この世界の(さらにいくつもの)片隅に【極上音響上映】

原作:こうの史代
監督/脚本 :片渕須直
監督補/画面構成 :浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督 :松原秀典
音楽 :コトリンゴ
企画 :丸山正雄
プロデューサー:真木太郎(GENCO)
アニメーション制作 :MAPPA
配給 :東京テアトル

声の出演
北條すず:のん           北條周作:細谷佳正
黒村晴美:稲葉菜月         黒村径子:尾身美詞
水原哲:小野大輔          浦野すみ:潘めぐみ
北條円太郎:牛山茂         北條サン:新谷真弓
白木リン:岩井七世         テル:花澤香菜
浦野十郎:小山剛志         浦野キセノ:津田真澄
森田イト:京田尚子         小林の伯父:佐々木望
小林の伯母:塩田朋子        知多さん:瀬田ひろ美
刈谷さん:たちばなことね      堂本さん:世弥きくよ
八木菜緒(文化放送アナウンサー)  澁谷天外(特別出演)
荻野沙織、桜奈里彩、巴奎依、広瀬ゆうき、水希蒼

2016年に公開された版は、原作からいくつかのエピソードをカットして公開され、その理由を監督は
「戦争だけでも辛いのに、更なる苦しみを与えられて立ち直れるのか?」
「大事なところをあえてカットして作れば『これじゃあ話にならない』と言う言う人が出て、また作れるかも知れない」
と言ったとか。

今回の作品は30分くらい、主にリンとのエピソードが追加されていた。
2016年版のリンは、遊郭へ迷い込んだすずに道を教えてくれた女性、という役割しかなく、すずは「絵を描いて持ってきてあげる」と言うが、その後のエピソードはない。
しかし、今作ではすずが絵を描いて持ってきて見せた時に、リンが「字が書けない」と言うことを知ったすずが「それじゃあ、何かあった時の迷子札?がなくて困らない?」と問うと「親切なお客さんが書いてくれた」とハガキくらいの大きさの紙を見せる。

その後、周作がすずと結婚することにしたいきさつを「周作から子供の頃に会った海苔の養殖をしている”浦野すず”と結婚したい、と言われて、苦労して探し出した」と親戚から聞くが、その時に「遊女を身請けしたいと言い出し、かなりの大金を貸してしまった」ということを伯父がぽろっと言ってしまう。
はっとなって、以前に周作が持ってきてくれと頼んだノートを引き出しから取り出すと、リンが見せてくれた紙と同じ色で、同じくらいの大きさが裏表紙から切られてなくなっていたのだ。

その夜、すずは周作との「夜の営み」を拒むというか、乗り気でないような態度を取る。
このシーンはすごく生々しかった。
その時周作は「子供がなかなかできず、周囲から言われるから」だと思ったわけだが、その後、すずがリンのことを知ったことを悟る。

納屋を整理していたらピンクの茶碗が出てきたが、すずが北条家の人たちに聞くと「すずさんが持ってきたのでは?」と言われる。周作に聞くと「お嫁さんに来てくれる人のために用意した」と言われたため、すずはリンのいる遊郭へ茶碗を持っていくが、リンという者はいない、と追い返されてしまう。
敷地内へ入っていくと、窓から表を眺めているテルという少女がいた。テルは客となった水兵に無理心中をさせられたらしく、ひどい風邪をひいていた。それでも、この後客を取らないとならない、と言う。
すずがリンのことを聞くと今は座敷へ上がっているから会えない、と言われたので、テルに茶碗を渡してくれと頼む。
こんな時勢じゃなければ南国へ行きたい、というテルのために、すずは雪の上に南国の絵を描いてあげるのだ。

2016年版のぽわ〜んとしたすずは、楽観的でファンタジーの世界の人のようにも思えたのだが、悩みを抱えながらも生きている生身の人、という感じだった。
よく考えて見たら、10歳頃に1度だけ会ったことのある女の子を、10年も思い続けて嫁に…というのは、不自然ではないか?
周作がリンの境遇に同情したのか本当に惚れたのかはわからないが、リンを遊郭から連れ出すために叔父に借金をしたりしたため、親戚一同で周作の説得をしたらしい。周作は諦める条件として「海苔を養殖している浦野すず」となら結婚する、と到底探し出すことは不可能なことを言ったのか、思いがかなわないなら子供の時にあった少女と、と思ったのかはわからない。(私は前者だと思った)
リンは周作には特別な思いはないようだったが…。

公園で桜を見る集まりがあり、リンと再開するすず。
二人で木に登り、テルはどうしているかリンに聞くと、「亡くなった」と聞かされる。テルの遺品の桜の花びらの絵がついた紅入れをあけて、薬指ですずの唇に紅をさすリン。
この紅入れは2016年版で意味あり気に描かれていたのだが、特別何もなく不思議に思っていた。
「死ぬまで秘密をかかえていることは、悪いことではない」と言うリンに、リンと周作が会いはしないかと気がきではなかったすずは「うちはリンさんに何もかもかなわん気がする」と言う。
紅入れをすずに渡しリンは仕事があるからと戻って行くが、そこへ周作がすずを探しにこちらに近づいてくるのが見えた。二人は軽く会釈しただけで別れて行くのを木の上から見るすず。

水原が訪ねてきた時も、周作は家に鍵をかけてすずが戻ってこれないようにしたのは、2016年版だとすずが普段見せない一面を水原にはしていることで、周作は「水原のことを思っていたのか」という気づかいだけしか感じ取れないが、リンの一件があると、すずへの罪滅ぼしというか、自分から離れられる理由を作ってあげようとしているのかとも思った。
2016年版ではぼかしたような描かれ方だったと思うが、今作でははっきりとすずと関係を持つことを望んだ水原に、すずは「周作が好きだから」と拒んだ。

爆撃にあい、晴美と右手をなくしたあと、道を歩いていて戦闘機から射撃され、周作がすずをかばって側溝に隠れ、すずが「家に帰る」と言い張るところ、リンとの一件があるとないとでは、意味合いがかなり違ってしまう。
右手をなくしたことも理由のうちだろうが、リンのことがあってここにはいられない、という気持ちの方が優っているように思える。
爆撃がおさまり、リンを心配するすずを連れて街へ出ると、周作は遊郭への道を教えた。遊郭のあった場所は街全体が破壊され、建物は全くなく、街の入り口にあった柱だけがかろうじて残っているだけだった。すずはリンがいた置屋があった場所へ行ってみると、すずが渡した茶碗のかけらが落ちていたが、人の姿はなく、生きていた人はいなかったのではないかと思われた。

終戦後、妹の見舞いで広島へ行き、橋の上で周作が「ここですずと初めて会った」と話し、すずが「うちを見つけてくれてありがとう」と言うところは、2016年版だと正直「見つけてくれて」がしっくり来なかったが、リンの一件ですずと再会し、色々なことを乗り越えて、新しい夫婦のスタートを切る、という意味合いが強くなっていたと思う。

経子が分けてもらってきた小松菜の種、雨どいに蒔いたやつどうなったのか知りたかった。

評価:1g


 

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け

監督:J・J・エイブラムス
脚本:J・J・エイブラムス/クリス・テリオ
原案:コリン・トレヴォロウ/デレク・コノリー
原作/キャラクター創造:ジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
製作:キャスリーン・ケネディ/J・J・エイブラムス/ミッチェル・レジャン

レイア・オーガナ:キャリー・フィッシャー(アーカイブ出演)(高島雅羅)
ルーク・スカイウォーカー:マーク・ハミル(島田敏)
カイロ・レン:アダム・ドライバー(津田健次郎)
レイ:デイジー・リドリー(永宝千晶)
フィン:ジョン・ボイエガ(杉村憲司)
ポー・ダメロン:オスカー・アイザック(小松史法)
C-3PO:アンソニー・ダニエルズ(岩崎ひろし)
ジャナ:ナオミ・アッキー(平野夏那子)
ハックス将軍:ドーナル・グリーソン(川本克彦)
プライド将軍:リチャード・E・グラント(金子由之)
マズ・カナタ:ルピタ・ニョンゴ(杉本ゆう)
ゾーリ・ブリス:ケリー・ラッセル(甲斐田裕子)
チューバッカ:ヨーナス・スオタモ
ローズ・ティコ:ケリー・マリー・トラン(冠野智美)
パルパティーン皇帝:イアン・マクダーミド(青森伸)
ランド・カルリジアン:ビリー・ディー・ウィリアムズ(若本規夫)
テミン・“スナップ”・ウェクスリー:グレッグ・グランバーグ
バブ・フリック:シャーリー・ヘンダーソン
コニックス中尉:ビリー・ラード
BB-8:ブライアン・ヘーリング&デイブ・チャップマン
D-O(声):J・J・エイブラムス
クロード:ニック・ケリントン
ダーシー中佐:アマンダ・ローレンス(磯西真喜)
ブーリオ:エイダン・クック(声:マーク・ハミル)
ナイン・ナン:マイク・クィン(声:キプサン・ロティッチ)
ウィケット・W・ウォリック:ワーウィック・デイヴィス
ウェッジ・アンティリーズ:デニス・ローソン
カイ・スレナリ:ポール・ケイシー(声:マシュー・ウッド)
スノーク(声):アンディ・サーキス(壤晴彦)
ダース・ベイダー(声):ジェームズ・アール・ジョーンズ(楠大典)
R2-D2:ジミー・ヴィー
ボーモント・キン:ドミニク・モナハン
ハン・ソロ:ハリソン・フォード(磯部勉)

先人ジェダイの声
アナキン・スカイウォーカー:ヘイデン・クリステンセン(浪川大輔)
ルミナーラ・アンドゥリ:オリヴィア・ダボ
アソーカ・タノ:アシュリー・エクスタイン(伊藤静)
アイラ・セキュラ:ジェニファー・ヘイル
メイス・ウィンドゥ:サミュエル・L・ジャクソン(玄田哲章)
オビ=ワン・ケノービ:ユアン・マクレガー & アレック・ギネス(森川智之)
ヨーダ:フランク・オズ(多田野曜平)
アディ・ガリア:アンジェリーク・ペラン
ケイナン・ジャラス:フレディ・プリンゼ・ジュニア(白熊寛嗣)
クワイ=ガン・ジン:リーアム・ニーソン(津嘉山正種)


すっごい爆音だった。
音がすごいというよりは、振動がすごい。久しぶりにブルブル来た。
ふるわせ方にちょっとこだわりを感じた。
しかし、長すぎて中盤ちょっと眠くなってしまった。

前作の公開後にレイア役のキャリー・フィッシャーが死去し、どうなるんだろう?と思ったが、普通に出演していた。今までに撮ってあった映像をつなぎ合わせての出演だそうだ。話の流れはおかしくなく、自然に組み込まれていた。
どうしても足りない部分は、キャリー・フィッシャーの娘が演じた映像をCGで加工したらしい。

いつものスター・ウォーズのテーマに乗って現れる説明文、いきなり「パルパティーンは死んでいるが言葉も発せて死んでない」とか、すごいことをさらっと語ってるんですけど!
「夜明け」ということは新しい始まり、ってことだけど…こういう始まり?








ネタバレのあらすじ










スノークが殺され、最高指導者となったカイロ・レンは、どこかの惑星を襲撃し、三角形の物体を手に入れる。
この戦いがすごい爆音で、久々にすごい揺れと振動だった。

この三角形の物体はのコンパスで、コンパスに導かれたどり着いた場所は惑星エクセゴル。
地下の施設に降りていくと、なんと死んだはずのパルパティーンのゾンビ?がいた。
死んでいることには違いないようなのだが、よくわからない装置に繋がれ、話すこともできる。
そこにはプラントのようなものに入ったスノークと思われる物体があり、世話をしている者もいた。
パルパティーンはスノークを作ったのは自分であり、レイを殺せとカイロ・レンに命じる。
そうすれば、ファイナル・オーダーが銀河を征服し、真の帝国となり、レンをその皇帝にしてやる、と言うのだ。

ダメロンは、ファースト・オーダーにいるスパイから情報をもらうため、ミレニアム・ファルコン号で敵陣に乗り込んだ。
何とかデータをコピーし終わったが、ファースト・オーダーの追跡を逃れるために連続ジャンプを繰り返し、ファルコンは火を噴いて基地に戻ったため、連続ジャンプをしたことをレイにものすごく怒られた。
レイもジェダイの訓練がうまくいかず、木々を切ったらDD-8が下敷きになり部品が外れてしまったので、そのことでダメロンに文句を言われる。

クレイトの戦いで残されたレジスタンスの人数は、レイやレイアを含め10数人。
惑星エイジャン・クロスのクロスランズの森の中に基地を置き、レイはレイアのもとで宙に浮いたり、先人のジェダイの声を聞くフォースの訓練をしていた。

ダメロンが手に入れたスパイからの情報で、パルパティーンが生きていること、ファイナル・オーダーという軍隊を準備していること、パルパティーンとその軍隊は惑星エクセゴルにいることがわかるが、惑星エクセゴルの場所はどこだかわからず、未知の領域にあるらしいことだけがわかる。
かつてルークもエクセゴルを探していたが、発見することはできず断念していたのだ。
レイは、ルークがいた惑星オクトーからジェダイの書物を持ち出してきており、書物に「2つあるウェイファインダー」がその場所へ導く、という記載をみつけ、レイアに話す。
ルークが持っていた本、ヨーダが雷を落として保管していた木ごと燃やしてなかったっけ?

レイアの反対を押し切って、ウェイファインダーを探しにフィン、ダメロン、チューバッカ、C-3POと共に、ルークが最後に探索していたという惑星サパーナへ向かった。
フィンはローズと別れることになるが、別れ際もその前の会議?相談?のシーンでも、フィンとは全然接触がなく、あんなにラブラブそうで前作は終わったのに、なんで?と思った。

サパーナへ降り立つと、42年に1度の盛大なお祭りが開催され、象のようなサパーナ人が踊っていた。
現地の子供に首飾りをもらい、レイは名前と名字を聞かれるが、「ただのレイよ。名字はないの」と答えるレイ。なんで名字をわざわざ聞くんだろう…と若干不自然に思ったが、これはラストの伏線だったのか。
なぜ42年に1回かというと、スターウォーズの公開が42年前だからだそうです。

ふいに辺りが暗くなり、レイはレンの気配を感じ振り返ると、カイロ・レンが立っていた。
癇癪をおこしてメチャメチャになっていたマスクを修理して被っていた。レンは「パルパティーンからお前を殺すように言われた」と言い、フォースでレイの首にかかっていた首飾りを奪い取る。
我に返ったレイはトルーパーに見つかって殺されそうになるが、仮面をかぶった男が放った矢がトルーパーを貫いた。男は自分の家?隠れ家?にレイを連れていき、仮面を取ると、その正体は30年前のエンドアの戦いで、反乱軍の将軍だったランド・カルリジアンだった。「ウーキーは目立つからな」と言うランドに、チューバッカは再会を喜ぶ。

ランドからルークがオーチというシスを追っていたことを聞き、オーチの宇宙船はこの星で発見されたがオーチ自身は見つけることができなかったことを教えられる。「一緒に来ないか」とダメロンはランドを誘うが「もう、何かの行動を起こすつもりはない。この星に骨をうずめるつもりだ」と断られてしまった。

カイロ・レンは奪った首飾りがサパーナ星の物であることを調べ、レイを殺すべくトルーパーを差し向ける。
宇宙船に向かう途中でレンが差し向けたトルーパーは、ロケットのように宙を飛んでくるが、何とか撃墜してレイたちは宇宙船の場所へたどり着いた。しかし砂地に降り立つとアリジゴクのように流砂に飲み込まれ、砂の下へ吸い込まれてしまった。
フィンは今までにもレイに何かを言おうとしていたが、落ちる直前、フィンはレイに決心したように何かを告白しようとして、そのまま砂に飲み込まれる。
落ちた先は迷路のような地下空間で、壊れたスピーダーと人骨があり、近くに短剣が落ちていた。
その短剣にはシスの古代文字と思われる言語が刻まれており、「すべての言語が翻訳できる」というC-3POに解読を頼んだら「読むことは出来ますが発音できません。シスの言語は発音禁止とプログラミングされているのです」と言われてしまった。
突然大蛇が現れ、襲われるかと思いダメロンとフィンがブラスターを構えるが、レイが二人を止めて大蛇に近づいていくと、傷を負っていた。レイが傷に手をかざし、力を注ぎこむように念じるとなんと傷が癒えたのだ。傷が治った大蛇は何もせず去っていった。
フォースが単なる超能力に思えて来た…

地下道をたどると表に出られたが、レンが差し向けたトルーパーが到着していてファルコン号で脱出することは無理そうだったため、オーチの宇宙船で脱出することにし宇宙船に乗り込むが、レイが何かを感じて一人表に出てしまう。
操縦席からその様子を見ていたフィンは、チューバッカにレイを助けるように言い、チューバッカも表へ出ていくが、トルーパーたちに見つかり、輸送船に乗せられてしまった。
遠くからレンが乗るタイ・ウィスパーが近づいてくるのが見え、後ろ向きでライトセイバーを構え待機するレイ。走り出して最接近したタイミングでジャンプし、片方の翼を切り落とすと、タイ・ウィスパーは墜落炎上する。(予告で流れているのはこのカット)
中から出てくるレン。
フィンが「チューイが捕まり、輸送船に載せられた」とレイに知らせると、レイは飛び上がった輸送船に手をかざしフォースの力で引き戻そうとする。レンも同じくフォースで輸送船を引き戻そうとしたが、力が拮抗していたため輸送船はどちらにも動かない。しびれを切らしたようなレイの指先から稲妻のような閃光が走り、輸送船は爆発炎上した。
「チューイが!!」動揺するレイを宇宙船に載せ、脱出するレイたち。
この「フォース・ライトニング」とやらは、シスが発動できる技だそうで、レイが何者なのかの伏線になっていたらしい。

一方、スター・デストロイヤーでは、会議が行われ、ハックス将軍が輸送機を1機失ったが、もう一機の輸送機で捕虜を確保した、と報告する。格納庫で輸送器から降りてきたのはチューバッカだった。また、オーダー内にスパイがいるようだ、という話が報告される。

レイはチューバッカを殺してしまったと思い落ち込み、また「シスの皇帝の座にレンと自分が座っているビジョンを見た」とフィンに話す。
短剣はレンに奪われてしまい、ウェイファインダーの在処がわからなくなってしまった…と話していたら、C-3POが「私のメモリには残っていますよ。話すことはできませんが」と言う。発音させるためには危険な作業を行う必要があり、有能なハッカーじゃないとできなかった。
ダメロンは「当てがある」と言い、一行は惑星キジーミへ。BB-8がオーチの宇宙船に転がっていたドロイドに充電すると動き出し、「D-o」と名乗った。BB-8にはなついたが、レイが「よろしく」と手を差し出すと「結構です」とつれない。「余程酷い目に合わされたのね…」と同情するレイ。

キジーミに着くといたるところにトルーパーがいて、見つからないように移動していたが、ダメロンはゾーリというマスクを被った女性に銃を突きつけられる。彼女は以前ダメロンとスパイスの密輸を行なっていた仲間だったが、二人の間には何かのトラブルがあったようだった。ゾーリに修理屋のバグ・フリックのところへ連れて行って欲しいと頼むと、文句を言われるが、トルーパーがやって来たので「こっちよ」と案内してくれる。
バグ・フリックはメモリのロックを解除すると、C-3POが初期化される、つまり今までの記憶は全てなくなり、作られた時の状態に戻ってしまうという。C-3POは最初拒否するが、それ以外に道はないことを理解し、メモリのロックを承諾する。レイや、フィン、ダメロンの顔を一人ずつみつめて「最後に友人たちの顔を焼き付けたい」と言った後、ロックを解除され目が赤く光って座標の数値を言ったのち、再起動?したC-3POは「はじめまして、私プロトコルドロイドのC-3POと申します。以後お見知り置きを」と、最初の挨拶をした。

情報を取り出せた一行はキジーミを後にしようとするが、ゾーリはダメロンに「一緒に来ないか」と誘い、ファースト・オーダーをフリーパスで通過できるという通行メダルを見せる。しかしダメロンは「やるべきことがある」と断った。
カイロ・レンがスター・デストロイヤーでキジーミに到着すると、レイがチューバッカの気配を感じ取る。「チューイは生きてた!」一行はスター・デストロイヤーへチューバッカを助けに行くことにし、ゾーリはメダルをダメロンに「使って」と渡す。

メダルを使うと、スター・デストロイヤーに着艦できた。レイが以前にやっていたように、トルーパーをマインド・コントロールしながら進んで行き、ダメロンとフィンはチューバッカを探し、レイは奪われた短剣を探すため二手に分かれた。短剣が置いてある部屋は真っ白な部屋で、ダース・ベイダーのマスクが置かれていたため、レイはそこがレンの部屋であることがわかった。短剣を手に取るとフォースでレンがそこに現れる。レンは「あのときなぜ俺の手を取らなかった」と言い、レイの両親を殺したのはパルパティーンだと言う。「どういうことなの」と問うレイに「直接会って話す」とライトセイバーを構える。傍らに置いてあるベイダー卿のマスクを見て、トルーパーに「俺の部屋だ。捕らえろ」と命じる。

