劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス【極上爆音上映】R15+指定
 
(2015年公開作品)

総監督:本広克行
監督:塩谷直義
ストーリー原案:虚淵玄
脚本:虚淵玄、深見真
演出:川崎逸朗/柿本広大/黒川智之/細川ヒデキ/森大貴/塩谷直義
キャラクター原案:天野明
キャラクターデザイン:恩田尚之/浅野恭司/青木康浩
サブキャラクターデザイン:千葉崇洋/安食圭/古川良太/中村深雪
美術デザイン:草森秀一/森岡賢一/横田晋一
ドミネーターデザイン:石渡マコト
銃器デザイン:窪田康高/常木志伸
メカデザイン:常木志伸/寺岡賢司/石渡マコト
総作画監督:恩田尚之
レイアウト作画監督:横田晋一
エフェクト作画監督:金子秀一
メカ監修:常木志伸
作画監督:松竹徳幸/中村深雪/鈴木俊二/古川良太/安食圭/横田晋一/青木康浩/鈴木ひろみ/佐々木敦子/立石聖
色彩設計:上野詠美子
美術監督:草森秀一
3D監督:三村厚史
音楽:菅野祐悟
音響監督:岩浪美和
製作:清水賢治/古澤佳寛/森下勝司/北川直樹/中尾勇一/石川豊/でじたろう

声の出演
常守朱:花澤香菜           狡噛慎也:関智一
唐之杜志恩:沢城みゆき        雑賀譲二:山路和弘
霜月美佳:佐倉綾音          宜野座伸元:野島健児
六合塚弥生:伊藤静          雛河翔:櫻井孝宏
須郷徹平:東地宏樹          禾生壌宗:榊原良子
槙島聖護:櫻井孝宏          ドミネーター:日高のり子
ニコラス・ウォン:神谷浩史      チュアン・ハン:佐々木勝彦
ヨー:諸星すみれ           セム:木村昴
サムリン:利根健太朗         デスモンド・ルタガンダ:石塚運昇
ユーリャ・ハンチコワ:小林未沙    ブン:山本兼平

「PSYCHO-PASS サイコパスSinners of the System」の上映へ向けて、1週間のリバイバル上映。
第2期の2年後が舞台、というので、直前3日でとりあえず2期を見たが、1期は放送時に見て以来復習していないので、あんまり覚えてないのだった。

映像がすごく綺麗で、所々フルアニメーションで滑らかな動き。
背景美術もすばらしい。

2期では死体を見て「オエー」とやっていた霜月監視官が、バンバン爆発した死体を見ても顔色一つ変えず、成長したなぁ、と思ったが、「それって私の仕事ですか?」と相変わらずやっていたので、やっぱ変わってなかったわ。
「朱ちゃんも成長したなぁ」と思ったけど、狡噛さんと体張って互角にやりあってるのを見て、2期でもトレーニングはしてたけど、いつの日か狡噛さんを逮捕する時の為に、トレーニングをしてたんだろう。

狡噛さんはその後どうなったんだろう?とは思っていたけど、海外に出ていたのか。
そして、シビュラシステムのある日本だけが安全な場所と言っていたが、ヨーロッパも混乱してるってことなのか?

アジアから侵入してきたテロリスト。
そこに狡噛慎也とのつながりを見出した常守朱は、シビュラに紛争国シーアンへの海外出張を提案する。
シーアンはシュビラシステムをテスト的に輸出し、運用を開始した国だったが、首都シャンバラ以外は未だ無法地帯だった。
シーアンのチュアン・ハン議長はシャンバラにシビュラシステムが監視する安全な楽園「シャンバラフロート」を建設し、シビュラのサイマティックスキャンによって、犯罪係数が少ない人間を選別して住まわせ、”潜在犯”は「首輪(正式名称忘れた)」を装着させられてシャンバラフロートへの居住を許可されていた。これは日本と違い、更生施設が足らないための臨時措置だった。

朱はハン議長からニコラス・ウォン大佐を護衛につけられるが、視察の途中でテロの襲撃にあい、その中に狡噛慎也の姿を見つけて単独行動に出る。
狡噛はテロリストというよりは反体制派たちのアドバイザーのような感じで、彼らと行動を共にしていたが、テロリストを日本へ送り込んではないない、という。テロリストは確かに自分たちの仲間だったが、彼らだけでは密入国などできるはずはない、他に黒幕がいるはずだ、と答えた。テロリストが持っていたと思われる「失われた時を求めて」の本はおそらく自分の私物で、なくしたと思っていたが持ち逃げされていたのか、と狡噛は言った。
狡噛は反体制派の群衆から崇拝されていた。本人はそんなことは望んでない、と言うが、望んでいなくても狡噛には槙島聖護と同じカリスマとしての素質があるからだ、と朱に言われてしまう。
朱は数日狡噛と行動を共にするが、狡噛はテロを企てているわけではなく、シビュラシステムを運用しているハン議長には何か裏があるのではないか、と朱に話す。

ハン議長とウォン大佐は朱と狡噛を殺すことを計画。プロの傭兵であるルタガンダに殺しを依頼する。
この傭兵団は割と流暢な英語を話していて(と私には聞こえた)、アメリカから逃亡してきたとか?一般人も英語を話していたけど、こちらの発音はそれほどでもなかったし。
反体制派のアジトが襲われ、狡噛は朱を逃がそうとするが「自分だけ逃げられない」と言う朱に「お前は戻ってハン議長から崩せ。俺がそう簡単に死ぬと思うのか?ここを生き抜けたらまた、俺を捕まえに来い」と言って朱を逃す。
狡噛は戦うが傭兵に捕まってしまい、拷問で本物のハン議長はすでに殺害され、今あるハン議長は別人であり、殺害を依頼してきたのは日本政府だ、と聞かされる。リーダーのルタガンダは狡噛を気に入り「仲間にならないか」と誘うが狡噛は拒否する。ウォン大佐から狡噛を連れてくるように連絡が入ったため、狡噛は連行されてしまった。

ホテルに戻った朱は、唐之杜から渡されていたダンゴムシを使って唐之杜と連絡を取る。サイマティック・スキャンを受けているはずなのに抵抗なく殺人を行うウォン大佐と軍人たちに疑問を感じた朱は、シビュラシステムが正しく運用されているか調べるように依頼する。

朱を世話するホテルのメイドは”首輪”をつけていたが、ホテルに戻った朱は飲み物に薬物を入れられ朦朧としてしまう。メイドは「言う通りのしたのだから、自分と兄の首輪を外してくれと懇願するが、ウォン大佐に射殺されてしまう。

強制送還されることになり、ヘリポートで狡噛と再開する朱。
ウォン大佐は朱が勝手に単独行動し、狡噛もろとも止むを得ず射殺したことにして、その損害は日本政府に要求することにした、と言い、二人に銃口を向ける。
銃口を向けた兵士が射殺され、「こちらは公安局刑事課です〜」の声とともにあらゆるモニタにコミッサちゃんが表示。宜野座ほか一係がヘリで到着し、ドミネーターで軍人たちを処分した。
シーアンで運用されていたシビュラシステムは、軍人たちをスキャン対象から外すという細工がされていた上、自分たちが「味方」と判定したものにもスキャン対象外となっていた。その結果、犯罪係数300オーバーであっても2桁の犯罪係数が示されていた。
シビュラはすでにこのことを掴んでおり、証拠集めをしている最中だから黙認していただけで、朱が体を張って奔走しなくてもいずれは明るみに出て軍関連の者は粛清されたはず。つまり、空気読めってことですよ」と霜月監視官は朱に言った。

