
ルラは、母親は自分を守るために漁師に銛で殺されたことを話し、だから自分は歌で人間を殺すのだ、と話した。
カクテルを飲み、だんだん出来上がって来てワインをボトルのまま一気飲みするルラ。
「漁師を殺したら船に積まれているワインを飲む。漁師は全員殺す」というルラ。

ミレナは夫を殺した謎の生物に復讐(というか、食うと言っていた)するため、ガスパールの「飛び出す絵本」から、フラワーバーガーのことを知る。船上レストランで絵本を見せるとフラワーバーガーの客と勘違いされ、合言葉もなく階下へ案内される。人が多かったため、ガスパールとルラとはすれ違って顔をあわせることはなかった。

ルラを海へ返す約束を果たすため、ガスパールはフラワーバーガーからルラを連れ出した。プールに行ったり、ギリギリまで一緒にいることを選ぶ二人。
深いプールで二人で泳ぐ様は、シェイプ・オブ・ウォーターと対をなす演出だと思うが、昔「よみうりランド」で見た「水中バレエ」のようだと思った。
部屋に戻りガスパールは「このまま二人で一緒に暮らせないかな」と言うが、ルラは「それはできない。私たちはこのまま別れるべき」と答える。このころからガスパールはフラフラしだして、体調が悪くなって行くようだった。
「魚を食べたい」というルラのためにガスパールは魚を買いに行く。浴槽に座ったルラは、目から真珠の涙がほおを伝って落ちて行く。そして大声でロッシを呼び「ここから逃がしてほしい」と頼んだ。
この涙の流れる様子がどう見てもコマ撮りみたいなんだよね。これ、コマ撮りで撮るか?とちょっとびっくりした。ボヤ騒ぎで戻ってきたときに、部屋に真珠が転がっていたが、あれはルラの涙だったのだ。

ガスパールが戻って来るとルラはおらず、ミレナと助手が真珠を採集していた。人魚は自分の夫を殺した、研究のために捕獲した、とミレナに言われてしまう。
一緒にルラを奪還すべく、ロッシと二人で病院へ忍び込む。割と警備は緩く(古そうな病院だった…)ルラが捕まっていた病室へ忍び込み、ストレッチャーに乗せて病院から運び出した。トゥクトゥクには荷台が繋がれ、浴槽が置かれていて、そこにルラを入れた。
「これからどこに行くの?」と言うロッシに「郊外の方へ行くよ」と答えるガスパール。
走り去った後にミレナが追いかけて来る。「無事にフラワーバーガーへ向かえた」というようなことをロッシが話すと、ミレナは車でフラワーバーガーへ向かった。

途中、給油したガソリンスタンドでガスパールはおもちゃの無線機を買い、ルラに持たせる。最初は運転席のガスパールの言葉に答えていたルラだったが、持っていた無線機は力なく手から滑り落ち、道路に落下して、走ってきた車に轢かれて粉々に。
フラワーバーガーの停泊するセーヌ川岸についたミレナに、助手から「人魚の乗った車の目撃情報が郊外であった」と連絡をうけて、慌ててあとを追う。

郊外の葦が茂る海岸につき、意識がなくなったようなルラを抱えて、海へと降りて行くガスパール。ガスパールも具合が悪くフラフラだ。
海へ入って行くが、葦がそこらじゅうから生えているので、進みづらそうなのだが、なんでこんなところから海に入るんだろう??フランスの海岸は、こういうところが多いとか?
海に入ったルラは正気を取り戻し、沖へと泳いで行った。
ガスパールはルラを見送り、その後力尽きたように水に沈んでしまう。

ミレナがトゥクトゥクを発見し、海岸へ降りて行くと、葦の茂みに男が流れ着いていた。ガスパールだったが、その顔が夫の顔に見え、助けようと心臓マッサージをすると、水を吐き出し息を吹き返す。

後日、ガスパールの元へミレナの助手から手紙が届く。
手紙には「人魚の真珠は純金の核にパールが巻かれたものだ。君を思って流した彼女の涙だ。返すよ」とあり、真珠が同封されていた。

フラワーバーガーの船上レストランは売りに出されていたが、売却はとりやめられていた。ガスパールは真珠を父親に渡し、ルラを探すために出航していった。
エンディングはコマ撮りアニメで、ガスパールの船の航海の様子だったが、人魚とは出会えなかった。

ガスパールは最初「もう恋はしない」と心に決めていたため、ルラの声を聞いても心が動くことがなかった。そのため最初は死ぬことはなかったのだが、ルラと過ごすうちに恋に落ち、だんだんと具合が悪くなって行ってしまったのだ。

しかしガスパールはルラに恋してしまったので、ルラと再会できても死んじゃうんじゃないか?
映画の最初の方のルラは、すごく美人でもないし、それほど可愛いと言う感じでもなかったが、フラワーバーガーでのパーティのあたりから、可愛くなっていった。

評価:mobix


クワイエット・プレイス 破られた沈黙【極上爆音上映】

監督・脚本・製作:ジョン・クラシンスキー
製作:マイケル・ベイ/アンドリュー・フォーム/ブラッド・フラ−

出演
イヴリン・アボット:エミリー・ブラント
リー・アボット:ジョン・クラシンスキー
リーガン・アボット:ミリセント・シモンズ
マーカス・アボット:ノア・ジュープ
ボー・アボット:ケイド・ウッドワード
エメット:キリアン・マーフィー
島のリーダー:ジャイモン・フンスー

前作は「音を立ててはいけないのに、音を立てないことなど不可能な出産&赤子の誕生」という、一体どうするんだ!?というクライマックス・イベントがあったが、今回はそこまでのインパクトはない。
作中で名前を呼ぶシーンが「エメットでしょ?」と聞くところと、リーを思い出して言う以外なかったと思う。
誰なのかは顔を見ればわかるが、名前なんだっけ?と思った。
やはり上映中はポップコーンの音も全くしなかった。
しかし、小腹が空いていた私はお腹の音がなってしまった…

1日目
町中のシーンからスタートだったが通りは静まり返っていたため、すでに怪物にやられて人がいないのか?と思った。しかし、皆野球の応援のために広場に集まっていただけだった。
アボット一家はマーカスの野球の試合を応援するため、街まで出てきていた。リーは薬局(前作の冒頭で出てきた薬局)で、オレンジとりんごとミネラルウォーターを買う。ボーが死んでしまう原因となったロケットのおもちゃも置いてあった。レジにいた老人は、テレビで「突然の爆発があった」というニュースを見ており、リーが「どうしたんだ?」と聞くと「爆弾じゃないか?」と答える。
人々が立てる物音が通常より大きく調整されているため、「来るのではっ!?」と思ってしまう。

野球の応援席に戻ってきたリーが、応援用ベンチで汚い手でオレンジをカットしたので、リーガンは「私がやる」と手話でいう。その様子を後ろの席で見ていたエメットは、リーガンが「聞こえない」ことを知る。3塁走者が走り出したので、リーは「走れ!ダイブするんだ!」と叫ぶとエメットは「ダイブするって(手話で)なんて言うんだ?」と聞く。リーガンは手を合わせて下へ潜るような手つきをして、教える。
マーカスが打者となったが、すごい速さの球で打てない。すると、上空で爆発音が聞こえ、雲の彼方に細長い黒い物体が浮かんでいて爆発のようなものが見えたため、試合は中止になり人々は家へ帰ることにする。しかし、そこへものすごい速さで動く怪物が現れ、人々を殺して行くので車で逃げ惑う人々はパニックになる。
アボット一家も車で帰ろうとするが、イヴリンとマーカスは自家用車へ、リーとリーガンはトラックに乗ろうとするが怪物が現れてトラックが壊れ、近くの飲食店の中へ隠れる。一緒に隠れていた老人が「天にまします神よ…」と唱え始めたので、リーは「静かに」と制す。ドアの窓越しに怪物が見え、その時誰かの携帯の着信音が鳴り、怪物が店の中へ襲いかかってきた。

リーとリーガンは裏口へ逃げるが、音をたどって怪物が追って来る。走って逃げて行くと、横倒しになったパトカーの陰にイヴリンとマーカスが隠れ、その前に警官がライフルを持って怪物を撃つが、犠牲になる。
エヴリンたちは隠れていたブラジル系と思われる子供を助けた。

前作と違い、最初からエイリアンは姿を現して暴れまくっていた。
「隕石かも」「謎の正体」と前作では報道されていたが、空中に浮かぶ長細い黒い物体が爆発している感じだったので、とても隕石とは思えず、UFOだ、と思った。

474日目
前作ラストの直後のようだ。
リーガンは父の無線室から、NY一帯に印がつけられた地図を見つける。
サイロの上で地図を元に何かを調べるリーガン。
イヴリンは荷物を詰め、水浸しになった地下室の底から酸素ボンベを拾い出し、棺桶のような箱に赤ちゃんを入れて、一家は燃えている納屋を後にする。
最初、どう言う理由で移動しているのかよくわからなかったが、どうやら住み慣れた農場を去ることにしたようだ。しかし、行くあてもなく移動中も音をたてられないのに、かえって危険なのではないだろうか…

町までは枯葉の上に白い砂を敷いた道が作られ音を立てないようになっていたが、その道は途中で終わっており、イヴリン達は砂の無いその先の落ち葉の道へと踏み出す。
線路沿いに歩いて行き、工場のようなところへやってくる。穴の空いたフエンスから中に入り、そっと歩いて行くが、フェンスを抜ける時も荷物が引っ掛かり気味だったのを無理やり引っ張る。

前作でも釘に引っかかった袋を、原因を突き止めることはせず無理やり引っ張っていたが、イヴリンはそういう性格なのだろうか?注意力が足りないのでは?それとも、アメリカ人はそういう傾向があるとか?

イヴリンが足元に貼られたワイヤーにひっかかり、空瓶が落ちてきて大きな音を立てる。
「走るのよ!」
イヴリンと子供達は走るが、マーカスが罠に足を挟まれてしまう。その様子を高いところからライフルで狙っているものがいた。
音に反応して怪物が近づいてきたため、リーガンが補聴器の音を拡声器で鳴らすと、苦しむ怪物。頭部が開いたところにライフルを打ち込み、殺した。
マーカスの罠をなんとか外すが、マーカスは痛みで大声を上げる。口を押さえて「静かに!」というイヴリンだったが、マーカスは叫び声をあげ続け、新たな怪物が近づいてくる。

その様子を見ていた何者かが、イヴリンたちを「こっちだ」と案内する。さらに怪物が襲ってきたので、工場の地下へ逃げ込み、おそらく高炉と思われる設備の中へ逃げ込んだ。
高炉の中には空気は入ってこないため、タイマーで時間をはかり、一定時間たったら扉を開けるようにしていた。タオルをかけて、閂が落ち切らないようにして、中から開けられるようにしていた。

男はエメットといい、最初の日に子供を亡くし、妻は10週前に病気で死んだと言う。至る所に子供や妻の家族の絵が置いてあった。
「怪物が死ぬのを始めて見た。あの頭が開くとは」

傷ついたマーカスに応急処置を施しベッドへ寝かせる。リーガンがヘッドフォンをさせると、マーカスは「音楽が聞こえる」と言う。
エメットは「だいぶ前から「Beyond the sea」の曲だけが放送されている。どこから流しているかはわからない」というが、マーカスは
「前からじゃない。パパは毎日無線を傍受していたが、絶対に聞いてない」
「あんたらの住んでいた谷では電波が届かないのだ」
「他にも生存者がいるのよ」
「生き残った他の奴らはひどい状態だ。ここにも食べ物はないから面倒は見られない。明日には出て行ってくれ」とエメットは言った。
イヴリンは酸素ボンベを引き寄せるが、残りの酸素はあとわずかだった。

リーガンは高炉の中にマーカスを呼び入れ、ラジオから流れてきた曲を流している放送局の場所を探すが、候補がいくつかあった。「Beyond the sea」この曲名がヒントで「海の向こう」つまり島なのではないか、とリーガンは思いつく。島にある放送局は1つしかなかったため、場所が特定され、そこは1日ほど歩けばたどり着ける場所だった。
リーガンは「そこへ行って、この補聴器の電波を流せば…」と言うがマーカスは危険だ、と止める。リーガンは「大丈夫、世界を救える。自分たちも」と言い、夜のうちに一人で勝手に出かけて行ってしまう。

朝になってリーガンがいないことに気づき、イヴリンは「リーが生きていたら、リーガンは生きる価値がある子だと言って助けに行けと言うはず。お願い、行ってあの子を連れ戻してきて」とエメットに頼む。

リーガンは線路沿いに歩いて行くと、駅舎があった。そこには女性の靴や鞄がいっぱい落ちており、駅の横で電車が脱線していた。
車両の中へよじ登って入って行くが、中にはミイラ化した死体しかなかった。車両の脇には怪物が開けたと思われる大きな穴が開き、ぼう然と見つめるリーガン。

さらに進んで行くと車掌室があったので扉を開けると、救急箱が壁に掛かっているのが見えた。扉が開かずへ入れなかったため、手を伸ばして無理に取り外した結果、扉の裏で死んでいた車掌が倒れてきて、リーガンは驚いて声を上げてしまう。
怪物が襲ってきて補聴器の音で弱らせるが、片手で撃った弾が急所を外れ、次の弾を片手で上手く装填できずに「もうだめだ」と思った瞬間、後ろから怪物をエメットが射殺する。

駅舎の中に隠れる二人。
聞こえないリーガンにどうやって説明すれば、と困っていたエメットに「ゆっくり話してくれればわかる」と言うリーガン。
ボートで島へ渡る、放送局からこの補聴器の音を流せばみんなを救える、というリーガンにエメットは「だめだ。家へ連れ帰る」というが「家って?」と問われて口をつぐんでしまう。
その日はそこで休み、翌朝リーガンが目を覚ますと、隣で寝ていたはずのエメットがおらず、補聴器も持ちされていた。絶望するリーガン。

どこからくる自身なのかわからないが、「私はもう大人で大丈夫だ」と言い続けていたリーガンだったが、大丈夫ではなかった…。

イヴリンは怪我をしたマーカスのために、街の薬局まで薬と包帯をを取りに行こうとするが、マーカスは「行かないで」と怯える。
「大丈夫、必要なものは全てある。数時間だけよ。あなたまで失いたくないの」と諭してイヴリンは出かけて行く。

イヴリンは途中のボーの墓の上に指輪を置いて街まで行く。
この行動の意味もよくわからない。
包帯と薬、酸素ボンベを2つ持って帰ってくるが、帰りに指輪を取ったのかはわからない。

マーカスは赤ちゃんを抱いてあやしていたが、箱に入れて酸素を吸わせる。あんまり酸素残ってないけど、大丈夫なのか?
マーカスは懐中電灯を持って工場の中を探索し始める。

一人残されるのが怖いんじゃなかったのか??音を立てたら終わりなのに、なぜこんな行動をしたのか、前作の性格を考えても矛盾する。

ひらひらしているカーテンの向こうにミイラ化したエメットの妻がいて、びっくりしたのと恐ろしさで後ずさった時に大きな音を立ててしまう。
だから言わんこっちゃない…

怪物に襲われ、急いで地下へ滑り降りて赤ん坊の箱と一緒に地下の高炉に逃げ込むが、タオルをかけるのを忘れて扉を閉めてしまった。
タイマーをセットし、なったら扉を開けようとするが、開かない。
酸素ボンベの空気を赤ちゃんと交互に吸う。
怪物は地下の屋根を壊して侵入してきそうな勢いだった。

エヴリンが戻って来ると怪物の物音がし、襲われそうになったため、酸素ボンベを1つ爆発させて怪物を火だるまにするが死なない。水を流して水音で気配を消し、マーカスのところへ駆けつける。傍の本の上にピストルを置いて高炉を開け、酸素ボンベを入れてタオルをかけて扉を閉める。

しばらくするとリーガンのところへエメットが戻ってきて「ボートがあった。島へ渡れる」という。
桟橋に着いたのは夜で、レジャーボートが何隻も停泊していた。
ボートまで行くとなぜか少女が魚とりのあみを繕っていた。エメットが「こっちへおいで」とジェスチャーをすると、いきなり首元を襲われて縄を巻かれる。
ボートの中から次々に人が現れリーガンは捕らえられ、補聴器を外されそうになる。エメットはジェスチャーで「ダイブしろ」と示しリーガンは捕まえられていた人に体当たりして海へ飛び込む。その音で怪物が現れ、人々は襲われる。

エメットも海へ飛び込むが、縄で首を絞められ、怪物に襲われそうになる
リーガンがボートで近づいてきて、エメットを引き上げた。エメットは口の中に補聴器を隠して持っていた。
二人が例の島に渡ると、そこでは人々が楽しそうにバーベキューをして物音を立てて談笑していた。

リーダーが「よくこの場所がわかったな」と言うとエメットが「彼女が曲名から突き止めた」と話した。
リーダーは「N.Y.が襲われ、そして怪物は泳げないことを知って皆に知らせた。すると停泊していた16隻のボートに人々が殺到して、結局2隻だけがこの島へたどり着けた」と話してくれた。
「君たちもここで一緒に平和に暮らせばいい」と話すリーダー。

翌朝、エメットが海岸へ降りて行くと「キチキチキチ…」と嫌な音が聞こえ、岩の間からのぞいてみると、流れてきた船に怪物が乗っていた。
慌てて「逃げろ!」とみんなに知らせるが、怪物は島へ上陸、襲われてしまう。

怪物はなぜ人々を襲うんだろう?
前作では襲われる理由は食べるためなのかと思っていたのだが、襲ったあと捕食するわけでもなく、次々に襲って行くので、殺すためだけに襲っているように見える。

エメットと島のリーダー、リーガンは放送局へ車で移動するが、音を立てて怪物を引き寄せたので屋根の上から爪を立てられてリーガンが襲われそうだった。
放送局へ着きシャッターを少し開けて中へ入るがリーダーは「怪物が追ってこない、もしかして振り落としてしまって村へ戻ったのかも知れない。心配だから戻る」と言ったところを襲われる。
どうしてシャッターを閉めないんだ…。

