貞子

原作:「タイド」(鈴木光司)KADOKAWA文庫
監督:中田秀夫
脚本:杉原憲明
製作:今安玲子/原公男
製作総指揮:井上伸一郎
音楽:海田庄吾
主題歌:女王蜂「聖戦」

出演
秋川茉優:池田エライザ
石田祐介:塚本高史
秋川和真:清水尋也
少女:姫嶋ひめか
藤井稔:桐山漣
山村志津子:南彩加
山村貞子:南彩加(二役)
祖父江初子:ともさかりえ
倉橋雅美:佐藤仁美

監督が元祖「リング」の中田秀夫、平成版の新たな「リング」かと、ちょっと期待して見に行ったのだが・・・
展開が遅くて地味…ストーリーらしきものがないような?
「リング」をふまえているストーリーなのだが、リングとも内容が矛盾する箇所がかなりあり、いったい何を描きたかったんだろう…と思うような映画だった。


ネタバレ








まずのっけから、「貞子の穴が塞がった」と訳のわからないことを言う老婆が登場。
そして、団地のクローゼットに閉じこめられている少女。
母親と思われる女が、クローゼットの扉の桟から中をのぞいて「おまえは貞子の生まれ変わりだ」と恐ろしい顔で言い、「だからおまえは生きていては行けないんだ」と灯油をまく。
「やめて」と言う少女、クローゼットにかけられてた南京錠が見えない力で壊され、少女がクローゼットから飛び出すと、壁に白い服を着た長い髪の女が立っていた。
灯油に火がつき、その部屋は火災が起きて死者が出る。


秋川はふらふら歩いていた少女を保護し、自分が勤めている病院へと連れて行く。

主人公の秋川茉優は、新人カウンセラーだが、「うるさい先輩なんでしょ?」と言われていた藤井先生も秋川と大差ない若さ。
少女は「貞子」と呼ばれていたが、自分の名前は「貞子」ではない、と言う。
この病院は小児科と精神科が併設されているのか、少女と同じくらいの小学生の男の子も入院して、不思議だった。
少女が超能力?を持っていることを演出するために、男の子に囃し立てられる必要があったから、子供の入院患者を附田のかもしれないけど。入院患者にしては、誰も点滴の管とかつけてないし、ぴんしゃんして元気だった。

少女が保護される前に、自分が意図せず人を操って死に至らしめることが出来るような描写があり、それに対して少女は恐れを為しているようだったが、病院に保護されてからは積極的にその能力を使って「好きな人に害を為すもの」「気に入らないもの」を排除しようとしているように見える。

秋川の弟の和真は、何だか良くわからない「成功」を目指していて、それがプロデューサー?とかいう石田がアップしていた動画をほめてくれたから自分はこれでやって行けるんだ、といって大学もやめてしまう。
動画もすぐに飽きられてしまったため、死亡者が出た火事の部屋に肝試し画像を撮りに行って行方不明になり、撮られた動画をスロー再生すると、後ろに貞子が写ってるわけだが「ここに写ってる」とあらかじめ知っていなければ「人が写り込んでる」ってわからないような映像。
何かを見て、おびえるように慌てて屋外に出て来て「すごいものを見た」というようなことを言っていたが、何を見たのかも不明。
室内で「鏡がある」と言っていたので、「リング」のように山村志津子でも映るかと思ったけど、そんなこともなく…

また、祖父江初子が娘は貞子の生まれ変わりだと信じていたのか、なぜ娘が貞子を呼び出せるのかも謎のまま。
祖父江は霊能者で大島の出身のようだったが、山村志津子や貞子とのつながりはないようだった。
30年ほど前の「リング」で呪いのビデオを見た女子高生が、呪い殺されずに生きていたのが倉橋だったのだが、ワイドショーで連日報道でもされていたのか、自分が見た呪いのビデオについてやけに詳しく説明してくれた。

これが「リング」のおさらいとなり、以下のことを説明してくれる。
・大島に住む超能力者の山村志津子は、詐欺師呼ばわりされて自殺する
・志津子の娘が貞子
・貞子の力を恐れた父親が、貞子を井戸に突き落として殺した

倉橋はリング2で貞子と遭遇しているはずだが、なぜか生き延びていた。しかし、夜中に秋川の診療室に花を飾るために忍び込み、秋川に見つかり口論となってしまう。
この口論も、ヒステリックに「どうして私を避けるのよ!!」と食ってかかり、あまりの剣幕に秋川は後ずさってしまうのを、「私が迷惑だって言うの!!」と激昂していた。
花を切るために植木ばさみを持って来ていたのを、刃先をむけて突き出せばだれだってそりゃ後ずさるでしょ。「あぶないから刃先をこちらに向けないで」と言えばもうちょっと収まったんじゃないかなぁ、と思う。なんでそこを指摘しないんだ。

その様子を見た少女が、すごい形相で念じると休憩室?食堂?にあるテレビが勝手について、おなじみの井戸の映像が映し出され、手がでてきて貞子が井戸から出てくる。
まさかこのまま出てくるのか!?の期待を裏切らず、液晶テレビから出て来て、床を這いつくばって佐藤仁美にすりより、かおを胸元にくっつけてにじり寄る。生身の人間感がたっぷりすぎて、すでに怨霊じゃなくなってるよ…
このカットは怖いよりやや滑稽だった。