ダメロンとフィンはチューバッカを救い出して一緒に逃げるが、トルーパーに追われ捕まってしまった。ハックス将軍が「私がやる。かせ」とブラスターを構えるが、なんとトルーパーたちを撃ったのだ。
ダメロンたちを解放して「私がスパイだ」と言い、トルーパーを撃ちまくりながら通路を進んで行く。「ファルコン号も格納されていて、そこの扉から行ける。このままだと私が疑われるからその前に私の腕を撃っていけ」と言う。ダメロンは腕ではなく足を撃ち、なぜスパイをするのだという問いに、「カイロ・レンが負けるところを見たいから」と答るハックス将軍。

トルーパーは、何故あんな動きにくい装備なんだろう…
そして、Ep7で子供をさらってきてトルーパーにしていることが分かった訳だが、中身は人間なのに、バンバン撃って殺しちゃってるんだけど、いいの?と思ってしまう。

レイは部屋から脱出するが、カイロ・レンも格納庫へ戻ってくる。レイはレンに言われる。
「あのときはお前の両親はただの飲んだくれだ、と言ったがそうじゃない。すべて教えてやろう。お前はパルパティーンの孫、レイ・パルパティーンだ。お前の両親は平凡な暮らしを望み、お前の居場所を隠し通したため、パルパティーンに殺された。俺の母はベイダーの娘、お前の父はパルパティーンの息子。パルパティーンにお前を殺せと命じられたが、二人でパルパティーンを倒し新たな帝国を作ろう」

ファルコン号が近づいて来たため、レイはジャンプしてファルコン号で脱出する。
ハックス将軍はプライド卿に「チューバッカに逃げられた。防ごうとしたが打たれてしまった」と報告するが、射殺されてしまう。あっけなさすぎて拍子抜け。
そして惑星キジーミは、スター・デストロイヤーに粉々に破壊された。

C-3POが伝えた座標は、惑星エンドアの衛星だった。広い草原の端が断崖絶壁になっていて、荒れ狂う海の中に巨大なデス・スターの残骸があった。
「あの中の、一体どこにウェイファインダーがあるんだろう」
しばらく考え、レイは短剣の柄が外れることに気づき、外すと中から透かし模様が現れた。デス・スターの形に当てはめるようにかざすと、短剣に作られた丸い突起と重なる部分があった。「あそこだ!」

こんなお手軽?な方法で???
海に「沈没」しているデス・スターだが、この傾き加減に合わせて短剣を作ったと言うことなんだろうか?
何かで同じことをやっているのを見た気がするのだが、思い出せない。

そこへ現地住人と思われる4人が不思議な獣に乗ってやってくる。フィンがファルコン号を修理するための部品を調達できるかと、デス・スターヘ渡る手段があるか尋ねると、「渡ることはできるが、今日はやめたほうがいい。明日船を出そう」と言われた。
今すぐにでも行こうとするレイをなだめるフィン。
一行はファルコンの修理をし、現地住人の女性は「ジャナ」と名乗るが、子供の頃にさらわれてトルーパーになっていたので、自分の出自はわらかないと言う。ここにいるみんなは一緒に脱走したトルーパーだとジャナは話す。フィンもかつてはトルーパーだったことを話す。

気が付くとレイがいない。
何と荒れ狂う海をジャンプして、一人でデス・スターへ渡っていってしまった。
フォースの力でデス・スターへとたどり着き、中の残骸を登っていき、短剣が示した場所にたどり着くと、そこは朽ち果てた玉座の間で、三角形のウェイファインダーが宙に浮いてくるくる回っていた。
ウェイファインダーを手にした瞬間、レイは森の中にいた。黒いフードを被ったもう一人の自分(レイ)がいて、カイロ・レンが持っている赤い十字のライトセイバーを持って自分に襲い掛かってくる。必死に戦うレイだったが、ウェイファインダーを投げ出すと、そのビジョンは消えた。その場にカイロ・レンがいて、拾ったウェイファインダーを握りつぶして壊してしまう。
「これで俺と来るしかなくなったな」
レイは怒ってレンに向かって行き、ライトセイバーで激しい戦いになる。
表に出て、海上に出ているようなコンテナの上で戦うが、レイが何度挑んでもレンは倒せない。レイに疲れが見えてきた時、レンには「ベン…」と呼びかけてくるレイアの声が聞こえた。
レイアは体が弱ってきており、病床からレンに語りかけてきたのだ。レイアは手に持っていたメダルを見つめながら、そのまま力尽きた。
躊躇するレン、そのすきにレイはレンのわき腹にライトセイバーを突き刺す。

自分の行動にはっとなったレイは、涙を浮かべながら手をレンの腹部に当てフォースで傷を癒した。
我を忘れて行動して…というよりは「刺してみました、治してみます」のような印象だった。
レンの傷が癒えると、レイは「本当はベンの手を取りたかった」と言い、レンが乗ってきた飛行機に乗り込んで去っていく。
レンは取り残されちゃったけど、いったいどうやって帰るんだ??
レンがその場に立ち尽くしていると、背後から「息子よ」と言う声が聞こえ、振り返るとハン・ソロが立っていた。
「お前の息子は死んだ」とハン・ソロに言うと「カイロ・レンは死んだ。だが、ベン・ソロは生きている」と答えるハン・ソロ。「すべきことは何か、わかっているけど、できるかどうかわからない」と涙声で言うベンに「大丈夫。まだ戻れる」と答える父親。「父さん…」と涙を流すベンに「わかってるさ(I know)」と答えるハン・ソロ。
落ちていたライトセイバーを拾い、ベンが荒れる海に投げ捨てて振り返ると、ハン・ソロの姿は消えていた。

自分がシスの皇帝の椅子にカイロ・レンと一緒に座っているビジョンを見たレイは、ルークが籠っていた孤島に戻り、乗ってきた飛行機を燃やし、ライトセイバーも炎の中へ投げ捨ててしまう。
ルークの幻が現れ、レイが投げたライトセイバーをキャッチして「粗末に扱うんじゃない」とレイに渡す。
ヨーダのように、死んでも思念は消えず会話もできるようになってる…
そしてレイアが使っていたセイバーを渡し、「おまえはここで何をしている。ジェダイは皆、恐れと戦ってきたのだ」
自分は恐れに負け、ベン・ソロに恐怖を抱いた。レイには同じ道を歩んで欲しくない…そう言うルークに「飛行機がないし道しるべもない」とレイは言うが「ある」と答えるルーク。
確か海の中に飛行機沈んでたよね。
そして、ベンの飛行機にはウェイファインダーが残されていた。
X-ウイング、懐かしの機体で懐かしのヘルメットを被って、レイは惑星エクセゴルへ向かう。

フィンとダメロンたちは、元脱走トルーパーのジャナたちを連れて基地へ戻るが、レイアが亡くなったことを知りショックを受ける。さらに、ファイナル・オーダーの襲撃が始まり、惑星キジーミの破壊の知らせが入る。
レジスタンスへ協力の要請を発信するが、前回のクレイトの戦いで誰も応援に来てくれなかったことが思い出される。
「いや、きっと来てくれるはずだ。信じて待とう」
しかし、ファイナル・オーダーへの戦いを挑もうにも、惑星エクセゴルの場所がわからない。
こんなに大事になっているのに、本当にその場所わからないのかなぁ…と不思議に思う。
すると、R2-D2がルークの機体の信号を受信した、レイが乗っている、と言う。その信号をたどって、レジスタンスは仲間を集めながらエクセゴルへと向かう。

エクセゴルに着いたレイは、エレベータに乗って地下へ降りると、パルパティーンが待っていた。
パルパティーンは「私を殺して復習を完成し、シスの女帝となるのだ」と言う。
レイは「お前の言う通りにはならない」と、周りにいたシスの騎士?を倒す。

レジスタンスがエクセゴルに到着すると、艦隊にはデス・スターの砲弾口があり、これを使用されるとレジスタンスは全滅してしまうため、発射信号を送る司令塔を破壊する作戦を取ることにする。
指令室を破壊するが、信号系統は破壊できなかったため、電波を受信するアンテナを破壊するためにフィンとジェナが艦隊へ降り、甲板を移動して回線の切断を試みる。

ベン・ソロがエクセゴルに着き、地下へと移動してくるが、トルーパーの武器しかなく、取り囲まれてしまう。
レイはベン・ソロが来たことを感じる。
パルパティーンは「お前が女帝となれば、戦いは終わる。私を殺すのだ」とさらに言い、その言葉に従ってレイはライトセイバーを握った手を大きく背中へ振り上げ、パルパティーンに振り下ろすが、その手にはライトセイバーはなく、ベンの手へとジャンプしていた。ライトセイバーを受け取ったベンは、シスの騎士を倒していく。
レジスタンスを攻撃し始めたため、レイはレイアの黄色いライトセイバーを取り出しパルパティーンに挑みかかるが、パルパティーンは強力なフォースでレイを動けなくしてしまう。

反乱軍に攻撃をしかけたため、レイはパルパティーンを殺そうとしたように見えるのだが、殺したらシスの女帝になってしまわないのか?と矛盾を感じた(殺すと自動的に皇帝に昇格すんのかと思った)。これはシスは師と弟子2人で行動するが、弟子が師を殺すことによってシスのマスターになることを踏襲しようとしていたらしい。パルパティーンを殺すことによって、真のシスとなるということなんだそうだ。

レイからフォースを吸い取るパルパティーン。ゾンビ映画みたいにちょっとずつ蘇ってパワーアップ!
そしてレジスタンスの戦闘機や宇宙船を攻撃し始める。
そこへレンがたどり着き、パルパティーンを倒そうとするが、「最後のスカイウォーカーは死ぬべきだ」とパルパティーンの一撃を受け、立っていた足場が崩れて奈落の底?へ突き落された。

レジスタンスの呼びかけに、たくさんの船が応援に来てくれた。ランドも応援にかけつけた。
他の星々からも、応援に宙をかける船が飛び立ち、それを見送るイウォーク。
フィンとジェナは、アンテナへ続いているケーブルに爆薬を設置。足場が悪くなってくるが、爆発させて、パラボラアンテナをヒューズさせた。艦隊が平行を保てなくなったようで、フィンとジェナは滑り落ちるが、ファルコンがうまく二人をキャッチして救出する。

「やるのだ、レイ」次々にレイに語りかけるジェダイたち。オビ=ワンとか歴代のジェダイなんだよね…と思って聞いていたが、ヨーダの声しかよくわからんかった。
レイは力を振り絞り、レイアのセイバーとレンが落としたルークのセイバーを両手に持つ。パルパティーンが上空への攻撃をやめ、レイにスパークの攻撃を浴びせ、それをセイバーで防ぐレイ。

ついにレイが霊廟みたいなところをパルパティーンごと破壊するが、力尽きて目を見開いたまま動かなくなってしまう。死んでしまったの?
その様子をフィンが感じ、「何でわかるの」と聞かれ「フォースを感じるんだ」といようなことを答えていた。

ベンがよじ登ってやってきて、かつてレイがしたように、レイの腹に手を当てて念を送ると、レイが蘇る。
初めてベン・ソロは笑顔を見せた。ベンの顔は、レイの頭の陰になっていて、半分弱しか見えなかったけど…
長いこと見つめあっているので「まさかキスするとか?」と思ったら、その通りだった。
こういう状況だと、自然とこういう感情になるものなんですか?つり橋効果?
ベンは力尽きたように後ろに倒れ込むと、体が透明になって消失し、着ていた服だけが残された。
同じころ、布がかけられたレイアの亡骸も、体が消えてしまい、人の形に盛り上がっていた布が平らになってベッドに落ちる。それを見たカナタが「グッパイ・プリンセス」とつぶやく。
レイアの魂はベンと共にあり、ベンと共にあの世に旅立って行った、ということ?
そういえば、ルークも体だけが消えてなくなっていたよね。

レジスタンスは基地へ戻り、勝利を祝う。
みんなで抱き合って喜ぶが、ここで、ちょっと変わった?女性同士で抱き合っているカップルがあって、あれっと思った。
ゾーリはヘルメットを取り、ダメロンに「やっぱり一緒に仕事するのは無理ね」と別れを言う。
ランド・カルリジアンはジャナに名前と出自を聞くが、「わからない」と答える。「これから探していけばいい」と、意味ありげに見つめあっていたので、親子だったとか?

レイアが亡くなる直前にベンへ念を送っていた時に持っていたメダルを、マズ・カナタがチューバッカに手渡した。
あれは、ルークとハン、チューバッカが『スター・ウォーズ 新たなる希望』のヤヴィンの戦いで銀河を救った時に授与されたメダル勇気記章なんだそうだ。ハン・ソロが貰ったものをレイアが持っていたらしい。

レイはどこかの砂漠にある家を訪ねる。ジャクーのレイが子供のころに住んでいた家?と思ったけど、惑星タトゥイーンのルークの育った家だったらしい。SWフリークじゃないから、見ただけではわからない。
レイはルークとレイアのライトセイバーを布で包み、地中深く埋めた。
ラクダを連れたおばあさんが通りかかり「このあたりで人の姿を見るのは久しぶりだ。名前は?」とレイに尋ねる。
「レイ」と答えると「レイ誰?」とセカンドネームを尋ねられた。
振り返ると、ルークとレイアの幻が遠くに見えた。
しばらく躊躇し「レイ・スカイウォーカー」と答え、歩き出した。

ここでなんて答えるのか?パルパティーンか、スカイウォーカーか?どっち???と思ったが、やっぱりスカイウォーカーだった。
ベンもこの世の人じゃなくなったんだから、3人で出てきてもよさそうなもんだけど、ジェダイになってないから出てこられないのか?
結局、アナキンの父親は誰だかわからなかったなぁ〜

ローズとフィン、かないいい感じになっていたのに、どういうわけかローズは忘れ去れたのか、レイなのかジャナなのか、別の人との結びつきが強くなっていた…

評価:2a


 

すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

原作:サンエックス
監督:まんきゅう
脚本:角田貴志(ヨーロッパ企画)
美術監督:日野香諸里
アニメーション制作:ファンワークス
主題歌:原田知世「冬のこもりうた」(Universal Music)

ナレーション:井ノ原快彦/本上まなみ

評判がいいので見に行ってみたが…
ほのぼのしているが、アクションが少なすぎて、少々退屈。
そんなに感動できるかなぁ…私はダメだった。
しかし、睡魔と闘うほどではなかった。不思議だ…
終わってからの周りの大人たちからも、同じような空気感を感じた…

「とびだす絵本」の設定があまり生きてない。
月が切り取られた状態で、その月を抜けると隣のページ、というのも、口で説明しているからわかるけど、映像だけじゃわからないよね。
最初に吸い込まれた時に現れた鬼くらいしか、「とびだす絵本」らしくなかった。











ネタバレの超簡単あらすじ








地下室に置いてあった、不思議な「世界の童話」。
すみっコたちはこの本に吸い込まれ、桃太郎、人魚姫、アラビアンナイト、マッチ売りの少女、あかずきん、みにくいあひるの子、これらの物語の登場人物にすみっコたちが扮し、不思議なボタン?を押すと、床が抜けたり忍者屋敷の扉のように床がくるっと回ったりして、別の物語へとジャンプする。
絵本の中で仲間になったグレーのひよこは一人ぼっち。どの物語の登場人物なのかわからず、仲間を探してあげるが「みにくいアヒルの子」でもなかった。
「わかった!!みにくいアヒルの子だ!!」と思った私は外れた…
ま、あの外見がどう見ても白鳥になるとは思えなかったけど。

いろんな物語を回っても、ひよこの仲間は見つけられず、やがて天井?空?に絵本からの出口が発見される。
すみっコたちはみんな足が短く穴に届かないので、ねこが地面を掘ったら他のページのガラクタが出てきた。
ガラクタを積み上げたが、ひよこは上ってこようとしない。ぺんぎんが「なんで?」とひよこに手を差し伸べようとしたのかわからないが、積み上がったガラクタの端へ移動したため、傾き始める。
ひよこは棒を蝶番にしてガラクタの塔をささえると、オオカミや鬼など絵本の住人もガラクタを支え始める。
1匹が天井に開いた穴を通って元の世界へ戻って行く。絵本の中で咲いている花を、みんな髪…ではなく頭に挿していたが、ゲートを通り抜けると花だけが向こうの世界には行けずに落ちてきた。
にせつむりは絵本の中で新しい貝殻をゲットしたが、その貝殻も通り抜けられなかった。
絵本の世界のものは、通り抜けられないのだ。
しかし、ひよこは絵本の一部だったためみんなと一緒に戻ることはできないことを悟り、「自分はここに残るから行って」と意思表示をする。
みんな順番に天井の穴から出ていくが、ペンギンはひよこを最後まで一緒に連れ帰ろうとする。
涙をためて見送るひよこ。
ぺんぎんは諦め、穴から伸びたUFOキャッチャーのアームがぺんぎんを捕まえる。
ぺんぎんだけ、なんでUFOキャッチャーのアームが出てくるの?

ひよこは絵本の裏表紙の見返しに誰かが描いたイラストだった。
現実世界に戻ったすみっコたちは、ひよこの周りに自分たちをひよこ化したイラストを描き、みんなで摘んだお花を頭に描いて飾ってあげた。
ひよこの顔が笑っているようだった。


9時過ぎに始まるレイトショーなのに、小学生くらいの子供がいた。
この子たちは良い子で見ていたが、少し離れたところに座っていた人がコンビニよりも厚いようなレジ袋を何度もガサゴソさせていてうるさかった。
やや非常識だったので、知的障害者とかそんな感じだったのかもしれん。
gだったけど、もっと小さいところで良かったんじゃないの、と思った。

評価:1g


 

パラサイト 半地下の家族(PG-12)

監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/ハン・ジンウォン
製作:クァク・シンエ/ムン・ヤングォン/チャン・ヨンファン
音楽:チョン・ジェイル

キム・ギテク:ソン・ガンホ
パク・ドンイク:イ・ソンギュン
パク・ヨンギョ:チョ・ヨジョン
キム・ギウ:チェ・ウシク
キム・ギジョン:パク・ソダム
キム・チョンソク:チャン・ヘジン
ムングァン:イ・ジョンウン
パク・ダヘ:チョン・ジソ
パク・ダソン:チョン・ヒョンジュン
ミニョク:パク・ソジュン

カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞、その他多数にノミネートされた作品。

貧しい一家の生活を描いている、と言う点では「万引き家族」に似ている印象を持つが、思いもしない結末が待っていた…
時々「それ、冗談?」と思えるようなカットが多々ある。
内容をまじめに考えると、悲惨というか、ものすごいことやっちゃった、なのだが、こういうカットがあるからエンターテインメントになっている。
とにかく、ストーリー展開が意外すぎて、こういう、予想もしない展開の話をつくれるのがすごいと思った。
結末は知らずに見ないと、十分楽しめないです。







ネタバレのあらすじ










仕事がなく一家で宅配ピザの箱を組み立てる内職をして生活を立てているキム一家。
父親はいろんな仕事をしてきたが、どれも上手く行かず失業を繰り返している。
住んでいるところは裏路地の半地下で、道路すれすれについている窓、しょっちゅう酔っ払いに立ち小便をされてしまう。

行政が消毒薬を撒きにきて、窓が開いたままだったため消毒薬の粉が家の中に入ってくるが、父親のギテクは「家の中が消毒されるからいい。これで便所コオロギも減るだろう」と言う始末。
ピザの箱は消毒薬まみれでこんな箱に入れられたものは食べたくないと思ったが、納品したら「作業が雑すぎる」とペナルティを取られ報酬を減額されていた。
スマホはあるが通信は止められているようで、上の階の住人のWi-Fiに勝手に接続していたが、パスワードを変えられ接続できなくなってしまい、家の隅のトイレの上の方に持っていくと、どこかの喫茶店の電波をキャッチして、ネット通信を行なっていた。

ある日、息子のギウの友人のミニョクが、「祖父が趣味で集めている」という石を持って訪ねてくる。
そして留学することになった自分の代わりに、バイトで英語の家庭教師をやって欲しいというのだ。
ギウは進学はしたいが予備校に通うお金もなく、受験はしてもいつも受からない状態だったため、大学の友人に頼んだ方がいいのではないか、と答えるが、ミニョクは「生徒のダヘが好きで、彼女が大学に入ったら付き合おうと思っている。大学のやつらは信用ならないし、お前の方がよっぽど勉強しているから俺なんかよりもできるだろう。お前なら信用できるから、手を出すなよ」と言い「奥さんがちょっと変わってるんだ。なんていうか、こう、”シンプル”なんだよ」と話した。

家庭教師をするために、大学の書類をネットカフェで偽造する妹のギジョン。手慣れた手つきで画像処理をするのを見て「お前は天才だ。美大も簡単に受かるはず」とギウが褒める。
韓国のインターネットカフェにはPhotoshopが入っているのが普通なのか?画像処理の技術と芸術性はあまり関係ないと思うのだが…

出かける時に父親に「来年は、この大学を受けるよ。これは大学から事前に書類をもらっただけ」書類の偽造のことをこう言い訳する。
紹介された家は高台にあるIT企業のパク社長の家で、家政婦のムングァンが出迎え「この家は有名な建築家のナムグン先生が建てた家なんですよ。ナムグン先生はパリ(違うところだったかも)へ引越されましたが、私はそのままこのお屋敷で雇ってもらっているんです」と、鴨居にへばりついた吸盤の矢を片付けながら言った。
この家には家庭教師をする子の他にダソンという男の子がいたが、その子が描いたというピカソのような絵が壁に飾られていて、母親のヨンギョはダソンのことを「天才だと思うが、行動に落ち着きがない」と嘆いていた。