音を立てないように放送室へ向かうエメットとリーガン。放送室には怪物が入り込んでいた。音を立てないように窓のように空いた空間から壁をまたいで中に入るが、物が散乱したり引き出しが開いたままだったりして、音を立ててしまいそうでハラハラする。
なんとかリーガンが中に入るが、放送のスイッチを押すときに音を立ててしまったのでエメットが大きな音を立てて怪物をひきつけた。その間にレコードの音楽を止めて補聴器の音を流す。
音量を上げると怪物が苦しみだす。

エヴリンは酸素ボンベをマーカスと赤ちゃんに交互に吸わせるが、扉は閉めることができなかったため怪物が前足を伸ばして捕まえようとする。
マーカスがラジオから補聴器の音が聞こえることに気づき、音量を上げると怪物は苦しみ出し、後ずさりしていく。

リーガンは苦しむ怪物へ近づいて行き、傍にあった鉄パイプを手に持ち、頭を突き刺す。

マーカスはラジオを前に突き出して高炉の中から出て、置いたピストルを手に持って怪物の頭を撃ち抜く。

怪物の頭から鉄パイプを抜き去り、音を立てて転がすリーガン。
勝ち誇ったような表情で立つマーカスとエヴリン。

前作と全く同じエンディング、これは続きを作るんだな…と思った。

最後のロールの進みがすごく遅く、長かった。
しかし、港にはたくさんの船があったのに、なぜ人々は海を渡らなかったのだ??
マーカスの行動といい、リーガンの無鉄砲さと不用心といい、あちらこちらに矛盾を感じる。

評価:a


Arc アーク

原作:ケン・リュウ『円弧(アーク)』(ハヤカワ文庫)
監督:石川慶
脚本:石川慶/澤井香織
音楽:世武裕子
製作:加倉井誠人/仲吉治人
製作総指揮:ケン・リュウ/川城和実

出演
リナ:芳根京子(17〜90歳)/倍賞千恵子(135歳時)
セリ:芳根京子
黒田永真(エマ):寺島しのぶ
黒田天音(アマネ):岡田将生(青年期)/中川翼(15歳時)
加南子/奈々:清水くるみ
佐々木:井之脇海
ハル:中村ゆり(50歳時)/鈴木咲(5歳時)
芙美:風吹ジュン
利仁:小林薫

不老不死となった女性の一生と、不老不死が当たり前となっていく未来の世界を描いた作品。
ナレーションなどはいっさいなく、淡々と事実だけを繋いでいく感じで、未来のシーンはモノクロ映像、そして手持ちカメラで撮影しているのか、映像がぶれている。

不老不死となれる手術(=薬剤投与)なのだが、当然初期のころは費用が高く、誰で儲けられる訳じゃない。富める者だけが永遠の命を得られる、と言う問題が発生する。
費用が安価になり、誰もが不老不死となれるようになると、「死なない」は「死ねない」となってゆき、死なないということは子孫をの越す必要がなくなる、ということでもある。
こういった問題を描きたかったのかな、と思われるのだが、かなり中途半端な印象だ。










ネタバレのあらすじ












17歳。
リナの傍らには赤ちゃんがいた。
空をつかもうとするかのように手を伸ばすリナ。

19歳。
リナはとある劇場のようなところで余興としてダンサーをしていたが、その他の出演者からいじめられる存在のようだった。そんな部隊に嫌気がさしていたのか、ある時、舞台に上がっても躍ろうとしなかった。「踊らないんか」という客の冷やかしに、客が持っていた酒を横取りして飲み干し、グラスを床に叩きつけて割った。そしてパフォーマンスを行う。
その様子を上のVIP席のようなところで見ていた黒田永真(エマ)。
リナは劇場を解雇されて裏口から叩き出され、そこで横になろうとする。
そこへエマが車で乗り付け、「興味があったら来なさい」と名刺を渡す。
リナには家もなく子供も手放しているようだった。
子供の父親もリナの両親の存在も全く出てこない。

翌日、名刺の場所へ行くとそこには生きているのか死んでいるのかわからない、人間がガラスケースに飾られていた。1体の体を触ってみると柔らかかった。
昨日のエマが現れた。
エマは「ボディーワークス」社の主要メンバーで、死体にボルトを挿して血を抜き、防腐処置を施した後、ボルトに紐を着けて吊り下げてその紐を動かして生前の姿のようにポージングをさせる「アーティスト」であった。
リナは「ボディワークス」の仕事に就くことになる。
防腐処置の仕方を習うが、手袋を外してボディ(死体)に直接手を触れ、同僚の加南子に怒られる。
「手で触れられるものは掴んで確認したい、と思うんです」と答えるリナ。

ボディーワークスには色々な人が故人の体を保存したい、とやって来ていた。「ピアノを弾いている姿で保存したい」「亀を保存したい」…
死産の赤ちゃんの依頼があり、エマはリナに担当させる。リナは赤ちゃんを包んでいた布を開くが、赤ちゃんを見つめて処理ができずにいるリナ。かつて子供を産んだことがあり、産んだ時はそのうち「可愛い」と思えるようになるんだろう、と思っていたが、そう行った感情は湧き上がってこなかった、エマにと打ち明ける。

ある日、高校生くらいの男の子がボディーワークスに来ていた。
彼は「ボディワークスのように"死体を防腐処理して保存する"ことによって保存される時代は終わる。生きたまま永らえられるようにするつもりだ。そいういう時代は必ず来る」と言う。
彼はエマの弟の天音(アマネ)だった。
リナは、ボディーワークスの事業についてエマと天音の間で意見が食い違っていることを加南子から聞く。
「天音のやり方は間違っている」と言ったエマは、ボディーワークス社の理事を解雇された。
エマには同姓のパートナーがいたが既に亡くなっていた。
自分の部屋にリナを招いたエマは、首以外は人形のようにパーツとなった、死んだパートナーが部屋に吊られているのを見る。彼女の肉体を蘇らせようとしているが、うまくいかないのだ、とエマはリナに言う。

30才になったリナは、エマのようなプラスティネーション・アーティストとなっていた。
ボディーワークス社は、小学生の見学も受け入れていた。
小学生の質問に答えるリナ。児童たちは記念バッジのようなものをもらっていた。
このシーンは、小学生の顔が意味ありげにアップになったりしていたが、その後特に何かるわけでもなく…このシーンの意味は、終盤になってわかるのだった。

天音は細胞の老化を抑制するテロメアの初期化に成功し、エターニティ社は認可をとって製品を発売。
この頃からリナと天音の距離が縮まって行く。天音はテロメアの技術は、社会を二分するかもしれないが、リナにテロメアの手術を受け、一緒に(永遠に)生きて欲しい、一緒に箱舟に乗ろうと言う。リナはその言葉を受け入れ、年を取らず生きて行くことになった。
手術と言っても、ヘソから薬液を注入する感じだった。

エマはパートナーの肉体を蘇らせることが叶わぬをわかったからなのか、パートナーの体に自分の体を預けるようにして寄りかかり、手首に繋いだチューブにプラスティネーションの液体を流し込んだ。

認可を受けたばかりのテロメアは高価な薬で、「金があるものだけが永遠の命を買うことができるのか」と社会の反発を受ける。また、不老不死の施術には年齢制限が設けられていた。デモなどを行う市民もあったが、次第に薬は安価になっていき、年齢制限もなくなり、延命処置を受けるのが当たり前になっていった。

ここのくだりはあっさりと言うか、あっという間に延命が当たり前、と言うような風潮になっていって、違和感を感じた。コロナのワクチンでさえ「副反応はないのか」とか「打ちたくない」とか世間で騒いでいるのに、みんなあっさり「打つのが当たり前」となるものなのか?

そして、「死なない」ということは人口が減らないわけで、じゃあ子供は産まないの?
死ななければ子孫も残す必要はないから、「子供をもうける」ということをしなくなるということ?

天音と幸せな生活を送っていたリナだったが、ある日天音は自分の髪に白髪が生えているのに気づく。
天音はDNAに欠陥があり、永遠には生きられないことが判明。急速に老いて行き、天音は死への恐怖から、リナに会うことも拒絶、そして1年後に死亡。
リナは死後に「天音の意思だ」と精子を渡される。
「天音の意思です」と言ったと思ったんだけど、もしかしたら「天音の精子です」と言っていたのかもしれない・・・。

リナは89歳になり、瀬戸内海の小島のようなところで暮らしていた。
しかし、全く外見が変わっていない。
そこは「天音の庭」と呼ばれる施設で、不老手術を受けられなかった、あるいは受けることを選択しなかった人たちを受け入れる施設で、リナはそこの責任者になっていた。
ボディーワークス社で一緒に働いていた、加南子の娘の奈々もいた。
理由は忘れたが、加南子は死去しており、奈々は加南子にうり二つだった。
ここからの映像はモノクロで、カメラが固定されていない感じで映像が揺れる。
医療行為をしていたので、リナはありあまる時間?で医師免許を取得したのだろうか?
リナにはハルという5歳の娘がいたので、人工授精で天音の子供を産んだようだ。

施設に利仁と茉美と言う老夫婦が入所してくる。茉美は癌か何かの病気のようで、車椅子やベッドで寝たり起きたりのような状態だった。利仁はなぜか施設に入居はせず、近くに小屋を借りたのでそこから毎日通うと言う。
リナの外見は30代のままだったが、茉美は「私より先輩よね」とリナの年を当てる。
「どうして分かったんですか」
「気配かな…足音とか。なんとなくわかるの」
いや、全然分からなかったですが…

リナの娘のハルは利仁になついていた。
亀のお墓を一緒に作ったり、フィルムで写真撮影したり、駄々をこねたり。
奈々は不老不死となることが当たり前になってから生まれたため、利仁が「不死手術を受ける気がない」のが理解できなかった。
世間では自殺する人が増え続け、「自死を選ぶ」という自殺を合法化するべきじゃないか、という議論が起こっていることをニュースが伝えていた。

エターニティ社では不死ではなく若返りの薬を開発していたが、まだ臨床も済んでいなかった。リナは、その薬を融通して欲しい、とエターニティ社の佐々木に頼むが断られる。
「私の息子に使うんでも?」
利仁はリナの息子だったのだ。
ここのくだりが、そう言ったことを匂わせるようなエピソードのようなものがあまりなかったので(ちょっと睡魔と戦っていたから、見逃したのかも知れないけど)、何となく唐突な感じだった。
リナは利仁に希望するなら若返りの薬を都合する、と小屋を訪ねて言う。利仁が借りている小屋は古い漁師小屋で、もう使わなくなった漁船を譲ってもらい、エンジンを直しているのだと言う。

利仁は薬は必要ない、と言った。
小学生の頃、ボディーワークス社に見学に行ったときに、リナを見たが、リナは自分に気づかなかった。
それまでは母親がいつか自分を迎えに来てくれる、と思っていたが、そのようなことはないのだ、と悟ったのだ。その後茉美と出会い、自分の人生を取り戻したと語る。
夜、漁船に乗って二人で港を眺めながら、利仁は「自分を取り戻したらどうだい、母さん」と話しかける。

この「息子より若い母親」というのは、「TO 楕円軌道」を思い出した。
こちらは時間の進みが違うせいで、母親は年をとっていなかったのだが・・・

茉美に死期が近づいて来た。
利仁に見守られながら茉美が亡くなる。
リナは一緒に暮らさないかと利仁に言うが、利仁は断る。
そして、直した漁船で海に出て、そのまま戻ってくることはなかった。

リナのような女性が「出て来たフィルムを現像したら、以外と写っていた」と足音を立てながら走ってくる。
茉美が「足音でわかる」と言っていたということは、この子はリナではないんだろう、と思ったら、孫のセリだった。
これくらいドタドタ走れば、違いはわかるよ…
リナは135歳になっており、しかも、歳をとっていた。(倍賞千恵子になっていたのだ!)
写真は、ハルと利仁が一緒に撮った写真だと思われる。

浜辺へピクニック?へ行くリナ、ハル、セリ。
セリはなぜリナが不老ではなくなることを選ぶのか、理解できないでいたが、リナは「十分すぎる経験をした。私にも終わりができる」といい、老いた手を空を掴むように伸ばした。

結局、リナは永遠の命を望まなかった。
何となく、「機械の体を手に入れて永遠の命が欲しいと思ったが、命は限りあるからいいんだ」という銀河鉄道999を思い出した。
なぜタイトルが「Arc」なのか?というのは、結局説明されないままだった。
始まりと終わりを円弧=Arcに見立て、さらに「アーク=Ark(箱舟)」もかけたタイトルらしい。

評価:2h


劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン【極上音響上映】

原作:暁佳奈
監督:石立太一
脚本:吉田玲子(完全新作)
キャラクターデザイン/総作画監督:高瀬亜貴子
世界観設定:鈴木貴昭
美術監督:渡邊美希子
3D美術:鵜ノ口穣二
色彩設計:米田侑加
小物設定:高橋博行
撮影監督:船本孝平
3D監督:山本倫
音響監督:鶴岡陽太
音楽:Evan Call
アニメーション制作:京都アニメーション

声の出演
ヴァイオレット・エヴァーガーデン:石川由依
クラウディア・ホッジンズ:子安武人
ギルベルト・ブーゲンビリア:浪川大輔
ディートフリート・ブーゲンビリア:木内秀信
カトレア・ボードレール:遠藤綾
ベネディクト・ブルー:内山昂輝
エリカ・ブラウン:茅原実里
アイリス・カナリー:戸松遥
ネリネ:京田尚子
ユリス:水橋かおり
リュカ:佐藤利奈
クラーラ・マグノリア:川澄綾子
アン・マグノリア/デイジー・マグノリア:諸星すみれ

TVシリーズの完結編。
一応序盤にアンの手紙のエピソードがダイジェストで語られるが、TVシリーズを見ていた人のために作られた映画だと思う。
そして、ものすごく計算されて作られている感じがする。
中盤で病気で亡くなる子どもが出て、それ以降はずっとうるうるし続けて、ここまで長い時間にわたって涙が途切れない、と言う映画も珍しいと思う。
と、思ったのだが、何回か見ると見るたびに泣くポイントが変わって行った。

TVシリーズもそうなのだが、初見の時と内容を知ってから見るのとでは感じ方が変わる作品で、細かい演出の意図がわかるようになる。
最初見た時は気づかなくても、ヴァイオレットが感じたことが、動きにちゃんと反映されているのだ。
何度も噛みしめて見る、という作品なので、本当の良さが分かる人とそうでない人で評価が分かれるんじゃないか?

TVシリーズから3〜4年くらい経過しているようだ。
電話が普及し始め、ガス灯が電気となり、街にはエッフェル塔のような電波塔が立てられていた。
物語はゆっくり進むんだけど、中味が濃くて詰まっている。
ひさびさに浪川大輔の声を、いい声だと思った。

水の表現がすごく美しい。
海に浮かんだ花輪や、海の表現は実写かと思うくらい。
「帰ってくれ!」とギルベルトに拒否された時、玄関の石畳に降る雨の跳ね返りがすごく綺麗だった。
海のシーンとか、数秒しかないけど、波もCGだけど美しく動いている。実写に近づきすぎていると思う時も…












ネタバレのあらすじ


















馬車の轍のような跡がある夜道を時計の音と共に進むカメラ、そして「Sincerely」の文字。
遠くにアンの家が見え、だんだん近づいて行く。
しかし、そこにいたのはアンではなく、アンの孫デイジー。どうやらアンのお葬式が終わったらしい。時計の音は「時が進んでいる」ことを表現しているのだろうか?
デイジーが窓から外を眺めるが、向かって左手は住宅街となっており、時が経っているのを感じさせる。

「急だったわね」とデイジーの母(=アンの娘)が言うが、デイジーは暖炉の上に飾られた写真を見て「おばあちゃん、もっとお母さんに会いたいと思っていたと思う。おばあちゃん、こんなにお母さんのこと…」と言う。このとき映ったお母さんと子供の写真は、会話からアンとその娘のはずだけど、どう見ても幼いアンとその母のようにも見える。
アンと、デイジーとデイジーの母親が映った写真もあったけど、デイジーだけ少し離れてつまらなそうというか、ばつの悪そうな表情なので、こうは言っているが実際にそれほどおばあちゃん子だったわけではなさそうだ。
暖炉の写真の後ろに箱が置いてあり、その中にヴァイオレットが代筆した手紙を見つけるアン。
アンはヴァイオレットより年下なので、ヴァイオレットが生きているとしたらかなりのおばあちゃん、ということになるのか…

デイジーの父親が、タイプライターと「自動式人形」とドールの話を説明してくれる。電話も普及してきたので、ドールはもういないだろう、とも。
その手紙はアンの母親が自分が亡くなった後に毎年誕生日にアンに届けて欲しい、と生前に「自動式人形」に書いてもらったもので、おばあちゃんはとても大切にしていた、と説明される。
トゲのあるようなデイジーの反応に、困ったような様子の両親。

「患者さんが待っている」と言っていたので、デイジーの両親は医師のようだ。仕事に戻ろうとする両親に窓の外を眺めながらデイジーは両親に言う。
「私はここに残る。お葬式が終わってすぐに誰もいなくなったら、おばあちゃん寂しいと思う」
両親が「仕事が終わったら戻ってくるから」と言って帰って行った後、デイジーはサンルームで両親に冷たいことを言ってしまったことを後悔する。
ヴァイオレットが書いた手紙を読んだデイジーは、「ひいおばあちゃん、おばあちゃんのことこんなに心配だったんだ」と涙を流す。そして一緒に入っていたヴァイオレットの新聞の切り抜きをみつける。
この手紙、おそらく最初に届けられたと思われる手紙は何度も何度も読み返したようで、涙?のシミがあったり、かなり痛んでいる。20歳の時の手紙は、それほど紙は痛んでない。
デイジーの声優は、アンと同じ諸星すみれ、というところもグッとくる。
アンへの手紙のカットはTVシリーズのものを使用しているようだが、やっぱり劇場用に作られたものとはなんとなく違うのだった。