貞子に掴まれた腕が、のちに痣となっていることに気がつくのは、リングと同じ。
アップロードされた動画に骸骨などの映像、瞳に映し出される赤ちゃん、祠のようなものが差し込まれているのを見た後、スマホに電話がかかってくる。
「呪いの電話かっ!?」と期待したら石田からだった
(リングでは、呪いのビデオを見た後に、必ず電話が鳴って変な音が聞こえるのだ)

「リング」の事件でどうやら精神科にお世話になり、退院して日常生活を遅れるようになっていた倉橋だったが、ふたたび入院することになる。
病室の天井から滴り落ちる水を見て、腰掛けた足に黒い髪が絡まり、呪い殺される。
ベッドの下で絶命していたが、職員がベッドをどかすとすごい形相で息絶えていた。この顔も確かに恐ろしいんだけど、「リング」の竹内結子の顔の方が恐ろしかった…

動画を撮影した後に和真と連絡が取れず、行方不明になってしまったので、秋川は行方を探すために、石田と録画された動画を調べる。
写っているお札と、呪い?で差し込まれた祠の映像から、大島であることを突き止めるが、あんなお札でよく特定できたよね。慌てて屋外に出てくるが、この時何を発見したのかは遂に分からなかった。
そして閉じこめられているような
和真の映像を発見するが、場所はどうも祠のあるところらしい。
大島にテレポーテーションしたのか?

その足で二人は大島へと向かう。
立ち入り禁止となっている、祠の入り口あたりで和真を捜していると、冒頭に出て来た老婆が現れて「育てられない子を『間引き』して捨てに来た祠なんだよ。そういう子の魂が引き寄せられる。貞子の好物だからね」というようなことを言う。
潮が満ちてきて危ないから、と警察に帰るように言われしぶしぶ宿へ戻るが、夜中に再びやってくる。
奥へ進むと、「貞子の穴」と行っていた塞がった洞窟の入り口を見つけ、部分的に開いた穴を覗き込む秋川だが、真っ暗な中を覗いても何も見えないと思うのだが・・・?なんで持ってる懐中電灯で照らさないんだ、と思っていた。
やっと照らしたと思ったら、不自然に手を穴の中に伸ばして照らそうとする。
案の定、貞子の手がその手を掴んで、穴の中に引きずり落とされた。

満月で大潮で二次災害になる、と地元の警察と消防に止められたし、老婆が「ここに捨てると海に流される」と言うようなことを言っていたので、海面が上がって祠は海に沈むんだと思ったが、全くそんなことはなく、リングで井戸の底から表をみているようなアングルで、ぽっかりあいた丸い入り口に、まんまるの月がかかっていた。
秋川は、貞子を抱いて祠に現れた志津子の幻影を見る。
「ごめんね、こうするしかないの」と赤子に語りかける女(志津子)。眼に映る赤子、その子を置いて去っていく。秋川が「貞子は親に捨てられたが、この場所で死んではいない」と言うが、いったいどうなってんの?

「リング」では志津子の公開実験が失敗に終わり、非難をあびたのを見てその場にいた貞子が観客を殺してしまう。
素性を隠して成長した貞子は結核にかかり、サナトリウムで養生していたが、能力を恐れた父親に井戸に突き落とされる。
その井戸の上にリゾート用のコテージが建てられ、井戸の真上にビデオデッキが置かれていたので、呪いのビデオが念写され、コテージに泊まった客が呪いのビデオを見てしまい、「コピーして人に見せないと死ぬ」という事件に発展した。
といういきさつだったはずなのだが、話が繋がらない…

大島の祠で弟をみつけ、その脇にある海へと繋がる水たまりのようなところは、おそらく赤ん坊を海へ流すために捨てていた場所で、水底に骸骨がたくさん沈んでいた。そこにあの少女が現れる。
少女がたくさんの子供たちの呪いにとりこまれそうになるのを「私がいる、一人じゃない」と抱きしめると、救われて?姿が消えた。しかし、秋川が引きずり込まれそうなり、結局弟が呪いの犠牲となり貞子に海に引きずり込まれてしまった。

石田がそこへやってくるが、秋川は精神を病んで入院、反対に少女は回復して退院する。
退院時に秋川に「あの時お姉さんの声が聞こえた」と言いにくるが、秋川は怯えたまま。
そして、貞子がベッドのまわりに惹かれているカーテンにそってぐるっと回って来て、カーテンを開けた時に、目が!

一番怖かったのは、目を見開いて「あんたは貞子の生まれ変わり」と言う、ともさかりえの目と、エンドロール後に画面いっぱいに写った「井戸」だった。
リングを見た当初は、原作では具体的に書かれていない「恐怖」をどう表現するんだろう、と思ってみたけど、どの家にも必ず置いてある「テレビ」が勝手について映像が映り、そしてそこから人が出てくる、という映像が、ありえそうな感じがして本当に怖かった。お風呂で髪を洗ったりしているといつの間にかテレビから出てきて襲われるんじゃないか…と思ってしまうのだ。

少女役の子は、セリフはあまりなく表情だけで感情を表現するのだが、なかなかうまかった。
プロモーションで使われている「♪来〜る〜♪きっと来る〜」は、流れなかった。

評価:2c


 

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