ギウはヨンギョに偽造した証明書を出したが、「紹介ですから、証明書などは必要ありません」と言われ隠すように置くギウ。 「ミニョク先生に大学入学まで見てもらいたかったんですけど…ほら、ミニョク先生は”ブリリアント”でしょ?頭の程度が多少あれでも、ねぇ」と、ちょっとびっくりするような発言をするヨンギョ。所々に英単語がまじった話し方をする。
最初だからとヨンギョは授業の様子を見せてもらうという。ギウが問題を解かせると、ダヘは解けない問題に手間取っていた。
ギウはダヘの手の上に自分の手を重ね、一体何をするのかと思ったら、手首の脈を取り「脈が早くなっている。君は解けない問題を一度解いて、後回しにしたね。重要なのは効率よく結果を出すことだ」というようなことを言うと、ヨンギョもダヘもすっかり感心してしまった。

ダヘはすっかりギウに心を奪われてしまったようだったが、弟のダソンの行動を「あれはわざとやっているのよ」と後でこっそりギウに言った。ヨンギョは息子の才能を全く疑っていなかったので、「美術の家庭教師をつけたいが、みんな1ヶ月で辞めていってしまう」と嘆いていた。ギウはちょっと考えて「美術の先生に心当たりがある。アメリカの美大を出て、最近帰国したが、予約を取るのも大変な先生で、費用もそれなりにかかるのだが」と切り出すと「是非お願いします。そういったものは紹介に限るから」というヨンギョ。

後日、ギウが連れてきたのは妹のギジョンだった。「ジェシカ」と名乗り威厳たっぷりに振る舞い、「美術セラピー」とやらでダソンを大人しくさせていた。 ヨンギョには「過去にダソンに何か起こりましたね?全て話してください」と何もかもお見通し、というような態度で接する。
その夜、父親のパク・ドンイクが運転手を伴って帰宅し、運転手に「もう遅いからジェシカ先生を送ってやりなさい」と言う。運転手は「家まで送る」としつこかったので、ギジョンは「駅までで。駅の3番出口で彼氏と待ち合わせしてるんです!」と言い、なぜか唐突にパンツを脱ぎ始めた。 家に帰ると、ギウとギジョンがパク一族にうまく寄生して、お金を引き出すことができたのを一家で喜ぶ。

ギジョンが「一発仕込んできた」といい、ギウが父のギテクに「運転手したことあったよね?」と確認し、カーディーラーで、ベンツの操作方法をギウがギテクに教える。
一方、ドンイクが車に乗っていると、車の前の座席の下に押し込まれた何かを見つけ、取り出すとそれは女性の下着だった。 持ち帰り妻のヨンギョに見せ「あいつ、車でセックスしやがったんだ。俺を精液のついた座席に座らせたかったのか?」と言う。
「でも、おかしいと思わないか?パンツを忘れていく女性はいないだろう?」
CMで流れているシーンはここだが、CMではあたかもギウのことを言っているように映像をつないでいるが、実際は全然関係ありません。

ドンイクは送っていった”ジェシカ先生”が怪しいというが、ヨンギョがギジョンに尋ねると「運転手はしつこく誘ってきて異常だったが自分は駅で降りた、クスリでもやっていたのでは」というようなことを言ったため、パク夫婦は「白い粉でも出てきたら大変よ!」と話し合い、結局、運転手はクビになった。
運転手がいなくて困っている、というドンイクに、ギウは「叔父が以前にセレブ(か誰か)の運転手をしていたが、最近リタイアしたので、よければ聞いて見るが」と提案する。ギテクはIT会社へ面接に行き、「一定の線を越えない」というトークでパク社長から気に入られ、運転手に採用された。

ギウは、父に話す内容や口調など、原稿を作って覚えさせていた。
計画通りだ、というギウに、「計画を立てると、その通りにいかなかった時に困る。しかし、もともと計画など立てていなければ、どんな状況になっても問題ない。計画など立てないのが最強だ」と言うギテク。

邪魔な人間はあとは家政婦のムングァンだけ。
ダヘからムングァンが桃アレルギーであることを聞き、桃の産毛を家政婦の後ろで撒くと、激しい咳をする家政婦。病院で治療を受け待合室で知り合いに「どういうわけだか今頃桃アレルギーが出た」と電話をしているところを密かに撮影するギウ。
その写真をヨンギョに見せ「たまたま写真を撮ったらムングァンさんが写っていて、話が聞こえちゃったんです。感染症にかかったって言っていた」 「まさか」と言っていたヨンギョだが、こっそり撒かれた桃の産毛で咳き込み、口を抑えていたティッシュをゴミ箱に捨てて部屋を出て行ったムングァン。ゴミ箱を覗きこっそり赤い調味料をティッシュに垂らして血に見せかけ、それをヨンギョに見せた。
かなり大胆にというか、それじゃバレない?という感じで調味料を垂らしてたが、全く疑わないヨンギョ。 感染したらかなわない、とムングァンはいきなりクビを宣告され、「至らないところは直すから頼むからここに置いてくれ」と泣きつくがスーツケース1つで追い出された。

ドンイクは車の中でギテクに料理名は忘れてしまったが、その料理が美味しい店に連れて行ってほしいと頼む。
「家政婦はその料理を作る達人で、彼女が作ったその料理は本当に美味しかった。クビにしてしまったが気に入らないところはなかった。強いて言えば一人で二人分食べてたところかな。妻は家事が苦手なので、家政婦がいないとまたたくまに家がしっちゃかめっちゃかになる」
「それはお困りでしょう。セレブ御用達の会員制の家政婦紹介所があるので、連絡してみたらどうですか?」と名刺を渡す。
「なんでお前が?」という問いに「私もセレブ御用達だったので、打診が来たんです。でも、もう社長のところが決まっていましたから」とうまく答えるギテク。 「そうか。私への忠義に感謝する」とドンイクは疑問に思わなかった。
こうしてチョンソクが家政婦として雇われ、一家でこの家に寄生が成功した。

ダソンの誕生日、パク一家はキャンプに行くことになった。飼い犬の餌などを細かく指示するヨンギョ。ダヘはギウと家で勉強している方が良かったので「行きたくない」というが、「弟の誕生日なのに一緒にいてあげようと思わないの?」と連れていかれる。
車の中でドンイクはギテクについて「距離を保って一線を越えてこないところが気に入っている。言動に問題があるところがないわけではないが、あの匂いがな…」と言うと、ダソンが「ギテクとチョンソク、あの二人は同じ匂いがする」と言う。「匂いなんてするかしら。私はわからないわ」とヨンギョ。

主人のいない家で好き放題のキム一家。 ギジョンは風呂に入り、ギウはダヘの部屋から日記を持ち出し庭で寝転んで本を読む。 ギテクは追い出した運転手が新しい職を見つけられたか、心配していた。
夜になると高い酒を飲み、酔っ払ったギジョンは犬のジャーキーをつまみとして食べてしまう。
ギウはダヘとキスをする間柄になっていて、友人のミニョクと全く同じことを言っていた…「彼女が大学に入ったら、付き合おうと思って」 チョンソクもダヘは気に入っている、でもそうなると、私は未来の嫁の父親のパンツを洗っているわけ?と言い、家族で大笑い。 外では雨が降っていた。

唐突に インターホンが鳴り、辞めた家政婦のムングァンが「急に辞めさせられたので、大事なものを忘れた」と尋ねてくる。 犬の名前を言ったりして、自分が以前の家政婦だったことを言うと、チョンソクは扉を開け、中に入れてしまう。
えーなんで入れちゃうの?

ムングァンは「パク一家が留守にすると聞いて訪ねてきた」と言い、地下の倉庫へ降りていく。「一緒に来る?」と言われ断ったチョンソクだったが、戻ってこないので何をしているのかと降りていくと、戸棚をずらそうと壁と戸棚の間で宙に浮いているムングァンがいた。
嘘みたいに床と並行になって、戸棚を押しているのだ。
チョンソクが戸棚の下に挟まっていた焼肉用の鉄板を取り除くと、戸棚がずれてなんと扉が現れた。
重い扉を開けると、地下へ続く階段をムングァンは「アンタァ〜!」と叫びながら降りて行った。 地下室はトイレなどがあって生活できる空間になっており、一人の男が暮らしていたのだ。
ムングァンは持ってきた牛乳?やバナナなどを食べさせる。
「二週間食べてなかった…扉も開かなくて」
「鉄板が挟まってたからだったのよ」
金持ちの家にはこのようなシェルターが作られることは珍しくないが、この家を設計した建築家がこういったものを作ったことを恥じていたようだったので、新しい持ち主には地下室のことは話してない、4年前、建築家が引っ越した時に夫を地下に連れて来た、とムングァンは説明した。男は事業(焼き鳥屋だか唐揚げやだか)に失敗し、借金取りから逃げて来たのだ。

階段の上にセンサー付きのランプがつけられていたが、このランプはドンイクの足音を聴きながらこの男がスイッチを入れていたのだ。「尊敬するパク社長…社長のおかげで私は生きられています」とうっとりしたように言う男。そして壁にあるランプのスイッチをON/OFFさせて、モールス信号で点滅させる。
「2日に1回、いや一週間に1回、2週に1回でいいから、定期的に食べ物を運んでほしい」とムングァンに頼まれるが、この様子を見ていたヨンギョは「奥様に知らせないと」と動画を撮って送信しようとしたので、ムングァンは見逃してくれ、と土下座する。ギテク、ギウ、ギジョンの3人はこっそり降りて来て隠れて様子を伺っていたが、ギウが足をクキッとやって転げ落ち、「痛い!俺の足が!アボジ」と言ってしまい、全員が家族であることがバレてしまう。

形勢が逆転し、今度はムングァンに動画を撮られ奥様に送信する、と脅されるキム一家。リビングに上がってきて、壁際に正座させられ手を上げさせられていたが、スマホの取り合いになり、ギジョンは冷蔵庫から桃を持って来てムングァンの口に押し込もうとする。
ここで死んじゃうんじゃないかと思った。

突然電話が鳴り、恐る恐る出ると、なんと奥様のヨンギョからだった。
「ジャージャー麺、作れるわよね?張ったテントがひどい雨で流されそうになって、キャンプは中止にしたけど、ダソンは帰りたくないって言うし…あと8分でつくから、今すぐお湯を沸かして」

「どうするの?こんなの計画にない!」
ギテクとギウは慌ててムングァンと男を引きずって地下室へ降り、柱にくくりつけ猿ぐつわを噛ませる。ギジョンはテーブルに並べられた酒やスナックをゴミ袋に入れるが、間に合わないと判断、全てテーブルの上から落下させ、テーブルとソファの下に押し込める。ギウはギジョンから日記をもらい、慌ててダヘの部屋へ返しに行く。
チョンソクは指示通り湯を沸かし、インスタントラーメンみたいなジャージャー麺を取り出して料理を始めた。

パク一家が帰って来て、ヨンギョはキャンプのことなどを話すが、そこへムングァンが地下室から上がってくるのが見えた。チョンソクはヨンギョに見つからないように体当たりしてムングァンを階段から突き落とす。階段を転げ落ちたムングァンは壁に頭を強くぶつける。ギテクは頭を打ったムングァンを地下室の扉の向こうへ運び込み、息があることを確認して扉を閉め戸棚を元に戻す。
ギテクとギウは、ヨンギョに見つからないようにリビングへ移動し、テーブルの下にギジョンと3人で寝そべって隠れた。

ヨンギョはジャージャー麺を食べながら、ダソンに過去に起こった出来事について話す。
何年か前の誕生日、ダソンは夜中に食べ残したケーキを食べようと階下に降りて来てケーキを食べていたら、幽霊(地下に降りる階段から、男が頭を出した)を見て気絶したと言うのだ。それ以来、誕生日は家ではないところで過ごすことにしたのだった。
帰宅してダヘが部屋に入って来た時、ギウはベッドの下に隠れており、飼い犬がベッドの下をのぞいていたため「何かいるの」と覗こうとするが、そのまま階下へ降りていく。ヨンギョがジャージャー麺を全て食べてしまったため、降りて来たダヘが「私も食べたかった」と文句を言う。
ダソンは雨の中、インディアンのテントを庭で広げ「今日はここで寝る」と両親に宣言する。パク夫婦は息子を見守るためにリビングで寝ることにし、チョンソクに「もう休んでいいから」と言うが、チョンソクは気が気ではない。
ソファに横になったパク夫婦は、
「あのテント、雨漏りしないかしら」
「アメリカ製だから大丈夫だろう」
などと話をするが、ドンイクは「なんだか臭わないか?そうだ、この匂いは、キムの匂いと同じだ。なんていうか、地下室のような…、いや、違う。そうだ、地下鉄の匂いだ」と言うと、妻は「地下鉄なんて、もう何年も乗ってないわ」と答える。
横になりながら、ドンイクは妻のパジャマの胸元に手を入れ、ヨンギョは夫のズボンに手を入れた。
「ダソンが戻って来たらどうするの?」
「戻って来やしないさ」
テーブルの下で夫婦のあえぎ声を聞く3人。

地下ではムングァンはふらつきながら起き上がるが階段を踏み外して落ち、一番下で横たわって「脳震盪を起こしたみたい…あんたの顔が見えないよ…」と夫に言っていた。 男は縛っていたコードをちぎり、ランプのスイッチを頭で押してモールス信号でランプを点滅させる。
テントの中のダソンはランプの点滅させるのを書き取り、モールス信号に当てはめて解読していた。(しかし、「助けて」と解読しただけで何もしていない)

夫婦が寝入ったので3人はテーブルの下から這い出して部屋から出るが、ギテクが机の下から出たタイミングで、ダソンは買ってもらった無線で、父親に「眠れない」と連絡してきた。ギテクはその場で固まる。受け答えをしただけで移動はせず、パク夫婦もまた眠ったため、ギテクはなんとか家から脱出することができた。
表に出ると雨がひどく降っていて雷も鳴り始める。坂を下り家路へ続く階段を降り、家の前の裏路地まで来ると道路が冠水していた。家に入ると胸まで水に使って降り、トイレからは汚物が吹き上がって大惨事になっていた。
ギウは浮いて来た(本当に浮いて来ていたのだ)ミニョクにもらった石を持って家を出る。
ギテク、ギウ、ギジョンは家が水没したため避難所で一夜を明かす。ギテクはギウにどうして石を持って来たのかを聞くが「変えてくれそうだと思って」と答えた。

パク家から帰ってくるシーンは、「町中にこんなに高低差があるものなのか?」と思うくらい、ものすごく階段を下りていた。

朝になってヨンギョからギテクに電話がかかって来る。
「ダソンの誕生日パーティをすることにしたから、日曜だけど今すぐに来て」
ギテクはヨンギョの買い出しのために車を運転していくが、ヨンギョは後部座席で夫が言っていた「匂い」をギテクに感じたようだった。ヨンギョは”ジェシカ先生”も、とギジョンを呼び、ダヘはギウを呼ぶ。

客人が次々とやってきた。
チョンソクは地下にご馳走を持って行ってあげるようにギウに皿を渡そうとするが、ヨンギョに呼び止められる。ヨンギョはサプライズで”ジェシカ先生”からダソンに誕生日ケーキを渡すのだ、と言って、ホールケーキをギジョンに持たせ、「ハッピーバースデー」と歌いながらダソンのところへ持って行かせる。
ダソンがインディアンにはまっていたため、ドンイクはインディアンの羽飾りを被り、ギテクにもかぶせ、ダソンを襲うふりしてダソンに倒される、という寸劇を計画する。ダソンは地下室の二人が気になっているのか、上の空の感じであったため「今日は勤務日で、これも仕事だ。仕事はちゃんとしろ」とドンイクに注意される。
ギウは二人が気になり、戸棚をずらし石を持って中へ降りていくが、石を階段上から落としてしまう。

見つかる原因となった、階段を踏み外したり、石をおっことしたり、とにかくギウはツメが甘い。

恐る恐る下まで降りると、ムングァンが横たわっていた。そーっと覗き込んでいると後ろから金属の輪が首にかけられ、獣の罠のように首輪をされて引きずられるギウ。それでも抵抗してなんとか階段の上まで出るが、首にかかった輪についているリードのような紐の先端についていた棒が入り口にひっかかって、倒れる。男が石を手に階段を登って来て、ギウの頭の上に振り下ろした。 男はキッチンに置いてあった包丁を掴み、客が集まっている庭へ出た。
ダヘが自室から降りて来て、頭から血を流しているギウを見つけて仰天する。
男はチョンソクに襲い掛かったが、チョンソクがなんとか交わすと、今度はケーキを持っていたギジョンに近づき、左胸を包丁で指す。 それを見たダソンは白目をむいて気絶する。

ギテクとチョンソクはギジョンの刺された傷を強く押さえて止血しようとするが「痛い、抑えるからさらに痛くなるからやめて」とギジョンに言われてしまう。
ダソンが倒れたため、ドンイクはギテクに「早く車をだせ、病院へ連れてくんだ」と言うがギテクがギジョンのそばを離れようとしなかったため「仕事を放棄するのか?もういい、車の鍵をよこせ」と言う。 包丁を持った男にチョンソクがバーベキューの串で対抗し、串で刺す。 ギテクが投げた車の鍵は地面に落ち、鍵の上に刺された男が倒れ込んだ。 男を退けて鍵を取ろうとするドンイクだが、男の匂いに顔をしかめ鼻をつまんだ。
その仕草を見たギテクは、包丁を取りドンイクに近づいてドンイクを刺す。 大パニックとなり人々は逃げて行き、ダヘは血を流したギウを背負って逃げた。ギテクはその場から逃げ、入り口の門へ続く階段を降りていく。

ギウは1ヶ月ほど意識不明だったが、目をさましてからは何を見ても笑い出したり、しばらくは挙動が安定しない状態が続いていた。ギウとチョンソクは裁判にかけられ、執行猶予付きの判決が降る。豪邸でのIT社長殺人事件は、謎のホームレスの男が殺され、被疑者は行方不明となったため、詳細は判明しないままだった。

事件後にギウが再会したギジョンは、ロッカーのお墓に飾られていた遺影だった。結局ドンイクを刺した男は見つからず、家の周囲に設置されていた防犯カメラにも写っておらず、忽然と姿を消してしまっていた。

保釈されたギウとチョンソクは、水浸しになった半地下の家をきれいに掃除して、そこに住んでいた。
ギウは外出時は監視されていたが、監視員をまいて丘陵へ入っていき、パク家が暮らしていた家の庭が見える場所へと出る。双眼鏡で家の様子を眺めるギウ。
階段の上のランプが点滅し、その点滅をモールス信号に当てはめて解読するギウ。

息子よ。
事件のあと逃げ出したが、監視カメラが家の周りに設置されていたので、自分が行くべき場所はここしかない、と悟った。
地下で元気に暮らしているよ。
事件の後はさすがにすぐには買い手はつかず、食料があまりない時期が続いたのは辛かったが、おかげでムングァンさんを丁寧に葬ることが出来た。(庭の片隅に埋めていた)
不動産屋はうまくやるもので、事件を知らない外国人にこの家を売ったので、今は食料を調達できるようになったけど、住み込みの家政婦がいるので、(冷蔵庫から)食料を調達するのは命がけになった。
おまえはボーイスカウトに参加したことあったから、モールス信号は知っているだろう。
もしかしたら、この通信で手紙が届くのではないか、と思って送信している。
ちょっと長く話しすぎたかな。
元気でやっているから、俺のことは心配しないでくれ。

ギウは、思った。
「お金を貯めなくては。そうしてあの家を買うのだ。」
引っ越してきたばかり、と思えるような、段ボールだけが積まれたパク家のリビングと、こぎれいな身なりのチョンソク、ギウの映像が映る。
「父さんは、ただ地下からの階段を上がってくるだけだ」
ギテクが地下室の階段から現れる。
「そうやって、父さんを迎えよう」
ここで、カットが半地下の家に代わり、映画の冒頭と同じように窓際にかかる丸い洗濯物干しにぶら下がっている靴下が映る。
え?引っ越したんじゃないの?だったら、この家はがらんどうのはずだよね?
窓の外を眺めながら「お金を貯めよう」と考えているギウの姿が映った。
なんだ…叶ったんじゃないんだ。希望的観測の未来か…
この、一種何とも言えない笑いを含んだようなラストカット。
絶妙だ…

ところで、ミニョクはこうなってしまったことをどう思ったんだろう?

TOHO府中S5


 

ジョジョ・ラビット

原作:クリスティン・ルーネンズ『Caging Skies』
監督/脚本:タイカ・ワイティティ
音楽:マイケル・ジアッチーノ
製作:カーシュー・ニール/タイカ・ワイティティ/チェルシー・ウィンスタンリー
製作総指揮:ケヴァン・ヴァン・トンプソン

ヨハネス・"ジョジョ"・ベッツラー:ローマン・グリフィン・デイヴィス
エルサ・コール:トーマシン・マッケンジー
ロージー・ベッツラー:スカーレット・ヨハンソン
アドルフ・ヒトラー:タイカ・ワイティティ
クレンツェンドルフ大尉:サム・ロックウェル
フロイライン・ラーム:レベル・ウィルソン
フィンケル:アルフィー・アレン
ディエルツ:スティーブン・マーチャント
ヨーキー:アーチー・イェーツ

第2次世界大戦中のドイツの10歳の少年ジョジョが、ユダヤ人の少女と知り合い、成長していく様子を描いた映画。
彼だけに見える「脳内フレンド」のアドルフがおり、弱気になった時などに表れて励ましてくれるのだが…
この脳内フレンドの設定には、あまり重きを置かれていない。
それほど頻繁に出現するわけでもないし、大けがすること以外は彼の行動にあまり影響を及ぼさない。
ケガの元凶としてだけ必要だっただけか?