デイジーの説明によると、ヴァイオレットは18歳でC.H.郵便社をやめ、その後どうなったのかはわからないようだ。
手紙の1枚が空高く舞い上がり、ライデンの街へと飛んで行く。
ライデンはお祭りで、船上で今年の海の女神役へ「海への賛歌」を捧げるバイオレット。
式典が終わり市長やみんなに褒められても「海にはたくさんの生物が住んでいることを学んだが、人格があるわけではないので、讃えるのに苦労した」とまじめな受け答えをするヴァイオレット。
市長に「公開恋文が素敵だったから評価し推薦した。軍人としても国を救った」と言われても「多くの人が戦い、また多くの人が死にました。私は讃えられるべき存在ではありません」と、一見融通がきかず相変わらずの感じなのだが、「多くの人の命を奪った」ことで「私は生きていていいのでしょうか」と自問していたことを思うと「国を救った」と称えられるのは苦しいことなのではないかと思う。
広い海を背に小さく描かれているヴァイオレットは、なんだか苦しそうに見えた。

カトレアの衣装は、胸元があまり開いてないものになっていた。
右胸の下にホクロがあるのだが、これって必要?といつも思う。

エリカもお祭りに来ていたが、郵便社をやめてオスカー・ウェブスターの弟子になっていた。
カトレアが「一緒にお祭りを見て回ろう」と誘うが、エリカは来月、公民会で小さな芝居をやるのでその稽古がある、と断る。「劇作家になりたい」という夢を叶えつつあるエリカを見てホッジンズが「強く願うと思いは叶うものなんだ」と言うが、ヴァイオレットは「強く願っても叶わない想いは、どうすれば良いのでしょうか」と口にする。
そうだよね…

一人部屋で代筆の仕事をするヴァイオレット。
TVシリーズではヴァイオレットの方を向いて机に置かれていた犬のぬいぐるみは、窓の外に向けて置かれていた。
義手のメンテナンスをするが、腕を失ったインテンスの戦いでのギルベルトの最後の言葉を思い出す。
「私を置いて…逃げろ…」
「絶対…絶対少佐を死なせません!」
「やめろ…もうやめてくれ!生きるんだ…ヴァイオレット…君は…生きて…自由になりなさい。──心から…愛してる」
このシーン、血にまみれた少佐の左足が映るのだが、これにはどんな意味があるんだろう、といつも思うのだった。

ヴァイオレットは日々少佐に手紙を書くようになったらしい。
『何をしても、あなたの思い出につながってしまう。時が遠ざかってもあなたと過ごした日々は、鮮やかに蘇ります。私に初めて”愛してる”その言葉を与えてくださった。いつかこの手紙が届くことを願って。願いが叶うことを祈って』

郵便社に代筆の依頼の電話が来るが、指名は電話を取ったアイリスではなくヴァイオレットだったため、一気に不満げな声色になるアイリス。
カトレアに「表情は声に出るのよ」とたしなめられる。
1日の業務が終わり、郵便社の門が閉められるが、この門がものすごく重そうで、開閉が重厚な音になっていた。前もこんなだった?ヴァイオレットの義手のパワーなら、簡単に開けられるのか?

明日は休日だが、カトレアは出張、アイリスは市長のパーティで新規顧客の開拓をして来るという。
ホッジンズはアイリスに、「電話が普及したらいずれ手紙は廃れる、だから今のうちに儲けて置かないと、社長には危機感がないのか」と言われる。
電波塔(エッフェル塔みたいな塔が建設途中であった)が完成したら、電話はもっと普及する、というアイリスにカトレアが答える。
「そうね、いろんなことが変わって行って、この郵便社も変わっていくわ。いずれはドールも古式ゆかしき職業になるのかもしれないわね。そして廃れて無くなってしまうかも」
アイリスと一緒にパーティーに行くのかと聞かれて、ヴァイオレットは「用事がある」と答える。

翌日、ホッジンズは、ベネディクトを相手に最近始めたというテニスをするが、「女の子が相手じゃないと手加減する気になれない」というベネディクトに打ち込まれる。「休日に行くところろって、どこだろう」とヴァイオレットを心配するホッジンズを見て「過保護だな」とつぶやくベネディクト。

ヴァイオレットは墓前にブーゲンビリアの花を供えていた。
毎月、亡くなったギルベルトの母親の月命日に花を供えていたが、親族には会わないよう配慮して前日に訪れていたのだが、そこへディートフリート大佐がやってくる。
「毎月、月命日に花を供えてくれていたのはお前だったのか…」
ディートフリートは少し驚いたように言うが、この口調で「ご迷惑、だったでしょうか」と尋ねるヴァイオレット。
「せっかくの休みなのにわざわざこんなところへ来なくても…あいつの代わりに、か」
ヴァイオレットはギルベルトの代わりではなく、自分自身の意思で来ている、と答える。
「戦争が終わって、何年も経っている。お前だってわかっているだろう。ギルベルトのことはもう忘れろ」
「忘れる、は、難しいです。生きている限り、忘れることはできません」

ヴァイオレットが立ち去った後、大佐は髪に留めていたリボンが落ちていることに気づくが、すでにヴァイオレットの姿はなかった。
「忘れるは難しい、か…」
ヴァイオレットも大佐の「忘れろ」という言葉が胸に刺さったようで、戻る電車で「もう、二度と会えなくても…」と考える。

「ヴァイオレット…」
どこかの家の庭先のようなところで、プランターの紫の花を眺めている後ろ姿の男性がつぶやく。右腕はなかった。
「違うよ。それはパンジー、っていうんだ」
子供が答えると、「そうか…良く知ってるね」
一瞬映る瞳がブローチと同じ色、そして声がギルベルトだ。

ヴァイオレットは郵便社に帰ってくるが、手が震えて鍵穴に鍵がうまくささらない。
部屋に戻り、窓に映る姿を見て、リボンが片方なくなっていることに気づく。
そこへ電話がかかって来た。
「ドールの人っている?仕事を頼みたいんだけど。僕のところに来てくれる?」
「弊社は本日休業日です」
子供のような声だったため、ずいぶん若いようですが、とヴァイオレットが聞くと
「手紙を書くのに年齢が関係あるわけ?どこにでもくるっていうのは嘘なのかよ」
「いえ、嘘ではありません」

依頼主を尋ねるとそこは病院で、10歳くらいの少年だった。
「本当に来たんだ…」
両親がお見舞いにやって来たので「隠れて!」とヴァイオレットに指示する少年。
両親と幼い弟が入ってくる。
「気分はどうだ?」「大丈夫?」と声をかける両親に「毎日同じことを聞かないでよ。大丈夫じゃなきゃ、こんなところにいない」と言って布団を被る。
弟が「絵本読んであげる」と言うが「絵本なんか読むかよ」と言われ涙目に。
「そういえばね、リュカがお見舞いに来たいって」
「お前に会いたいそうだ」
「会わない」
後ずさった弟が、ベットの下から飛び出ているヴァイオレットのカバンを見つける。「これは?」
「隣の人の、ちょっと預かっているっていうか…勝手に触んな!」
怒られて弟が泣き出したため、両親は散歩してくる、また後で来る、といって病室を出て行った。布団をかぶったままで、小さく「ごめん…」とつぶやく少年。

ベッドの下から出て来たヴァイオレットは、隠れていなくてはならなかった理由を教えてくれ、と尋ねる。
少年はユリスと言った。
「父さんと母さんには内緒で書きたいんだ。俺がいなくなったあと、3人宛に渡したいんだ。だから書き終わった後、しばらく預かっていてもらいたいんだ」
そういうのはできるのか、と聞かれ、50年間、毎年手紙が届くようにという依頼を受けたことがあるので問題ない、というヴァイオレット。
支払いはクッキーの缶の中にお金を貯めてある、というので開けてみると、3通だと1通20文字くらいになる、と言われてしまった。
「母さんや父さんが読んだら元気になる、そんな手紙にしたい」
この発想というか、気持ち?心遣い?がいいなぁ、と思った。

先ほどのは一般料金で、お子様割引があるから、この缶のお金で手紙は書ける、有事における特別規定”エマージェンシー・プロミッション”を設けてある、とカバンから書類をだしてみせるヴァイオレット。
ここは笑うところなのだろうか?

「意味はわかんないけど、なんか、イカすな」
ユリスは親指を立ててみせる。
タイプライターを取り出し、手袋を外す。
「その手…」
「戦争で失いました。数年前は私も入院しておりました。義手を使いこなすまで少々時間がかかりましたが、今ではこのような動作もできます」
ユリスの真似をして親指を立ててみせるヴァイオレット。
「あんたなんか面白いな。いつも『大丈夫』とか『早く休みなさい』とかいう両親や看護婦とは一味違うな。心配とか、同情とか、過保護?とにかく、そういうのはもううんざりなんだ」と言われて「了解しました。そういうのは、なるべく感情から排除します」と答えるヴァイオレット。

「手紙書いて。お父さんに。ライデンシャフトリヒって国に戦争で行ったけど、まだ帰って来ないの。私もお母さんも元気だって知らせたいの」
遠くの村では聞き覚えのある声の男が、子供にそう頼まれていた。

ホッジンズとベネディクトは、ヴァイオレットを誘って食事をしよう、と通りで話していると、そこへディートフリートがやって来た。
「ホッジンズ中佐」と呼びかけて「今は社長だったな。戦争が終わって何年も経っているってことを失念してしまう」
ポケットに入れていた手を出そうとすると、そこへやってきたヴァイオレットがまるでポケットに武器でも隠し持っていたかのようにその手を掴んだ。
「ヴァイオレット!」
大佐の声で我に帰り「申し訳ございません」と言うヴァイオレットに、「いや、いいんだ。これを」と、リボンを手渡す。
本能的な行動を取ってしまうほど、心ここに在らずで歩いていたってことだ。
ホッジンズは、ヴァイオレットの休日の用事が、ギルベルトの母親の墓参りだったことを知る。
「食事に行こう」と立ち去ろうとする3人。大佐はヴァイオレットを呼び止め、「今度所有していた船を処分する。あいつも子供の頃に良く乗っていて、中に弟が読んでいた本やおもちゃなどがある。もし、よければ取りに来い」と言うと、「いただいてもいいのですか?伺います!」とはにかんだ嬉しそうな表情で詰め寄るヴァイオレット。
その勢いに押されて「がらくた…ばかりだぞ」と言うが「伺います!船を停泊させていたところまで伺います!」とさらにヴァイオレットに詰め寄られた。
ギルベルトのこととなると、人が変わったようになるのは相変わらずだった。

ヴァイオレットがライデンシャフトリヒに来て初めて食事をしたレストランで食事をする3人。
「毎月墓参りに行ってたなんで、知らなかったよ」とホッジンズに言われ「報告すべきでしたでしょうか」と聞くが、「プライベートは報告しなくていいんだよ」とベネディクトに言われる。それでも、ヴァイオレットは船に行くときは報告すると言った。

「一緒に行こうか?」というホッジンズに「大丈夫です。心配とか、同情は可能な限り社長の中からは排除していただいて構いません」と答えるヴァイオレット。
初めて食事した時はナイフで魚を切るに苦労していたヴァイオレットが、今は優雅にナイフとフォークで食事をするようになっていた。

ホッジンズはカトレアにも「心配しすぎ」と言われるが、カトレアはディートフリート大佐はギルベルトの思い出を共有できる存在なので、案外いい相手かもしれない、と言う。
「お互い傷を舐め合えと言うのか」
「かつてはヴァイオレットを武器として扱っていたとしても、今は違う。ヴァイオレットは今も少佐への思いを抱えていて、その思いに押しつぶされてしまうのではないか、でも大佐なら私たちには与えられない慰めを与えられるのでは」とカトレアは言う。

ホッジンズは「将来子供ができたら、息子がいい。女の子は神経がもたない…」とつぶやいた。

船でディートフリート大佐は、ヴァイオレットに思い出話をする。
「幸福な王子」の本と、プラレールのようなおもちゃでよく遊んでいた、と言う話を聞き、「これも少佐の…?」と手に取った帽子は「いや、それは俺の…」とすまなそうに言われ「失礼しました」とそっけなくテーブルに置くヴァイオレット。
ほんとにギルベルトにだけ、態度が違うんだよね。
「そんなにかしこまらなくていい。子供の頃よく、父親に連れられた一緒に海に出ていた。父親は陸軍だったがなぜか海が好きで、親父から継いだのはそこだけだ」という話をしながら、子供の頃を思い出すディートフリート。

ブーゲンビリアの花の生垣に沿って歩く父親、その後ろに10歳くらいのギルベルトが歩いている。暑そうだったので、被っていた帽子(船に置いて合ったのと同じ帽子)を被せてやるディートフリート。
生垣のむこうで、陸軍の兵士たちが訓練をしていた。
それを「うちの花だ」と指し示すが、「見せたいのは花ではなくあの兵士たちだろう。お前たちに俺のようになれ、と軍人として生きろと言うためだろう!」と逆らうディートフリート。
胸ぐらを掴んで殴ろうとした父親に「やめて!兄さんを殴らないで!僕がとうさんのようになるから!」ディートフリートは足が宙に浮いていた。

自分のせいでギルベルトの生き方を決めてしまったのに、鼻持ちならない態度しかとれなかった、と話すディートフリートに、ヴァイオレットが答える。
「自分には兄弟がいないのでよくわからないが、近い存在だからこそ複雑な感情を抱く、ということは少し理解できます」
驚いたように「お前にわかるのか、人の気持ちが…いや、皮肉で言ったんじゃない」と言うディートフリート。その問いかけは無視されて、嬉しそうに「この本もゲーム版も、いただいてよろしいのですか」と言うヴァイオレット。ディートフリートはその顔を見て、なんとも言えない表情をする。微笑ましく見ているような表情でもあるのだが、もともと自分の”持ち物”であったヴァイオレットが、接し方の違いでギルベルトをこんなに慕っている。そのことが少し羨ましいというか、自分にはできなかったことだと感じているようにも見えた。

甲板へ上がって来た時に波が当たって船が揺れ、ディートフリートがヴァイオレットの腕を支えるが、ヴァイオレットは持っていた本とプラレールの箱の上に乗せていた兵隊のコマの無事をまず確かめてから大佐に礼を言った。
その様子を見て「お互い、無くしたものは大きいな」というディートフリート。
「この間は悪かった。二度と会えない、忘れろ…などと。俺だって忘れることはできない。あいつは俺の弟だからな。また会えたら、謝りたい。それから、話したい」
「はい」

ユリスの病室で手紙を書くヴァイオレット。
「弟は5歳だから字も読めないし、なんて書いたらいいだろう…」というユリスに「生まれた時の気持ちなどを伝えてみてはどうでしょう」と助言するヴァイオレット。
「生まれた時は嬉しかったな…でも」
「だんだん、ご両親を取られるような気持ちになりましたか?弟さんの方が褒められると、おもしろくなかったり。でも、後を追いかけてくると可愛かった」
「なんでわかるのさ」
「すべて、聞いた話です」
この時にディートフリートに返してもらった髪に結んだリボンが映る。
船で大佐と「兄弟とはどのようなものか」と言う話をあれ以上したとは思えないので、あの話だけでこの気持ちを推察したと言うことになるのだが、洞察力というのか、すごすぎる。
「じゃあ、最後にこう付け加えて。俺の分もお父さんとお母さんと仲良くな」
それを「俺の分も、お父さんとお母さんにたくさん甘えて」と直すヴァイオレット。「つい、本心ではない言葉を投げかけてしまっているとお見受けしましたので」
「なんでもわかるんだね」
「多くの手紙を書いてきましたので、言葉にも態度にも表と裏があって、目に見えるものが本心ではない、とわかってきました。でも、本当の気持ちは伝えなければわからない時も多いです」

「では、こちらでよろしいでしょうか」テーブルには封をした3通の手紙が並んでいた。
「3通の手紙、大切に預からせていただきます」
「みんなには、俺が天国に行ったその日に渡して。病院には郵便局に知らせてくれるよう頼んで置くから」
表情は変わらないが、机の下で膝に置いた手がぎゅっと握られる。
なんでもないカットなのだが、ヴァイオレットの心情がすごく現れていると思った。
「…ねぇ、指切りはできる?小指と小指を絡ませて、絶対に約束を破らないと誓うんだ」
指切りをする二人。
「冷たい指だな、手袋をしていてもわかる。冬が来る前に僕もきっと冷たくなっちゃうんだ」
「それでも、手紙はご両親と弟さんの心を温めると思います。ちゃんと、お手紙はお渡しします」
立ち上がる時に一瞬だが、涙を拭う動作をするヴァイオレット。
帰ろうとしたヴァイオレットを、「もう1つ書きたい手紙がある」と引き止めるユリス。
「リュカ様ですか?伝えたいことがあるなら、できる間に伝えた方がいいと思います。私は全てを聞くことも、伝えることもできませんでしたが」
「その人?」
「私に”愛してる”をくれた人です」
「その人、死んじゃったの?」
「私はどこかで生きていらっしゃると信じてます」
「何を伝えたかったの?」
「”愛してる”を、少しはわかると」
「伝えるだけ?」と意外そうに聞くユリスに困ったような、どうしたらいいかわからないような顔をするヴァイオレット。
リュカがお見舞いに来たい、といったのを断ったのは、一緒に小さい頃から遊んでいたのに、病気で細くなってしまった手足を見せたくなかったからだ、と言うユリスに「その気持ちを手紙にします。お代は(いりません)」と親指を立てて見せるとユリスは笑って「あんたやっぱり面白いね」と言うが、急に苦しみ出したため、看護師を呼び手紙は次回にすることになった。
ヴァイオレットが病院の門のところに来ると、そこにはリュカがいたが、窓からヴァイオレットの姿を見たんだろう、ヴァイオレットを見て慌てて帰っていった。