朱は自分はハン議長の元へ向かうから、宜野座にはルタガンダを追って行った狡噛を追跡するように指示し、狡噛の処分は任せると言った。
ハン議長は「実は私もあなたと同じ飛行機でシーアン入りしたんですよ」と告げる。(茜の乗った飛行機は、精密機器の運搬が目的だった)
ハン議長にドミネーターを向けると「犯罪係数0。執行対象ではありません」
その中身は免罪体質のシビュラであり、義体となっていることを悟る朱。「最大多数の幸せを実現する、これがより良い方法だ」というハン(シビュラ)に対し「何が正しいかは人々の総意で決まるもの。これまで積み重ねきた歴史に敬意を払わなくてはいけない。あなたは辞任すべきだ。」と言うと「その意見に我々は納得はしていないがそう言う君だからこそ興味深いのだと思うがね」とシビュラは答える。
ハン議長は辞意を表明する。

狡噛はルタガンダを追っていき、途中で槙島聖護が幻となって現れる。「こんなやつはごまんといるのに、やつを追っていくのは正義感からか?違うな。こんなことに命をかける理由は一体なんだ?」という槙島に「いい加減死人は黙ってろ!」と銃を打ち返す。槙島は消えた。
ルタガンダは片腕がサイボーグであのガタイなので、圧倒的に狡噛が不利。やられそうになったところに宜野座が登場、二人でルタガンダを倒す。逮捕されることを覚悟していた狡噛だったが、宜野座は銃を手渡し
「お前には借りがある。今すぐ消えろ。そして2度と俺たちの前に姿を表すな。常守監視官にこれ以上余計な重荷を背負わせるんじゃない」「お前はそれでいいのか」「俺は妥協を覚えた」と言って、出国時に朱から「逮捕して連れて帰るから、一発殴るのは自分で」と言われた通り、狡噛を一発殴り「これでよしとしておく」と言って去っていく。

この「お前には借りがある」の借りは何を指しているのか?
1期を見直したがそれらしいものといえば、狡噛が親の仇である槙島を殺したくらいしか思い浮かばない。
「俺は妥協を覚えた」は、かつて父親が言っていた「妥協して身を守るために賢く立ち回れ」と言っていたのを受けての言葉だろう。瞳を伏せて微笑むような表情は、征陸のことを思い出していたに違いない。
あの時は「おまえの手には余る」と征陸に忠告されたにもかかわらず、妥協できずに局長に逆らう行動を取った。
しかし、今回は狡噛を捉えることにより朱が狡噛を助けようとして苦悩するのを見るよりも、ここで狡噛を逃して行方知れずになった方が朱が楽になると考えたんだろう。

宜野座は「ドミネーターを壊され逃げられた。俺のミスだ」と朱に報告した。
「宜野座さんを撃ってまで逃げるなんて、彼らしくもない」
「あいつは変わった。ただの悪人だ。あなたが執着するほどの男じゃない。どこかでのたれ死ぬのがオチだ」

宜野座は朱に「あなたはあまりに大きすぎるようなものを抱え込んでいるように見える」と言い、朱は宜野座に「全部一人で抱え込んでばかり」と言った。

今後の朱との未来には狡噛さんは出てこないことはわかった。
それにしても英語の字幕がなぜに戸田奈津子なんだろう…
日本語で台本作って、英語に翻訳したんじゃないの?

エンドロールが始まって、帰って行った人がいたが、終わってもう1シーンあったんだよね…
シビュラの義体に置き換わっていたハン大統領が辞任し、次期大統領を決める選挙が行われ、結局ハン大統領が再選された。十代初めの少年が銃を撃つ練習を行っている横で、そのニュースで聞く狡噛。そしてシビュラの進化(真価?)が問われる、という文字。
民衆は「現状」を選んだわけだが、それに対してシビュラはより良い未来を与えられるのか?

劇場版三部作「PSYCHO-PASS サイコパス SS」用のリバイバル上映で、全日にTV放送があったにもかかわらず、結構人が入っていた。
ひとりで見に来てる女性が結構いた。

しかし、見終わって駅の構内に流れる放送が、ドミネーターに聞こえてしまうのだった。

ブルブル度は少なかったが、映像が綺麗だったので4点。

評価:2a


PSYCHO-PASS サイコパスSinners of the System Case.1「罪と罰」【極上音響上映】
 《岩浪音響監督直接監修》=美声音仕立て= case.1 GINOZAUND (宜野座ウンド)

ストーリー原案・監督:塩屋直義
脚本:吉上亮
総作画監督:中村悟
作画監督:新野量太/古川良太/鈴木俊二/森田史/中村悟/諸貫哲郎
演出:黒川智之/下司泰弘
3D:サブリメイション
美術監督:草森秀一
音響監督:岩浪美和
音楽:菅野祐悟
キャラクターデザイン:恩田尚之/浅野恭司/阿部恒
シリーズ原案:虚淵玄
キャラクター原案:天野明
アニメーション制作:Production I.G

声の出演
宜野座伸元:野島健児             霜月美佳:佐倉綾音
夜坂泉:弓場沙織               久々利武弥:平井祥恵
辻飼羌香:岡寛恵               松来ロジオン:小山力也
玄沢愛子:斎藤貴実子             能登耕二:多田野曜平
鳥間明:中川慶一               常守朱:花澤香菜
雛河翔:櫻井孝宏               六合塚弥生:伊藤静
須郷徹平:東地宏樹              唐之杜志恩:沢城みゆき
禾生壌宗:榊原良子              ドミネーター:日高のり子
コミッサちゃん:高森奈津美

aスタは映画泥棒の音の響きが、先週の劇場版とは明らかに違った。重低音もブルブルはしないが、結構爆音。
全体的に大きいとも言えなくないが、低音はもちろん響くが、セリフははっきりクリアに聞こえる。
思いの外宜野座ウンドが良かったので、cでも見に行った。
しかし、cスタは大きさが若干抑えめで、aスタの方が良かった。

1時間と短いが、結構みっちり詰まった映画だった。
劇場版を見てないと楽しめないかも。



ネタバレの詳しいあらすじ



前作の劇場版は2116年7月、今回は2117年2月なので劇場版から約半年くらい経過している。

公安のビルに暴走車両が向かってくる。
霜月監視官と宜野座、六合塚の両執行官が拡声器で呼びかけても無視して突っ込んでくる。宜野座が霜月を間一髪でかばうが、美佳は「宜野座さん、かばってる暇があったら犯人確保!」と宜野座を突き飛ばして車に突進して行った…。宜野座さんがかばってなければ、アンタ死んでたんじゃ?