20世紀のサーチライトが、ファンファーレの後はいつもの音楽じゃなくて、ドイツ語の少年の合唱だった。
冒頭、ビートルズの「I wanna hold your hand」が流れるのだが、歌詞が違う?と思ったら、どうやらドイツ語で歌っているらしい。
映像はあまり「戦時中」を感じさせない、どちらかというとアメリカナイズされたような感じ。アンネの日記と同じ時代だが結構オシャレだな、と思った。










ネタバレのあらすじ








ジョジョ・ベッツラーは母親と暮らす10歳の少年。部屋の壁にはヒトラーの肖像画が貼ってあり、ナチスに傾倒していた。
時々敬愛するヒットラーが「脳内フレンド」として登場し、「ドイツ人こそ世界で一番優れた民族だ。アーリア人ではないユダヤ人は抹殺すべき存在だ。お前はハンサムだし大丈夫だ」と、語りかけ、嬉しそうに会話するジョジョ。
もちろん、アドルフはジョジョにしか見えず、はたから見ると「ひとりで会話している」状態。

週末には「ヒトラー・ユーゲント・キャンプ」という、少年少女を対象とした合宿のようなものに参加することになっていた。
ジョジョも親友のヨーキーと一緒に参加し、集められた子供たちにクレンツェンドルフ大尉が酒を飲みながら演説をする。
「これから色々なことを教える。銃の使い方やナイフの使い方、女の子は妊娠のしかた…全員にナイフを支給したが、持っているか?」
えーと、女の子のは冗談だよね?
そして、お手本?として銃で何かの瓶を撃ち、横にいた渡辺直美似のフロイラン・ラームが「はた迷惑」とつぶやく。
大尉は戦場で片目を失い、子供の指導に回されたのだった。

大尉や教官の兵士が子供たちに武器の使い方などを教えるのが目的だが、ジョジョは兵士に「お前の父親は逃げ出したんだってな」と言われ「違う!イタリアで戦っているんだ」と反論する。何かの理由で、ジョジョは兵士たちのいじめの対象になっているようだった。
森の中で「人を殺せるか?人の代わりに卑怯なウサギを殺してみろ」と子供たちにうさぎを殺す使命が下る。ジョジョが指名されるが、初日の訓練から、兵士はジョジョに目をつけていたようだった。ジョジョはウサギを殺せず放そうとすると、兵士はウサギを取り上げ、首をボキッと折り遠くへ投げ捨てた。兵士は「お前は戦場から逃げ出した父親と同じ、弱虫だ。”ジョジョ・ラビット”だ」とはやし立て、他の子どもたちにも同調を促す。ジョジョはいたたまれずその場から逃げ出した。

アドルフが現れて、ジョジョを励ます。
「ウサギは本当は勇敢な生き物で、ものすごい速さで逃げられる。投げたらウサギのように逃げるんだ!簡単なことだ!できる!」
みんなは柄付手りゅう弾の投げ方のレクチャーを受けているところだったが、ジョジョはアドルフと一緒に走り出して兵士が説明のために持っていた手りゅう弾をジャンプして奪い取って走って投げる…が、木に当たって跳ね返ってきて、アドルフは「やばい!」と逃げるがジョジョは体が固まってしまい…手りゅう弾は爆発し、ジョジョは後ろへ倒れ込んでしまう。

おぼろげな記憶から目覚めると、病院だった。
ジョジョは爆発で足が少し不自由になり、顔を縫ったために傷跡が出来た。
ジョジョは「醜くなった」と言い、母親は「そんなことないわ」と言うがアドルフは「そうだな」と同調する。
この一件でクレンツェンドルフ大尉他、キャンプに参加していた兵士は事務職へ移動になった。
母親のロージーは、キャンプのせいで息子がケガしたのだから、自分が仕事に言っている間、面倒を見てほしい、と大尉に申し入れると、ジョジョはビラ貼りなど、ナチスの仕事を手伝うことになった。

ある日ジョジョはビラ貼りを終えて家に戻るが、母親は帰っていなかった。父親について「イタリアにいる」と母親は説明していた。
2階の部屋(これは後でわかるが亡くなった姉インゲの部屋だった)に入り、窓のところに来ると、その下の壁に違和感を感じ、キャンプでもらったナイフを壁の隙間に差し込むと、壁が外れた。
中は埃をかぶったおもちゃなどがあり、物置というか屋根裏というか、そんな感じだったが、小型の携帯用の懐中電灯のようなも
ので照らしながら進んでいくと人間の足が見えた。
ライトを上方にあげると女の子の顔があり、「こんにちは」と語りかけられ仰天して叫びながら表へ出るジョジョ。
女の子も屋根裏から出てくる。
「私が誰だかわかる?」
「ユダヤ人だ。ユダヤ人は悪魔で頭に角が生えてるんだ」とおびえるジョジョ。
女の子はエルサと言い「あなたのお母さんにかくまってもらってるの。私のことをナチスに告げ口すると、協力者としてお母さんもあなたも逮捕されるのよ。でも、私のことはお母さんに言わないで。これは預かっておく」と、ジョジョが落としたキャンプでもらったナイフを取り上げて屋根裏へ戻ってしまう。

母親のロージーは、夜になると食事などを屋根裏部屋へ運んでいた。
「ジョジョには絶対見つからないでね。ナチスに傾倒しているのでただじゃすまない」というロージーに、エルサは微妙な表情をする。
エルサは、両親は捕まってホロコーストへ送られたので、おそらく戻ってこれないだろう…自分は父親の知り合いのつてで、あちこちを転々としながらかくまってもらい、ここへたどり着いた、とロージーに話す。

ジョジョは好奇心から、壁を叩いてエルサと話をするようになる。
エルサにはネイサンという許嫁がいて、今は離れ離れになってしまっているが、いつかパリで一緒に暮らすのだと言った。
エルサはネイサンのことが好きだと言い、「大人になればあなたもこの気持ちがわかるわよ」と言った。

河原に行くジョジョとロージー。
ナチスに傾倒していく息子を心配し、「あなたくらいの子供は、木に登ったり追いかけっこしたり、そうやって過ごすのがいいのよ」と言う。「戦争が終わったら何したい?」とジョジョが聞くと「ダンス」と答えるロージー。
「靴ひもがまたほどけてる」と結んであげようとすると「自分でやる」とジョジョは言うが、うまく結べずに結んでもらう。
しかし両足の靴ひもをロージーが結び合わせたため、転んでしまう。
河原から橋の上に上り、道端の高くなっているコンクリート部分に上るロージー。ジョジョは全身が映っているが、ロージーは、白に赤茶の切り替えのおしゃれな靴しか映っておらず、踊るように足踏みする。

このカットは、すごく印象的で、なぜこの靴を強調して撮ってるのかなぁ…と思ったけど、その理由は後でわかった。
自転車をこいで家へ帰る道すがら、けがをした兵士を積んだトラックが追い越していく。ロージーは「お母さんによろしく」と声をかける。

ジョジョはリハビリでプールで泳ぐ。アドルフもいて、息を吐き出さず泳いでいた。
大尉に「もしユダヤ人を見つけたらどうしたらいい?」と聞くと「お前だったらどうするんだ?」と聞き返され「殺す。でも、見た目ではユダヤ人かどうかが判別できない」と話した。大尉は「その通りだ」とうなずく。
ユダヤ人を見分ける本を書くことを思いつき、エルサにユダヤ人の秘密を話すなら、ここに住んでもいい、と持ち掛け、いろいろなことを聞くが、エルサはジョジョに時々ユーモアのあるうそをついた。
「ユダヤ人は人の考えていることがわかるのよ。魔法使いがいるの」と言うと、ジョジョはその魔法使いの絵を描いてくれるように頼む。
「色鉛筆があれば、色も塗れるんだけど」と言いながらひざまずいた長い髪の女の絵を描くエルサ。
軍の事務所へ行き、大尉に「ユダヤ人の見分け方の本を書いている」と言うと「タイトルは何にするんだ?」と聞かれ「ハーイ、ユダヤ人」と答える。ジョジョは大佐の机の上からこっそり色鉛筆を失敬する。

ある夕食時、ジョジョは母ロージーに「人を愛するってどんな感じなの」と聞くと、「おなかの中で蝶々が舞う感じ」という回答をされる。ロージーはエルサのところへ行くために、ジョジョを早く寝かしつけようとするので、ジョジョは「お父さんがいない!お父さんに会いたい!」と駄々をこねる。
「そんなにお父さんに会いたいか」
「会いたい!」
ロージーは立ち上がり、かかっていた男物のコートを着て、暖炉のすすを顔に塗って髭にする
テーブルをドンとたたき「母親の言うことが聞けないのか!!」とドスの利いた声で怒る。
そして壁際で一人芝居をした。
「子供を怒ってしまった…」
「あやまるのよ」
(小さな声でごにょごにょ)
「それじゃだめよ」
ジョジョに向かって「怒鳴ってしまってすまなかった」と謝るロージー。
ジョジョはロージーに抱き着く。

大尉から「鉄の回収」の仕事を与えられ、紙で作ったロボットの着ぐるみ?を着て「いらない鉄製品集めます〜」と廃品回収業者のように、リヤカーを引いて回収をするジョジョ。これはジョジョだけではなく、他の子どもたちも行っていた。
すると、通りの先に母親が歩いているのが見え、母はメモのようなものを戸口にこっそりおいて、去っていった。
メモを手に取ると「ドイツの開放を!」と書かれていた。

ユーゲント・キャンプで一緒だった友達のヨーキーに出会ったので、ユダヤ人のエルサをかくまっていることを話す。
エルサのことを「ガールフレンドになるんだ」と説明する。
ヨーキーは紙の素材で作られたという軍服を着ていて、「動きにくい」と言ってた。
ヨーキーからドイツは孤立し、味方は日本だけだ、と聞かされる。

エルサは時々屋根裏から出て、インゲの部屋で本などを読んでいることがあった。
インゲとは友達で、小さいころのジョジョとも出会っているという。
エルサが鏡を見て「垢だらけ…」と言ったので、ジョジョはエルサを風呂に入らせる。
浴室の少し空いた扉の前で待っているが、お腹の中でたくさんの蝶々が舞っていた。
エルサのためになにやらクッキングしていたら、扉のチャイムが鳴る。
「隠れて!」とエルサを2階にあげ、扉を開けると、ゲシュタポがいた。
部屋の中に入っていて「お母さんは?」と聞かれ「忙しくて帰ってない」と答える。
そこへクレンツェンドルフ大尉が訪ねて来て、ゲシュタポに「どうしてここにいるのか」と尋ねる。
「通報が多いのでね。訪ねて行ってもガセネタのことが多いが、まぁ、形式的なものです」と言いながら、あちらこちらを開けて調べていく。
ジョジョは2階のことが気になるが、なんと2階で物音がした!
「誰かいるのですか?」と階段を上がりインゲの部屋へ入り、物色しはじめる。
何かを切るのに「そうだ、キャンプで支給されたナイフがあるだろう。あれを出せ」と言われてしまう。ジョジョはナイフをエルサから返してもらってないので困っていたら、そこへ洋服を着替えたエルサが「ナイフはここにあるわ」と入ってきたので、ジョジョはびっくり。
「あなたは?」
「ここは私の家よ。ジョジョの姉のインゲ」
するとゲシュタポは証明書を見せろという。
引き出しを探すと、証明書は出てきてクレンツェンドルフ大尉に渡し、ほっとした顔をするエルサ。
ゲシュタポのディエルツに誕生日を言わされるが、本当は5/7だったのに5/1と答えたてしまう。証明書を見ていた大尉は「合っている」と見逃してくれた。
証明書の写真を見て「いつのだ」と聞かれると「3年前の14
歳の写真」と答えるエルサ。
「写りが悪すぎるので撮り直せ。まるで幽霊みたいだ」

ジョジョが描いた「ハーイ、ユダヤ人」の本が置いてあったので、手に取って見て「これはいい、傑作だ」と笑うゲシュタポたち。
大尉はジョジョから「この本を書くんだ」と聞いていたから、何かを言うかと思ったけど、何も言わなかった。
ゲシュタポは帰って行き、大尉はジョジョに「家から出るな」と言って帰っていった。

どこかの家のおじいさんにじゃがいもを分けてもらうジョジョ。青い蝶が飛んでいるのを見て、あとを追って行く。
ジョジョはコートを着ていたし、雪が積もっていたので、季節は冬。この蝶はジョジョがみた幻なのかもしれない。
座り込んで蝶を眺めていたが、飛び去ってしまったので顔を上げると、目の前に女性の足がぶら下がっていた。
見たことある靴…
見上げて、ぶら下がっている足に抱きつくジョジョ。靴紐がほどけていたので結んであげようとするが、できない。また足にしがみついて、嗚咽する。
体には「ドイツの解放を!」という小さのビラが張り付いていた。
大尉はジョジョの母親が絞首刑になったのを知っていて、だから「家から出るな」と言ったのだろう。

家に戻ると、エルサは椅子に座って本を読んでいた。持っていたナイフをエルサの胸元に突き刺すと、血が出たが致命傷は負わせられない。
エルサがナイフを体から話すと、何も言わず泣きながらナイフを持って後ろ向いて歩き出すが、部屋の扉のところでうずくまって泣いてしまう。
その様子を覗き込むエルサ。

ジョジョは食べ物を探すために、ゴミ箱をあさったりするようになる。
ジョジョの食事はマッシュポテトらしきものだったが、向かいの席の脳内フレンドのアドルフは、大きなユニコーンの頭部の丸焼きを、美味しそうに食べていた。
(以前にアドルフは「今日の晩飯はユニコーンの肉だ」と言っていたことがあった)

ロシアとアメリカの連合軍がドイツに攻め入り、ドイツ軍は負けた。
町に出てそのことを知り、町の人からアドルフは自殺した、と聞かされ「うそだ!」と叫ぶジョジョ。
太っちょの軍の女に死んだ兵士の軍服を着せられていたジョジョは、アメリカ軍に連行されてしまう。
そこには大尉もいて「ジョジョ、元気か?お母さんのことは残念だった。本当にいい人だったよ」とジョジョを抱きしめる。
「これからはお姉さんの世話をして暮らすんだ。いいね?」
そう言うと、ジョジョの軍服をいきなり脱がせてジョジョを突き飛ばし「このユダヤ人め、あっちへいけ!」と大声で怒鳴る。アメリカ兵がやってきてジョジョに「知り合いか?」と訪ね、ジョジョは知り合いだと答えようとしたが、それを遮って「こんなやつ知らん。憎たらしいユダヤ人め」というようなことを喚いたため、アメリカ兵に連れていかれる。
ジョジョは敷地から連れ出され、「家に帰れ」と言われ、奥の方で機関銃の音が鳴り響くのを聞いた。

町をさまよっていると、ヨーキーに会った。軍服は脱ぎランニングシャツの姿で、戦争は終わったから家に帰ってママにハグしてもらうと言う。
そして、ジョジョにはお母さんのことは残念だったね、と言った。

「これでユダヤ人の彼女は、好きなところに行けるよ」

この言葉を聞いてはっとするジョジョ。
エルサがパリへ行って、いなくなってしまう…
ジョジョは家に戻り、「戦争はどうなったの?」と聞くエルサに「ドイツが勝った。外は危険だ」と嘘をつく。
アドルフが部屋に入ってくる。頭には銃で撃った後の血痕が付いていた。
「ドイツ人だけが優秀な民族なんだ。ドイツ人は負けない。この紋章(ナチスの卍)をつけて、ユダヤ人を追い出すんだ」
ジョジョは手渡された紋章を丸めて床にたたきつけ、アドルフのおなかを蹴り飛ばすと、勢い良く窓から表へ飛び出して落ちて行った。
ジョジョは机に置いてあった「ハーイ、ユダヤ人」をめくる。
エルサのウソを書き取ってイラストにしたページ、ネイサンを怪物のように書いたり、ママと自転車で河原へ行ったこと、エルサが描いてくれた魔法使い(色鉛筆をかっぱらってきたから、色が塗られているのかと思ったけど白いままだった)、最後のページには籠(鳥かごみたいな檻)に入れられたウサギと、カギを持って立っているジョジョ。
ページをめくって白紙を切り取る。
ネイサンからの手紙だと言って、白紙を手に「ジョジョと密かに脱出作戦を考えているから、ジョジョの言うことに従うように。パリで会おう」と読み上げる。
隠し扉が開き、エルサが「ネイサンはいないの。去年死んだのよ。やさしくしてくれてありがとう」と言った。
ジョジョは思い切って言ってみる。
「愛している。でも、僕のことは弟だとしかみてないよね。愛する弟のいうことを、聞いてくれないかな。荷物をまとめて、脱出しよう」
玄関の前に降りてきた二人。ジョジョは「危険な表へ脱出だ」と言って扉を開ける。

表では人々が戦争の後片付けをし、星条旗をはためかせたジープが走り去って行った。辺りを見回すエルサ。
ジョジョは扉のところに立って、エルサの様子を見ている。
エルサはジョジョの頬をひっぱたき、ジョジョは「そうだよね」とちょっとうなだれた。
「これからどうしたい?」とジョジョは尋ねるが、エルサは少しずつ体をゆすり始め、音楽が鳴り、ジョジョが指を鳴らして、二人は向かい合ってダンスを始めた。

この時の2人の服装が、ずいぶんアメリカナイズされてんな、と思った。
ここで物語は終わるが、父親が戻ってこなかったらこの先いったいどうやって暮らして行くんだろう?
と、現実を思ってしまうのだった。

評価:TOHO府中S3


 

CATS【極上音響上映】

監督:トム・フーパー
脚本:リー・ホール/トム・フーパー
原作:アンドルー・ロイド・ウェバー『キャッツ』/T・S・エリオット『キャッツ:ポッサムおじさんの猫とつき合う法』
製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー/デブラ・ヘイワード/トム・フーパー
製作総指揮 :ジョー・バーン/アンドルー・ロイド・ウェバー/アンジェラ・モリソン/スティーヴン・スピルバーグ

バストファー・ジョーンズ:ジェームズ・コーデン(秋山竜次〈ロバート〉)
オールド・デュトロノミー:ジュディ・デンチ(大竹しのぶ)
ラム・タム・タガー:ジェイソン・デルーロ(藤原聡〈Official髭男dism〉)
マキャヴィティ:イドリス・エルバ(山寺宏一)
グリザベラ:ジェニファー・ハドソン(高橋あず美)
劇場猫ガス:イアン・マッケラン(宝田明)
ボンバルリーナ:テイラー・スウィフト(RIRI)
ジェニエニドッツ:レベル・ウィルソン(浦嶋りんこ)
白猫ヴィクトリア:フランチェスカ・ヘイワード(葵わかな)
ミスター・ミストフェリーズ:ローリー・デヴィッドソン(森崎ウィン〈PRIZMAX〉)
マンカストラップ:ロビー・フェアチャイルド(山崎育三郎)
カッサンドラ:メット・トーレイ(朴?美)
スキンブルシャンクス:スティーヴン・マックレー(大貫勇輔)
マンゴジェリー:ダニー・コリンズ(宮野真守)
ランペルティーザ:ナオイム・モーガン(沢城みゆき)
グロールタイガー:レイ・ウィンストン(山路和弘)
プラトー:ラリー・ブルジョア
ソクラテス:ロラン・ブルジョア
コリコパット:ジェイ・バトート
ジェミマ:ジョナデット・カルピオ
ディミータ:ダニエラ・ノーマン
アロンゾ:ブルーイー・ロビンソン
ジェリーロラム:フレヤ・ローリー
エレクトラ:イダ・サキ
タントミール:ジジ・ストラレン
アドメートス:エリック・アンダーウッド
グリドルボーン:メリッサ・マッデン・グレー

あの、ブロードウェーの大ヒットミュージカル「CATS」を映画化。
去年の秋に予告を見た時は、「なんか、素敵そう…」と思ったが、その期待は素晴らしく裏切られた…
もちろん、劇団四季の「キャッツ」は見たことありません。
そもそも、「レ・ミゼラブル」も「イントゥ・ザ・ウッズ」もダメだったんだから、こういう結果は予見できたのかもしれない。

背景となる裏路地のセットに対して、人間が扮する猫は猫っぽいサイズになっているが、造形が「人間」なので、かなり違和感を感じる。
猫だと思ったのは、ラストの上空からヴィクトリアの頭部を撮影していたところだけ、ここは「猫の頭だ」と思った。
耳がかなり個性的に感情を表して動いていたのは猫らしかったが…
全身猫毛皮タイツ着用の見た目、そもそも、ジェリクルキャッツ、ってなに?
猫には人間が呼ぶ時の名前、自分の名前、もう一つ特別な名前がある、って言っていたが、結局判明しなかったし。

簡単に言うと「猫の歌合戦」だった。
1匹ずつ紹介されて歌と踊りのパフォーマンス、終わると、次の猫が紹介されてまた歌って踊る。
話はあってないようなもので、歌と踊りを楽しむだけの舞台なの?
劇団四季でロングランだけど、舞台もこんなん?
いや、限られた「舞台」と言う場所で、生身の人間が歌って踊るのは違うのかもしれん…

後半はかなり睡魔との戦い。
正直、すみっコの方が眠くならなかった。
極上音響だったから、クラッシックで眠くなるのと同じですかね?