ホッジンズはベネディクトからローランドから引き継いだ不明の荷物の処分について相談される。
「こんなに頑張ってるんだから、副社長くらいにしてくれてもいいのに」というベネディクトに「帳簿が読めない奴は副社長にできない。簿記の学校くらい通え」と言われ、「出世の道が見えた」と喜ぶベネディクト。
不明の郵便物の中に、宛先不明で送り返された手紙があり、差出人の住所はエカルテ島となっていた。その手紙の字を見たホッジンズは、ディートフリート大佐の元へ手紙を持っていく。

ディートフリートは「ヴァイオレットの件できたのか?船には来たが、社長が心配するから、とすぐ帰ったぞ」と言われ「行く時はちゃんと報告すると言っていたのに」と言うホッジンズに「あんたはヴァイオレットの保護者じゃない。彼女を縛り付ける権利はない」と言われてしまう。
「貴様が言うな!」とホッジンズが大佐の胸ぐらを掴んだため、控えていた部下の軍人が銃を構えようとするのを手で制する。
「すまん。俺が悪かった。こういう言い方しかできないのが問題なのだ」と謝る。
分かっているなら直せばいいのに…

手紙を見せるとディートフリートも「これは…!」と表情を変える。
「調べてみてもらえるか」
筆跡を見てギルベルトの書いたものだ、とわかったわけだが、ギルベルトって、左利きだったっけ?
と思ったら、TVシリーズではそういったシーンはないようだが、ヴァイオレットに字を教えている時に、答案の採点を左手でペンを持ってチェックしていたので、左利きだった。
右腕はいつ失われたんだろう…
目を撃たれた後は、ヴァイオレットが右腕を肩にかけて支えながらギルベルトを回廊まで連れて行っている。
落ちる腕のシーンは、ヴァイオレットの右腕だし…

夜、ヴァイオレットの部屋を訪ねるホッジンズ。
ヴァイオレットはベッドに座って、もらった「幸福の王子」の本を読んでいた。この本はヴァイオレットも勉強の一環としてギルベルトから与えられて読んでいたようだ。
言いにくそうに「まだ確認したわけじゃない。もしかしたら、違うかもしれない」と口を開こうとすると
「少佐…ですか?…何かわかったのですか?」

翌朝、仲間のドール達に「人違いかもしれないが、これから行って来る」というホッジンズ。
ヴァイオレットはいざ少佐に会えるとなって、いろいろなことが心配になって来る。
「お会いして大丈夫でしょうか?何かおかしなところはないでしょうか?かなり年月が経ってしまいましたが、少佐は私のことがお分かりになるでしょうか?お目にかかったら何を申し上げたらいいでしょうか?現在の状況の報告でしょうか?気持ちでしょうか?…うまく伝えられるでしょうか?…気持ち悪いでしょうか…?」
遂に会えるとなって混乱するヴァイオレットに、「目的地に着くまでに手紙を書いてみたら?」とアドバイスするカトレア。

デイジーの両親が仕事を終えてアンの住んでいた家に戻ってくると、デイジーはおらず、置き手紙が置いてあった。
「しばらくのあいだ、ライデンに行って来ます」
ライデンの街にはエッフェル塔のような電波塔が完成していた。
C.H.郵便社は博物館になっており、係員は昔受付をしていた、という老婦人で当時の制服を来ていた。ショートカットとロングヘアーのどっちの子だろう?と思ったら、くるくるロングヘアーの子だった。
館内を見て回るデイジー。みんなで撮影した写真も飾ってある。
ある切手に目を留めたデイジーは、老婦人に訪ねる。
「あの、この切手は…」
「これはね、エカルテ島だけで発行されている切手なんですよ」

めぐみの海よ 全ての世界に繋がる海
カモメは舞う あなたの空を
魚は泳ぐ あなたの中を
貝は潜む あなたの底に
あなたは光を与う
あなたは命を育む
あなたは愛を注ぐ
あなたは寄り添い続ける
果てるまで
今も過去も未来も包み
たゆたうあなたに身を委ねる

エカルテ島の崖の上で朗読する女性。皆花輪を海へ投げる。
この海の表現がすごく美しい。
そして、初めて見た時はこの詩を漫然を聞いてしまうのだが、冒頭で読み上げられていた詩だとわかり、2回目以降は意味を考えつつ一生懸命聞くことになるのだった。

島の女性が片手のない男に語りかける。
「本当は海へ感謝を捧げる儀式なんだけど、今は帰ってこない人を弔う場になってしまったわ」
男達はみな戦争へ行き誰も帰ってこなかった、島に残ったのは年寄りと女子供ばかり、海でなく戦場で死ぬなどご先祖さまに申し訳が立たない、と老人も言った。
子供が男に話しかける。
「父ちゃん達、ライデンの兵士に殺されちゃったんだよね。ライデンの人なんかみんな死んじゃえばいいのに」
その言葉を聞いてギルベルトはなんと思ったのか…
「さっきの朗読はライデンの感謝祭で捧げられたものなのよ。有名なドールが書いたものなんですって。うーんと、ヴァイオレット・エヴァーガーデンっていう…」
その名前を聞いた時、男の表情が変わった。

この男は確かにギルベルト、生きていたのになぜ連絡してこなかった?
よくあるのは「記憶を失っていた」だが、ヴァイオレットの名前に反応したので、記憶喪失ではなさそうだ。
「ご飯にしましょう」という声で、みな去っていくが、引き取った頃のヴァイオレットと同じくらいの歳の女の子が「先生、だーいすき」と抱きついて来る。ためらうように手を引かれて歩き出すギルベルト。

ヴァイオレットは汽車の中で自分の心を鎮めるように、ギルベルトへの手紙をタイプで打っていた。
『少佐、本当にお久しぶりです。お目にかかれない間も、毎日、毎日、少佐のことを考えておりました。そして祈りが通じて、願いが叶って、いつか、お会いできたら』
汽船に乗り換えエカルト島へ。船に寄せる波が美しく描かれている。手紙を風に飛ばしてしまうヴァイオレット。

島に着いた時、天気は曇り。しかも不安げな曇りで、ヴァイオレットの心のようだった。BGMもはやる心と不安を掻き立てるようなメロディーでうまいなぁと思った。
トラックの荷台に乗り、ギルベルトがいると言う孤児院?へたどり着く。今にも降り出ししてきそうだ。
入り口でホッジンズはここで待っているようにヴァイオレットに言うが、ヴァイオレットは一緒に行く、と言い張る。
「君が構わなくても、あいつはどうか…ここでは本当の名は名乗っていないらしい。小さな島だ。あまり噂は立てたくないだろう。…待っててくれるね」
やさしく諭すように言うと「待ちます。少佐にお目にかかれるのでしたら、いつまでも待ちます」と思い詰めたように答えた。
初めて来るところだから、少し周りを見てきては、というホッジンズに「了解しました」と答えるヴァイオレットだが、この答えが尋常の心持ちではないことを物語っている。

ホッジンズが敷地へ入って行くと、子供達が出て来る。死んだカマキリを見せられて脅かされたホッジンズは「男の子も神経が持たない…」とつぶやく。
子供達が門のところへ来て、ヴァイオレットを見つける。カマキリを見せて脅かそうとしたが、ヴァイオレットは驚きもせず「カマキリですか。前足が一本ありません」と言う。
「ジルベール先生と同じなんだ」と子供が言うとはっとしたように
「その先生は右目も」
「よく知ってるね」
「その先生は、皆さんの先生なのですよね?先生は、…お元気ですか?」
「うん。右手がないけど、左手だけで鉄棒できるんだ」
道路に正座して「もっと、もっと教えてもらってもいいですか、先生のこと」と子供達に聞くヴァイオレット。

ホッジンズは、ギルベルトの居場所を聞き、扉をノックする。
「誰だ」
ギルベルトの声だ…!
「入っていいよ」
扉をあけて入ると、向こうを向いている男が「何かわからないことがあったら…」と言いながら振り向き、驚く。
「まさかと思ったが、よく生きて…ギルベルト…」
壁の方に向き直り、「ここではジルベールと名乗っている」と答えるギルベルト。
なぜここがわかったのか、と聞かれ、代筆した子供の手紙が宛先不明で戻ってきて、偶然その手紙を見てわかった、と説明する。
あの戦いの後、病院で目覚めたが認識票がなかったため、修道会の病院へ送られたと言う。病院の仕事をしばらく手伝い、あちこちを回って1年前にここへきたとも。
「ヴァイオレットちゃんが生きていることは知っていたのか。だったらなぜ、会いにきてやらなかったんだ!ヴァイオレットちゃんは、ずっとお前を待って…!」
「私があの子を不幸にしたんだ!私は、そばにいないほうがいいんだ」
「来てるんだ。彼女も。今外で待たせてる。どれだけ、お前に会いたがっていたか」
「…会えない」ギルベルトの背中が震える。
「会えない。もう二度と。ギルベルトは死んだんだ。みんなそう思っていてそして年月とともにその死を受け入れたはずだ。違う人生を生きさせてくれ」
「ギルベルト!」という声を遮るように「今、ブドウの収穫時期なんだ。これからその手伝いをする。この島の男は皆、戦争に行って誰も帰ってこなかったらしい。ホッジンズ、頼む、帰ってくれ…!」
また改める、と行って出ていくホッジンズ。

ギルベルトは戦闘中のことを思い出す。
「君は、私のことを憎んでいるか」
「質問の意図がわかりません。何か、失敗をしたでしょうか?悪いところがあれば直します。なんなりと、おっしゃってください」
「違う。悪いのは俺だ。君は道具ではないと言いながら、私は君を、使って…!」
「使うのは当然です!私は武器です!」はっとなるギルベルト。
「戦況はこちらが不利のようです。次はどうしますか?少佐、命令をください!」

戻って来たホッジンズに「少佐でした!やはり、少佐でした!子供達から話を聞いて…」と目を輝かせながら駆け寄るヴァイオレット。
「腕と目を負傷した以外は、無事なのですよね?お目にかかれるのですよね!?」
「ああ…でも、君には会えない、と…」
「まだ、任務中でいらっしゃいますか?でしたら、終わるまでお待ちします!」
「そうじゃない!」
「では、では、明日…」
「そうだな…明日、また俺があいつに会って話してみる。あいつは、絶対に君に会わなくちゃならない」
「それは…推察すると…少佐は会えないのではなく、会いたくない、とおっしゃっていると…」後ずさるヴァイオレット。
「どうしてですか…?」
「うまく言えないけど…その方がお互いいい、と…」
「よくありません。私は!私は…!」少佐を捜しに駆け出すヴァイオレット。

「それができたら、上まで楽に運べるわね」
葡萄畑で小さなロープウェーを整備するギルベルト。
「本当に助かるのう」と老人が言い、沖の方を見て「こりゃ、強い雨になるのう」と言った。
少佐を探すヴァイオレット。
あちこちの家の扉を空けて探すが、勝手に開けていいのか??
「…見つけたよ」
ホッジンズがギルベルトのいる家へヴァイオレットを連れて行く。
火を起こし、鉄の鍋で湯を沸かしているギルベルト。
扉を叩きドア越しに「少佐…少佐!」と語りかけるヴァイオレット。
雨が降り出した。
「申し訳ございません。自宅まで…少佐、生きていらっしゃるのなら、どうして連絡をくださらななかったのですか?どうして会ってくれなかったのですか?私は少佐に会いたいです。会って最後にした話の続きがしたいです。愛してる、を、少しはわかるようになったのです…!」
「…帰ってくれ」絞り出すようにギルベルトが言った。
「帰ってくれ」
「待ちます。少佐にお目にかかれるまで、ここで待ちます」
「今の君に私は必要ない。それに、君がいると私は思い出してしまう。幼い君を戦場に駆り出したこと。君が私の命令を聞いて、両腕を失って…」
「少佐は後悔しているのですね。私の存在が、私が少佐を苦しめているのですね。今の私は、少佐の気持ちが理解できるのです。全てではないかもしれませんが、少しはわかるのです…」
玄関の石畳に降る雨の跳ね返りがすごく綺麗だった。
そしてヴァイオレットの横顔の、口元がワナワナと震える感じが、感情が揺さぶられた時ってこう言う表情だよね…と思った。
走り去るヴァイオレット、荷物を持って追いかけようとするホッジンズは、扉に向かって「大馬鹿野郎…!」と叫ぶ。
この叫びは悲痛で子安武人でこんな声はあまり聞いたことない、と思う名演だった。

坂道を走り、途中で泥の中に転ぶヴァイオレット。このシーンはかなり引いたレイアウトだが、最初aスタで見たときは左手から走ってくるヴァイオレットが発見できず、「どこ?」と思ったのだがCスタで見たときはものすごくはっきり明るかったので、こんなに差があるものなのか?と思った。2回目にaで見たときは見えたんだけど…

この島には宿もなく、郵便局の灯台に泊めてもらうヴァイオレットとホッジンズ。
虚ろな瞳で放心しているヴァイオレットだったが、ギルベルトのことを思い出す。
「そうか…また、この花が咲く季節になったんだな」ヴァイオレットの花が咲いていたこと、「幸福の王子」の本を読み「うまくなった」と褒められたこと、戦場で「そばを離れるな」と手を握ってくれたこと…

「ヴァイオレット・エヴァーガーデンって、あの娘かい?」郵便局に電信が届く。
ユリスが危篤だと郵便局に連絡が来たと言うのだ。
「みんなには、俺が天国位行ったその日に渡して」という約束のために、ヴァイオレットはライデンに戻ると言うが、嵐になっており朝にならなければ船も出ない。
「ギルベルトに、会うんだろ?」
「会いたいです。会いたいです!…ですが、指切りをして約束をしたのです!それに、まだ1通、ご依頼の手紙が書けておりません」
「ライデンに戻るには3日はかかる」
「!」ヴァイオレットは何かを思いついたようだ。

ヴァイオレットの頼みで手紙を持ってアイリスとベネディクトが車で病院へ急ぐ。
アイリスを見てユリスが「ヴァイオレットは?」と聞くと「ヴァイオレットは遠くにいて、大切な人とやっと会えたの」とアイリスが答えると「愛してるを教えてくれた人?生きてたんだ…よかった」と苦しそうな息で答えた。
アイリスがリュカへの手紙はなんて書く?と聞くと、ユリスが苦しみだして手紙をかけるような状態ではなくなってしまった。
アイリスが受付で電話を病室へ持って来てもらうよう交渉し、ベネディクトはリュカを乗せて電話のある家へ駆け込み、出て来た執事の胸ぐらを掴んで頼みこんでいた。
市長さんの家かと思ったけど、住人は市長さんではなく、誰なんだろう?どこかのエピソードで出てきた人なのか?
リュカに電話を手渡し、繋いでもらうと電話からリュカの声が流れる。
「これ、どうすればいいの?…もしもし、ユリス?」
「お見舞いに来ないでって言って、ごめん」
「なんで謝るんだよ!会いたくないって言われて悲しかったけど、ユリスはその方がいいんだって思って…でも、我慢できなくて病院に行ったら、窓からユリスの顔ちょっと見えた」おそらく、ヴァイオレットが門のところで会った日のことだと思われる。
「全然怒ってなんかないよ。僕たち、ずっと友達だよ。これからもずーっと友達でいようね」
「うん。よかった。…ありがとう」
アイリスはここで静かに部屋を出て行く。
廊下で「あのいけ好かない器械も、やるわね」とつぶやくアイリスの襟には、良き自動手記人形の証であるブローチが光っていた。
「ユリス!」と呼びかける鳴き声が室内から聞こえ、中に入るアイリス。
動かないユリスの手。母親が泣き崩れる。

机に並べられた3通の手紙。母親が読む。
「お母さんの作るご飯、美味しかった。野菜ももうちょっと食べたらもっと喜んでもらえたかな。お父さん、キャンプも魚釣りも楽しかったよ。お父さんとお母さんの子供に生まれて来てよかった。大好きだよ。ユリス」
「シオン。怒ったり意地悪したりしてごめんね。でも、お前が生まれたときすっごく嬉しかった。僕をお兄ちゃんにしてくれてありがとう。僕の分もたくさん生きて、僕の分もお父さんお母さんを大切にして、いっぱい甘えて。僕の大切な弟へ。お兄ちゃんより」
シオンは嬉しそうにベッドにかけよって「うれしい」と語りかける。3〜4歳くらいだっと思うが、死んでしまったことは多分理解できてないんだろうな…

「手紙は渡せなかったけど、最後に電話でリュカくんと話せて、ちゃんと伝えられたそうだよ。ユリスくんは、君が大切な人と会えたこと、喜んでいたそうだ。」
届いた電信の内容をホッジンズが話す。
「朝になったら、もう一度あいつのところへ行こう。出て来なかったら、ドアをぶち破って、あいつをぶん殴ってでも…」
「いいえ。少佐を殴るのでしたら、私が」
義手をかちゃかちゃさせて言うので、えっと言う顔をするホッジンズ。
「冗談です。明日の便で戻ります。戻って手紙を書きます。仕事が溜まっておりますので」冷静な声でヴァイオレットは言った。
「少佐はご無事で生きておられました。もう二度と会えないかもしれないと思っていたのに、お声も聞けて、私は、もう…それだけで十分です」
急に帰ると言い出したヴァイオレットだが、ユリスの死でそう思ったんじゃないかと思った。
リュカはもうユリスには会えないけど、でも、少佐は生きている。

嵐が過ぎ去り、夜が明けて太陽が昇ってくる。
ヴァイオレットの心が晴れるように晴れ間が広がった。

夕方、葡萄畑ではロープウェイで収穫したブドウを運んでいた。
ロープウェイの下で滑車を回すギルベルト。
そこへやってくるヴァイオレットとホッジンズ。
着替えがあるわけではないので、ヴァイオレットの服の胸元には、昨日転んだ泥の跡がついていた。
子供が「この機械は先生が作ったんだよ!すごいでしょ?」と言うと「はい」と答える。
カバンから手紙を取り出し「これを、先生に渡してくださいますか」と手渡した。「わかった。絶対渡すね」
立ち上がり、向こうを向いて画面の奥へ歩いて行くヴァイオレット。
後ろ姿だが、何かを振り切ったような毅然とした後ろ姿で、後ろを振り返ることもせず、前に向かって歩いて行く。
下を見れば、そこにギルベルトはいるのに。