中から出てきた女は、何かを訴えようとしていたが、ろくに話すこともできず「自、首…」というが、霜月は「何を今さら」とドミネーターを向ける。犯罪係数は200オーバー、サイコロのようなメモリーキューブを差し出すが落として壊れてしまい、女は錯乱したように倒れこんでしまう。
彼女は青森にある潜在犯隔離施設「サンクチュアリ」の心理カウンセラーの夜坂泉だった。
泉の脳は市場には出回っていない薬物中毒に侵されていた。泉が持っていたメモリーキューブは破損が激しく、何もデータは取り出せなかった。禾生局長に呼び出された朱と美佳は、経済省が潜在犯の送還を求めてきたことを告げられる。朱は禾生局長に「監視官と執行官で送還し、施設のセキュリティチェックを行いたい。このようなことがまた起こっては迷惑だから」と局長にいい、許可をもらう。エレベーターで階下へ降りようとすると、開いたエレベータからは一人の男が出てきた。

公安の管轄である潜在犯の夜坂泉の送還を、経済省が素早く指示してきたことを怪しく思い、「自分が動くと色々と勘ぐられるから、今回の送還は美佳ちゃんにお願いしてもいいかな」という朱に「自覚あったんですね…今回は、私の事件ってことでいいですよね、センパイ」とものすごく張り切っている美佳。
朱が「美佳ちゃん」と呼ぶのがちょっと意外。
半年くらい前までは「センパイ、空気読めってことですよ」と「自分は上手く立ち回っている」みたいな生意気なこと言ってたのに、一係の空気は変わったんですかね?

ヘリポートで「霜月が暴走しないように見守っていくのが年長者の務めだな。…今のは少しジジ臭かったかな」と朱に手を降ってヘリに乗り込む宜野座。

真冬の青森、雪深い山奥に「サンクチュアリ」はあった。
ヘリの中で施設のデータを確認する美佳、宜野座と六合塚。潜在犯は鉱山でドミネーターに必要なレアメタルを発掘し、潜在犯どうしの交流も許されているという。墓所のような施設が映し出されたのを見た八坂泉は、激しく動揺し「た、け…」と何かを訴えようとしているようだった。

施設に着くと、大地真央のような施設長の辻飼羌香と保安官の松来ロジオン、ブルゾンちえみと渡辺直美を足したような巨漢の玄沢愛子、メレケス博士のような能登耕二が出迎えた。
美佳は再脱走の疑いがあるため、公安で預かりたいというが、「収監者は自分には家族のようなものでよく知っているし、更生プログラムに支障が出る」と言われ拒否される。執行官一人を監視につけることを認めさせ六合塚が同行することになる。
保安官の松来ロジオンのことを辻飼は「ロージャ」と呼んでいた。自己紹介したロジオンに宜野座は「罪と罰…ドストエフスキーか」と言うと「罪を犯しても優秀ならば、生きる道があるんだからよ、この国では。なぁ執行官さんよ」と応じた。しかし宜野座は「失礼する」と取り合わなかった。ロジオンは美佳を見て「ずいぶん若い監視官だな。あんな小娘のような監視官についていると猟犬というよりはワンコちゃんだ」と宜野座の背中に語りかける。

美佳は夜坂がカウンセリングをしていた潜在犯に話を聞こうとするが、潜在犯たちは無視するか「この取り調べで色相が濁ったら補填してもらえるんですか」など非協力的で、しかも「時間だから」と玄沢に切り上げられ、全く情報が得られない。鉱山採掘場へ一緒に行って話を聞く、という美佳に辻飼は「許可できない」と言われてしまう。

「私たちの邪魔ばっかりして!」とカリカリ起こる美佳。そんなに怒って色相が悪化しないか?と思うくらいの怒りよう。
「管轄外だから仕方ない」という宜野座に「だったらこのまま黙って見過ごすしかないっていうの!?」とヒートアップ。
「そうは言っていない。今、常守監視官も東京で調べているし」「だったら先輩にお伺いでもたてれば!!」
昔の暗く「何で私が…色相が悪くなるわ」と言っていたのは何処へ?

一方、東京では夜坂の乗っていた車は武田中(あたる)という製薬会社に勤めていた男の持ち物で、この男がナビの行き先を公安局に設定したことがわかった。製薬会社は、サンクチュアリへ薬剤を納入しており、夜坂とも繋がりがあるようだ。
この事件に裏がある、と朱は公安局長に調査続行するべき、というが、局長は「武田という男から情報が得られれば認めよう」という回答だった。
武田のマンションへ朱と須郷が向かうが、武田はおらず、監視カメラのデータは削除され、室内のセキュリティも初期化されてしまっていた。雛河の調べで武田の勤めていた部署で作っていたのは、サンクチュアリにだけ納入されている薬だったことがわかる。

急遽、青森から六合塚が拘束されたという報告が唐之杜を通じて入って来る。
六合塚は夜坂の逃亡幇助の罪で拘束されたが、六合塚はサンクチュアリの職員に呼ばれてその場を離れ、戻ってきたら夜坂がいなくなっていたので、自分は逃亡させることはできないと話す。
美佳たちは脳内通話で、この施設のセキュリティも監視カメラも切られており、夜坂の逃亡は仕組まれたことのようだ、という報告を六合塚からうける。

美佳はドミネーターを取り出し「夜坂の犯罪係数はすでに300を超えてるはず。これは公安の役割だ。彼女は私が探し出し執行する」と辻飼に言うと、辻飼も「私たちも収監者たちを捜索隊として出します」
「潜在犯に探させるっていうの!?」「彼らの方が土地勘があります。すぐに見つけ出すでしょう」

「うまいやりかただな」と言われ車に乗り込む美佳と宜野座。「あの施設長が黒幕とは思えない。そうだとしたら我々を追い返すのはたやすいことのはずだ。ところで、六合塚を残してきてしまっていいのか?これではまるで人質だ」
そこへ六合塚から夜坂の逃亡した方向についての情報が入る。捕まったと見せかけてシステムに侵入してハッキングしていたのだ。
向かった方角の先には、ヘリで見た墓地があり、宜野座はそこへ行ったのだと気がつく。「あの時(ヘリの中で)、彼女はこの墓地のことを我々に知らせたかったのだ」

墓地の建物へ入っていくと、奥に明かりがついていた。
そこには子供部屋のようになっていて2段ベッドが置かれており、少年と夜坂泉がいた。
入ってきた二人に気がつくと、夜坂は少年が首にかけていたメモリーキューブを二人に差し出す。
スキャンの結果、少年は少し前に行方不明になっていた、久々利武弥だと判明する。
彼の母は久々利桃花といい、潜在犯として収監された後に妊娠がわかり、潜在犯には子育ては認められていないため、カウンセラーの夜坂が代わりに育てていたのだった。不安そうな武弥、腕に装着されている腕輪が、犯罪係数の上昇を察知して赤く光る。
メモリーキューブの中身はロックされており、公安に転送して唐之杜に調べてもらうとしたが、そこで回線が切れてしまう。
六合塚のハッキングが見つかったのだ。ロジオンは六合塚に「夜坂をわざと泳がせたかいがあった。執行官は監視官を守るのが役目なのに、あっさりと執行官を置いていくってことは、他に目的があるとしか思えない。俺はあんたの思考がよくわかるんだよ。執行官だったんだからな。」そして玄沢が六合塚の首に薬剤を打ち、倒れて気を失う。

ハッキングがバレたことを悟った美佳は、自分が夜坂と捜索隊の注意を引くから、宜野座に武弥をつれて逃げるように指示する。落ち合う場所は立ち入り禁止区域の鉱山の採掘場にした。
密かに発煙筒を持ち出し、捜索隊に投げつけて撹乱する夜坂。逃げ切るというよりはわざと見つかるようにしている夜坂に対し「もしかして、武弥を逃がすためにわざと見つかるように行動してるの?…ったく…だったらどうして早く言わないのよ…」