うろ覚えのネタバレのあらすじ










婦人が車でやってきて、ごみ溜めに布袋をほおって捨てていく。
中には猫(ヴィクトリア)が入っていた。
この猫は子猫なんだそうだ。
なんでわざわざ、こんな場末のゴミためまでやってきて捨てたんだろう。
この辺りに住み着いている猫が袋から出してくれ、京は年に一度の猫の舞踏会が催され、そこで長老猫に「ジェリクルキャッツ」に選ばれると、天上に登って生まれ変われる、という話をしてくれる。
選ばれたい猫は、歌で勝負する。

「天上に行って生まれ変わる」って、死ぬことを意味してるよね?

ついでに、マキャヴィティが劇場のオーナーで危ないやつ、ということと、グリザベラは昔はスターだったのに今は落ちぶれた娼婦猫ということを説明される。

最初にデブ猫のジェニエニドッツが「ザ・オールド・ガンビーキャット」を歌い、ネズミやチャバネゴキを調教していると得意そうに言い、つまんで食っているのは何とも…
ゴキは人間が着ぐるみ着ているのだが、羽の感じは完全にゴキで、整列したり、ケーキに並べたりと正直見ててうえーと思う。
猫って、ゴキブリ食べるっけ?
綿の国星でチビ猫は捕まえて遊んでいたが・・・
しかも、ジェニエニドッツはなぜかお腹にファスナーがあって、毛皮を脱ぐと下にドレスを着ているのだ。
ゴキの行進で、お笑いっぽく演出しているカットならわかるが、これが後半の船に監禁された時に、なんと毛皮を脱いで縄抜けするのだ。

次にザ・ラム・タム・タガーが歌うが、あんまりよく覚えてない。
その次はセレブ猫(と自分で言っていた)バストファージョーンズが、タキシードっぽい毛皮?服着てるのか?の装いで、高級レストランのごみ箱あさりの歌を歌う。きれいめな映像に作ってあるが、リアルでこれを見たらすごい嫌かも…
ゴミバケツに落っこちたり、エビとか骨付き肉とかを食べていたが、バストファージョーンズの胸元はばっちく汚れ、猫たちが拭いていた。
スパッツ〜と歌ってたんだけど、意味がよくわからんかった。

マキャヴィティが現れたので、猫たちは逃げ、ヴィクトリアは泥棒ネコのマンゴジェリー&ランペルティーザと一緒にある家に忍び込む。
ヴィクトリアはネックレスや時計を首に巻き、ベッドの上で枕を破いて羽をまき散らし、やりたい放題。
ネックレスはともかく、羽をまき散らすのは猫はやるよな〜と思って見てた。
犬が部屋に入ってこようとしたので、マンゴジェリー&ランペルティーザは窓から逃げていくが、ヴィクトリアはネックレスが引っ掛かって動けなくなる。
バストファー・ジョーンズだったかミストフェリーズがやってきて、二人で扉を閉めて犬が入ってこれないようにし、なんとか逃げ出せた。

「年寄りだから、のんびりでも許して」と長老猫のデュトロノミーが現れる。
スキンブルシャンクスが汽車の線路で歌を歌う。

…この辺からだんだん記憶が怪しくなってくる。

劇場猫ガスが歌うが、歌い終わって袖にはけるとマキャヴィティが魔法でガスを煙のように消してしまう。
ガスは川の上のボートに連れてこられ、そこにはジェニエニドッツやスキンブルシャンクスも囚われていた。
揚げ句の果てには長老猫デュトロノミーまで魔術でさらわれたため、みんながミストフェリーズに「マジシャン猫なんだから、マジック使えるでしょ!」で、歌って呪文を唱えて、長老猫を取り戻そうとする。
何度かやっていると、魔法が発動、長老猫は戻ってきた。
あと何匹か歌っていたが、忘れた…
そういえば、ヴィクトリアは裸足だが、ダンスシューズを履いている猫もいた。
タップ踏んでたりもした。

かつてスターだったグリザベラが、影からこちらを見ているのに気づいたヴィクトリアは、彼女を招き入れ、歌を歌わせる。
これが和田アキ子みたいなのだ。

全員が歌い終わり、さあ審査だ!
みんなが注目する中で、選ばれたのはグリザベラだった。
グリザベラは光る気球に乗り込み、空へ上る。なぜかロープが垂れていてマキャヴィティがしがみついて空へ上がるが、耐えきれず落ちてしまい銅像の上に落下する。

広場に出て、上がっていく気球を見守る猫たち。
長老猫が猫と付き合うコツを歌う。
猫は犬じゃない!
話しかけて欲しいけど、かまいすぎないで!

「選ばれるためのパフォーマンス」だったのに、今度は「猫に気に入られる付き合い方」と、全く違う内容の歌が始まり、「これいったい何?今までの話と関係ある?」と思った。

空に上がった気球は、光って消えてなくなった。
昇天したってこと?
この後どっかから「生まれ変わったよ〜」と子猫でも出てくるのかと思ったが、そんなこともなかった。
長老猫はヴィクトリアの行いに「あんたは立派なジェリクルキャッツだよ」と言う。

結局、なぜマキャヴィティが魔法のようなものを使えたのかもわからなかった。
エンドロールのテイラー・スウィフトの曲「ビューティフル・ゴースト」がいい音響だった。

評価:2a


 

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

監督:レジス・ロワンサル
脚本:レジス・ロワンサル/ダニエル・プレスリー/ロマン・コンパン
製作:アラン・アタル

エリック・アングストローム:ランベール・ウィルソン
カテリーナ・アニシノバ:オルガ・キュリレンコ(ロシア語の翻訳者)
アレックス・グッドマン:アレックス・ロウザー(英語の翻訳者)
ハビエル・カサル:エドゥアルド・ノリエガ(スペイン語の翻訳者)
エレーヌ・トゥクセン:シセ・バベット・クヌッセン(デンマーク語の翻訳者)
ダリオ・ファレッリ:リッカルド・スカマルチョ(イタリア語の翻訳者)
ジョルジュ・フォンテーヌ:パトリック・ボーショー
ローズマリー・ウエクス:サラ・ジロドー
イングリット・コルベル:アンナ・マリア・シュトルム(ドイツ語の翻訳者)
チェン・ヤオ:フレデリック・チョウ(中国語の翻訳)
テルマ・アルヴェス:マリア・レイチ(ポルトガル語の翻訳者)
コンスタンティノス・ケドリノス:マノリス・マブロマタキス(ギリシア語の翻訳者)

前半は時系列が前後し、何を目的としてやっているのかが分かりづらく、眠くなってしまった…
特に、2ヶ月後にエリックとアレックスが拘置所で面会しているシーンが随所に差し込まれ、小説の登場人物のコスプレしているカテリーナがよくわからない行動をしたりするシーンに翻弄された。
構成のテンポがあまり良くない感じがするのだが、絶賛されているということは、ミステリーとはこういうものなのかもしれない。
あんまりミステリーって見ないし…

映画の始まりは燃える書斎、そしてその建物は通りに面した本屋であることがわかるが、これはいったい後でどうつながっていくんだろう…と思って見ていたが、ちゃんと繋がった。
オスカル・ブラックのベストセラー『デダリュス』の第3巻の翻訳の権利を手にしたアングストローム出版は、全世界一斉発売のために翻訳家を1つの屋敷の地下に集める。
英語の翻訳者アレックスは、以前にこの著者の作品を翻訳したことがなかったが、若いのに翻訳者として選ばれていた。
ロシア語の翻訳者のカテリーナにその理由を尋ねられ「2巻の冒頭は1巻のそれぞれの章から引用されている。3巻の冒頭を推測してどんな書き出しか当てられる、と言って推測したら、採用されたんだ」と説明する。
スペイン語の翻訳者であるハビエルは、腕を骨折していた。
ポルトガル語の翻訳者のテルマは、入れ墨をしていた若い女性だったが、何かにつけて反抗的につっかかってくる。
原稿が流出しないよう、原稿は数十ページずつ渡され、その日の終わりに回収されたが、8000万ユーロを支払わなければ原稿をWebにアップする、という脅迫メールが届く。
金を支払わなかったために原稿の流出はないはずなのに、数十ページずつ原稿はWebに公開されて行った。出版社のオーナーであるエリックは、犯人を突き止めるために翻訳家たちを監禁し、犯人を割り出すための”取り調べ”はエスカレートしていく。持ち物検査をし、「翻訳中に他の仕事をすることは契約違反だ」と、書いていた小説を暖炉で燃やし、全員を下着姿で立たせ、予告の時間にメールを送らないか見張る。

これはもう、犯罪じゃ…?





ネタバレのあらすじ












途中、アレックスとエリックが拘置所で会話しているシーンが所々に挟まれる。
最初は拘留されているアレックスにエリックが面会に来ているように取れるのだが、次第に拘留されているのはエリックで、アレックスが面会に来ていることがわかる。

ここから種明かしが少しずつ始まる。
アレックスは一部の翻訳家たちと事前に会っていた。ダリオ、ハビエル、イングリット、チェン、テルマと共謀し、通勤途中のエリックからカバンをすり替え、原稿を日本製のコピー機でコピーを取る。
エリックが電車を降りる前に車で先回りし、再び電車に乗り込んでカバンを再びすり替えて元に戻す…という計画だ。コピーを取り終わったあと、カバンから落ちたペンを拾って渡そうとした時に紙を踏んで転倒し、ハビエルは骨折した。途中で検問に合うが、スケボーで車に捕まって走り、なんとか電車に乗り込む。イングリットがネズミを放して車内が騒然としている間に、カバンをすり替え元に戻した。

原稿がWebにアップされるのを止められず、エリックは犯人がわからなければ、食料も供給しないと言いだし、追い詰められたエレーヌが首吊り自殺する。
彼女は冒頭で幼い子二人と夫と一緒にフランスへ来ていたようだったが、彼らはどうなってしまうのか…
計画をたてた6人は、自分たちのせいで死者が出てしまったことを悔いているようだった。

死体を部屋の隅に置き、自席に着く翻訳家たち。
コンタンティノスが「俺はもうゴメンだ、出て行く」と席を立つと、ガードマンから頭突きをくらい、血だらけに。
ハビエルが前の席のチェンに「あの時、ペンを落としたからだ」とひそひそ話だし、チェンは「だからなんだっていうんだ」と言うが、その様子を見ていたダリオに「何をしているんだ」と咎められチェンは「だったらお前が犯人だっていうのか」と皆の前で大きな声で言う。

その言葉を聞いてエリックが銃を構える。
翻訳家達はパニックになり、銃を持っているものはそれぞれ手に取って誰かに照準を合わせていた。
カテリーナがスペイン語で喋ると「何を言っているんだ」とエリックが言ったので、「スペイン語で話せばわからないわ」と皆で誰がエリックを抑え、ガードマンに向かっていくのは誰にするかをスペイン語で話す。チェンはスペイン語が話せないため、カテリーナが中国語に翻訳したわけだが、翻訳者って、そんなに多国語を話せるものなの?「いち、に、さんで、いや、スペイン語で数えたらわかってしまう」中国語で、「イー、アァ、」と言うと「サン」とエリックがいい、カテリーナの下腹部を撃った。
更なる犠牲者が出てしまったため、アレックスが「メールは自宅のPCから遠隔で送信し、銀行へ入金がなければ自動的に残りのページがインターネットに公開されるようになっている」と白状する。みんなが「早く救急車を!」と頼むが、エリックは取り合わない。
エリックの助手のローズマリーがアレックスの自宅に行き、エリックに電話をしてくるが、PCの前に置かれた、自分がエリックに怒られていると思われる写真を見て「今自宅に来たけど…くそったれエリック」と言って電話を切る。
仕方なく8000万ユーロを振り込むエリック。そして救急車を呼ぶように指示した。
しかし、その後すぐにエリックに「インターネットに公開した」というメールが届く。
エリックはアレックスの胸を撃ちガードマンの一人がエリックに銃を向け、他のガードマンがエリックに銃口を向けたガードマンに銃を向ける。
リーダーのような人が「もうおしまいだ。我々もエリックも仕事を失った。いくぞ」と去っていった。
アレックスは胸元に厚い本を隠していたため、その本が銃弾を食い止め、助かった。

拘置所に面会に来たアレックスに、エリックはどうやってしたのかを訪ねる。8000万ユーロはどうなったのか、とも。
なぜ3巻の冒頭を、しかも原稿を盗む前の面接の段階で言えたのだ、という問いに、エリックの胸につけられたマイクを抑えて言った。
「自分が書いたから」

本屋のジョルジュ・フォンテーヌとは、アレックスは子供のころからの知り合いだった。
夏に避暑に来たアレックスは読みかけの「オリエント急行殺人事件」の続きを読みたくてフォンテーヌ書店へ来る。
犯人を当てたら、「オリエント急行殺人事件」は持って行っていいよ、外れたらこの店で働いてくれ、という問いに「全員が犯人」と正解を行ったのに、「手伝いね」とジョルジュは言う。

この本を見た時、「もしかして、全員がグル?」と、お手軽にちょっと思った。

その後もアレックスとジョルジュの関係は続いていたらしく、大人になって小説を書いたアレックスは、ジョルジュに処女作を見せると「面白かったから出版したらどうだ」と提案する。アレックスは「だったらジョルジュの名前で出してよ」と言うが「ペンネームを使おう」と教え子だったエリックのアングストローム出版を紹介したのだった。
アレックスは金の亡者となったエリックのやり方に反発を覚え、「金儲けだけを考えているやつだ。出版したくない」と言うが、ジョルジュは「文学の力を信じるんだ」と諭す。

ジョルジュは訪ねてきたエリックに「次回作から別の出版社から刊行する。…独占契約をしているわけじゃないからね」と切り出すと、学生のころからジョルジュとは意見が合わなかったエリックは、階段からジョルジュを突き落とし死亡させ、書斎に火を放った。

「今、8000万ユーロをおまえの口座に入金した。お前が”オスカル・ブラック”を殺したんだ」というアレックス。金目当てに作家を殺害した罪を着せられることを悟りエリックはアレックスの首を絞める。マイクから音声が流れるようになり、別室で見ていた捜査官たちは慌てて面会室に入りアレックスからエリックを引き剥がした。「ちがう!俺は(本当の)オスカル・ブラックを殺していない!」とエリックは激高するが、捜査官に連れられて部屋から出ていく。
アレックスは拘置所を後にした。


ミステリーというか、復讐劇だった。
そういえば、オリエント急行もそして誰もいなくなったも復讐劇だった。

評価:1f


 

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

監督/脚本:ライアン・ジョンソン
製作:ライアン・ジョンソン/ラム・バーグマン
製作総指揮:トム・カーノウスキー

ブノワ・ブラン:ダニエル・クレイグ
ランサム・ドライズデール:クリス・エヴァンス
マルタ・カブレラ:アナ・デ・アルマス
リンダ・ドライズデール:ジェイミー・リー・カーティス
ウォルター・“ウォルト”・スロンビー:マイケル・シャノン
リチャード・ドライズデール:ドン・ジョンソン
ジョニ・スロンビー:トニ・コレット
エリオット警部補:ラキース・スタンフィールド
メーガン・“メグ”・スロンビー:キャサリン・ラングフォード
ジェイコブ・スロンビー:ジェイデン・マーテル
アラン・スティーヴンス:フランク・オズ
ドナ・スロンビー:リキ・リンドホーム
フラン:エディ・パターソン
ワネッタ・“グレート・ナナ”・スロンビー:K・カラン
ワグナー巡査:ノア・セガン 捜査に加わった警官。ハーラン作品のファン。
ハーラン・スロンビー:クリストファー・プラマー
ミスター・プロフロック:M・エメット・ウォルシュ
カブレラ夫人:マーリーン・フォルテ
警官:ラウル・カスティーヨ
ハードロック:ジョセフ・ゴードン=レヴィット(カメオ出演)

刑事コロンボ+最後のひらめき?みたいな印象。
9人の翻訳家もそうだったが、場面展開が早いので、よく考えながら見る、というのが難しい。
登場人物の人数も多く、だれだっけ?となってしまうことが…
しかも、割と早い段階で事件の大枠は判明し、一番最初に提示された「謎」の存在を忘れていると、物語が何のために進んでいるのか、よくわからなくなる。
「刃の館の秘密」とサブタイトルがついてるが、刃の館であることはそれほど重要かなぁ…ラストカットで重要だったから?










ネタバレのあらすじ









推理小説家ハーラン・スロンビーに朝食を持っていく家政婦。「My House My rules My Coffee!!」というカップが大写しになる。
彼は自室にはおらず、屋根裏へ上っていくと奥のソファで横になっており、「あら、まぁ…」と驚いて朝食が載ったトレーを落としそうになる。
屋根裏部屋はソファの横には等身大の人形が揺り椅子に座っていたり、ごちゃごちゃといろんなものが置かれていてわかりづらいのだが、シチュエーション的にそこに寝ている人は死んでるんだよね…と思って見た。
カットがすぐ変わってしまってよくわからなかったけど、横になっていたハーランは首を切って血が飛び散った状態で息絶えていたらしい。

ハーランの自殺から1週間後、警察が取り調べに来て、家族に事情聴収をする。
関係者として看護師のマルタも呼ばれた。マルタはハーランの孫のメグの友人だった。
ハーランが自殺した前日は、本人の85歳のバースデーパーティが行われていて親戚一同が会しており、警察は順番に事情聴収を行っていくが、そこに探偵のブノワ・ブランも同席していた。

ハーランの頸動脈から飛び散った血痕の様子から、明らかに本人が切っており「自殺」という状況であったが、探偵の元に作家の自殺の新聞記事の切り抜きと現金100ドル?ポンド?が匿名で届いていたのだ。
この依頼人が誰なのか、何の目的なのかを調べに来た、と探偵は言った。

長女のリンダ・ドライズデールは会社を経営しておりランサムという息子がいたが、息子は訪ねて来てすぐに帰った、と話した。
パーティが終わって、夜中に階段がきしむ音で目が覚めたとも。
しかし実際は祖父と争っている声をみんなが聞いていた。

リンダの夫リチャードは、推理小説の映画化をめぐって次男のウォルトと対立し、ウォルトを首にしたと話した。
しかし実際は、リチャードが浮気をしていることをハーランに知られ、そのことをリンダに伝える、と宣告されていた。ハーランはリンダに手紙を書いたようだったが、封書を開けてその手紙を出すと、丸いイラストが描かれているだけで、文字は書かれていなかった。

次男のウォルトは、ハーランとランサムが書斎で口論をし、ランサムが怒って帰ったと話した。
しかし実際は、ハーランから作品を映画化することに意見をされ「お前に作品の管理を任せていたのは間違いだった。おまえを作品の管理者の任から解く。今後は作品ではなく自分自身の管理をしていってくれ」とクビを宣告されていた。

無くなった長男の妻ジョニは、娘メグの学費を巡って学校と行き違いがあったが、特別問題ではなかった、と語る。
パーティが終わって自室に戻ったが、上の屋根裏部屋で物音がしたので上がって行ったら、「碁盤を倒してしまった、何でもない」と言われたとも。
しかし実際は、直接学校へ振り込んでもらっていたにもかかわらず、事務所から別に送金させていて、二重取りしていたことを指摘され、今季分の支払いが最後だ、今後は金を出さない、と宣告されていた。

みんなハーランと何かしらあるが、殺すまでの理由はない。
ブランは看護師のマルタに「家族の裏側を見ているし、ハーランが死んでも金銭的に得しない立場の人だから」という理由で調査に協力するよう求められる。
マルタは「自分はうそをつくと吐いてしまう」と話し、探偵が試してみると本当だった。

マルタはその夜、ハーランが自分でのど元をかき切る夢をみて飛び起きる。
ハーランが自殺した夜のことを回想するマルタ。
部屋で囲碁をしていたが、「そろそろ寝る時間。いつものように鎮痛剤100mgと、モルヒネを少し(3mg)打ちましょう」とマルタは鎮痛剤注射をするが、モルヒネを打とうと手に取った瓶のラベルを見ると、「鎮痛剤」と書かれていた。
間違えてモルヒネを100mg打ってしまったのだ。これは致死量で、解毒剤を打たないと10分で呼吸が止まって死に至る。「キットだから解毒剤も一緒にあるはず」と解毒剤を探すが、カバンの中には入っていない。「どうしよう、救急車を呼ばなくては」とパニックになり書斎を出ていこうとするマルタを、ハーランは足を引っ掛けて転ばしたので、大きな音が立った。
(ジョニが最初に聞いた音はこの音である)
「どうしよう、後6分しかない」ハーランは碁盤を倒して碁石をばらまく。
そこへジョニが様子を見に来たため、「碁盤が倒れた音だ。何でもない」と説明する。
ハーランは「あと6分もある」とマルタを諭す。
「もう助からない。今から救急車を呼んでも15分はかかる。君が罪に問われると、不法侵入者であるお母さんたちに永住権が下りない。いいかい、よく聞くんだ。音を立てて階段を下りていき、みんなに君が帰ることがわかるよう大きな声で挨拶し、戸口にいたウォルトに時間を認識させるために声をかけろ。車に乗ったら監視カメラのある像を過ぎたところで止まるんだ。これで監視カメラに撮影される。密かに車を降り、裏口から入って天井にある隠し窓からこっそり入るんだ。庭にいる犬2匹は君になついているから問題ないだろう。屋敷に入ったら私のローブを着て窓際へ行き、ウォルトに姿を見せろ。そしてまた同じ経路で戻るんだ。絶対に音を立ててはいけないよ。」
「でもうそをつくと吐いちゃうのよ」
「嘘ではないことだけを言えばいい。すべて話す必要はない」