帰ると決意して、夕方まで島に滞在していたことになるのだが、この後の夕暮れと月明かりの演出のためなのか?
それとも、手紙を書くのに1日費やしたということなのか?
汽船は夕方の便しかないとか…でも、朝には船が出る、と郵便局の人は言っていたが…

ロープウェイの下で、老人がギルベルトに話しかける。
「あんただけが背負うことはない。この島から多くの人が戦いでいなくなったのは、わしらみんなのせいかも知れん。戦えば豊かになる。みんな、そう思っておった。みんな、ライデンシャフトリヒのやつらが憎いと思っとった。帰るところがあるなら、帰った方がいい」
「いえ、ここにいます。ずっと、ここに」穏やかな声で答えるギルベルト。
「わしらは助かるがの」そういって老人は立ち去った。

ギルベルトが夕焼けの海を見つめながらたたずんでいると「よう」という声がした。
見上げるとディートフリートが立っていた。驚くギルベルト。
「お前はこの島で、やっと自分の道を選ぶことができたのか?確かにいいところだがな。のうのうと生きていたくせに、おふくろの葬儀にも顔を出さなかった。俺と違ってお前は可愛がられていただろ」
「すまない」
「ま、お前の分もヴァイオレットがお袋を訪ね、今も毎月墓に参ってくれている」
表情を変えるギルベルト。
「いつか、また会うことがあったら謝ろうと思っていた。だが、今は麻袋に詰め込んでお前をヴァイオレットの前に放り出したい気分だ!」
「あの時、引き取るべきではなかった」
「じゃあ、ほんとはどうしたかったんだ」
「幼かった彼女がもっと楽しい時間を過ごせるように、可愛らしいものを慈しめるように。美しいものに心踊らせるように。そんな、時間を過ごさせてやりたかった。なのに…!」
ここで、ブローチを胸につけてあげた時の映像が回想として流れる。
「今まで言ったことがありませんでしたが…少佐の瞳は”美しい”です」とこの時ヴァイオレットは言っていた。
ヴァイオレットにとっては「少佐にブローチを買ってもらった思い出」だが、ギルベルトにはヴァイオレットは「美しい」と言う言葉自体と縁がなく、少女らしいことを何一つできない境遇に自分が置いてしまっている、ということを改めて認識させられた瞬間だ。
ギルベルトが言った「心から愛している」のこの愛の種類がよくわからなかった。ギルベルトはインテンスの戦いの頃はおそらく30歳前後くらいで、ヴァイオレットは13歳くらいだと思うが、年齢差から女としては見てないだろうし、親代わりの保護者というのもちょっと違うような気がする。
引き取ってエヴァーガーデン家に預けるなりして「少女兵」以外の生き方もさせられたはずなのに、ギルベルトはそうはせず、自分のそばに置いて一緒に行動させているということは「一緒にいたかった」ということなんだろう。「守りたい大切な人」という感じなんだろうか。

ホッジンズと一緒に船に乗るヴァイオレット。

ロープウェイで手紙が降りてくる。
その宛名を見てディートフリートが「お前宛の手紙だ。読めよ」と言う。

『親愛なるギルベルト少佐。
突然お邪魔したことをお許しください。
これが少佐に当てて書く最後の手紙です。
私が今、生きて誰かを思えるようになったのは、あなたのおかげです。
私を受け入れてくれてありがとうございました。
本を読んでくださったり、文字や、いろいろなことを教えてくださって、ありがとうございました。
ブローチを買ってくださって、ありがとうございました。
いつも、いつもそばに置いてくださって、ありがとうございました。
”愛してる”を、ありがとうございました。
少佐が愛していると言ってくださったことが、私の生きて行く道しるべとなりました。
そして、”愛してる”を知ったから、”愛してる”を伝えたいと思いました。
少佐、ありがとうございました。
今まで、本当にありがとうございました」

本当に、道しるべだよねぇ…毎週エンディングで聞いていたあの歌の通りだよ…と思っていたら、本当に流れて来た!

「みんな、簡単には素直になれないものだ」ディートフリートが言う。
「ブーゲンビリアの家は俺が継ぐ。お前は自由になれ」
手紙の最後の1文が映るが、読める文字ではないのでなんと書かれているかわからない。
「行けよ」
手紙を握りしめ走り出すギルベルト。
汽船は汽笛をあげて岸から離れて行く。
太陽が水平線に沈んだ。

ギルベルトが会いに行かなかったのは、ヴァイオレットが「自分のせいでヴァイオレットは本心が言えない、彼女が思うように生きられない」と思ったからであるが、ヴァイオレットはそのようなことは思っておらず本当に思っていたことを言っただけだったのだが、ギルベルトはそのヴァイオレットの言葉を信じておらず、自分のために嘘を言っていると思ってた、ということだ。
最初、手紙を読んでなぜ急にギルベルトがヴァイオレットに会おうと思ったのかがよくわからなかった。
しかし、読まれなかった最後の1文はエンドロールに出てくるタイトルと同じ「(私は少佐を)愛しています」じゃないかと思う。「Sincerely」と冒頭にあるので、「心から愛しています」なのかもしれない。そして大佐の言葉。
「お前は自由になれ」
ギルベルトがインテンスの戦いの時にヴァイオレットに言った言葉と同じだ。
「生きるんだ……ヴァイオレット。君は、生きて、自由になりなさい。──心から、愛してる」


-----------------------------------------------
※2021年10月13日 追記
手紙の最後の一文は
「私、少佐を愛しています」が正解でした。
-----------------------------------------------


ヴァイオレットは船の甲板から岸辺を眺めるが、伏し目がちでやはり少し後悔しているのだと思う。
転がりながら海岸へ向かって駆け下りて行くギルベルト。汽船はどんどん岸から離れて行く。
船に向かって「ヴァイオレット!」と叫ぶ声、すでに人影すら見えないほど遠く離れているにもかかわらず、「少佐…?」
ハッとした顔で舳先へ駆け出しためらわずに海に飛び込むヴァイオレット。
岸からは100メートル以上離れているし、聞こえるはずないと思ったけど、ヴァイオレットには聞こえたのか…
しかし、ホッジンズがこの時何て言ったのか、何回見ても聞き取れないのだった。

海から上がってくるヴァイオレット。義手は金属だから重いはずだが、溺れる様子もない。
ギルベルトが浜辺から近づいてくる。
「少佐…」
「ヴァイオレット。私はもう、君の主人でも上官でもない。私は君を傷つけた。私は君が思うような男じゃない。素晴らしい主人でも、立派な人間でもない。きっと、君にはふさわしくない…それでも、今でも、君を愛してる」
「私…」
「そばにいてほしい。ヴァイトレット」
「私…しょう…少佐…私…」腿を叩きながら泣きじゃくる。
「ヴァイオレット。泣くな。私もほら、泣きそうなんだ」
すでにギルベルトも泣いているのだが…ヴァイオレットは両手で顔を塞いでしまっていた。
「君の涙をぬぐいたい。お願いだ。顔を上げてくれ」
「私…少佐…」
顔を上げたヴァイオレットの口元が少しゆがんでいて、ワナワナと震え、鼻水も少し出てるのだが、こんな控えめじゃなく垂らすくらい描いたらよかったのに、と思った。美しくないけどさ…
ギルベルトがヴァイオレットに歩み寄り、肩を抱きかかえる。
「愛している。ヴァイオレット。ずっと、こうしたかった」
月が出て、波間が月明かりに照らされる。
この水面もすごく美しかった。

このギルベルトのセリフは、「そばにいてほしい」までは「よく言った!」と思うんだけど、そこから先がキザだなぁ…と思う。

映像がライデンに変わり、カトレア、ベネディクト、アイリス、ホッジンズの4人がエリカを訪ねていた。お芝居が幕を開けたようだ。つまり、あれから1ヶ月くらい経過している。
電波塔が完成し、花火が上がる。
電波塔から真横に上がり、上空にも何発も現代のような盛大な花火が上がった。
このシーンはセリフがなく、引きの映像で音楽が流れているだけ。
いつものようにホッジンズが横を向いて「ヴァイオレットちゃん」と話しかけようとするが、そこには誰もおらず…
その様子を見てベネディクトが何か(俺が副社長になってもっと儲けさせてやる、とかそんなことを言ったんじゃないかと思うが)を言い、いつものようにホッジンズが「バカ言うな」と言う感じで答えていた。
すでに、ヴァイオレットは郵便社をやめていたのだ。
1ヶ月前にお祭りだったのに、またお祭りとは考えにくく、なぜ花火が上がっているのかは説明がない。これは放火事件への鎮魂の花火だ、という意見があったが、やっぱりそうなんじゃないかと思う。ちょっとここだけ異質な感じがする。

デイジーが雪の中、汽船に乗ってエカルテ島へやって来た。
その後、ヴァイオレットは溜まっていた仕事を片付けたのち、郵便車をやめて島の郵便業務を引き継いだらしい。

かつて灯台にあった郵便局は街中へ移っていた、とデイジーが説明してくれる。
電話ができて、ドールという職業はなくなったが、彼女は島でたくさん手紙を代筆したんだろう。

デイジーがギルベルトがいた施設を訪ねると、出て来たのはあの時の子供が大きくなった?と思うような中年の男性だったが、ちょっと歳が合わない気がする。
郵便局で尋ねると、局員が説明してくれた。
「この切手はね、この島だけで発売されている、C.H.記念財団発行の切手なんですよ。この島は、一人が出す年間の手紙の数が一番多いんです。この島には昔みんなに慕われた人気のドールがいたんですよ。名前は…」
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン。私の祖母も、彼女に手紙を書いてもらったことがあるんです」
切手はヴァイオレットがかばんと日傘を持って歩く姿の絵柄だった。
親指を立てる仕草をし、説明してくれた郵便局員の胸に、良き自動手記人形の証であるブローチがつけられていた。
歳は40歳代くらい、ヴァイオレットの子供かと思ったが、髪は金髪に近いが瞳が茶色っぽいので、ヴァイオレットの子供ではないと思う。

デイジーは喫茶店で両親へ手紙を書く。
「言葉で言えなくても、素直な気持ちを手紙で伝えたい。伝えたいあの人は、今この時にしかいないから」
この書いている筆記用具が、今は見かけないような、透明の古いボールペンだった。
「パパ、ママ、ありがとう」
アンの家で手紙を受け取り、読んで涙するデイジーの両親。
デイジーが帰ってくるまで、ここで待ってるつもりなのかな?
映画冒頭に出て来た、馬車の轍がある道を歩いて行くヴァイオレット。

エンドロールの後に、窓辺に座って指切りをするヴァイオレットとギルベルト。
ホッジンズがくれた犬のぬいぐるみもちゃんとある。
この指切りの向きが、ユリスとヴァイオレットの指切りの時は右側で手の甲を見せているのがヴァイオレットだったのだが、ここではギルベルトがその位置で指切りをしている。


TVシリーズ最終話で、航空祭のホッジンズの手紙をカトレアが読み上げるシーン。
「パパから未来の娘へ。パパは君が生まれるのを待っているよ」
カトレアはここで表情が変わり、一瞬間があいて続きを読み上げているのだが、ここは映画への伏線になっているので、ヴァイオレットのことが書いてあったのかもしれない。とにかく、読まれていない1文があるように感じる。
「そして祈ってる。君がすくすく育つことを。幸せになることを。誰かを愛し、愛されることを。そして君や君の子供たちが生きる未来が争いのない幸せであふれる世界でありますように」

何回見るかによって評価が分かれそうだけど、4回見て円盤も買ってオーディオコメンタリーを聞きたい、と思う作品だった。

評価:2ac


イン・ザ・ハイツ

監督:ジョン・M・チュウ
脚本:キアラ・アレグリア・ヒュデス
原作:リン=マニュエル・ミランダ/キアラ・アレグリア・ヒュデス『イン・ザ・ハイツ』
音楽:リン・マニュエル=ミランダ
製作:リン・マニュエル=ミランダ/キアラ・アレグリア・ヒュデス/アンソニー・ブレグマン/マーラ・ジェイコブス/スコット・サンダース
製作総指揮:デヴィッド・ニックセイ

出演
ウスナビ・デ・ラ・ヴェガ:アンソニー・ラモス
バネッサ・モラレス:メリッサ・バレラ
ニーナ・ロザリオ:レスリー・グレイス/アリアナ・グリーンブラット(少女時代)/アリアナ・S・ゴメス(12歳)
ベニー:コーリー・ホーキンズ
アブエラ・クラウディア:オルガ・メレディス
ケヴィン・ロザリオ:ジミー・スミッツ(ニーナの父親)
ソニー・デ・ラ・ヴェガ:グレゴリー・ディアス4世
ダニエラ:ダフネ・ルービン=ヴェガ
カーラ:ステファニー・ベアトリス
クカ:ダーシャ・ポランコ
グラフィティ・ピート:ノア・カターラ
ピラグエロ:リン=マニュエル・ミランダ
アレハンドロ:マテオ・ゴメス
Gapo de la Vega:マーク・アンソニー
アイリス・デ・ラ・ヴェガ:オリヴィア・ペレス
ミスター・ソフティ:クリストファー・ジャクソン

マンハッタンのワシントンハイツ地区を舞台に、ドミニカ出身の若者が出世を夢見るミュージカル映画。

通りを占拠して大掛かりに歌うシーンは圧巻だった。
本当にずーっと歌っているのだが、曲の印象があまりの凝ってない。








ネタバレのあらすじ













主人公のウスナビはドミニカ出身で、物語は故郷のドミニカと思われるビーチのバーのようなところで、子供達にワシントン・ハイツでの出来事を語るところから始まる。
ウスナビは両親とアメリカに移住したが両親は亡くなり、両親が経営していたコンビニエンスストアを引き継いで従弟のソニーと一緒に営業していた。
ワシントン・ハイツはプエルトリコやドミニカからの移民が多いようで、皆ウスナビの店で朝のコーヒーを買い、くじを購入していた。
コンビニの壁にはドミニカの写真と小さな国旗が貼られ、ウスナビはいつの日かドミニカへ帰りたいと思っていた。地区の母親とみんなが慕っている高齢の女性アブエラと一緒に住んでいるようだ。

ウスナビはコーヒーを買いに来るバネッサのことが好きで、ソニーや友人のベニーに「デートに誘えよ」とけしかけられていたが、なかなか行動に移せない。
と、冒頭からここまでずっと歌いっぱなし。
特に交差点での何百人?もの歌って踊っての大合唱は圧巻だ。
歌い終わると何事もなかったかのように皆散っていくのは、どのミュージカル映画でも同じだけど。
普通に話すセリフがかなり少なく、歌っているシーンが多い。

バネッサはデザイナーになることを夢見てダニエラのヘアサロンでアルバイトをしていたが、デザイン学校のゴミ箱から捨てられた生地を持ってきたりしていた。ワシントン・ハイツを出てマンハッタンの中心に近いところに引っ越そうと不動産屋にコンタクトを取ったが、所得の証明書などを要求され目をつけた物件は借りられなかった。
ダニエラのサロンは2つ先の駅へ引っ越すことが決まり、「ワシントン・ハイツから出て行っちゃうんだ」と皆に言われたため「お得意様がみんなそっちへ行ってしまったからよ。地下鉄で2駅なんてすぐ、10分くらいよ」と言う。

ベニーはタクシー会社で配車係をしていたが、タクシー会社の社長の娘のニーナが戻って来る。彼女はワシントン・ハイツから地区外の大学(スタンフォード大学)へ行った唯一の人間であったため、地区の人たちの誇りであり憧れだった。
戻ってきたニーナは普通に振舞っていたが、アブエラに「どうしたんだい」と聞かれ、大学での人種差別で友達もできず、ひとりぼっちでつらい、大学はやめる、と言う。
アブエラは亡くなったニーナの母が縫った刺繍を見せ、誇りを持つことが大事だ、と話す。

昔語りをしている割には、現在であろうと思われる浜辺のウスナビと、回想であろうと思われるワシントン・ハイツのウスナビは、アゴにヒゲがあるかないかくらいの違いしかなく、年を取ってないように思われるのだが、いったいどういう時間軸なんだろう・・・。

ウスナビの名前は、アメリカにやってきた時に父親が軍艦を見て「強い子になってほしい」と舳先に書かれていた「U.S.Navy」からつけたものだった。
そして時折出る「停電◯日前」と言う表示。3日前から始まるのだが、停電時のインパクトはそれほどでもなかった…

ある暑い日、ウスナビの店で売ったくじから9万6000ドルの当たりが出た、と連絡が来る。
あまりの暑さにベニー、バネッサ、ニーナ、ダニエラの店の店員たちとプールに来ていたウスナビは、店番をしていたソニーからその話を聞き、みんなは「当たったら何に使うか?」を歌い「自分の買ったくじが当たりか?」とそれぞれのクジをみるが、当たりクジを持っていた人がいなかった。

ソニーは店にやって来たバネッサに「バネッサとデートしたいってやつがいる」と言うと「いいわよ」とあっさり承諾。待ち合わせの時間と場所を言われ、後ろで聞いていたウスナビは喜ぶ。
店の外ではピラグアというかき氷?を手押し車で売ってたが、チェーンのソフトクリーム屋がワゴン車でやってくるようになり、売り上げが下がってしまっていた。
このピラグア売りは、「イン・ザ・ハイツ」の原作者だそうだ。