関係ないけど、どうしてアニメのセリフはよく「ったく…」と言うのだろう…といつも思うのだった。

撹乱している二人を確認しながら、武弥をおぶって逃げる宜野座。
そこへ捜索隊が持っていた槍のようなものがいきなり飛んできて、宜野座の腹をかすめ、武弥の傍の壁に突き刺さり、武弥の瞳が恐怖で大きく見開かれた。
能登が現れ「見つけたぞ!そいつはサンクチュアリの不要なゴミだ!母親同様、殺さないとならない!」という能登と大乱闘の末、一発かまして槍に縛り付ける宜野座。武弥の額に飛んだ血を拭いてあげ「もう大丈夫だ」と再び移動する。

使われていない居住区で宜野座はチョコバーみたいなものを見つけ、武弥に「食べなさい。元気がでるから」と渡す。
傷を負った腹部に包帯を巻きながら武弥と話をするが、あのスーツの下にこんなにムキムキの体が収まっているとは、どうしても思えない…着痩せしすぎ。

チョコバーを半分こして食べる二人。
「おじさんは痛いのに、どうして僕を助けてくれるの?」
「君が頑張っているからだよ」
「僕は頑張ってなんかいないよ。泉おばさんがあんな風になってしまったのに、何もできなかった…」
「僕には親友がいてね。親友というか、腐れ縁なんだけど、彼が一人で何でも抱え込んで、困っていたときに僕は何もしてあげられなかった。そして結局、彼は居場所を失ってしまったんだ。あの時、どうしてもっと手を差し伸べてあげられなかったんだろう、って後悔したから」
「その人、死んじゃったの?」
「まさか。少し前に会ったけど案外元気でやっていて、羨ましいくらいだったよ。…もう、後悔するような生き方はしなくていいように、おじさんがするから」
武弥の頭を撫でる宜野座。
このやりとりがちょっと嬉しかった。そして、宜野座さんの声が素晴らしくよかった。・・・野島健児の声をかっこいいと思ったことはなかったが、確かに宜野座ウンドだった。
(しかし、aではものすごくいい声に聞こえたが、cではそうでもなかった)

急にメモリーキューブが光り、ロックが解除された。
「そうか、武弥の犯罪係数が下がると解除されるようになっていたのか」
夜坂の告白が映し出される。
武弥の母親の桃花は、サンクチュアリの秘密を知ってしまい収監者によって殺されたが、収監者たちも施設の職員によって洗脳されている被害者。薬物投与によって集団思考を植え付けられている。
集団思考とは、個々の考えではなく集合体としての考え方を選択する方式ですが、集団の考え方から外れたものに対して排除しようとする意識が強く働き、それで桃花は殺された。
サンクチュアリの秘密は何かはわからないが、武弥も薬物を投与されており、その薬は代わりに自分が飲んでいるがもうすぐ限界がくる…
カットが急に切り替わり、ろれつが回らない口調で「今から公安に…」と言ったところで映像は終わった。

宜野座と美佳は合流する。
「ここで引き下がったら、この公安一係の次期エース、霜月美佳の名がすたる!!」は、この辺で言っていたと思うのだが…
時期エースだったの?

宜野座には囮となって捜索隊を撹乱しつつ頃合いを見て六合塚を救出し、回線の復活を図るように指示。 「人をうまく使うようになって」と宜野座は捜索隊へ突っ込んでいく。
この突っ込み方が人間にしては素早く、執行官ってこんなに身体能力が高くなるもん?と思った。
夜坂と武弥に防護スーツを着せてロッカー?のようなところに「自分が戻るまで絶対にここを出てはだめ」と隠し、美佳は鉱山の地下へとおりていく。
そこはまるで廃墟のようになっており、ピーピー音がしてきたと思ったら足元が崩れ下のフロアに滑り落ちる美佳。そこには放射線物質が大量に転がっていた。

一方、京都の寺のようなところ(2月なのに見事な紅葉だったので、ホログラムではないかと)で電話をしている男が映る。かけてきているのは辻飼だ。辻飼は「精一杯職務を果たす」と言っているが、男は「我々の関係が知られるとまずいので、ことが片付くまではしばらくかけてくるな」と強引に電話を切る。

東京では武田中の死体が水没した車両から発見された。武田は久々利桃花の婚約者で、桃花を見てサンクチュアリで何が行われているのかを察したのだろう、自殺とは思えない、と言う朱と須郷。
また、サンクチュアリ創設に深く関わっている鳥間議員の存在が判明し、その男は夜坂が突っ込んできた当日、公安局長室ですれ違った男だったことがわかる。
「どうする?朱ちゃん」
「このまま青森へと向かいます。ヘリの準備を」
「そうくると思ってたわ〜手配済みよ」と頭上にヘリが飛んでくる。

今までの現場の指揮はロジオンがとっていたようだったが、辻飼は「これからは私が指揮をとる」とロジオンに言う。「あんたは今まで通りお飾りでいた方がいいじゃないか?その方が楽だろう」と拒否しようとするが「ここの施設長は私です。あなたは私に従っていればいいのよ!」
「ご自由に。…あまり失望させないでくれよな、辻飼さんよ」とロジオンは聞こえないように呟き、横に置いてあったロボット(エイリアン2でリプリーが操作してたみたいなやつ)に乗り込む。

六合塚は仰向けに台の上に寝かされ、上に乗っかられた玄沢に「ここの収監者は従順でね、退屈してたのよ。あんただったら楽しめると思うわ」とさらに注射されようとしていたが、そこへ宜野座が飛び込んできて玄沢を突き飛ばす。六合塚がものすごい頭突きをかまし、玄沢は倒れた。
「遅くなってすまん」
ダンゴムシを介してシステムの掌握を図るが「どれくらいかかりそうだ?」「巨大なシステムだからかなり時間がかかりそう」
ここまでスーツにトレンチコートだったが、オレンジのダウンを着込み、宜野座が表に出ようとヘリポートの扉の解除をしようとしたら、ロボットに乗り込んだロジオンが扉をぶち破って入ってきた。
表へ出る宜野座に「もう逃げないのか?だったら俺に殺されるしかない」とロジオン。「なぜこんな犯罪に手を貸すんだ」という宜野座の問いに「お前の方こそなぜ正義をふりかざす。俺と組んで一儲けしないか。欲望のままに生きる方が自然だ。」

ロボットに掴まれ、叩きつけられる宜野座。
ヘリに押し付けれられ、ヘリが動いていく。リモコンでどこだかわからないが動かしてロボットの指先を挟み、動きを止める。ロボットのコックピットからロジオンが出てきて、宜野座と死闘になり、ヘリはヘリポートから下のドームの上に落ち、天板のガラスにヒビが入る。宜野座は落下した時に義手となっている左手で着したので、大きな怪我はしなかったが、義手は使い物にならなくなった。

義手なの、左腕だけだよね?
何で死なないの、というくらいボコボコにやられていた。
オレンジのダウンと思ってたのは、ダウンじゃなくてプロテクターだったのか?