マルタは言われたとおりにして戻ってきたが、壁を登る時に梯子のような飾りを踏み抜いて落としてしまう。
そして部屋に入るとハーランは首にナイフを当てていた。マルタの目の前でハーランは頸動脈をかき切り、飛び散った血がマルタのスニーカーに1滴跳ねた。
来たときと同じように隠し窓から出ていくが、飾り梯子を降りた窓辺にハーランの母親がいて姿を見られてしまう。
この母親は認知症のような感じで、判っているのかそうではないのか、反応がないので全然分からない。
「おや、ランサム、また戻ってきたのかい」とだけ言い、あとは動くこともなかったので、そーっとその場を離れる。

こんな早い段階で種明かしが始まるとは…
ここから後は、探偵の検証にマルタの犯行がばれないかとハラハラが始まる。

翌日、マルタを立ち会わせながら現場検証をするブランとエリオット警部補とワグナー巡査。
パーティが終わったのは11時ごろ、その後皆に何をしていたか尋ねると、ジョニは自室にいたが、上の階で何かが倒れる音を3回ほど聞いたため、様子を見に行くと「囲碁をしていたが碁盤を倒した」とハーランに言われたという。
リンダは寝ていたが、階段を上り下りする音で2回ほど目が覚めた。
マルタはハーランと囲碁をしていたが、いつものように鎮痛剤100mgとモルヒネ3mgを注射して、12時ごろ階下に降りて皆にさよならを言い、入り口にいたウォルトに「もう12時ね」と言って車で帰って行った。
ジョニの娘のメグは、午前3時くらいに犬が吠える声を聴いた。
ハーランの母親は意思の疎通が難しく、スルー。
マルタは屋根裏の書斎でハーランと囲碁をしていたが、形勢が悪くなってきたのでハーランが碁盤をひっくり返してコマをぶちまけてしまった。そろそろ就寝の時間だったので、いつものように鎮痛剤を注射し、階段を下りて戸口のウォルトに挨拶して車で帰った、と話した。

ブランに見つからないようにトイレに行き、吐いてしまうマルタ。

次に管理人室の監視カメラの映像を確認する。幸い、映像は残っているということだったが、何日もにわたるので再生と早送りの両方のボタン?を押さないと早送りで再生できない、と言われマルタがその操作を行うが、途中で手を放したら止まってしまった。
「押し続けないとダメなんだよ」と言われ、わざと操作ミスをしてビデオテープをイジェクトさせるマルタ。
「持って帰って検証する」というブランに違うテープを渡す。

表に出て、監視カメラから森を通って裏口までの道を歩いていく。道はぬかるんだような状態になっており、マルタの通った足跡が残っていた。先導していくマルタは、ブランが止まるように言ったのを無視し、足跡を消すようにさっさと歩いて行った。
裏口の木戸を開けると、犬が走ってきてマルタに尻尾を振る。
ブランが屋敷を見上げると、上の方に小さな窓があるのに気が付いた。
ブランは登って行こうと見上げていると、犬がマルタが踏み抜いた梯子飾りを加えて走ってきたため、マルタは慌てて飾りを遠くに投げる。
ブランは踏み抜かれた跡に気づくが、そのことには特に触れずによじ登って隠し窓から室内に入り、「砂利などがおちてるかもしれないから、絨毯を踏まないように」と皆に言う。

ハーランの遺言を公開しに弁護士がやってくる。
リンダの息子のランサムがやってくるが、玄関で犬に吠えられる。彼は自分のことを「ヒュー」と呼ばせているようだった。
死ぬ1週間前にハーランは自分で遺言を書き換えて持ってきたそうで、弁護士が内容を読み上げると、「すべての遺産をマルタに譲る」というものだった。
それを聞いてリンダは怒り狂い、戸惑うマルタをランサムが連れ出し、カフェで「君を守ってあげるから、本当のことを話して」と言う。
すると、マルタは今までに起こったことを正直に打ち明け、遺産相続は辞退するというが、ランサムは「故人の意思だ」と相続を進める。
「どうして?」と聞くマルタに考えながら「祖父はとは良く囲碁をしていたが、『今はマルタの方が強い』と言われたんだ。絆が無いんだな…と思ったから」と答えた。
マルタの携帯が鳴り、出るとメグからだった。最初はマルタのことを心配しているような口ぶりだったが、「お金がないからあたしは学校をやめなくちゃならない。遺産相続は放棄すべきじゃない?スロンビー家に返すべきよ」と控えめに言われ「全て取り上げようとは思っていない。あなたの面倒は見る」と答え、電話を切るマルタ。
メグを見守っていたスロンビー家の相続人たちは、メグの様子を見て別の方法でマルタから遺産を取り返す方法を考える。

TVでマルタが遺産を相続することが報じられ、自宅に報道陣が押し寄せる。裏口から出ようとしたマルタだったが、ポストに封筒が入っていたのとウォルトが待ち伏せして「相続を放棄しないとお前の母親が不法滞在者であることをばらす」と言われたため、出かけるのをやめた。
封筒を開けると、ハーランの検視報告書のタイトル部分だけのコピーに「お前がやったことを知っている」と書かれていた。
マルタはランサムに相談し、マルタの車で検視報告書が置いてある検視局へ行くことにするが、途中でマルタのスマホに住所と10:00の時間だけが記された謎のメールが届く。
検視局に着くと、建物は放火されハーランの血液サンプルを含め、内部のものは燃えてしまっていた。
少し離れたところに車を止め、様子を伺うと、ブランの姿が見えた。向こうもマルタの車に気づき、近づいてきたので、慌ててUターンして走り出すが、スマホが鳴る。
登録が「ブラン?」となっていて、何回か電話がかかって来ていたようだが、一度も電話に出たことがないらしい。
マルタの車はスピードが出ず、追いつかれそうになったため、路地を抜けようと入った結果、行き止まりだった。ランサムはパトカーで連行され、マルタの車にブランが乗り込むが、マルタは「ちょっと寄ってもいい?」とメールに書かれていた住所に行く。隣の店から入り、裏口を抜けて指定された住所の潰れたクリーニング店に入ると、暗がりに誰かが椅子に座っているのが見える。

近づくとそれは家政婦のフランで、呼吸困難な状態になっており、椅子から落ちて倒れてしまう。
近くには警察が持って行ったと思っていた、マルタの医療カバンが置かれ、モルヒネの瓶が落ちていた。「…あなたがやった…」と息絶え絶えに言うジョニ。
マルタは心臓マッサージをしながら救急車を呼ぶ。

病院にフランの容体を知らせてくれるように頼み、マルタはブランに全て打ち明けた。遺産は辞退する、法の裁きを受けると言う。
ブランはマルタを連れて屋敷へ戻る。
マルタから話がある、とスロンビー家の皆も集められた。
マルタは起こったことを皆に話した。
その間、ブランは暖炉の引き出しにの中にハーランの検死報告書のコピーを見つける。
マルタが「遺産相続を辞退する」と言おうとしたまさにその時、ブランはマルタのところにやって来て「君は何もしていない。遺産相続を辞退する必要はないんだ」と言い放つ。

ブランによる謎解きが始まる。
「まだ事件は全て解決していない。自分のところに送られて来た新聞の切り抜きと金を送って来た者が誰なのかがわかっていない」
探偵が剣が中心に向かって飾られている椅子に座っている様子は、中心が頭の位置に来ていて後光が挿しているようだった。

バースデー・パーティで遺言の内容を変えたことをハーランから聞かされたランサムは、マルタが罪を犯せば不法滞在者の母親は国外退去となることを知っていた。
マルタが隠し窓から降りて来た時に1階の窓ごしにハーランの母親が言った言葉「ランサム、また戻ってきたのかい」、「また」ということは、その前にも1度同じことがあった、ということだ。
つまり、ランサムはパーティを早く帰ったと見せかけ、マルタがしたように、森の裏木戸を通って隠し扉から屋根裏の書斎へ入った。そしていつもハーランに打つモルヒネと鎮痛剤のラベルを貼り替え、マルタが間違ってモルヒネを注射するように仕向け、解毒剤を持ち去った。
しかしマルタはラベルを確認せずいつもの感覚で正しい薬剤を注射したが、ラベルを確認して間違いを犯したと思いこむ。
カフェでマルタの告白を聞いた時、ランサムは驚いたことだろう。
計画が失敗したんだから。
そこでモルヒネと鎮痛剤のラベルを戻すために、夜中に再び隠し窓から忍び込もうとするが、庭にいた犬に吠えられてしまい、諦めた。昼間は警察などがいてカバンに近づけない。
新聞はハーランは自殺だと報道したため、なんとか事件にしようと自分に切り抜きと金を送って来た、というわけだ。
ランサムはハーランの葬儀に来なかったそうだが、人が出払った屋敷でモルヒネの瓶のラベルを戻していたんだろう。その様子をフランがみて不審に思い、妹が検死局に勤めているのを利用して、検死報告書のコピーを手に入れる。そして「お前が殺した。8時にクリーニング店に来い」と書いてランサムに送った。
マルタに送られてた検死報告書は検死された人の名前部分しかコピーされておらず、肝心の検査結果がなかったのは、遺体に異常がなかったからだ。
ランサムはラベルを貼り換えられたことがばれてしまうため、検体を保管してあった検死局に火をつけた。
そして何者かを装ってメールを送り、潰れたクリーニング店でモルヒネを致死量打たれたフランを発見させる。
ランサムはマルタが逃げると思っていたが、ここも予想を裏切られ、瀕死のフランに心臓マッサージを行い救急車を呼んだ。
「”ヒュー”よ。フランは”あなた(You)”じゃなく”ヒュー”と言ったんだわ。”ヒューがやった”と…」とマルタが気がつく。

病院から電話がかかってきて、マルタが電話で話す。「フランの意識が戻って、話せるようになったって」
「そうだよ、遺産を手に入れるために俺がやったんだ。毒を食らわば皿まで、だ」
ランサム(ヒュー)は飾ってあった剣を取りマルタの胸に突き立てる。マルタは倒れその上にランサムも倒れ込むが剣はマジック用?で、刺すと刃の部分が引っ込む仕様で、マルタは無事だった。
起き上がったマルタは吐き気を催しランサムの顔めがけて吐いた。
フランが意識を取り戻した、というのはうそだったのだ。フランは亡くなっていた。

ランサムが連行された後、
「薬を間違えたと思ったあの時、救急車を読んでいたら、ハーランは死ななかっただろう」
ブランはそうマルタに言った。
「いつから私が犯人だってわかってたの?」
「最初から。君のスニーカーに血痕がついていたからね」

マルタはハーランの意志を尊重し遺産を受け継ぐことにする。
「この家はスロンビー家が長いこと住んできた家よ!」とリンダは反発するが、ブランに「80年代にハーランがパキスタン人から買った家だ」と茶化す。
スロンビー家の人たちは家から出ていくが、リンダはハーランの書斎の上に置いてあった手紙を見る。
文字は書かれておらず丸いイラストだけが描かれていたが、リンダはライターで紙をあぶると、あぶり出しで「親愛なる娘よ。リチャードは浮気している」と浮き出た。
リチャードがリンダを呼びに来る。
屋敷のバルコニーに立つマルタ。階下には屋敷を出て行くスロンビー家の人たちがマルタを見上げていた。
マルタが何度も眺めてきたハーランの肖像画は、いつもはいかつい顔をしていたが、今日は優しく微笑んでいた。

冒頭のカットは「My House My rules My Coffee!!」と書かれたカップを家政婦が屋根裏の作家の部屋へもっていくが、ラストカットはこのカップを持ってバルコニーに立っているマルタのシーンが印象的だった。
検索したらこのカップが出てきた…普通に売ってんのね…

評価:TOHO府中7


1917 命をかけた伝令

監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作:サム・メンデス/ピッパ・ハリス/カラム・マクドゥガル/ブライアン・オリヴァー

ウィリアム・スコフィールド:ジョージ・マッケイ
トム・ブレイク:ディーン=チャールズ・チャップマン
スミス大尉:マーク・ストロング
レスリー中尉:アンドリュー・スコット
ジョセフ・ブレイク中尉:リチャード・マッデン
ラウリ:クレア・デバーク
エリンモア将軍:コリン・ファース
マッケンジー大佐:ベネディクト・カンバーバッチ
サンダース軍曹:ダニエル・メイズ
ヘプバーン少佐:エイドリアン・スカーボロー
リチャーズ中尉:ジェイミー・パーカー
ハットン中尉:マイケル・ジブソン
コリンズ大佐:リチャード・マッケイブ
Private Bullen:クリス・ウォーリー

第77回ゴールデングローブ賞で、ドラマ部門の作品賞と監督賞、第92回アカデミー賞で、撮影賞、視覚効果賞、録音賞を受賞した作品。
命令を受けた兵士が、前線にいる別部隊
へ伝令を届ける様を、ワンカット長回しで撮ったように演出されている。
実際はワンカット撮影ではなく、何回か長回しで撮影したものをワンカットに見えるように繋いでいるらしい。
このカメラワークがすごくて、二人の兵士の後を追ったり、ショートカットして先回りするような位置へ移動したり、とにかくずっと二人の行動を追って行く。
たまに先回りするためのカメラの動きに対して「その道遠回りになるんじゃ?」と思った。
すごく近くで撮影しているのに、川に落ちてもカメラに水滴がつかず、足元を映しても泥はねがつかないし、カメラがぶれることすらない。カットが切れるように見えるのは、途中撃たれた衝撃で気を失った時だけ。
そして
ウィルの過酷な体験がすごすぎる。

トムはウィルのことを名字のスコフィールドを略して「スコ」と呼んでいたが、イギリス人でもそんな愛称で呼ぶんだ…と思った。









ネタバレのあらすじ












1917年4月6日、草むらで休んでいたトム・ブレイクは、上官に起こされ、兵士の中から一人を選んでついてくるように言われ、傍らで一緒に休んでいたウィリアム・スコフィールド(ウィル)に手を差し伸べて起こす。
手を差し伸べられたとき、ウィルはしばらく見つめてというか、躊躇していたのか、間をおいてから手を握って引っ張り起こされていたが、この時「この手を取って自分が選別されることを了承していいんだろうか」と思ったってことだよね。
後で「なぜ自分を選んだんですか」と聞いてたし。

話の端々などから、彼らはイギリス人、ここはフランス(これは後からわかった)でドイツ軍と戦っているのがわかる。
二人はエリンモア将軍のところへ連れていかれた。
ドイツ軍は撤退しており、これを好機とみたマッケンジー大佐のデヴォンシャー連隊が総攻撃をかけようとしているが、空撮写真だとそれは罠で、ドイツ軍が後方に集結していることが分かったが、ドイツ軍に電話回線も切られてしまい、マッケンジー大佐に作戦中止を連絡するすべがないという。
トムにはデヴォンシャー連隊に所属している兄がおり、地図に強いことから直接前線を移動して伝えてほしい、と言われる。
明日の夜明けには攻撃が開始されるので、それまでに伝えないと、1600人の命が犠牲になる。
ウィルは爆撃されるのではないかと心配するが、空撮の様子からドイツ軍は撤退している模様であるため、前線地帯を進んでいっても爆撃はされないはずだ、と大佐に言われる。
二人は食料とお菓子などを与えられた。

二人は塹壕を進み、鉄条網の途切れる場所を教えてもらって、地上へ出て前線を進んでいく。
馬の死体の脇あたりに、鉄条網の切れ目がある、すごい匂いなので、夜なら臭いを目指して進め、と言われた。
ウィルが鉄条網をこじあけ、手に刺がささり傷がつく。弾が飛んでこないかと、掘られて穴のようになっているところに身をひそめるが、水がたまり死体が横たわっており、手をついたら死体の上で、手に内蔵がついたようだった。こういうところがすごくリアル…匂いがしなくて良かった。

鉄条網をよけながら進み、すり鉢状になったもっと大きな水たまり(池くらいの大きさ)をよけて進むが、カメラは水上を滑らかに進み、トムとウィルの姿を映していく。
どうやって撮ってるんだろう…

ドイツ軍の前線基地として掘られた塹壕にたどり着く。
大佐の情報通りもぬけの殻で「本当に撤退したんだ」と言うトム。
大砲などは壊されていたが、二人は自国よりもドイツ軍の設備が良いことに驚く。
さらに塹壕を進んでいくと、ベッドがおいてある部屋や、食糧庫などにたどり着くが、その広さにも二人は驚いた。缶詰があったためウィルが「もらっていく」と手に取る。巨大なネズミが住み着いており、「ネズミまででかい」と話していたが、トムが床に這っている導線に気づいた。
「動くな、爆発する」
しかしネズミが逃げ出して爆発、塹壕の屋根が崩落してウィルが落下してきた石に埋まってしまった。トムが「スコ、どこだ!!」と石を書き分けて何とか埋まっている場所を発見するが、顔は真白で口を大きく開いていて「もとからあった死体では?」と思える状態。ヘタしたら
本当に死んじゃうんじゃ??と思うような爆発で、ほんとうにどうやって撮っているんだろう?

「立つんだ」とトムが起こすと「目が、目が見えない!」とウィルはパニック状態。
トムはつかまらせて出口を目指すが、途中崩落して大きな溝ができている場所をジャンプして飛び越える。
目が見えてないウィルに「俺を信じて飛べ!」と言うトム。
何とか渡り明るい方へ出るが、ここで待ち伏せされてるんじゃ?と思ったが、そうい
ったことはなかった。

表に出ると、ウィルは「目に埃が入って見えない」と、水筒の水で洗い流す。トムは自分の水筒を渡し水を飲ませた。
塹壕を後にし、森の中を進んでいく。
歩きながら、トムが同僚の兵士が耳がなくなった話をする。
「あまりに風呂に入れなかったので、そのことを手紙で書いたら、美容師の恋人がいい匂いのオイルを送ってくれたんだ。ゴールデンフラワーとか何とかいう…。で、そのオイルを全て頭につけて寝たら、夜中に目を覚ますとネズミが髪の毛のオイルを舐めていたんだ。びっくりして叫んだら、耳をかじられたってわけさ。頭も洗えないから、しばらくオイルをつけたままで、ネズミの吸着力がものすごかったぜ」

原っぱのようなところに出たが、爆撃で壊されたと思しき民家があった。
銃を構えながら中に入ったが誰もおらず、中は荒らされ人形が落ちていた。
納屋は破壊されており、壁が半分残っているだけ、なぜかバケツに牛乳が入っていて、ウィルはそれを飲み空になった水筒に入れる。
少し離れたところに放牧されている牛が1頭いたが、この牛乳はいったい誰が絞ったんだろう…
飲めるってことは、絞ってからそれほど時間は経っていないはず。
子牛がいないと乳は出ないと思うのだが…

トムがやってきて、二人で上空の戦闘機を見上げる。
2機は味方で1機はドイツ軍のようだ。ドイツ機は落とされたが炎を上げながらこちらへ突っ込んできた。
パイロットは生きていたため、操縦席から急いで降ろす。
ウィルは「もうだめだ、とどめを刺してやろう」と言うがトムは「大丈夫だ、水を汲んできてくれ」と言ったため、井戸からヘルメットに水を汲んでいたら、後ろで叫び声がした。
振り返るとトムが刺されたようだ。ドイツ兵はさらにトムに向かって行こうとしたため、ウィルは3発ほど撃って射殺した。
トムを抱え起こすが顔が白い。
カメラはウィルの姿を追い続けていたので、この短い時間で顔を白くしたってことだよなぁ…
腹部の傷口を強く抑えて止血しようとするが「痛い、やめてくれ」と暴れる。

「痛い、ほんとうにやめて」は、半地下の家族でも刺されて言ってたことを思い出す…

血がどんどん流れて衣服がどす黒く染まっていく。
トムは意識がもうろうとしてきて「俺はどうしたんだ」とウィルに聞く。
「ドイツ兵に刺された」
もうだめだ、と言ってマッケンジー大佐への書簡を懐から取り出してウィルに渡す。
「大丈夫だ、しっかりしろ」と励ますが、懐から家族の写真を取り出し、眺めるトム。
「母さんに手紙を書いてくれ。デヴォンシャー連隊の兄さんのことはわかるな?」
「お前とより少し年上で、おまえとよく似ている、だ」
「そうだ…」しばらく取り出した家族の写真を見ながらとりとめのないことをつぶやいていたが、動かなくなってしまった。
ウィルはポケットに入っていた手帳のようなものを取り出すが、2/3くらい血液で濡れてしまっていたのであきらめた。指輪を外してポケットにしまい、持っていた写真もポケットに入れた。そして足をもって引きずって移動させようとしたら、「手伝おう」といきなり味方の兵士が現れた。
スミス大尉が率いる中隊で、移動の途中だということだった。