タクシー会社の社長室でニーナは父親に「学費の振込が間に合わなかったから大学はやめた」と話す。
「まだ間に合う。大学と話す」という父親に「未払いもたまっているし、もう間に合わないの!大学と話しても無駄なの!」と、父親と口喧嘩になってニーナは出ていく。
父親のケヴィンが大学に電話をかけると、まだ締め切りは過ぎていない、と言われる。

ベニーがタクシー会社の社長室に行くと、ケヴィンが銀行員と話していた。
ベニーは社長室から出て行くように言われ、何かを感づいたようだった。
タクシー会社の敷地はすでに半分が売りに出され、クリーニング店に変わっていた。
クリーニング店でアブエラがニーナの母親が縫った刺繍をクリーニングに出そうとしたが、料金が高額だったため「考える」と行って帰る。

ウスナビは、両親の故郷へ帰ることを考えはじめ、ドミニカへ行った知人(会計士かもしれない)に、以前に両親が営んでいた店の様子を見て来てもらうよう、頼んでいた。
店はハリケーンに破壊されたのか、屋根が落ちめちゃくちゃの状態になっていた。
ウスナビはドミニカへ帰ってこの店を再建したい、と言う。
アブエラとソニーも一緒にドミニカへ行くのが良いと考えたウスナビは、ソニーの父親に頼みに行くが、不法移民であることがわかる。「考えはわかるが考えさせてくれ」と言われてしまう。

バネッサから「良い部屋を見つけたけどプエルトリコ系という理由で色々言われて貸してもらえなかった」と聞いたウスナビは、不動産屋に連絡を入れると、その部屋はまだ空いていた。
ウスナビはダニエラに、バネッサが部屋を借りられるよう、保証人になってほしいと頼む。

ニーナが戻って来たお祝いをアブエラの家で開くことになり、料理を作るニーナとバネッサ。
花火も買って来た、とベニーが言い、料理を取り分け和やかにパーティーが始まり、アブエラは刺繍をニーナにプレゼントして「誇りを忘れずに、あとは忍耐と信仰だよ」と語りかける。そこへニーナの父親がやってきて「大学の支払期限が過ぎたっていうのは嘘じゃないか。費用は支払った」とニーナに言う。
ニーナは「期限は過ぎてる」とすごい剣幕で言うが「大学に確かめた。まだ過ぎてない」と言うとベニーは「費用はどこから捻出したんだ」と聞く。
「会社を売った。従業員の雇用先はちゃんと考えるから」
ニーナは「余計なことをしないで」と怒って出て行ってしまった。

ベニーは公園にいたニーナに声をかける。
ニーナは大学をやめることにした、と話す。
寮で同室だった子の真珠のネックレスがなくなり、その子の親がやってきて自分の持ち物検査をされた。ネックレスは結局同室の子のバックから出て来たが、そこで自分は悪くないのに謝った。パーティに行けば自分と同じ招かれている客から「口に合わない」と皿を突きつけられる。招かれた客の中でプエルトリコ系は私一人、しかし給仕は皆プエルトリコ系で、給仕と間違えられたのだ。給仕からは「あなたは向こうの人?こっちの人なの?」と言われてしまう。
「がんばってみてダメならここへ戻ってくればいい。ここは君のホームなんだから」と、ベニーがニーナを励ます。

バネッサがアブエラの部屋で出かける支度をしていたら、そこへウスナビがやってくる。「今からデートなの」「俺もデートの約束があるんだ」「でも相手がわからない」というバネッサに「俺が相手だよ!」と待ち合わせ場所のクラブの名前を言い、「若い二人で楽しんでおいで」とアブエラに送り出されて二人で出かけて行く。
停電まであと1時間、と出てたかも

待ち合わせ場所になっていたクラブで「踊ろう」と誘うバネッサにウスナビは尻込みする。別の男が「一緒に踊って」とバネッサに声をかけてくる。バネッサがウスナビの顔を見ると「君が踊りたいなら行っておいでよ」「いいの?」少しためらいがちに「もちろんいいさ」と答えるウスナビ。

なんでこう言う答えをするかな。
踊りが下手でも踊ればいいのに…
ウスナビの性格は割と前向きだったので、どうしてここで断るのか、しかも別の男と行かせてしまうのか理解できなかった。

バネッサは何か言いたげな顔をしたが、ホールの中央で男と踊るバネッサ。緑の衣装がターンをするとめくれて黒い下着?が見えるのだが、それは気にしないのか?それとも見せてもいいパンツなのか?

ウスナビも他の女性に誘われてその女性と踊ってしまう。
音楽が止みウスナビが踊っているのを見たバネッサはウスナビに「踊ろう」と言うが、ウスナビは「何か飲みたいだろ?取って来るよ」と引き留めようとするバネッサを、やや強引に振り切ってカウンターへ行きドリンクを2つ注文する。
すると、停電が起き、真っ暗となってパニックに。

停電で離れ離れの二人、を演出するために無理やり酒を取りに行く演出なんだろうけど、すごく不自然だった。
他の人とは踊れるのに、意中の人とは踊れないのか?

お互いを探すウスナビとバネッサ。
クラブから出て通りでお互いを探し当てるが、ウスナビの行動に怒ってバネッサは帰ってしまう。

いつまでたっても電気はつかず、「花火をあげよう」と通りの人々は花火を上げるのだが、この花火が職人があげる「打ち上げ花火」レベルで、アメリカでは筒に入れて打ち上げる花火を普通に買ってあげる事が出来るのか…?と思った。
ウスナビが部屋に戻ると。ろうそくを灯した部屋でみんなは電気がつくのを待っていた。
昼間は38度くらいまで気温が上がっており、停電でクーラーもつかないのでは、すごい暑いだろう…

アブエラが疲れた様子だったので、「休むかい?」と聞きベッドに横にならせる。
「ありがとう」とアブエラは言って目を閉じる。
何だか、良くないフラグを感じる。
「暑い、暑い、燃えるようだ」
ベッドから起き上がると、アブエラの若い日の辛い労働から現在までの映像が流れる。
長いトンネルの中にいるアブエラ。今来た道を振り返っても入り口は見えず、進む先は階段になっていた。
「忍耐と信仰が大事、自分の誇りを持って…暑い、暑い、燃えるようだ」
ベッドでつぶやくアブエラが静かに動きを止め…
ウスナビがアブエラの様子を見にきて異変に気付き、救急車を呼ぶようにみんなに言う。
しかし、アブエラは心臓発作で息を引き取った。

このアブエラの歌が圧巻で、一番良かった。
熱中症になったんだと思ったけど、心臓発作だった。

翌日、ダニエラのサロンのメンバーは引っ越すために広場にいたみんなに挨拶にくるが、そっけない態度。「なんだい、みんな。故郷のことを思い出しなよ」みんなが故郷の国旗を持って、故郷を自慢するような歌を歌う。
バネッサは家に帰る途中、壁にペンキで絵を描いている男がいて、ペンキが飛んで来たため、注意をする。ふとみると、いろんな色のペンキが飛んで水玉模様になっている端切れが落ちていた。それを見て何かを思いつくバネッサ。「この布、ほしいんだけどいくら?」「タダでやるよ。たくさんあるし」
ペンキが飛び散ったハギレが辺りにたくさん落ちていた。

ウスナビはドミニカへ帰ることに決め、コンビニを畳んだ。
みんなが引き止めるが、決心は変わらない。
部屋も引き払い荷物をまとめると、窓際に丸い小物入れを見つける。
中を開けると、小物と一緒に畳まれた紙切れが入っていた。
開けると、それは当たりの宝くじ。
当たったのはアブエラだったのだ。

そこへバネッサがやってくる。ダウンタウンの部屋が借りられた、というのだ。
「シャンパン買って来た。一緒に飲もう」
(まだ付き合いが浅い頃にシャンパンをご馳走する、と言うやりとりがあった)
「ドミニカへいくのはやめて」というバネッサだったが、ウスナビの決心は変わらない。
シャンパンの栓を開けようと頑張るウスナビにバネッサが「シャンパンはもう良いから」と言ってキスをする。
今日はやることがある、とバネッサとは別れ、宝くじを持ってソニーを連れ弁護士のところへ行く。
「この金でソニーを大学まで出してやってほしい」と頼むと「厳しい道のりだ。可能性も低い。頑張れるか?」と言い、ソニーは「がんばるよ」と答える。
今日の飛行機でドミニカへ行くから、宝くじの換金ができない、と言って当たりくじを託すウスナビ。

ドミニカの浜辺で子供達に話をするカットが時々挿入されるのだが、ウスナビが子供たちからふと顔を上げるとワシントン・ハイツのみんなが砂浜に立っていた。
自分の居場所を見つけるんだ、というような歌を歌ってた…と思う。
亡くなったはずのアブエラもいて、これは夢なのか、現実世界ではないらしいことが分かる。

ソニーがウスナビをコンビニへ連れて行くと、そこにはバネッサがペンキのついた端切れで作った洋服が飾られていた。
そして壁にはドミニカと思われるペンキ絵が描かれていた。
「ドミニカだ!どうして?」
「壁に写真を貼っていただろ?いつも見ていたから」とバネッサが出会ったペンキで絵を描いていた男が言う。
「俺があのカニを描いたんだぜ」とソニー。
時々差し込まれる、ドミニカの浜辺の小屋のテーブルに、蛍光のカニが歩いていて「外国にはこんな蛍光カラーのカニがいるのか?」と思っていたのだが、このイラストのカニだったのか…
バネッサはダウンタウンに引っ越すのをやめ、ワシントン・ハイツで頑張る、と言う。

ニーナも大学へ戻って頑張ることに決めた。そのことをベニーに話し、部屋からベランダへ出て2人で話をする。不安は感じるが、ジョージ・ワシントン・ブリッジのこの眺めを思い出して頑張る、と話すニーナ。
そしてそのまま壁が地面のようになり、歌い踊りながら壁を歩いて…上の階の部屋の中では子供がご飯を食べていたが、窓の上を「歩く」靴の底を見て目を丸くしていた。
このシーンはすごく不思議でどうやって撮ってたんだろう…

海辺で子供達に話をするウスナビのシーンになる。
いる場所が今までの浜辺の小屋とは違う?
途中まで子供達に話をしていたのは、浜辺の小屋のバーカウンターだったのに、最後のカットだけ浜辺が壁に描かれたコンビニの室内になっていた。
詐欺だと思った。
ラストはもう想像できる…

「やっぱりここが故郷だ」と言ってあっさりドミニカへいくことはやめたウスナビ。

一人の女の子が「プールに遊びに行っていい?お父さん」とウスナビに聞くと「お母さんがいいって言ったら」と答えるウスナビ。
店の外に出ると女の子が「おかあさん!」と駆け寄っていった女性はバネッサだった。

エンドロールの後
チェーンのソフトクリーム売りの車が故障。ピラグア売りが「客が自分のところへ来る!だってここは俺たちの街」と歌い、かき氷をコップに入れてチェーン店の男にサービスしていた。

ずっと歌っていて良かったんだけど、1曲1曲が頭に残ってない…
グレイテスト・ショーマンはCMがたくさん流れていたこともあって、曲がかなり鮮明だったけど、メロディーが思い出せない。

評価:2c


ドント・ブリーズ2

監督:ロド・サヤゲス
脚本:フェデ・アルバレス/ロド・サヤゲス
製作:フェデ・アルバレス/サム・ライミ/ロバート・タパート/ロド・サヤゲス
音楽:ロケ・バニョス

出演
盲目の老人(ノーマン・ノードストローム):スティーヴン・ラング
レイラン:ブレンダン・セクストン3世
フェニックス(タラ):マデリン・グレイス
ジム・ボブ:アダム・ヤング
ジャレッド:ボビー・スコフィールド
デューク:ロッチ・ウィリアムズ
ヘイマン(外科医):ステファン・ロドリ
ヘルナンデス:ステファニー・アルシラ
ビリー:ディアナ・バブニコワ
ラウル:クリスチャン・ザギア
ジョセフィン

2016年公開作品の続編だが、「盲目の老人が自分が守りたいものを奪いにくる悪党と戦う」というところ以外、前作との直接のつながりはない。

前作の方が「襲った若者たちの方が "目が見えている" 点で圧倒的に有利なはずなのに、暗がりで盲目の老人に滅多打ちにされる」という状況が作り出すスリルが優っていた。
今作は「どこから襲われるかわからないスリル」はそれほどではなく、グロさが増した。

あれから少なくとも8年は経過しており、無敵に思えた老人も老いを感じる。
前作のラストは後味が悪い(=悪人なのに成敗されない)結末だったが、今回は報いを受けるような終わり方になっており、誰に感情移入すれば良いのか、複雑な気持ちで迎えるラストシーンだった。

前作は「老人は盲目だから盗むのはたやすいはずだ」と、目が見えないことをちゃんと説明しているが、今作は老人の目のアップと行動でしかわからない。行動も「明らかに見えてない」というようなものでもないので、「盲目である」ということを知らないと序盤「?」と思うかもしれない。














ネタバレのあらすじ















冒頭は燃えている一軒家から少女が逃げ出して来て、道路で倒れてしまうところから始まる。
それから8年後。
少女は黒い大きな犬に追われ、フェンスをよじ登って逃げ、停めてあった車の後部座席(なぜかドアが開いている)においてあった銃を手に取り「取った」と言う。
しかしそこに盲目の老人が現れ少女に銃を向け「脱出は失敗だな」と告げる。

あの老人はどうやったのかは分からないが少女を手に入れ、訓練を施していたのだった。
少女のフェニックスは12〜13歳くらいのようだが、学校へも通わせず老人が勉強を見ていたようだ。
週に一度くらい、元軍人(女性)のヘルナンデスが老人が育てている植物を買い付けに来て、食料などを届け、その時に数時間、フェニックスを飼い犬のシャドーと一緒に街中へ連れ出していた。フェニックスは自分が前に住んでいた、今は焼け落ちて廃墟になっている家に内緒で連れて行ってもらい、花などを手向けていたが、彼女が唯一覚えているのは、母親が歌って聞かせてくれた歌だけだった。

孤児院の前の公園のブランコに乗って孤児院の子供達が遊んでいるのを眺め、一緒に遊びたい、と思うがそれは妄想の中でしか実現できなかった。
公園のトイレで手を洗っていると入り口に男が立っていた。「可愛い子だ」と語りかける男に恐怖を感じると、飼い犬が入って来て男に吠える。
「指を鳴らせばこの犬があんたのタマに噛み付くよ」
男は「怖がらせたのなら悪かった」と言うがフェニックスが出て行く時に「きれいな髪だ」と言って指で髪を触る。
ヘルナンデスはフェニックスを家に送り届けた後、老人に「いつまでも閉じこめておけるようなものではない」と言うようなことを話したので、フェニックスについて何か知っていると思われる。

帰っていくヘルナンデスの車を男たちが尾行する。
ニュースでは最近臓器売買を目的とした誘拐が増えており、ヘイマン医師に容疑がかかっている、と流れていた。
フェニックスを送った帰り道、男達が駐車している車が邪魔で通れなかったため、ヘルナンデスは道を開けてくれるように言う。フェックスに声をかけた男だとわかったため車のナンバーを控えていたところを襲われ、ハンマーで頭を滅多打ちにされる。

単なる臓器目的にしては、殺人がすごすぎるのでは…
代償が大きすぎないか?

家に帰ったフェルナンデスは、父親である盲目の老人に「学校に行きたい」と言う。与えられた勉強の課題をしながら、フェルナンデスは「コヴェナント孤児院」というチラシを眺めていた。

玄関のポーチにいた飼い犬が気配を察して顔を上げ、物音がした方へ走って行った。
老人は犬の餌を用意し与えようとポーチに出てくるが、餌がまだ残っていることに気づく。犬の名前を呼ぶが、犬が来ないため、探しに家から離れていった。
その隙に男たちが家の中に入り、少女を探す。
フェニックスは2階の自室にいたが、階段を上る気配が父親のものではないことに気づいてベッドの下に隠れる。男がベッドのマットをあげるとタンスの下に隠れ、見つかりそうになりながらも階段の手すりにぶら下がって1階まで降り、階段の下の倉庫の奥に隠れた。
日々、鍛錬させられているだけあって、フェニックスは果敢に行動している。
老人は森の中で死んだ飼い犬を見つけるが、撫でた手に血がついており、傷口を探ると銃弾が出て来たため、射殺されたことを知る。

男たちが2階にいる隙にと倉庫から出て少し開いている扉をに近づくが、奥から出て来た男が背後から銃を撃ち「殺されたくなければ動くな」と脅される。
男が後ろ手に扉を閉めると家の外から窓ガラスを割って老人の手が男の顔を掴み、「”箱”へ逃げろ」と叫ぶ。
2階に置いてある
クロゼットのような箱は頑丈に作られていて、中から鍵を閉めると開けられないようになっていた。
別の男が箱の上から水を流し込み「このままだと溺れて死ぬ」と脅す。
老人は水道の栓を閉めたため、今度は壁の配線を剥がし火花の散る電線を水に入れ黒焦げにすると言う。
引火性のガスが吹き出している缶を男の足元に転がすと男は「(火花が飛び爆発するから)銃は無しってことか。いいだろう」と取っ組み合いの乱闘になる。テーブルに置かれたナイフが見えるが、うまい具合に男は取ることができない。老人は最後にガスに引火させ、自分はテーブルを盾にして炎を防ぎ、男は丸焼けになった 。
しかし、水道の栓が乱闘で空いたため、箱いっぱいに水が満ち、フェニックスが中から開けようとしたが力尽きてしまっていた。老人はものすごい怪力で箱を倒し、鍵をこじ開ける。
絶対に開けられないと思った箱の鍵が壊れて開き、フェニックスは息を吹き返す。