外した義手からワイヤーを取り出し「逃がすか!」とロジオンを追う。死闘の最中、六合塚からネットが復活したと脳内通信で知らされ、ドミネーターを取り出す宜野座だが、ドミネーターはロジオンに弾き飛ばされた。死闘の末、宜野座がロジオンの首に腕をかけて自分と一緒にドームへ落下させる。ガラスにさらにヒビが入り、ロジオンの足場が崩れて片手でなんとかぶら下がっている状態になった。
ドミネーターをロジオンに向けると「いつかお前にも人を信じられなくなる時が来る。それはお前が執行官だからだ」とロジオンは言い、そのまま落下していった。(その後ロジオンと思われる衣服のくし刺し死体が映ったのでロジオンは死亡したと思われる)
宜野座は落ちて行く姿を見ていたが、やられてフラフラで、後ろへ倒れ込めばいいものを前へ傾いていく。落ちていきそうになるのを誰かが手を掴んで止めた。振り返ると狡噛が少し微笑んで自分を支えている。しかしそれは六合塚の姿に変わった。

一方、放射線物質を集めていた美佳のところへ、防護服を着た辻飼が捜索隊と共に現れる。
「放射線物質を運ぶのが彼らの仕事。運んでいるものが何なのかは知る必要はない。潜在犯なんて、いくらでも代わりはいる。ダメになったら殺して、新しいのを補充すればいいのよ」
「何が家族よ!うそっぱちじゃない。」
「いいことを教えてあげるわ。一度汚れてしまったクズ人間はね、どんなに磨いてもクズ人間のままなのよ」
そして辻飼は周りにいる収監者の防護服のヘルメット部分を開け、頭部が泡立つように膨らんで次々と倒れていった。
美佳のヘルメットも開ける、と脅され、美佳は手をあげる。

施設の広間のようなところで、辻飼が「みなさん!この者は我々に不利益をもたらします。いつものように行動すれば、皆さんの犯罪係数は下がります」と収監者全員に告げる。
美佳は「みんなの不利益になる人って、部外者のことよね?だったらあなたもそうでしょ?あたかも自分がこの施設に必要な人物のように振舞っているけど、薬の投与も全部他の人にやらせてる、単なるお神輿に過ぎないくせに!」
辻飼がつかつかと近づいて来て、美佳の顔を叩くが、美佳は堪えて辻飼の手を使み、録画しておいた地下で辻飼が話したことをその場に流す。収監者の犯罪係数が上がり、腕輪が赤く光る。「みなさん、これは公安が作った偽物のホログラムです。騙されてはだめ!」と必死に説明するが、美佳はドミネーターを辻飼に向ける。「犯罪係数421、執行対象です」辻飼は執行され吹き飛ぶが、収監者の犯罪係数は上がり続けエリアストレスが上昇し、収監者通しで殺し合いが始まってしまった。

宜野座と六合塚が合流し、この場にいると危険なため、一向は表のヘリポートへ出るがヘリがない。「嘘でしょ?ヘリがない…」宜野座さん何か言うかと思ったが「まずいぞ、やつらがくる」と自分が落っことしたことを何も言わない…

ドミネーターを向けながら後ずさりしていたところに、朱のヘリが到着。「早く搭乗してください!」と須郷と雛河が援護に出てなんとかその場を離れることができた。
「遅くなってごめんね。今回の件では美佳ちゃんに悪いことをしたわ」と朱が言った。

公安内?の自販機で、缶コーヒー?を新しくなった義手の左手で弄ぶ宜野座。朱がサンクチュアリには捜査が入ることを宜野座に告げる。
缶コーヒ−を飲みながら宜野座は「あなた方の猟犬で良かった」と呟くが、朱は「?」だった。

美佳は「まだ黒幕が捕まっていない」と、鳥間議員と面会する。
「潜在犯の命を使い捨てにしてまで、回収の必要性があるのか?」という問いに「無論だ。あのまま放置するわけにはいかない。悪事に流用される前に回収することが一番重要だ。そのためには潜在犯の命など」
「私、不思議に思っていたんです。公安にまで影響を及ぼすことができる人間なんて、実際に存在するのでしょうか」と言いながらドミネーターを鳥間へ向ける美佳。
「犯罪係数0。執行対象ではありません。トリガーをロックします」
鳥間はシビュラシステムの義体だった。
「旧時代の放射性施設が、過去のごたごたであのような状況になった。この公開したところで何のメリットもない状況を君は公にしろというのかね?今後シビュラシステムの輸出が進めば諸外国との関係にも影響を及ぼす」
「もちろん、私もそのようなことは理解しています。その代わり、夜坂泉と久々利武弥の命を保証してください」
「もちろんだ。今後も何かあれば、君に調査を依頼しよう」と手を差し伸べた鳥間だったが、美佳は少し考えてネクタイをひっつかみ「あなたは完全なシビュラシステムの小さなほころびになるところだったのよ!」と平手打ちした。

更生施設に入れられた夜坂に、美佳と宜野座、武弥が会いにいく。
「武弥くんは保護施設に入ることが決まったよ。早く良くなって、迎えにいってあげてくれ」
「泉おばさん、僕…待ってるから」とガラスに手を差し伸べる武弥、「武弥…」と涙をこらえて、ガラスの向こうからその手にあわせる夜坂泉だった。

施設から出てくると、武弥は積もった雪で小さな雪だるまを作り「どうして僕たちを助けてくれたの?」と美佳にたずねる。美佳は「それは…私たちが正義の味方だから!」


霜月監視官は、朱ちゃん化してきた感じがする。
最後のシビュラとの取引なんか、特に。

青森の原子力施設って、六ヶ所村だよね…
しかし、ストーリーの組み立て方が、劇場版とにてるような??

事件発生→監視官の暴走→敵側の強いやつに執行官(狡噛)がボコボコにされる→敵側のボス死亡→黒幕と思ったやつはシビュラだった

という作りだよねぇ。

松来ロジオンが、どういう変遷で現在の姿になったのか、もう少しわかるようだったら落ちていくときのセリフの意味がわかったのだが…
それは最後の「あなた方の猟犬で良かった」と、宜野座さんに言わせるためだけの演出だったのかなぁ。
辻飼とロジオンのやりとりも、ただの上司と部下というだけではないようだったし。

サブタイトルが「罪と罰」だが、一体どういう意味なのか?
映画の「レ・ミゼラブル」でさえダメだったんだから、小説など読み終われるはずがない。
ので、調べてみると「罪を犯した人間でも更生できる」という感じのようだ。

世の中のためにはこいつは死んだ方がいい、というような老婆を殺して金を盗むが、そこに偶然居合わせてしまった老婆の妹も殺してしまい、罪の意識に苛まれる。金がないために身売りさせられた少女にそのお金を渡したりするが、耐えられなくなってその少女に罪を告白する。結局自主し、自分の周りの人間の運命を変え、刑務所でお勤めを果たすことになるが、自分をささえてくれた少女に対する愛に気がつく、という話らしい。

宜野座さんにとっての少女は朱ちゃんだよね…
前の劇場版でも「あなたはふしぎな人だ」と言ったりしてたし。
美佳は「守ってあげないとならない人」かな。
実際、執行官と監視官だし。あまり「霜月監視官」と冷たく呼んでないね。
サンクチュアリでは「みんな家族」と言いつつそうではなかったけど、公安一係では家族のような絆?が育ちつつあることも描こうとしてるのかな、と思った。
須郷さんはあまり活躍がなく残念だが、次回に期待する。

「Sinners of the System」はシステムの罪人、ということになるが、それは「シビュラのほころび」鳥間議員のことかなぁ。
宜野座ウンドが良かったので少しおまけ。

評価:2a/c


メリー・ポピンズ・リターンズ

監督:ロブ・マーシャル
脚本:デヴィッド・マギー
原案:デヴィッド・マギー/ロブ・マーシャル/ジョン・デルーカ
原作:パメラ・トラバース『メアリー・ポピンズ』
音楽:マーク・シャイマン
製作:ロブ・マーシャル/ジョン・デルーカ/マーク・プラット
製作総指揮:カラム・マクドゥガル