何故ここにいるのか聞かれたので経緯を話すと、「マッケンジー大佐に話すときは、他に人を同席させた方が良い。意地になって戦闘を続けようとする場合もあるからな」と言われた。
途中まで送ってくれるというので、他の兵士と一緒にトラックの荷台に乗る。
道がぬかるんでいて、轍にはまり動かなくなってしまうと、ウィルはみんなに「降りてみんなで車を押すんだ」と一人必死で車を押す。その様子を見てみんなも一緒に押してなんとかぬかるみから抜け出す。
急がないと作戦開始までに知らせにいけないからだが、淡々としているので必死さがよくわからない…

少し進むとエクスートへ渡る橋が落とされていたため、10キロ以上先の橋へ迂回することになった。
ウィルはここで部隊と別れ、中央部分で切断されて落ちた橋の欄干を伝って、幅10メートル弱くらいの川を渡る。
真ん中まで渡ったところで、向かいの建物から狙撃された。
何とか渡り切り、端の下に隠れながら建物の2階の窓に向けて発砲する。
建物の中に入り、階段を上がって狙撃兵がいると思われる部屋をそっと開けると、窓の下にこちらに向かって足を投げ出して座っている敵兵士の姿が見え、発砲するがウィルも撃たれ、その勢いでそのまま階段の踊り場へ落下し頭を打って気絶してしまった。
ここで初めて、画面が暗くなり、何も映らなくなった。
ウィルが目を覚ますと、すでにあたりは暗くなっていた。
階段を上がると、兵士はウィルの銃弾で死んでいた。窓から外を見るとエクスートの町は、あちこちから火の手が上がっていた。

家の外に出て、町の中心部へ入っていくと、噴水のある広場の向こうに人影が見えた。
ウィルはそのまま近づいていくが、味方だという保証もないのに、大丈夫なのか?と思ったら近づいてきて発砲されてしまう。
何とか逃げ出すが、別の広場で敵兵に見つかり、叫ばれそうになり慌てて口をふさぎ首元にナイフをつきつける。
遠くに敵兵の姿が見え、ウィルは「しずかに」というジェスチャーをして敵兵から離れようとするが、少し離れると敵兵が大声をあげたため、やむなくその兵士を殺す。
遠くにいた敵兵はウィルに気づき、近づいてきたため、ウィルは走って逃げるが追いかけられ半地下の建物の中へと隠れる。

建物は人家で、そこには女性と赤ちゃんがいた。
女性はフランス人で突然入ってきたウィルを警戒したが、敵ではない、と説明し、ウィルは持たされた食料をすべて女性にあげようと、しょっていたカバンから取り出すと「この子はミルクしか飲めない」と言われてしまう。
ウィルが水筒のミルクを赤ちゃんに、と女性に渡す。
彼女はフランス語、ウィルは英語で話すため、言っていることは理解できていない。
しかし、片言の単語で「クロワジルの森へ行きたい」と言うと、女性はクロワジルの森は川の下流にあることを片言で教えてくれた。
出ていこうとするウィルに「危険だからお願い、行かないで。ここにいて」と女性は言うが、ウィルは使命を果たすため出ていく。
家を出た後に扉を閉めないで行ってしまうので、見つかっちゃうじゃん!と思った。

路地裏を抜けて川を探して隠れながら移動するが、敵兵に見つかって撃たれてしまい、町を囲んでいる塀を飛び降りると、川へ落ちた。
夜が明け、あたりが明るくなってくる。
川の流れが急なところもあり、ウィルは本当に溺れるんじゃないかと思うくらいに水に飲み込まれたりしながら流されていく。
途中で滝があり、えー落ちるのか?と思うと本当にウィルとカメラは滝へ落ちた。
本当に、どうやって撮影しているんだ?
流れも穏やかになってきたところで川岸へと上がろうとするが、岸辺には兵士の死体がたくさん流れ着いており、ウィルはその死体をかき分けながら何とか岸へ上がる。
岸へ上がったウィルはこらえきれず涙を流すが、それは安どの涙なのが、戦争の悲惨さや自分の使命についてのむなしさ?で泣いたのかはよくわからなかった。
流れ着いたところにそのまま上陸していたが、反対側の岸辺だった、ということはないのか?と思った。

森を進んでいくと、イギリス兵がたくさん現れる。
ウィルを見て「どこの隊だ?俺たちはデヴォンシャー連隊、通”D連隊”だ」と言われて、目的の隊に追いついたことを知るウィル。
彼らは森で休憩を取っていたらしく、集まって座り、一人が歌を歌っていた。一番後ろに加わって一緒に歌を聞くウィル。
士官にエリンモア将軍の指令を持ってきた、マッケンジー大佐に直接渡したい、と言うと、自分たちは第二波で、マッケンジー大佐は第一波の前線にいるという。
森を抜けると塹壕が掘られ、そこにいる兵士に大佐がどこにいるか聞くが、「ずっと先だ」と言われ塹壕を進んでいくと、そのうち突撃が始まったと見え、爆音が響いてくる。
塹壕を出て前線に向けて走るが、垂直に走ってくる見方の兵とものすごい勢いでぶつかり、転げてしまう。
このぶつかり方もすごく、躊躇せずぶつかるとこうなるのか…と思った。

大佐のいる前線になんとかたどり着く。士官に「大佐に伝えるから書簡を渡せ」と言われるが、「直接伝える」と言って、無理やり塹壕の奥の指令室となっている場所へ入っていくウィル。
入ってきたウィルを見て、他の士官は「お前の来るところではない」と追い出そうとするが、ウィルは「エリンモア将軍の命令できた。この攻撃は相手の罠、作戦は中止だ」と伝えると、周りにいた士官たちは「偽の情報だ。攻撃をやめるなどできない」と取り合わなかった。
ウィルは将軍からの命令文書を大佐に渡し、その文書を見た大佐は、士官たちに出ていくように言う。
大佐は「物事というものは始めてしまったら、自分の力だけではやめることができなくなる場合もある」というようなことを言い、「ご苦労だった。ゆっくり休め」とウィルに言い、表の士官たちに「攻撃は中止だ」と命令する。

ウィルは塹壕から離れ、原っぱのようなところへ移動すると、そこには救護用のテントなどが張られていた。
トムの遺言?を果たすべく、ブレイク中尉を探すウィルだが、周りの兵士に聞いても「わからない」と言われてしまう。

ブレイク中尉が「私を探しているというのは君か?」とやってきた。
トムと似ているか、と言われると、そうでもない。
「弟のトムと一緒でした」とウィルが言うと、「トムは?どこに?」
ブレイク中尉はウィルの「突然の出来事でした…」の言葉で事態を把握し、だんだんと表情が曇っていく。
中尉に形見の指輪を渡すと「けがの手当てをしてもらうといい」と言われる。
その場を去ろうとしたが、ウィルは戻ってきてブレイク中尉に「母上に手紙を書いてもいいですか?最後まで一人じゃなかったと…」と言うと「そうしてくれ。…ありがとう」と手を差し出し、二人は握手した。

アルフレッド・メンデスに捧ぐ、というテロップが出てエンドロール。
これは監督のおじいさんだそうで、この話は監督が祖父から聞いた話を元に構成された、ということだった。

戦争とはこういうものなんだろうな、とすごくリアルな映像で、とにかくどうやって撮ったのが不思議なカットがいっぱいだった。
しかし、ただ後を追って移しているだけなので、ウィルの心情などがわかりづらい。
臭いがしなくて本当に良かった、と思った。

評価:2b


 

ミッドサマー(R15+)

監督/脚本:アリ・アスター
製作:ラース・クヌーセン/パトリック・アンデション
製作総指揮:フレドリク・ハイニヒ/ペレ・ニルソン/ベン・リマー/フィリップ・ウェストグレン
音楽:ザ・ハクサン・クローク

ダニー・アルドール:フローレンス・ピュー
クリスチャン・ヒューズ:ジャック・レイナー
ジョシュ:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
マーク:ウィル・ポールター
ペレ:ヴィルヘルム・ブロングレン
サイモン:アーチー・マデクウィ
コニー:エローラ・トルキア
ダン:ビョルン・アンドレセン

いつものごとく下調べはせず「ホラー映画」くらいしか知らずに行ったら…

ブレアウィッチみたいなホラー映画なのかと思ったら、全然違ってカルト映画だった。
「スリラー」と謳われているが、これ、スリラーなのか?
確かに「恐怖」かもしれないが、思っていた恐怖と種類が違った。
異常な習慣を持った小さなコミュニティが存続して行くために、よそ者を連れ込んで利用し「聖なる儀式」の名目で処分する、これだけのようなんですけど?

見に来ている客層が、いつもと全然違って、若い人が多かった。
前評判は「グロ・エロ」だったってことか…見て知ったけど。
そういうシーンで変な笑い声…確かに滑稽ではあったけど、声をたてて笑うほどか?
左は女2人連れ、右は男二人連れ、どちらもいつまでたってもガサゴソ音を立ててうるさく、変な笑い声立ててうざかった。

ビョルン・アンドレセンが出てたんだ…どうやらダイブしたおじいさんのようだ。
「ベニスに死す」の美少年の面影はない…

起こった出来事が淡々と映像で流れていくだけなのだが、問題のホルガに着いて祭りが始まるまでのある意味どうでもいいカットにやたら時間を割いていて長い。
それ以外も大きな出来事もなくストーリーもないので、途中で「まだ終わんないのかななぁ、今全体のどの辺?」と思った。

「ミッドサマー」は夏至のことだが、6月半ばなのになぜ「メイ・クイーン」なのか、ちょっと違和感を感じる。





ネタバレのあらすじ












ダニーには双極性障害を病む妹がいて常に心配していたが、妹に電話をしても出ず「もうだめ。さようなら」「我々も一緒に行くよ」という妹や両親のSNSへの書き込みを発見し、そのことを恋人のクリスチャンに相談する。ダニーも精神的にややおかしい、というか、病的でクリスチャンに精神的にかなり依存していたが、度重なる電話にクリスチャンは嫌気がさしたようで、友人たちに「もう別れようと思う」と話していたが、電話がかかって来ると突き放すこともできずに関係は続いていた。
友人のジョシュ、マークは「そんな依存しすぎの女はやめてあのウェイトレスとを落としてヤッてしまえ」などと悪ふざけを言う。
ダニー自身もクリスチャンに依存しすぎていることは自覚していた。

妹のことはいつものことだ、今回も問題ないよとクリスチャンは言うが、いつもとは様子がおかしく、最後の電話のメッセージには呻くような声が録音されていたため、ダニーは心配する。この心配する様子が長々と続き、この後起こるという恐怖?に何か関係あるのかと思ってみていたが、全然関係なかった…
ただ単に「ただならぬ状態で家族を失い、精神的に不安定な状態」であることの説明だったようだ。

結局、妹は両親を道連れに無理心中を図ったらしい。
2台の車のマフラーからホースが室内へ伸び、一つは妹の口にガムテープで固定され、彼女は目を見開いて死亡、もう一つは両親の部屋へ引き込まれ、彼らはベッドに横になって死亡していた。

クリスチャンにはペレというスウェーデン人の友人がおり、ジョシュがペレの故郷であるホルガの風習について論文を書くために、夏至の時期に開催される祭りを見にペレと一緒にスウェーデンに行くことになっていた。
クリスチャンも誘われていたが、ダニーにスウェーデン行きのことを話しておらず、ペレから聞いたと知ったクリスチャンは、ダニーもスウェーデン行きに誘う。しかし「ダニーは来ると言っているが、実際は来ない」と皆に話していた。

ペレがスウェーデンに一緒に来るのか尋ねると、ダニーは夏至祭に行く、その日は自分の誕生日だから、とペレに話す。ペレはダニーに「自分も燃える炎で両親を亡くしたから、君の気持はわかるよ」と言うと、ダニーは涙と感情をこらえきれず「トイレを借りる」と籠って泣き出してしまう。
クリスチャン、ダニー、黒人のジョシュ、マークが、ペレの故郷ホルガへ行くことになった。

ホルガへ近づくとカメラが逆さになり、道路が上になって天地がひっくり返った映像になった。
道にかかる幕を過ぎると、カメラはまた元の状態に戻る。

ホルガの集落の手前で車を止め、原っぱのようなところへ進んで行くと、ペレはいとこだが弟のように一緒に育った、というイングマールに会ったので挨拶し、アメリカの友人だと紹介する。イングマールはイギリスから、コニーとサイモンという友人を連れて来ていた。

イングマールからドラッグのようなものを勧められ、ダニーは「あとで」と断る。クリスチャンも一緒に後で吸うというが、マークから「同時に吸わないと別のトリップになってしまう」と言われ吸う。イングマールからマッシュルーム・ティーもある、と勧められ飲んだダニーは、自分の手の甲に草が生える幻覚を見、トイレに行くと鏡に女性(死んだ妹らしい)が映りぎょっとする。
ダニーは寝入ってしまい一向はしばらくそこで休むが、白夜のため夜になっても太陽が沈まず明るい。

一行はホルガの集落へ歩いて向かう。
森を抜け集落の入り口にある円形のゲートを通る。
ペレは拾った何か(忘れた)を村人に渡すと、その人は「後でユミルに扮する時に使う」と言った。
ペレが妹を紹介するが、彼女はクリスチャンを見て、気になっているようなそぶりを見せた。
集落には円状にルーンが刻まれた石碑がいくつもあった。

ユミルって、北欧神話に出てくる巨人だったよなぁ〜。
ルーンの石碑は、クリドラのアリアンが火と氷の島で竜の寝床で発見した石碑みたいな感じ。

ホルガの集落は、原っぱになったところに、大きな建物が4つくらい?
1つは黄色いピラミッド型の建物で、祭りに使うので中には入るな、と言われる。
タペストリー(というよりは、絵がプリントされたシーツという布の厚さだったが)が掲げられていて、ペレは「ラブストーリーだ」と説明したが、そのイラストは女性が好きになった男性に自分の陰毛を切りパイに混ぜ、女性器から流れ出る「何か」(血液?)をかけたものを男性に食べさせると想いが届く、というようなものだった。

この夏至祭は90年に一度開催され、9日間続くのだという。
女性が掲げた松明を「炎は効能を失った」と言うようなことを言いながら、ほかの女性へ渡して行くが、これは何を意味していたのか、わからなかった。

ペレはダニーを呼び止め、「誕生日おめでとう」と自分が描いたダニーの絵を渡す。
クリスチャンはダニーの誕生日を忘れているだろうとペレに言われると、ダニーは「念を押さなかった私も悪いんだし」と言い訳のように言った。その後、ペレに言われたらしいクリスチャンは、カットされたパウンドケーキのようなものにろうそくを1本立て、ダニーに「Happy Birthday」と歌いながらライターで炎をつけて祝うのだが、このろうそくに炎がなかなか点かない。
広場には檻に入れられた熊もいた。

ジョシュは長老に一族の秘書「ルビ・ラダー」を見せてもらう。この書は一族の中で近親相姦で生まれた障害を持つ者が記していくのだという。奇形の人物が手で絵の具をこねて、ページを手のひらで塗りたくっていた。血が濃く奇形として生まれてきたものは、無垢な心を持っているからだ、と長老は言っていた。

こういった閉鎖的な一族では、血が濃くなってしまう問題があるのでは?とジョシュが訪ねると、「いとこ通しの結婚はたまにあるが、血が濃くならないように管理している、近親相姦させる者たちはきちんと管理して我々が指定した者だけだ、そして定期的に外部の血を入れている」と言われた。
ジョシュはルビ・ラダーの写真を撮りたいと頼むが、長老に断られる。

ペレに連れてこられたのは「外部の血を入れるため」ってことだ…
なんとな〜く、どういったことが起こりそうなのかの予感がしてくる。

明日は祭りで大変な一日になるから、と一行は大きな建物で休むが、一つのフロアにベッドが並べられているだけで、絶えず赤ん坊が泣いている声がし、男女一緒に同じフロアで休むのだった。
ペレは18歳までの若者は皆ここで寝泊まりするのだ、という。18歳までは春の季節、36歳までは夏の季節で見聞を広めるために世界中へ旅をし、54歳までは秋の季節で労働を行い、72歳までは冬の季節。
「72歳を越えたら?」
ペレは無言で首を切るしぐさをした。

この建物は吹き抜けになっていて、壁全体に色々なイラストが描かれている。
そしてこの室内が映った時、次に起こる出来事のイラストが映し出されていた。

翌日、原っぱに並べられたテーブルに、パン?パイ?のようなものが配られる。
黄色いピラミッド型の建物から老年の男女二人が現れ、席に着くと、参列している皆も座る。彼らが食べ始めると、皆も食事を始める。

何だか、この二人生贄になりそう…
クリドラでヴァイキングの葬式に生贄となることを志願したヨールンが、いい扱いを受けていたことを思い出すなぁ…

二人は手の平をナイフで切り、ルーンの石碑にその血をこすりつけ、そして椅子に座ったまま担がれていき、絶壁の上に姿を現した。

最初に女性が絶壁の上からいきなりダイブして、下に置いてあった平らな岩に打ち付けられ顔が砕かれぐちゃぐちゃになり、バウンドして横に倒れ込む。

それを人々は静かに見守っているだけ。

サイモンとコニーがびっくりして「どうして助けないんだ」と騒ぎだし、今度は男性が断崖の上に姿を現すとサイモンが「だめだ、飛び降りるな」と騒ぐが、そのまま飛び降りた。岩にうまく当たらず顔が破壊されず、足がありえない方向に曲がってはいたがまだ息があったため、ハンマーを持っていた人が3人、順番にハンマーで頭をたたき割った。
占いみたいに、顔がぐちゃぐちゃになって即死=吉、死ななかった=凶、というように思える。

騒ぐサイモンを見て年配の女性がイングマールに「話してなかったの?」と聞き、部外者であるサイモンやダニーたちに説明をする。
「あなたたちには奇異に見えるかもしれないけど、これはホルガの伝統で、尊い死なんです。自然に任せて何もできなくなって死を待つより、自ら犠牲になる名誉の死なんです」
これは「アッテストゥパン」とかいう儀式らしく、ジョシュはこのことを知っていたようだが、友人たちに詳細を尋ねられても「ああ、うん」などと言って語らなかった。

その夜、ペレの妹がクリスチャンのベッドの下に、何かを忍ばせる。それはルーンが書かれたまじないの道具のようだった。この夜も赤ん坊がずっと泣き続けていた…
確か、燃やされる人のイラストを見たような気がする。
翌朝、広場のテーブルで皆で食事をとる。
クリスチャンは「自分もこのホルガについて論文を書くことにした、礼儀として話しておく」とジョシュに言ったため、ジョシュは「ふざけんな」と激怒する。ジョシュはペレに「論文として発表する許可を長老に取ってくれ」と頼むがペレは「許可しないだろう」と答える。「聞いてないんだろ?ちゃんと長老に聞いてくれよ」とジョシュは憤慨しながら言うと、ペレは長老から「場所や人物が特定できるような記載はいっさいしない、クリスチャンの申し出が先だったから、クリスチャンと協力しあって書くように」という回答を持って来る。

頭を割られた老人二人は、バーベキューのように網に載せられて焼かれた。
運ばれる前に、割られた老人の顔が逆再生のように元に戻ったが、これはダニーの見た幻覚なんだろうか?
原っぱの隅に置かれた?倒れた?巨木に2人の遺灰を撒くが、マークがこの木に立ちションをし、ホルガの男がものすごく怒る。
「ただの枯れ木じゃんかよ」とマークは言うが「先祖の魂が宿ったせいなる木だ。それに立ちションするなんて…!!!」と言われる。
コニーは「もうここにはいたくないから帰る」と言って出て行こうとするが、一緒に帰るはずのサイモンがいない。村人は「一足先にトラックで帰った」と言うが「私を置いて何も言わず先に帰るはずない」「トラックは二人しか乗れなかったから、先に行ったんだ」というやり取りがあり、コニーも集落を出て行く。
その様子を見たダニーはクリスチャンに「サイモンはコニーを置いて帰るなんて信じられない」と言うと、クリスチャンは「ただのコミュニケーションのズレだよ。たいしたことじゃない」と返事する。
村の人からサイモンと連絡が取れて、彼は駅で待っているはずだ、と聞くが「あなたは私を置いて行ってしまいそうよね」とダニーはクリスチャンに嫌味を言う。

ダニーは「手伝って」と言われ、パイを作るのを手伝う。
夕食はパイだったが、クリスチャンのパイには毛が入っており、口の中から取り出した毛を見て、マークは「それ、陰毛じゃないか?」と言った。立ちションを激怒した男はマークを睨みつけていたため「俺、あいつに殺されるんじゃないか?」とちゃかして言う。そこへ村の女性が来て「一緒に来て。見せてあげるから」と言われマークは連れていかれた。

サイモンは犠牲になった、というように取れるんですけど…
そしてマークも「新しい血」の生贄に鳴りそうな気配。

夜、ダニーが目を覚ますと周りのベッドが全て空だった。
起き上がると「静かに!ダニーが目を覚ます」と荷物をまとめて出て行く仲間たちの姿が見えた。建物を出ると彼らは車に乗り込み、ダニーを置いて出発する。
ダニーは叫び、口から黒い煙を吐いたが、それは夢だった。