既に人間じゃないレベルの怪力だった。渾身の力を込めれば破壊できるのであれば、立てこもるには強度が足りなさ過ぎるのでは…

外から男の声がし、老人は声を立てないように指示して「こっちだ」と地下通路でつながっている温室を通ってガレージへ抜ける。

丸焼けになった仲間を見て、「レイラン」を呼べ、と侵入者の一人が指示する。
男の一人がシャッターを開けてガレージへ入る。壁に貼ってあるバッジを見て老人が退役軍人であることを知る。足に接着剤のようなものがくっつき、足をあげると、老人に襲われる。フェニックスに「逃げろ」と指示し、乱闘になる。
ガレージに入って来た侵入者の仲間は、口と鼻を瞬間接着剤で塞がれた仲間が転がっているのを発見し、「顎を上げろ」と言ってほおにドライバーを突き刺して息ができる穴を開ける。
このやり方がすごい…躊躇なくマイナスドライバーを頬にぶっさしていた。この男はあとで自分で口の接着剤をカッターでカットしていた。

温室へ逃げた二人を追って男が襲いかかる。死闘の末鉄製の熊手を首にぶっ刺して床に倒しスコップで顔を滅多打ちにする。フェニックスが「もうやめて!」と叫ぶが、老人は容赦しなかった。
本当に顔がざっくり横に切れた…
レイランが外から呼びかける。
「いいのか?知らされたくない真実を話してしまうぞ?」
老人はフェニックスの耳を塞いでいる。

フェニックスは二階へあがり荷造りしていたリュックを背負って窓伝いに雨どいを伝って表へ出るが、レイランの仲間に見つかって捕まってしまう。
レイランは被っていた帽子を取りこめかみあたりだけ白くなった自分の髪を見せ「見覚えがないか?」と聞くがフェニックスは覚えていないようだった。
「俺は隣に住んでいたが、家が火事になった原因の濡れ衣を着せられ、8年間も刑務所入りだった。やっと出て来て自分の娘に会いに来たんだ。あの老人はお前の父親ではない。お前を奪って監禁したんだ」

逃げようとするフェニックスに薬を嗅がせ気絶させる。
レイランは連れて来た犬に老人のジャケットの匂いを嗅がせ、放した。
老人は犬に追いかけられ2階へ逃げるが鉄のフェンスのようなもので壁際に閉じ込め、「待て」と行ったら犬は大人しくなった。表の男たちは火炎瓶に火をつけて家の中に投げ入れる。
「犬がまだ中だぞ?」「死んだだろう」
炎が上がって来たため、老人は犬を解放し「行け。帰れ」と言うと階段を降りて逃げて行った。
この時、表にいるレイランたちのところへこの犬が行かなかったのが不思議だ。

1階はものすごい炎で逃げられない。窓から出ようとして温室の上のガラスに落ちるが、温室内も激しく燃えており、自分が乗っているガラスにヒビが入っていく。
ガラスが割れたが運良く表に投げ出され、助かる。
逃がしてやった犬が戻って来て指を舐めたので「行け」と追い払おうとしたが、ふと思いついたことがあった。男たちの残した車をあけ、ノコギリのような刃物を腰に差しバックミラーの横にぶら下がっていたチリチリ音を立てていた鈴のようなものをもぎ取ってポケットに入れた。武器を持ち鎖で首輪を作って犬に嵌め「家へ帰れ」と命じる。

フェニックスは廃墟となったホテルの1室で目を覚ます。
レイランに「お目覚めかな。プリンセス」と声をかけられ不審そうに見るフェニックスだったが「さっき言ったことは嘘じゃない。お前の本当の名前はタラだ」と話し始める。
「私の本当の誕生日は?」
「2月20日」 
「お母さんの名前は?」
「ジョセフィン」
「私はお母さんに似ている?」
「……ああとってもよく似ている」
と答えるレイラン。部屋の扉を指して「扉は開いている。自分の道は自分で選べばいい」と言われたフェニックスは扉へ歩き出す。「ここから出ていって、行くあてはあるのか」という問いに「当てはある」と答える。

扉をでて廊下を歩き、階下のフロアまでの途中に、胡散臭そうな男たちと、ニュースに出ていた医師のヘイマンがいた。
入り口まで来ると、後ろから聞き覚えのあるメロディーの歌が聞こえて来る。
それはフェニックスが唯一覚えていた母親の記憶の歌だった。「ママ?」とと聞くと、車椅子に乗った黒髪の女性が「会いたかったわ」と言って
近づいて来た。

再び部屋へ戻り、話をする3人。しかし、ジョセフィンは話の途中で咳き込み、喀血したのを世話するレイラン。

この二人はキスしたりしてお互いをいたわって愛し合っているのは良くわかるが、臓器売買にしては規模が大きすぎていったい何をしたいんだろう…しかし、母親が実の娘を臓器売買の道具に使うものなのか?と思ったのだが、やりたいことはさらにとんでもないことだった。

フェニックスはジュースをもらって飲む。
「地下室で了していたら火事になってしまって…火事の炎で内臓も焼けてしまったの。血も汚れて心臓もダメになってしまってるの。だから私もうすぐ死んでしまうんだけど…新しい心臓になれば、また元の体に戻れるの。ママには生きていて欲しいでしょ?だから、特別な贈り物が必要なの」
「特別な心臓じゃなければダメなんだ」
「わかるでしょ?直系親族の心臓じゃないと…だからね、特別な贈り物、私にくれるわよね?」
フェニックスが飲んだジュースを見ると、そこに白い粉末が沈んでいて、彼女は意識を失って行った。
2人は確かに血の繋がった親だったが、こういう展開とは…

部屋の奥に急ごしらえの手術室が作られていた。
ヘイマンは「危険な手術ということはわかってますよね?」とレイランに念を押す。
目を開けているフェニックスを見てレイランが「どうして生きているんだ」と問うと「心臓の鮮度が大事だが、保存する設備がないので生きたまま取り出すしかない」と説明する。

階下では部下の一人が「こんなの、やっぱりまちがっていると思う」と言ったが「 "料理" が出来るのはあの女だけだ。どうしようもない」ともう一人が答える。
(火事の原因は麻薬の精製だと思われる)

医師がドリルを手に持ちフェニックスに当てようとしたところで電気が落ちた。
「あいつか!?どうしてここがわかったのだ」というレイランの元に、犬が駆け寄ってくる。
部下に「行ってあの爺さんを殺してこい!」と怒鳴ると「誰が?」と聞く部下に「全員だ!」と怒鳴る。

地下の配電盤のあるところから侵入した老人は、地下室で男と対峙するが目が見えないことは圧倒的に不利だった。「よくも弟を殺したな」しかし男がたてた微かな音に斧を投げつけ持ってきた鈴を口の中に突っ込み頭突きして飲み込ませると喉に詰まってしまう。苦しんでいるところを滅多打ちにし、「これはシャドーの分だ」と言ってさらに斧で頭を打ち砕く。

4人の男が地下室へ降りてくると、一面が水浸しになっており、その中央に片方の足を曲げた状態で老人が仰向けに倒れていた。
「死んでるのか?」
3人が水の中に足を踏み込むと波紋が広がりその波紋が水の中へ伸ばした老人の指先に届くと老人は銃を連射し3人を撃ち殺した。
残った一人が言った。「俺はこの計画には反対だった。このままだと少女は殺される。行って助けてやれ」

医師は「自分は降りる」と言って去ろうとしたが、レイランが上がってきた老人を撃とうと医師の方へ向けて発砲したため弾が当たってしまう。
違法な移植手術をしてくれる医師なんか他にはいないだろうに、殺してしまっていいのか?
さらに上がってきた老人に切りつけられてしまった。

ジョセフィンとフェニックスを連れてレイランは水が抜かれたプール(にしては片側が斜めになっていて深いところは3メートルくらい深さがあり、どういう使い方をするのかよくわからない)のようなところへ逃げてくる。ジョセフィンは車椅子に座っていたが、自分の手とフェニックスの手を手錠で繋いでしまった。老人が噴霧されてる殺虫剤の缶を転がしてきたため、あたりに煙が充満して見えなくなる。
レイランがめったやたらに銃を撃ち、煙がなくなってくると胸と腹部を数発打たれたジョセフィンの姿が。
車椅子が徐々に動き出しジョセフィンと手錠で繋がれたフェニックスはポールようなものにしがみつくが車椅子の重みで引き剥がされ車椅子は階下へ落下。へりに捕まってぶら下がっていたフェニックスだが、手錠で繋がったジョセフィンが腕からぶら下がっている。近くに落ちていたノコギリのような刃物にを何とか掴むと、一瞬ためらうがジョセフィンの手首に振り下ろして切ろうとするが、なかなか切れず2人とも階下へ落ちてしまった。フェニックスはジョセフィンの上に落ちたので、怪我は無かったようだ。

ガスが来ただったか、水が来ただったか、とにかく慌てて腕を切り落として上へ逃れるフェニックス。
レイランと老人は、取っ組み合いで凶器や銃の近くに来るが、取れそうだけど蹴られて遠くに行く、という状態が続いていたが、形成が逆転しレイランに銃口を定められた時に犬がやって来てレイランの腕に噛み付く。
その隙にレイランを捉え「お前に俺が見てきたものを見せてやる」そういって両目に親指を突き刺して失明させ、倒れ込んだレイランに数発銃弾を食らわす。
真正面から目に親指を突っ込んでるカットだった…

駆け寄ろうとしたフェニックスに「来るな!」と老人は言い、フェニックスに語りかける。
「あの男の行ったことは本当だ。私はお前の父ではない。人をたくさん殺して来た。レイプもした。ただのモンスターだ……俺のことは忘れろ」

前作で妊娠させられた女の子は、精子をスポイトで注入したのではなく、やっぱりレイプだったのか…

そこへ死んだと思ったレイランが襲いかかり、腹部を撃ち、頭を押さえて首にナイフを当てた。
レイランの背後からフェニックスがノコギリのような刃物を突き刺し、レイランは階下へ落下、ジョセフィンの横に仰向けに横たわって絶命した。

フェニックスは老人に駆け寄り、腹部の銃弾の傷を抑えるが血が止まらない。「死なないで、絶対私が救うから」と泣きながら言うと、老人は静かにフェニックスの手を取って「もう救ってくれた」と言い、静かに息を引き取った。

フェニックスは「コヴェナント孤児院」にやってきた。
公園で遊んでいた女の子たちが入り口の前に座って遊んでいた。「私も混ぜてもらっていい?」
「いいよ。名前は?」
少女は一瞬沈黙した。
どっちの名前を言うんだ?
「フェニックス」
少女たちと一緒に孤児院の中に入って行く。


このラストカットは、スター・ウォーズ「スカイウォーカーの夜明け」のラストと同じ。
また、父親ではないと言った「I am no father」、もう救ってくれたと言った時の「You already have」も「ジェダイの帰還」のオマージュだそうだ。

エンドロールの後、犬が戻って来て男の指を舐めるシーンがある。この手は老人なのか?死んでいても舐めるもの?
生きているということなのか?

どっちも悪役で、感情移入をどっちにしたらいいのか??
と思う映画だった。

評価:1h


OLD

原作:『Sandcastle』フレデリック・ペータース/ピエール・オスカル・レヴィー
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
音楽:トレヴァー・ガレキス
製作:M・ナイト・シャマラン/アシュウィン・ラジャン/マーク・ビエンストック

出演
ガイ・カッパ:ガエル・ガルシア・ベルナル
プリスカ・カッパ:ヴィッキー・クリープス
チャールズ:ルーファス・シーウェル
トレント・カッパ:ノーラン・リヴァー(6歳)/ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス(11歳)/アレックス・ウルフ(15歳)/イーモン・エリオット(中年)
マドックス・カッパ:アレクサ・スウィントン(11歳)/トーマシン・マッケンジー(16歳)/エンベス・デイヴィッツ(中年)
カーラ:カイル・ベイリー(6歳)/ミカヤ・フィッシャー(11歳)/エリザ・スカンレン(15歳)
クリスタル:アビー・リー
ジャリン・カーマイケル:ケン・レオン
セダン/ブレンダン:アーロン・ピエール
パトリシア・カーマイケル:ニキ・アムカ=バード
アグネス:キャスリーン・チャルファント
ホテルマネジャー:グスタフ・ハマーステン
マドリード:フランチェスカ・イーストウッド
シドニー:マシュー・シアー
運転手:M・ナイト・シャマラン

冒頭にシャマラン監督の挨拶があった。簡単に要約するとこんなメッセージ。
「今までスリラー映画を作ってきた。映画はやっぱり大きなスクリーンで見て欲しい。おかえりなさい、皆さん」
そして昔の映画みたいに黒いバックに白い文字で「OLD」というタイトル。
その後は普通に3Dの配給会社のロゴ映像。

「たった1日で老いて朽ち果てるバカンスに隠された、衝撃の真実とは?」
実は、予告編でストーリーのかなりの部分が紹介されているのだが、1日で何年も年をとるってありえるのか??

浜辺に集まった人たちの行動が、何となく変で、確かにみんな肉体は老化へと向かっているのだが、子供の場合は老化の前に「成長」があり、経験したり本などから知識を得るということをしなくても、知識は沸き上がってくるものになっているようで、ここが不思議だった。

理由については納得は出来るけど、他のところで突っ込みどころが満載な映画だった。











ネタバレのあらすじ


















3日のバカンスを海で過ごすべく、リゾートホテルにやってきたカッパ一家。
母親のプリスカ、父親のガイ、長女のマドックスは11歳、長男のトレントは6歳。
ホテルはネットでプリスカが探して予約したが、これが最後の家族旅行で、夫婦はその後離婚をしようとしているようだった。
ホテルに着くと、従業員のマドリードが「あなた方二人の好みから選んだウェルカム・ドリンクです」と言って、花が飾られたドリンクを夫婦に持ってくる。
ホテルの従業員が皆で出迎えてくれるのだが、着ている制服がなんとなく「看護師」みたいなんだよね…
ちょっと違和感を感じた。

子供達にはドリンクバーがある、といってロビーの奥へ案内された。そこにトレントと同じくらいの歳の男の子イドリブがいて仲良くなった。この子は従業員の子供だという。
ホテルのロビーは、従業員がモザイクのようなものを貼り付けて、花壇のようなものを作っているのだが、子のホテルはまだ完成していないのか、それとも改修
しているのか、しかし、客はたくさんいる。

一家は部屋に案内されると、そこには製薬会社のパンフレットが置いてあり、保険会社の保険数理士であるガイは「今度この製薬会社の薬を使って見たらどうだろう?」と言う。
「子供はビーチへ行くのは禁止、大人ウィークです」と書かれたパンフレットも置いてあり、それを言うと子供たちは「なんで!」と騒ぎ始める。

水着に着替えてビーチへ行くトレントとイドリブ。
ビーチに行っちゃいけないんじゃないのか?
くつろいでいる大人たちに「名前は?職業は何?」と聞いて回る遊びをしていて、ダンサーや警官、看護師などがいた。
マドックスも一緒にビーチへ行くが、誰かに声を掛けたりすることはできないようだった。
トレントはイドリブから暗号のメッセージをもらい、文字表と照らし合わせて解読すると「アイスクリーム食べ放題、明日」と書かれていた。

イドリブは支配人から「あの子(トレント)とは遊んではいけない。遊んでいい子がどの子か教えるから、その子
と遊びなさい」と言われる。

夜、ガイはプリスカに、腫瘍がだんだん大きくなっていってるのだから、離婚は考え直さないか、と言うが、口喧嘩になる。「あなたは未来しか見てない」「君は過去のことばっかり言う」
子供達はその様子を別室で聞いていた。

翌朝、宿泊客はテラスで朝食をとっていた。
ガイたちのテーブルに支配人がやってきて「シークレットビーチにご招待したい」と誘う。
別のテーブルで食事をとっていた家族がおり、母親のクリスタルは「健康にいい」というプロテインパフェを注文し、6歳くらいの娘にも「カルシウムは大切よ」と諭す。その様子をうんざりしたように見ている夫のチャールズ。チャールズの母のアグネスも一緒に旅行に着ていた。

突然、黒人の女性がてんかんの発作を起こして倒れてしまう。夫のジャリンは看護師で中国系のようだった。チャールズが「私は医師だ」と言って女性の様子を診て、「しばらく安静にしておけばよくなる」と言う。

カッパ一家がプライベートビーチへ行くバスに乗って待っていると、チャールズ一家が乗ってくる。
森を抜けて石が3つ車止めのように置いてあるところへ運転手が車を止め、トランクから大きな箱に入った食料を渡す。
「これ全部食べ物?多すぎない?」と聞くプリスカに「子供はお腹が空きますから」と運転手は答える。
「こんなに持てないから運んで欲しい」と運転手に言うが「もう戻らないと。パスポートはちゃんと金庫にしまってきましたよね?大事なものですから。17時に迎えに着ますが、何かあったら携帯で呼んでください」と言って帰ってしまった。

荷物を背負って森を通り岸壁の隙間を抜けると、岩場に囲まれたビーチへ出た。
誰もおらず綺麗なビーチで、皆は思い思いに遊び始めるが、海に魚はいなかった。
岩場の陰に一人の黒人の男がうずくまっていた。
その男を見てマドックスが「ラッパーのセダンよ!ファンなの」と父親に言うと「プライベートだから」とたしなめられる。

砂浜の隅には、打ち上げられたと思われるものが埋まっていたが、ホテルのものと思われるさびたナイフや、スマホ、お人形などが埋まっていた。
ビーチへパトリシアとジャリンが来る。
チャールズの母のアグネスは、飼い犬を連れて来ていたが、その犬が急死してしまう。

遠くの山の上で、ライトのようなものが光り、人影のようなものが見える。
「なんだろう?」というマドックスに「僕たちを見張ってるんだよ」と答えるトレント。
回答のようなことをここで答えてしまっていいの?と思った。

チャールズの娘のカーラはトレントと同じ6歳くらいで、子供達は3人でかくれんぼを始める。トレントが川の入江のようなところに隠れると、川上から金髪の人間が流れてきた。
悲鳴をあげるトレント。
砂浜へ引き上げるとそれは金髪の全裸の女性で、首にネックレスをしていたが、すでに死亡していた。
チャールズがセダンに「君の連れか?」と尋ねると「そうだ。泳ぎに行くと言っていなくなったのだ」
セダンは鼻から血を流していたため、女性を殺したのではないかと疑われるが「やってない。鼻血が出てるのは、血が止まりにくい体質だからだ」と言う。
子供達のビーチのシーンに混じって、女性が水着を脱いで海に入って行くカットがあったが、それがこの女性だった。