出演
メリー・ポピンズ:エミリー・ブラント(平原綾香)
ジャック:リン=マニュエル・ミランダ(岸祐二)
マイケル・バンクス:ベン・ウィショー(谷原章介)
ジェーン・バンクス:エミリー・モーティマー(堀内敬子)
アナベル・バンクス:ピクシー・デイヴィーズ(植原星空)
ジョン・バンクス:ナサナエル・サレー(加藤憲史郎)
ジョージー・バンクス:ジョエル・ドーソン(鈴木柊真)
エレン:ジュリー・ウォルターズ(木村有里)
トプシー:メリル・ストリープ(島田歌穂)
ウィリアム・"ウェザーオール"・ウィルキンズ / オオカミの声:コリン・ファース(森田順平)
グッディング/アナグマの声:ジェレミー・スウィフト(金子由之)
フライ/イタチの声:コブナ・ホルドブルック=スミス(小森創介)
ミスター・ドース・ジュニア:ディック・ヴァン・ダイク(宝亀克寿)
風船売り:アンジェラ・ランズベリー(大方斐紗子)
ブーム提督:デビッド・ワーナー(池田勝)
ビナクル:ジム・ノートン(宮澤正)

残業続きで超寝不足、面白くなかったら寝るだろうな…と思って見に行ったら、やっぱり睡魔に襲われた。
一応、話は説明できるくらいには覚えているが・・・。

ちなみに、眠くなったワースト3は
リトルプリンス 星の王子さまと私
アリス・イン・ワンダーランド
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
である。

前作に比べて
・メリー・ポピンズに魅力がない
・曲ががちゃがちゃうるさく、耳にのこるようなメロディじゃなかった
・構成が前作のパクリ
というのが素直な印象…

父親は銀行の幹部に返り咲いたのに、絵描きとなったマイケルは、家を抵当に銀行に借り入れするくらい困窮していた。1年前に妻と死別、残された3人の子たちを養うため、銀行の出納係?としてアルバイトをする生活。
絵描きのはずなのに、なぜか絵を描く道具は屋根裏に放置されている。
困っているのに家政婦のエレンはクビにしないし。

弁護士が訪ねて来て「返済が滞っている。耳を揃えて返して欲しい。払えないなら抵当となった家を差し押さえる」と言われる。
ジェーンが「お父さん銀行の株持っていたんじゃない?」と言うと弁護士は「株主だったら、話が違って来ます」と言うので、株券を探すが出てこない。
捜しついでにもういらないからと、父と飛ばした思い出の凧をゴミに出すと、強風で飛んでいき…

前作ではおまわりさんに怒られる子供たちだったが、今回は公園の芝生に入って警備員?に怒られた。

メリーが凧にぶら下がってやってくる。
今回は「扉が開くまで」いるという。
マイケルはメリーを見て「君は歳をとらないのか」と驚くと「女性に歳を聞くなんて私の教育が悪かったのかしら」と怒られる。
鏡の中のメリーも前作と同じ魔法が。
金はないが、メリーを雇うことにするマイケル。
カバンは絨毯でできたカバン、傘の柄は喋るオウムなのは前作と同じ。
前と同じように階段の手すりに座って登って行った。

部屋を片付ける代わりに、嫌がる子供をお風呂に入れて海中散歩。メリーの魔法を父に報告する子供たちだったが、自分が子供の頃に体験して楽しかったはずの出来事を、「そんなことありえない」と真っ向から否定するマイケルとジェーン。

そういえば、バートは世界旅行に行っていない、とバートの弟子のジャックがガス灯磨きをしていた。

翌日、マイケルは父親が株主であった記録を調べてもらおうと銀行に行くが、頭取のウィルキンスは「株主の名前にはバンクスはない」と言い、3日後だったか1週間後だったか、12時までに株主であることを証明できなければ、家を差し押さえる、と言われてしまう。実は記録はあったのだが、マイケルが帰った後にウィルキンスはページを破って暖炉で燃やしてしまった。時代は世界恐慌、銀行はこうやって抵当をむりやり取り上げて儲けていたのだ。
これって、どうなの?詐欺みたいなものだよね?
前作ではこんなにはっきりとした悪者はいなかった。

前作では公園にチョークで描いた絵の中に入ったが、母親が「貴重品」と言っていた陶器を、借金を返すために子供達が「売る」「売らない」で取り合い、欠けさせてしまう。メリーはかけらを壺にはめて、壺の中に入り、ロイヤル・ドルトン・ミュージック・ホール(この名前は壷の陶器メーカー名のようだ)を作ってジャックとメリーがレビューを歌う。
ペンギンのウェイターは健在だった。
しかし、子供達はさらわれて悪党とおいかっこ。物を投げつけてどこかを割ったはずだが、メリーのいとこのトプシーのところへ持っていき、直してもらうが、壺には大した価値はなかった。

前作はアルバートおじさんが笑って浮き上がっていたので、トプシーも浮き上がるかと思ったけど、そんなことはなかった。
この辺から睡魔に襲われ始め、怪しくなって来た…

マイケルが仕事に行った後にカバンを忘れているのに気づき、子供達が銀行へカバンを持って行ってあげると、家に来た弁護士たちがウィルキンズから「期日が来たらすぐに家を差し押さえろ」と言っているのを聞いてしまう。
マイケルにそのことを話すが「勤め先のことを悪く言うなんて。職を失ってしまう」と取り合ってくれない。みんなで家路につくが、暗くなって来たらガス灯の明かりを頼りにすればいいんだ、とジャックの仲間の点灯夫と一緒にダンス。
前作では屋根の上で煙突掃除のダンスだった。

結局株券はみつからないまま期日が来て、荷物を運び出し空っぽの家から出てくるバンクス家のみんな。末っ子のジョージーが「凧を忘れた」と取ってくると、破れた傘の繕いにマイケルが描いた絵が貼られていたが、なんと株券も貼られていた。
約束の12時まであと5分。
ジェーンとマイケルは、凧を窓辺に飛ばして、ジェンキンスに見せようとするが、気づいてもらえない。メリーの魔法で凧が窓を割って中に入って行く。
証拠の凧だけ中にいれちゃって、燃やされてしまったりしたらどうするんだ!?と思う私はダメな大人なのかなぁ。
弁護士はウィルキンズから「バンクスを入れるな」と指示されて、扉に鍵をかけていたが、あけてくれたので、頭取室へと急ぐ。
子供達が「メリーなら時間を戻せるよね!?」
戻すって、ビックベンの時計の針を5分巻き戻すってこと?それは魔法と言わないんじゃ…
しかもガス点灯夫が協力してハシゴで登って行くと言う、アナログ手法。
さいごにメリーが飛んで行って5分もどしたが、最初からメリーが飛んで行って戻せば良かったじゃん…
ウィルキンズの時計から5分遅れでビック・ベンの鐘が鳴る。