朝になると、マークの姿がない。そして「ルビ・ラダーがなくなった」と、長老たちはマークが盗んだんじゃないのか、マークはどこへ行ったんだとジョシュやダニーに聞くが、彼らもマークの居所はわからない。
クリスチャンは長老の女性に別室に呼び出される。
マークが消えたことを問いただされるのかと思ったが、ペレの妹のマヤのことをどう思っているのだ、と聞かれる。
「マヤはクリスチャンのことを気に入っている。マヤとの性交を許可します」

その夜、ダニーはジョシュに睡眠薬をもらう。
ジョシュはこっそり起き出して、ルビ・ラダーの置いてある建物へ忍び込み、本の写真を撮っていた。すると、入り口に男の姿が。下半身は裸のようだが「マーク?」と呼びかけると、ジョシュは殴り倒される。
映像では薄暗くてよくわからなかったのだが、これはマークの頭の皮を被り、下半身の皮を剥ぎ取って「ズボン」にしたものを履いた人物だったらしい。

壁に描かれた、メイ・ポールのイラストが映る。
翌日、ベニバナのような花をすりつぶしたものを、水(のようなもの)に混ぜ、それを女性たちに配る。
そして、矢印のようなメイ・ポールの周りを、花かんむりを被った女性たちが輪になって踊っていた。
最後まで残ったものが「メイ・クイーン」となるのだと言う。
ダニーも参加して長老の合図で踊ったり、止まったり。向きを変えて踊るときにぶつかって倒れたりすると、脱落者となるのだが、このぶつかる様子がややおかしかったので、薬物を摂取していたようだ。
クリスチャンはこの様子を眺めていたが、薄赤い飲み物を持って女性がやってくる。
特別な飲み物なの、と渡され訝しむが、クリスチャンは結局飲んだ。
そして連れていかれる。

広場ではメイ・クイーンを決めるためのダンスが続いていた。
ハイになったダニーは、「スウェーデン語がわかる!」と言ってスウェーデン語で皆と話をしだす。
その様子を嬉しそうに見ているペレ。
ダニーは最後の一人となり、メイ・クイーンはダニーに決まった。
ペレが駆け寄り、キスをする。このキスが友だちにするレベルにしては、長くて熱烈だった。

長い食卓をみんなで囲み、ダニーはお誕生席に座るが、いろんなものがグニャグニャと歪んで見えた。
(ドラッグを吸うと、こんな風に見えるらしい)
ここのカットだったかよく覚えてないが、妹と両親が死んだ時の幻覚が見えていたりする。
その後ダニーは「豊穣を願うため」と、シンデレラが乗るような馬車に乗って畑へ行き、肉とあと何だったか忘れたが、土の中に埋める儀式を行う。

クリスチャンは白いガウンのようなものを着せられ、ある建物へ連れていかれた。
扉を開けると、13人の裸の女性が手を繋いで立っており、体を揺らしながら歌っている。
その手前に裸のマヤが横たわっていた。
ガウンを脱がせられ裸になったクリスチャンは、マヤと性交する。
いきなり挿入していたが、痛くないのか?と思った。
最中に女性が近づいて来て、マヤの手を握る。
マヤは「精子が体内に入ってきたこと」にたいして喜びを感じているようだった。
ダニーの様子からこの建物内の上からのカットに変わったとき、かなり大きいぼかしが入っていて、
「ここからモザイクかけますよ」と宣言されているみたいで滑稽だった。
その前にもマークの股間が映ったりしていた時は薄暗いこともあって、ぼかしなしのようだったのだが…

ダニーが広場へ戻ってくると、クリスチャンのいる建物から声が聞こえる。
後ろで歌っている女性の声と思われる。
「行かないほうがいい」と止められるが、構わず歩いて行き、扉の隙間からクリスチャンとマヤの行為を見てしまう。
ダニーは後ずさり、別の建物へ入り涙を流して大声で呻いた。
さっきまで一緒に踊っていた女性たちは、ダニーの周りに座って、ダニーと同じように大声で呻くというかわめくというか、同調して同じ行動をとっていた。
ここもなんだか滑稽だった…

クリスチャンとの行為が終わると、マヤは足を大きく胸の方に引き寄せ「赤ちゃんができたことを感じる」と言って、嬉しそうだったが、この段階で妊娠したかどうかなんて、わかるわけないのでは…
しっかり性器が映る
角度だったのでぼかされていたが、ディレクターズカットだと女性器には血がついていたんだそうだ。
クリスチャンは建物を飛び出し、素っ裸でしばらくウロウロしていたが、広場の隅にはジョシュと思われる足が地面から突き出していて、足の裏にはルーンが書かれているのを見る。それを見て、股間を隠しながら納屋のようなところへ逃げ込む。
しかし、そこには裸の男が地面と平行に宙づりになっており、下を向いた顔の目にはガーベラのような花がはめ込まれていて、どうやらマークのようだった。
背中にはよくわからない「生のもの」がついていて、動いていたから生きてはいたらしい。
これは「血のワシ」というヴァイキングの処刑方法だそうだ。
背中を切り開き、肺を取り出して鳥の羽に見立てて広げるんだとか。
下からこの人物の顔を覗き込むようにして見ていたクリスチャンだったが、何者かに粉を顔に浴びせられて気を失う。

熊が焼かれている絵が映る。
ダニーはピラミッドのような花の塊から、顔だけを出した状態で、メイ・クイーンとして祀られていた。
クリスチャンは目を覚ましたが「あなたは目が見えなくて動くこともできないけど、大丈夫よ」と言われ、車椅子に座ってダニーの前に連れてこられた。
「この祭りでは9人が命を挿し出してくれる。我々の中からはすでに2人は亡くなっているが、外部から二人の人間を連れてきてくれたイングマールが、志願してくれました。また、ウルフも志願してくれました。ペレは、新たな血を外部から連れてきてくれ、さらにメイ・クイーンも連れてきてくれました」
長老が祭りがクライマックスを迎えることを説明する。
「残りの1人は、2人のどちらにするか、メイ・クイーンに決めてもらいます」
一人はクリスチャン、もう一人はガラガラみたいなものでルーンがかかれた球を引き、ホルガの候補者が決められた。
どちらにするか迫られたダニーは泣きそうな顔をずっとしていた。
結局、クリスチャンが選ばれたのだが、ダニーは何も言わなかったので、無理やりクリスチャンにさせられたのかもしれない。
クリスチャンは車椅子を引かれて連れ去られる。

別の建物では、熊が台の上に乗せられ、解体の仕方を弟子?に説明している。
その台の隣に、連れてこられたクリスチャンが乗せられた。
熊の皮を剥いで、かぶせてベルセルクにでもするとか?と思ったら、その通りだった…

奥の黄色い建物内に三輪運搬車で死体が運ばれる。マークは頭はあったが、体はずだ袋のようなものになっていた。
奥に置かれたのはおそらくサイモンとコニー、その手前の壁際にイングマールとウルフが座る。
真ん中にはソファが置かれ、熊の皮に包まれたクリスチャンが座らされた。
部屋の中の藁に火がつけられ、次第に燃え広がっていく。ウルフとイングマールはその様子を不安げに見て顔を見合わせるが、ウルフは体に火がつくと、悲鳴をあげた。
建物全体が火に包まれ、焼け落ちていく様子を見るダニーや村人たち。
マヤは真っ赤な口紅をして、綺麗に着飾っていた。
ずっと悲しそうな、苦しそうな顔をして燃えていくのを見ていたダニーだったが、最後にその顔に微笑みが浮かぶ。


ダニーは壊れてしまった…と思った。
恋人と決別できタコと似対する喜び、と解釈している人もいるが、そのようには見えない。
ホルガが求めていた「新しい血」は、精子を提供してくれる男だけだと思っていたのだが、ダニーを連れてくることもペレの目的だったのだろうか?
ダニーの妹の最後の電話は、口を塞がれたようなうめき声が聞こえて電話が切れている。
ペレがダニーの妹と両親を排ガスでの自殺に見せかけて殺した、ということはないんだろうか?
ペレは自分の両親が「炎で死んだ」と2回ダニーに話している。それは、この儀式で燃やされた、ということのようだ。


予告はダニー役のフローレンス・ピューが出演している『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』と『ブラック・ウィドウ』だった。

評価:1k


野性の呼び声

監督:クリス・サンダース
脚本:マイケル・グリーン
原作:ジャック・ロンドン
製作:アーウィン・ストフ
音楽:ジョン・パウエル
撮影:ヤヌス・カミンスキー

出演
ジョン・ソーントン:ハリソン・フォード
ハル:ダン・スティーヴンス
マーセデス:カレン・ギラン
ペロー:オマール・シー
ミラー判事:ブラッドリー・ウィットフォード
チャールズ:コリン・ウッデル
ドーソン:スコット・マクドナルド
フランソワーズ:キャラ・ジー

CMだとハリソン・フォードが主人公みたいになってるけど、主人公は犬のバックです。
ハリソン・フォードの出演は後半1/3くらい。
「野生の呼び声」は、バックの内なる「野生の本能」のことだった。

まさしく「児童文学」という映画だった。
夏休みとかに子供向け上映会、に向きそう。
動物は全てCG。CGじゃなきゃ、こんなことできないでしょ。
犬達がまるで人間のように、考えていることがわかる表情をするのだ。
猫とか表情で「嬉しそう」とか「嫌そう」はだいたいわかるけど、その表情が鼻筋にしわがだんだん強く寄っていくとか、眉毛はないけど眉を動かすような表情の変化とか、実際の動物はそこまで細かく顔に出したかなぁ、と思った。
野生の狼との関係は、そんなこと実際にあり得るのか??狼でも恩義とか感じるのか??と思った。
カラスなどは餌をくれる人を覚えていて、恩義を感じるような行動をすることがあるって聞いたことあるけど。

郵便配達のソリ引きをしていた時のバックが、一番好きだったなあ。英雄みたいで。









ネタバレのあらすじ










カリフォルニア州の判事、ミラーの家で飼われていた大型犬のバックは、「判事の飼い犬」ということで、何をやっても咎められることもなく、甘やかし放題だった。
判事の誕生日パーティの日、ごちそうを台無しにして、ポーチで一晩過ごすように言われ締め出されるバック。
当時はゴールドラッシュで、北部のユーコン州(現在のカナダ)では、犬ぞりを引く犬の需要が高まっていた。
大きな体のバックは目をつけられ、エサでおびき寄せられて犬業者に捕獲されてしまう。
(バックによると、初めて本能に従った行動だったらしい)
力も強かったバックは括りつけられた金具を壊して逃げ出すが、こん棒で撃たれ「こん棒を持った人間には逆らえない」と学ぶ。

バックは再び逃亡を図るが、ユーコン州へ旅立とうとしているジョン・ソーントンと港でぶつかる。
バックはジョンが落としたハーモニカに気づいて口にくわえ、船に乗ろうとしていたジョンを追って渡す。そこへ犬業者が来てバックは捕まってしまうのだが、この時ジョンはバックの名前を教えてもらう。

バックを購入したのは、ユーコンの港から内陸へ郵便を配達しているペローとフランソワーズだった。
ペローは黒人、フランソワーズはアジア人みたいだったが、夫婦というわけではなさそうだし、いったいこの二人の関係はどういうものだったんだろう?
バックだけを連れ帰ったペローにフランソワーズは「2頭欲しかったのに」というが、ペローは「こんなに体が大きいんだから、2頭分の働きをする」とバックにかなり期待していた。

犬ぞりのボスはハスキー犬のスピッツで、バックは一番最後に繋がれたが、今まで南部で裕福な暮らしをしていたのが、いきなり極寒の地でのそり引き。まず、寝るためにテントに潜り込みフランソワーズに追い出される。寝床用の穴を雪に掘らなくてはならないが、そのことも知らなかったため、ほかの犬が雪の中から出てきたのを見て、穴を掘ることを知る。そして初めて岩の上に黒い大きなオオカミの姿を見るのだが、それはバックの内なる野生の呼び声であった。

最初はそりを引くどころかそりにぶつかって押されたり、ウサギを見つけて追いかけようとして、そりが道を外れて転落したりと全然役に立たず、ボスのスピッツはイライラしていた。スピッツはわざとバックが道端の木にぶつかるように曲がる指示を出したりと、かなり意地悪だった。他の犬ぞり犬たちのエサを横取りしたりしていたが、スピッツに刃向かおうとする犬はいなかった。
バックはエサを横取りされた犬に、自分の餌を分けてあげる。
この時、他の犬たちも一列に並んでその様子を見ていたのだが、彼らは仲間に親切にしてもらう、ということがおそらくなかったと思われ、餌をもらった犬がどういう行動をするのか、魚をくわえながら一斉に顔向けて見ていたのが面白かった。こういう演出はCGならではだ。

バックは仕事をすぐに覚えた。
凍った川の上を注意して進むのだが、フランソワーズが氷の厚さを確かめていると氷が割れて川の中に落ちてしまう。ペローが駆け寄るが氷の下に流され、水上に浮かび上がれない。
バックが素早く飛び込み、氷の薄くなったところを割って助け出した。フランソワーズを引き上げているうちにバックが水中に流される。
「助けてやって!」と叫ぶフランソワーズだが、ペローが氷をたたいても割れない。
氷を手で割ろうとしていると、横からこん棒が差し出され…見るとバックだった。
いったいどこからはい上がってきたのだ?

その夜、たき火を囲みながら、フランソワーズはバックに話しかける。
「ペローは誰よりもあんたを頼りにしている。私もだよ。郵便配達の到着は、時間に間に合ったことがない。でもペローはいつも『間に合う』と信じて走り続けているんだ」
そして他の犬には与えない、自分達が食べる肉をバックに与えた。
その様子を遠くからスピッツが見ていた。
群れにはリーダーは1匹しか必要ない。スピッツは我慢の限界を超えていた。
バックに襲い掛かるスピッツ。バックは抗うことなくやられ、ふらふらと雪の中に倒れ込んだ。
仲間の犬たちがその様子を心配そうに見ていたが、バックが倒れると皆耳を倒し、スピッツに抗うことはせずその場を離れていった。しかし、1匹だけはスピッツに吠えだしたため、スピッツがその犬に襲い掛かる。
バックは立ち上がりスピッツに襲い掛かった。

さっきあんなにフラフラだったのに、この素早い動きは!?

スピッツを抑え込むバック、バックの内なる野生の呼び声がオオカミとなって表れる。
バックはスピッツの首にかみつき、スピッツは降参して抵抗をやめた。
気位の高いスピッツは、群れにとどまる選択肢はとらず、群れから出て行った。
その後死んじゃったのかなぁ…狩りなどしたことなかったと思われるが、自力で餌を獲得できたんだろうか?

翌日、スピッツの姿はなく、先頭にバックが座っていた。「あんたは一番最後に入ったんだから」と、ペローとフランソワーズは2番目の古参の犬を先頭犬に据えようとしたが、その犬は先頭犬の首輪をするのを嫌がって逃げたため、仕方なくバックを先頭にして、犬ぞりは走り出した。
「先頭犬は体力があるだけじゃダメなんだから」とペローは言ったが、バックは立派にそりを先導して行った。
ペローが調子こいて「行け〜!」と喚いたせいなのか、雪崩が起き、こちらへ向かってきた。
ペローはそりを雪崩とは反対の方面に舵を切ろうとするが、バックが雪崩を見、雪崩が起きたすぐ下にの崖に洞穴があるのに気が付いた。反対側の崖の上を見ると、そこには大きなオオカミの姿があった。
バックはそのまま雪崩に向かって走る。ペローは「正気か!?」と慌てて進行方向を変えようとするが、バックは無視して洞窟に飛び込み、雪崩の少し先に出ることが出来たのだ。

ペローたちは郵便配達の時間ぎりぎりに街へ到着し、初めて間に合ったのだった。
その場所にジョン・ソーントンもいた。
バックを見て「お前を覚えてるぞ。バックだろう」と声をかけるジョン。
ペローへ郵便が届いており、その手紙には「これからは電信の時代だ。犬ぞりの郵便配達は廃止する。犬は売って戻ってくるように」という指示が書かれていた。

バックたちはゴールドラッシュで一山当てようとしていた、ハルと妹のマーセデスとその夫に買われた。
ソリに椅子やらタンスを積んで乗り込み、出発しようとするがソリが動かない。「怠けるんじゃない!」と鞭をあてるが、ソリは動かない。
その様子を見たジョンは、「ソリが凍って氷に貼り付いてしまっているからだ」と、ソリを持ち上げて動くようにした。
ジョンは「氷が解け始めているから今出発するのは危険だ」と忠告するが「そうやって黄金を横取りしようとたくらんでいるんだろう」と聞かず、ハルたちは出発し、ソリで凍った川をさかのぼっていった。
坂を上っていくが、どんなに犬たちが頑張っても、ソリは滑ってしまい、ハルたちはソリから降りて押さなくてはならなかった。
川の氷が薄くなっていることに気づいていたバックは、ついにひくのをやめて動かなくなったため、ハルが棍棒を振り上げて殴るが、動こうとしない。
「役立たずめ」ハルが銃をバックに向けるとその様子を遠くから見ていたジョンが「やめろ」と止めに入る。
ハルはバックを置いて川をさかのぼって行こうとしたので、ジョンは「危険だ」と止めようとするが、「お前は黄金を独り占めしたいからそんなこと言うんだろう」と言いがかりをつけ、川を上って行ってしまった。

ジョンはバックを家に連れて帰り、ベッドに寝かして看病する。
2日間眠り続け、目を覚ましたバックに、ジョンは「ここに残るか、決めるのはお前だ。好きにしろ」と言って家を出ていき、酒場へ向かう。そのあとを追っていくバック。
ジョンが酒場で酒を飲んでいると、ハルが入って来て「お前のせいで何もかもなくした!」と銃を向けるが、酒場の主人やこの町の町長のような感じの男が「ここで騒動を起こすな。出ていけ」とハルを追い出す。
元気になったバックに、ジョンは失った息子のことを話す。ハーモニカは息子の持ち物で、仕事に精を出すあまり妻と子にあまりかまってやることができず、幼い息子は亡くなり、妻とも離婚したのだった。
息子が行きたがっていた、冒険の旅へ一緒に出たかった、と。

地図を広げ、まだ誰も見たことない未開の地へ行こう!と、地図の横に白紙を置き、そこへ想像で川を書き入れ、目的地を定める。この目的地は適当に書き入れたと思うが、偶然にもそこはかつて金を掘るための小屋があった場所だった。
カヌーに乗り、ジョンとバックは旅立ち、滝つぼへ落っこちたり(小舟も壊れず、浸水も沈没もせず、不思議だった)しながら、小屋のあるところへたどり着く。

小屋は無人で荒れ果てていたが、ジョンは修理し、しばらくそこに住み着くことにした。
川で砂をさらうと、大量の金が取れた。
バックは森の中へ入っていくと、森林狼の群れと出会うが、狼たちはバックを警戒する。
しかし、雌の白い狼がバックへ興味を示し、近づいてきた。雌オオカミと次第に打ち解けていくバックだったが、仲間のオオカミは飼い犬であったバックを仲間とは認めない。
しかし、群れのリーダーが川へ落ち流されそうになった時、バックが知恵を働かせてリーダーの命を救い、バックは仲間と認められるようになったのだった。

バックは次第に、狼たちと過ごす時間が長くなっていくが、夜になると必ずジョンのところへと戻っていた。
しかし、ジョンは森林狼たちと過ごすバックを目にして、バックが自分の居場所を見つけたことを知り、「お前には守るべき大事なものができた。もう自分のところへ戻らなくていい」とバックに言う。

翌日、ジョンは旅立つことにし、荷物をまとめ、集めた金もポケットに入るだけを残して川へ捨てた。
その夜、ハルが小屋へ現れる。ジョンの家で、地図に書き込んだ目印を目指してジョンの後を追ってきたのだ。
物音がしたため様子を見に来たジョンに、「やはりお前は金を独り占めしたかったんだな!金をよこせ」と銃向け、ハルは発砲するが、ランタンに命中、小屋に火が付き、燃え広がり始めた。

ジョンはポケットに入れていた金を投げたが、ハルの怒りは収まらず、もみあいになりジョンは撃たれてしまう。
森で森林狼と過ごしていたバックだったが、何かを感じて河辺まで下りてくると、燃えている小屋を目にする。
ハルはバックを見て棍棒を振り上げる。バックは以前に棍棒で殴られた記憶がよみがえるが、断崖の上に黒い狼が現れ、バックはハルに噛みつき、体当たりをして炎の小屋の中へハルを突き飛ばすと、小屋が炎と共に崩れ落ち始めた。

バックはハーモニカと息子の写真が挟まった手帳をくわえて、燃える火の中から戻ってくるのだが、有能すぎてすごすぎる。
ジョンは息も絶え絶えだったが、「俺は大丈夫だ」とバックに言う。

バックを枕にジョンは動かなくなったので、あのまま死んだと思うのだが、その後のナレーションが
「最近の森林狼には、ちょっと変わった群れがいる。その群れのボスは昔人と一緒に暮らしたことがあった。そんなものは伝説だ、という人もいるが、彼は毎年夏になると麓に降りてくきて、大好きだった昔の飼い主を偲ぶのだ」
と、あたかも物語を読むように語られる。
時々説明のように入る、当時の心境を思い出して語っているような感じのナレーションは、ジョンであるハリソン・フォード。
しかし、死んだ人の声で朗読されているため、このラストのナレーションだけは違和感を覚えた。

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