チャールズが持っていたナイフで唐突にセダンの顔を切りつける。何となく行動が尋常ではない。
「何をするんだ!」
血が出た傷を抑えるセダンだったが、手を離すと傷はくっつき跡が残った状態で治癒していた。
とりあえず女性をビーチの隅に寝かせ上に布をかけ、ホテルに電話しようとしたが、電波が来ておらず連絡ができない。
ジャリンが「車を止めていたところまで行けば電波が来ているはずだ」と森の中へ戻ろうとするが、岩場を抜けようとすると目が回り出し気を失ってしまい、目をさますとそこは浜辺の砂の上だった。

「フラフラと戻って来て倒れたのよ」とパトリシアが言う。
すると、クリスタルが「お義母さんが大変!」とチャールズを呼び、アグネスが急に具合が悪くなり、死んでしまった。
呆然とする一同。
チャールズがここから出ようと岩場の奥へ進むが、ジャリン同様、気を失っってしまう。

パトリシア、ジャリンがトレントとマドックスの二人の年齢について「当てる」と言い、トレントが「11歳くらいだろう」という。
トレントは「マドックスが11歳になったばかり、ぼくは6歳だよ」というので、二人は「君が11才だろ?」と笑って言う。
そこへプリスカが「子供たちを知らない?」とやって来て、「この二人がそうだろう?」とジャリンが指し示すが「6歳くらいだから違う」と言う。二人が「私よ、ママ」と言って抱きついて来て、二人が急激に成長し、トレントは11歳くらい、マドックスは16歳くらいになっていたことに驚愕する。
その前からトレントは「水着がきつい」と言っていたが、プリスカの水着も小さくなってきたので「水着を着替えなさい」と指示する。

ビーチに寝かせていた女性にかぶせてある布を取ったところ、白骨化していたことに驚くみんな。
プリスカは考古学博物館に務めており、「死体を地上の放置した場合、通常は7年くらいで白骨化する。その状態と同じだ」と説明。

子供達の成長、死体の白骨化、ビーチへ来てからの時間を換算すると、どういうわけか30分で1年の時間が経っているとしか思えない、という結論に達する。
「ではなぜ、髪や爪が伸びないの?」
「髪や爪は”死んだ組織”だから、影響を受けないんだろう。おそらく、このビーチの岩に含まれる鉱物か何かが細胞に影響を及ぼしているんだ」
「子供は成長が早いから、わかりやすいのよ。黒人はシワができにくいと言われているし、大人は変化がわかりづらい」
と説明するパトリシア。
「1日このビーチにいると、50年経ってしまうということだ…」呆然とする一同。
「ここから出ようとすると、急激な環境の変化に体がついていけずに気絶するんだ。一歩ずつ、数分かけて歩いていけば、ここから出られるだろう」
「でも、その速度で出て行くと、結局出るまでに50年かかる…」
みんな、沈黙してしまう。

トレントとマドックスは「自分が変化して行くのがわかる。考え方も気持ちも変わった」という。
どうやら成長と共に知識も勝手に備わっているような感じだが、ただ単に体が大きくなっても、「経験」してなければ賢く?ならないのではないかと思うのだが…

プリスカが急に具合が悪くなり、お腹を見ると腫瘍が盛り上がって来ていた。
そうこうしているうちに気を失ってしまい、「今すぐ腫瘍を摘出しないと死んでしまう」と言うチャールズにガイは
「ここでか?」と聞く。
ところがチャールズは
「ジャック・ニコルソンとマーロン・ブランドが共演した映画って何だったか?」
何度もこの質問を口にする。認知症になってしまったのか?
みるみる腫瘍が大きくなりテニスボールくらいの大きさになっていったため、結局、チャールズが持っていた折りたたみのナイフでプリスカのお腹を切るが、切った側から傷口がくっついてしまう。
切ったところにみんなが手を突っ込んで広げた状態を保つようにして、メロンくらいの大きさになった腫瘍を取り出した。
しばらくするとプリスカが目を覚ました。
ここから出られたら、離婚はやめることにした二人。
こんな雑な手術で、感染症とかにならないの?そんなに人間の治癒能力って、すごいのか?


大人たちは「このホテルをどうやって知ったのか」という話になり「薬局のレシートに紹介されていた」ことがわかる。
そして、全員何かしらの病気を持っており、薬歴で何の病気であるかは判明する。
我々は何かの意図を持ってここに集められたのではないか、という結論に達する。

カーラとトレントは離れたパラソルの下で二人で横になっていた。
ヒソヒソと話していたが、カーラが「お腹が減った」と言って、持たされた食料をわしづかみにして食べる。

みんなのところへ戻って来た二人を見て、一同は驚愕する。
カーラのお腹が大きくなっていたからだ。
「あなたたち…そういうことをしたの?」
「赤ちゃんは、10回くらいやらないとできないんでしょ?」というトレント。
6歳の子が「子作りの方法」を知っているのか?
それとも、急に成長しても本能で自然に備わる知識なのか?
「青い珊瑚礁」的に二人取り残されて一緒に大きくなった、とかならともかく…

と言っている間にも臨月となり、苦しみだすカーラ。
それを見た母親のクリスタルは取り乱して走って逃げてしまう。「行かないで」とカーラが叫ぶが、戻ってこなかった。
カーラは出産するが、取り上げたパトリシアが布に包まれた赤ちゃんを砂浜に置くと、間も無く死んでしまった。
「赤子には急激な変化は耐えられなかったんだろう…」
カーラはショックを受けてしまう。
また、チャールズはこのころからブツブツと独り言を言うようになり、様子がおかしくなって行く。

ジャリンは、「海から泳いで別のビーチに行こう。昔水泳の選手だったから行けるはず」と泳ぎだす。しかし、しばらくしてうつ伏せになったジャリンが砂浜へ打ち上げられ、死亡が確認された。
妻のパトリシアは突然てんかんの発作を起こし、泡を吹いて死んでしまう。

トレントが赤ちゃんをくるんだ布を持ち上げると、中からパラパラと砂のようなものが零れ落ちてくる。
「プロムにも参加できない、卒業式もない。こんなのってないわ」とカーラが嘆く。
こういう知識は、湧いて出てくるのかね…
日本で言えば小学1年の子が「高校の文化祭を楽しみにしてるの」という感じになるのかと思うが、そんなこと思うかなぁ。

「何としてもここから脱出する」と崖をよじ登り始めるカーラ。トレントが「危ないから降りて!」と呼びかけるが、よじ登るのをやめない。下から「岩場で休憩するんだ」「降りて来て」と大人たちが口々に声をかけるが、気を失ったのか力が尽きたのか、15メートルくらい上から落下した。

クリスタルはカーラが死んだことでショックを受けた。
チャールズは大きな病院の外科医で医局長だったが、ストレスで無理やり休暇を取らされたようだ。
妻をみて「お前は醜い」と罵倒し、セダンをナイフで滅多刺しにして殺してしまう。
殺した後に呆然自失になっているチャールズの手から、プリスカたちはナイフを取り上げ、バックの奥に入れる。

トレントとマドックスはビーチの隅の方で火を起こすために流木を集めていた。いろんなものが砂に埋まっていたが、ノートが埋まっているのを発見する。
「この浜の岩は長い間海水に浸かっていた状態だったため、隆起した時に細胞を早く老化させるという特殊な効果を発するようになったと思われる」
以前にこのビーチに来た人が書き留めた記録のようだ。

焚き火を熾し、火のそばで話をするガイとプリスカ。
今までの行動を悔いて、やり直して行きたいという話をしている間にも、だんだんと顔のシワが増えて行くようだ…でも首のシワは増えない。
プリスカは左耳が聞こえなくなっており、ガイはぼんやりとしか目が見えなくなってしまっていた。

あたりは暗くなっていた。
チャールズは「俺は医局長なのに…ちくしょう、ちくしょう」と錯乱してガイに近づき、ナイフでガイを何度も切りつける。ガイは目がよく見えず、手で防御するが、あちこち刺されてしまう。しかし傷は浅いためすぐ塞がり、切りつけられては塞がり…を繰り返していた。
隣に座っているプリスカは、耳が聞こえてないため気づかない。
ガイがプリスカに倒れかかってようやく気づき、ガイをかばって切られる。
プリスカは少しの間いなくなるが、取ってきたナイフでチャールズを切りつける。
「錆びたナイフよ!サビは血管に入ると人間には毒なのよ!」
みるみるうちに傷口から毒が周り、全身に黒っぽい発疹ができて、チャールズは苦しみながら死ぬ。

ガイが、続いてプリスカが老衰で死んだ。
残された姉弟は二人でここから出ようと、真っ暗になった岩場へ入って行く。すると、人の気配がした。「誰!?」マッチを擦るとクリスタルだった。
「もうよく見えない…明かりをつけるな!」と叫びながら近寄ってくるが、転んで腕を骨折したようだ。マッチをまた擦ると、おかしな方向に骨折したまま骨がくっついてしまっていた。「明かりをつけるな、私を見るな!」と叫びながら這いつくばってこちらに寄ってくるが、腕がポキポキ折れる音がする。マッチを擦ると何箇所も骨折し、腕がカクカクにつながった恐ろしい姿で横たわったクリスタルの姿が現れ、そのまま生き絶えた。

夜が開けて来て、ビーチに座って海を眺めるトレントとマドックス。二人はすでに50代くらいになっていた。
「ここで死ぬのかな」
「諦める?」
「諦めない」
トレントがイドリブからもう1通暗号の手紙をもらっていた、と思い出し、暗号を解いて見ると…
「おじさんはサンゴ礁が嫌い」
沖合を見ると、岸から割と近い場所に白いサンゴの塊があった。
改めて見つけたノートを見て見ると、失踪した人たちの名前らしきものが記載されていた。
「ホテルへ来た交通手段は、飛行機から何もかもホテルが用意したもの、パスポートは金庫に保管されている。僕たちがいなくなったとしても、どのようにでも細工できる」
二人はサンゴ礁まで泳いで行き、潜ると中にサンゴに囲まれた通路のようになっていた。通路を泳いで進む二人だったが、マドックスのショールがサンゴに引っかかってしまった。二人で外そうとするが、取れない。

遠くの山では、サンゴ礁に向かう二人を録画しなから双眼鏡で観察している男がいた。バスを運転して来た男だ。
「二人ともサンゴ礁に向かいましたが、2分以上経過しても現れません」と誰かに無線で報告している。
「前回は大変だったんだぞ。本当だろうな?」
「はい。溺れたと思われます。実験終了、撤退します」
そう言って、男は機材を持ち、客を降ろしたところに止めてあったライトバンに乗り、研究所のようなところへ移動する。
そこは何かの実験場のようだった。
ホテルの支配人がみんなに言う。
「嬉しいお知らせです。73回目の実験が終了しました。まず、亡くなった協力者に黙祷を捧げましょう」形式的にみんなが黙祷する。
そこにはウェルカムドリンクを運んで来たマドリードもいた。

「てんかん発作の治療薬は、服用してから8時間発作を抑えることができました。つまり、16年間発作を抑えられたのです」研究員がみな嬉しそうな顔で拍手をする。
「精神疾患の患者は、残念ながら効果は認められませんでした」研究員の一人が「だから精神疾患と内科的疾患の患者を混ぜるなって言ったのに」と言う。
マドリードは支配人の話を誇らしげのような不安げでもあるような、不思議な表情で聞いている。
「次の患者様が到着です。さあ迎えに行きましょう」

なんのために早く老いる場所に閉じ込めたのか?
時間を短縮して治験を行うためだったのだ。
確かに数十年かかる治験が数日で結果が出るとしたら、研究は捗るわな…
なるほど〜〜!と思った。

ホテルのロビーではイドリブが昨日の子と遊びたい、と支配人に言うが、「あの子たちはダメだ。あそこの子ならいい。遊んでおいで」と、プールにいる子供たちを指し示す。

マドリードが新たな客にウェルカム・ドリンクを振る舞おうとするが、そのグラスを誰かがぶつかって床に落として割った。
「新しいものをお持ちします」
「そのドリンクは飲まないほうがいいよ。毒が入っていて飲むと死んじゃうから」
そう言って現れたのはトレントとマドックスだった。
驚くマドリードと支配人。
マドリードは、自分が「治験の薬」を患者に飲ませていたとは知らなかったのかもしれない。かなり驚いた表情をしていた。

そこへやって来たイドリブに「君のおかげだ」と暗号が書かれた紙を渡すトレントだったが、イドリブは50代の男の手から、不思議そうな顔で受け取った。

サンゴの通路でショールを外そうと2人で頑張った結果、サンゴにヒビが入り割れたため、なんとか泳いで出口までたどり着けた二人。そこには魚がたくさん泳いでいて、「急速に老いる」作用は働いていないことを悟ったのだった。

プールサイドには昨日の警官がおり、そこへ「あなたは警官ですよね?これを。失踪者のリストです」とノートを渡す。警官はノートの内容を把握し、警察署へ連絡をして事情を報告した。
全てが明らかになり、ウォレン製薬会社は検挙された。
トレントとマドックスはホテルからヘリで叔母が迎えにくるというところまで送ってもらう。
「おばさん、びっくりするよね。現れる甥と姪は50歳代なんだから」

歳をとる浜辺の波打ち際に、女性がしていたネックレスが波に洗われていた。

運転手、シャマラン監督だったのか〜監督の顔をすぐ思い出せるほど覚えてないので、気づいてなかったよ。
イドリブは「従業員の息子」と言っていたが、「おじさん」とは誰なんだろう?支配人は西洋人、イドリブは東南アジア系と思われる顔つきなので、血のつながりは無い。
それとも、治験者の子供とか、何かいわくがあるのだろうか?

評価:2b


ファンタジア【極上音響上映】

監督:ベン・シャープスティーン
脚本:ジョー・グラント/ディック・ヒューマー
製作:ウォルト・ディズニー
ナレーター:ディームズ・テイラー

出演
ディームズ・テイラー/レオポルド・ストコフスキー/ミッキー・マウス

【日本最終】ディズニーアニメーション作品の最高傑作と称えられる伝説的傑作の日本リバイバルの掉尾を飾る、綿密な音響調整を行って贈る、ハイクオリティサウンド上映

と謳われているが、何しろ80年も前の映画であるため、すばらしくいい音、とは言い難い。ステレオだが、割れてるところは割れてるし…
しかし、BDを再生して比べるとやっぱり低音が重厚だった。
映像は家のTVで見る映像より色が綺麗だ、と思ったが、BDでリマスター版はなかなかクリアで綺麗だった。VHSビデオの印象が刷り込まれてしまていたのかも?
久しぶりにBDを再生したら、ブロックノイズが出て再生が止まってしまった。ファンタジアとファンタジア2000が両方入っているダイアモンド・コレクションだが、2枚ともダメ。2つあるBDプレイヤー両方で再生してみたが、両方とも同じところで止まる。他のBDメディア(美女と野獣とか、アマデウスとか)は問題なく再生できるのに…
こんなことってあるのか?

クラッシックコンサートみたいなものなので、絶対眠くなると思ってコーヒー飲んでがんばったが、やっぱり後半ちょっと眠くなってしまった…
しかも、途中でいびきかいてるヤツがいるし。

遥か昔、今はない新宿の東映パラスで上映されていた時に見に行ったことがある。その時は子供がいて退屈しておしゃべりしていた…
20年くらい前と思ったけど、レビューの記録がないので1999年以前になるのかもしれない。

「金平糖の踊り」の光の粒は、穴を開けた光の粒の後ろから、ライトを当てて撮影したらしい。
花のワルツの雪の結晶は、プレートを撮影して合成したそうだ。そしてあの氷の上を滑る奇跡は、どうやって撮影したんだろう?

枯葉のツルの部分が変わるのは消し込みだと思うのだが、氷がつく枯葉は書きながら撮影したとしか思えない。描きながら撮影したらしい、と聞いたこともある。
25年くらい前かな、新宿に三越美術館があった頃、ディズニー展が催されてセル画などの展示があって、その時は白雪姫(このセル画はベコベコであった)、ファンタジアは時の踊りなどが展示されており、映っていないところもちゃんと描かれていた。
縦長のセル画だった。
タイムシートなんかも展示されていた。

その後、東京都現代美術館で漫画とアニメの展覧会で、ファンタジアが2〜3点展示されたので見に行った。その時は花のワルツの背景画が展示されていたけど、本当に背景だけで妖精などのキャラクターは一切なかったので、消し込みだったのかな、と思ったのだった。高さが普通サイズ?よりも若干大きいくらい、長さは1メートルちょっとくらいだと思う、それほど大きくなくて、意外だった。

あし笛の踊りで水の流れる表現がまるでCGで作る水面のよう。
そしてアラビアの踊りの金魚が身を翻した後の画面の揺れ。
80年前に撮影されたとは思えない。

空の映像が、オーバーラップを重ねているのか、不思議な感じだった。
アヴェ・マリア、暗い通路のようなところから遠くへズームインしていくところ、切れ目なくかなり寄って行っているので、ピノキオレベルの撮影台なのかもしれないと思ったら、3枚重ねの撮影機だったそうだ。
最後のシーン、何かを貼り付けたような跡が見える気がするのは、気のせい?

途中で15分休憩、と出て、休憩?休憩なんかあったっけ?と思ったが、休憩にはならずそのまま上映が続いた。
美女と野獣もそうだけど、字幕がかなり端折られている感じがする。禿山の一夜は字幕では「ヴァルプルギスの夜」と訳されていたが英語で「ハロウィーン」と言っていたぞ。

評価:1f


 

紫堂トップページシネマの部屋|