ウィルキンズの前で、凧から証券を剥がしてパズルのように組み立てるが、肝心の署名の部分がない。ウィルキンズは「だったら証券は無効だ」というが、そこへかつての頭取のミスター・ドース・ジュニアが現れる。「お前は私が老いぼれて頭がおかしくなっていると吹聴しているようだな。むりやり返済を迫ったり、お前はもうクビだ」「儲かると思ってやったことなんです」とウィルキンズは弁解したが、結局クビになり出て行った。
ミスター・ドース・ジュニアはすごいヨタヨタなのに、ステップ踏んで踊っていた。途中で倒れちゃうかと思った・・・
マイケルが過去に預けた2ペンスが、今ではかなりの資産になっているので、家の差し押さえは必要ない、とミスター・ドース・ジュニアは言う。そして「片足が義肢の…ああこれは、関係ない話だったな」と古いジョークを言った。名前はスミスだったよね?
これは好意で返さなくて良いことにしたって事なんだよね?
公園の鳩の餌代が25年経ってそんな大金になるなんて、そんな投資があったら預けたいよ…

家族で春祭りに出かけるバンクス家。
おばあさんが風船を売っていて、ジョージが「風船を買いたい」という。おばあさんに「自分にあった風船をよ〜く選ぶのよ」と言われ、風船を持つと、なんと空に浮き上がって行った。
みんな風船で空に上がって行くが、無職になったウィルキンズだけは、浮き上がることはできなかった。
このおばあさんはもしかしてジュリー・アンドリュースとかっ?と思ったけど、何度見てもアンジェラ・ランズベリーだった。

家に帰って来て、フェンスを開けると強い風が吹いて来て、扉が開く。
みんなはメリーのことを気にしてなく、メリーは傘を開いてさよならも言わず、一人飛んで行った。

前作は「これどうやって撮ってるの!?(ピノキオを見た時もそう思ったけど)」と夢がいっぱいだったけど、今作はあまり夢を感じず、悪い大人ばっかり・・・
眠くなったということは、私には合わない映画だったということかな。

評価:
2b


七つの会議

原作:池井戸潤『七つの会議』(集英社文庫刊)
監督:福澤克雄
脚本:丑尾健太郎/李正美
音楽:服部隆之

出演
八角民夫:野村萬斎         北川誠:香川照之
原島万二:及川光博         坂戸宣彦:片岡愛之助
三沢逸郎:音尾琢真         新田雄介:藤森慎吾
浜本優衣:朝倉あき         佐野健一郎:岡田浩暉
田部:木下ほうか          淑子:吉田羊
三沢奈々子:土屋太鳳        奈倉翔平:小泉孝太郎
星野:溝端淳平           飯山高実:春風亭昇太
江木恒彦:立川談春         加茂田久司:勝村政信
村西京助:世良公則         梨田元就:鹿賀丈史
宮野和広:橋爪功          徳山郁夫:北大路欣也
取調官:役所広司

出演陣がものすごく豪華。ワンカットしか出てない人も多数。
最後のワンカットで役所広司が国税庁?の役人として出て来たのには驚いた。
野村萬斎が主人公のような感じだが、ずっと出ずっぱりだったのは及川光博と朝倉あき。
しかし、萬斎さんのよく通るいい声が、ちょっと浮いてると言うか、他の人たちと違いすぎる…
キャストが下町ロケットとちょっと重なるんだよね。

エンターテイメント作品として普通に楽しめる。
見どころは野村萬斎のよく通る声と香川照之の顔芸を含む熱演、及川光博の探偵ごっこ。
こんな人がこんなチョイ役!?という点も。


ネタバレのあらすじ




東京建電では北川営業部長が営業1課と営業2課に厳しいノルマを課していたが、ノルマをクリアしている営業一課の坂戸課長に対して、営業二課の原島課長は常にノルマを達成できず、会議で北川に毎回叱責されるという、胃が痛い状態が続いていた。営業一課には会議中いびきをかいて寝ている八角という社員がおり、どうして咎められないのか不思議であった。

坂戸は他の社員が残業しているのに定時で帰り、有給の申請をして来る八角に対し「一課のお荷物だ、生きている価値もない」とののしる。それに対して「この落とし前、きっちりつけてもらう。訴えてやるよ。パ・ワ・ハ・ラ・で!」と捨て台詞で去って行く八角。誰もがセールストップの坂戸はお咎めなしだと思っていたが、坂戸はパワハラ認定で人事部へ左遷された。しかも、異動後1日会社に出て来ただけでその後は出社してないし、彼との接触ができない、というのだ。
原島が家を訪ねても銀行に勤めている兄が出て来て「どこにいるかわからない。昔から俺の後を追いかけて来ていたが追いつかず、ポッキリ折れなければいいなと思っていた」と…

一課の後任の課長には、原島が二課から一課へ異動になった。
女子社員の浜本は、半年後に寿退社をする予定だったが、実は結婚の予定はなくて不倫に疲れて会社をやめることにしただけだったが、坂戸が理由をしつこく聞いて来るので思わず「結婚します」と言ってしまったのだった。
不倫の相手は経理部の新田だった。
浜本は「この会社で自分がやってきたことって何だったんだろう…」と思い、何かを残したいとドーナツの無人販売を思いつく。企画書を出すが経理部と営業部は犬猿の仲。営業部から出されたものは全て却下する方針の経理に「不可」と言われるが、親会社から出向して来ている村西副社長の「テスト販売をして見て決めたらどうだ」という鶴の一声でテスト販売を行うことになった。
ドーナツ販売は好評だったが、お金が合わない日が結構あり、誰かが金を払わずにドーナツを持って行ってしまっているようだった。
新田は「お前の出した企画なんか通す気などない。ドーナツ泥棒も捕まえられないんじゃしょうがない。いい加減諦めろ」と浜本をこき下ろす。後で分かったことだが、ドーナツ泥棒をしていたのは新田だった。

会議で北川から今まで以上に成果を求められる原島だったが、会議の途中で座っている椅子のネジが割れて椅子が壊れてしまった。
その場にいた社員は笑ったが、北川部長と八角だけは笑わず椅子を凝視していた。

坂戸が左遷され、八角はねじの製作を「ねじ六」という小さな工場へ頼みに行く。以前にコストが高いとして東京建電に切られた会社だった。「あんな金額じゃできない」という工場の社長に「もちろんきちんと払う」と言ってサンプルのネジを置いて帰る八角。そのネジの強度を計るため装置にかけると、ビィン!と音がしてあまりに早く割れてしまった。
このねじ六の社長の妹が土屋太鳳で、ワンカットの出演だった。

経理は営業の金使いをよく思っておらず、何かにつけ弱点を握ろうとする。経理部長から営業の弱みを握るよう新田に命令が下り、八角がネジの発注先を安価なトーメイテックからねじ六に変更したことによって、年間1000万以上のコストがかかり、しかもねじ六の接待に10万使っていることを調べてくる。

この接待に10万円が高すぎる、と八角にいちゃもんをつける新田だが、「じゃあその料亭で何分間仕事の話をしたんだ?仕事の話をした分だけ払ってやるよ」のセリフには子供の喧嘩かよ…と思った。周りの営業部の人間からも失笑を買うし。そしてそのあとの八角が「お前はハンコを押してくればいいの。ほら、押してこいよ。…押して来いよ!!」のこの声は、どう見ても普通のサラリーマンじゃないです。
こんなにギスギスした社内で、しかも親会社から型落ち製品の販売を押し付けられ、本当に会社ってこれが普通なの?
ゆとり世代に気を使って、大事に接してあげないとならないんじゃないの?

会議で経理部長がねじ六との接待や取引について指摘すると、北川が「それは営業内で決めたことでコストに関しても営業の裁量。経理が口出しすることではない」と反論し、社長も北川の意見を支持したため、新田は経理部長の怒りを買い、さらに「お金を扱う経理がドーナツ泥棒をするとは言語道断」と言う理由で新田は東北営業所に飛ばされた。

カスタマー室の佐野は、原島に自社製品の椅子に対するネジ破損のクレームが多いことを話す。「もうすぐ一課に戻るからよ、そんときはよろしく」と言った佐野だったが、八角が「面白そうなリストを持っているな。俺にも見せてくれよ」と現れ、原島には「知らない方がいいこともある。もう関わるな」と言ってクレームのリストを持って行てしまった。

八角に関わった人は皆飛ばされて行くのを見て、原島は裏で何かあるに違いないと怪しむ。
八角は以前はトップセールスを誇る営業マンだったが、ある時を境に今のようなグータラ社員になっていた。八角とねじ六の癒着を疑う原島は、八角のあとをつけて行ったが、住んでいたのはオンポロのアパートだった。

原島と浜本は椅子が壊れた時、北川がネジを見て目の色を変えたの思い出し、会議室の椅子は自社製品で比較的新しかったが、その後全て交換されたため、ネジが怪しいのではないかと疑う。
新橋の工場へ保管されているネジを確かめに出かけるが、工場で佐野が飛ばされていたことを知る。

ネジはトーメイテックという新興の会社が作っていた。
何とかネジを探し出したが、そこへ八角が現れる。ネジを持って慌てて本社に戻り、製品管理部?みたいなところでネジの強度を測ってもらうと、規定の半分の強度しかなかった。この検査員が小泉孝太郎で、やっぱりワンカット出演。
そこへ八角が現れる。
八角はネジの強度偽装の調査のためにわざと坂戸を怒らせパワハラで移動させ、他言しないことを言い含めホテルに缶詰にし、佐野も核心に触れる前に飛ばした。
全ての調査が終わったら社長がリコールを発表する、と約束したから調査に協力したのだった。

実はこのような強度偽装は以前にもあった。今は親会社ゼノックスの常務取締役の梨田が、営業部長として東京建電に派遣されていたときのことだった。梨田は北川と八角にネジの強度を下げてコストを下げ、もっと売り上げをあげるように圧力をかける。八角は断ったが北川はその要求に応じた。会議室で椅子のネジが壊れた時、二人はこのことを思い出したんだろう。

実は八角は無理な営業をかけ、顧客を自殺に追い込んだことがあった。そのことを激しく後悔し、妻とも離婚して贖罪のために生きているようなものだった。この自殺した客の息子が溝端淳平で、葬式に来ていた八角の胸ぐらを掴んで「お前がオヤジを殺したんだ。オヤジはユニットバス(だったか何か)を買ったことを後悔していた」と表に叩き出していた。出演はこのワンカットのみ。

強度偽装されたネジは広範囲に渡っていた。列車や飛行機の座席にも使用されていたのだ。これをリコールするとなると莫大な費用がかかり、東京建電など倒産してしまうだろう。
宮野社長は「自分は被害者だ」と言い「リコールはしない」と言い放つ。闇回収をすると言うのだ。

八角は親会社ゼノックスにこの事をリークする。
ゼノックスでも大問題となり、代表取締役の徳山社長を交え「御前会議」が行われる。
八角が現れ真実を話す、と徳山社長に言い、説明することを許される。

この会議を行う会議室、ホテルの宴会場のような広さで本当にこんな広い無駄な空間を会社で保持してるの?と思った。
機能が他社に負けてるために売れ残った型落ちを、子会社に販売をおしつけるというセコイやり方なのに、こんな無駄なお金の使い方をしてるのか?

坂戸が証人として呼ばれ、最初は坂戸の独断で行われたと思われていたが、坂戸もトーメイテックの社長も「相手から偽装を持ちかけられた」という。以前に原島と浜本が話を聞きにトーメイテックに行ったことがあったが、その時に社内で販売しているドーナツの箱が置いてあるのを浜本が見つけ、社内の誰かがドーナツを持ってここに訪れたはずだ、と言っていた。トーメイテックの社長は学生時代に野球で宮野社長に世話になっており、偽装を持ちかけられ断れなかった、と言った。トーメイテックが含まれたリストを宮野社長が作り、それを北川を介して坂戸の手に渡り、営業をかけたのだった。

しかし、宮野社長も小心者で、いくら売上が厳しいとはいえ一人でこのようなことをできる男じゃない。このようなことをしたのは、梨田が営業部長のおりに体質として東京建電に刷り込まれたのだ、と八角は言った。宮野は梨田が以前に「強度を少し落としたところで、すぐにどうこうなるもんじゃない」と言って偽装を強要したことを話す。
徳山は「この件は自分が預かる」と言って退席しようとしたため、八角が「リコールを発表するのはいつですか」と食い下がった。「リコールをするとは言っていない」と言われてしまい、会社に戻ると洗いざらいのデータと証拠品をゼノックスの社員が持って行ってしまった後だった。

八角はリコール隠しをメディアにリークする、というが、北川は「証拠がない。全て持って行かれた」という。しかし、以前にネジの偽装が発覚した時に八角が持って来たネジを「これ全部そうか!」と床にぶちまけたうちの一つが、ソファのしたに転がっていたのが残っていた。これを証拠として発表し大問題となり、宮野は失脚、東京建電は残務処理のために営業一課だけを残して解体、残りの部署は村西が社長となって興した会社に引き継がれた。徳山社長は梨田に全ての罪をなすりつけ、代表取締役社長のままだった。八角と原島は残務処理のために残り、浜本はドーナツ屋を起業する。北川は実家のバラ農園を継いでいた。

最後に、取り調べに応じる八角に調査官が尋ねる。
「長期に渡る取り調べ、お疲れ様でした。ここからは個人的に聞きたいのだが…内部告発者として、あなたは今回の事件をどう思っているのですか?」←役所広司セリフはこれだけ
「不正は無くならない、絶対に」
と、ここからエンドロールが始まり、エンドロールを一生懸命見ると萬斎さんの演説が右から左に…
「侍として藩に仕えるという歴史が、今の企業の風土を生んでいる。でも、一人一人が考えて生きていけば…」見たいないことを言っていたと思う。

ねじ六で強度不足でねじが破損したところで、癒着ではなく強度偽装であることはわかったけど、半沢直樹とか、下町ロケットとか、最後に悪は成敗されていたのに、徳山は社長職にそのまま居座るという結末がちょっと意外だった。

評価:1g


PSYCHO-PASS SS Case.2 「First Guardian」
《岩浪音響監督直接監修》【極上音響上映】=美声音仕立て= case.2 TOTTUAUND (とっつぁウンド)

ストーリー原案・監督:塩谷直義
脚本:深見真
総作画監督:阿部恒
作画監督:中村深雪/諸貫哲朗/古川良太/阿部恒
演出:下司泰弘
撮影監督:荒井栄児
3D:I.G3D
色彩設計:上野詠美子
美術監督:草森秀一
音響監督:岩浪美和
音楽:菅野祐悟
キャラクターデザイン:恩田尚之/浅野恭司/青木康浩
シリーズ原案:虚淵玄
キャラクター原案:天野明
アニメーション制作:Production I.G

声の出演
須郷徹平:東地宏樹           征陸智己:有本欽隆
青柳璃彩:浅野真澄           大友逸樹:てらそままさき
大友燐:大原さやか           狡噛慎也:関智一
宜野座伸元:野島健児          縢秀星:石田彰
六合塚弥生:伊藤静           唐之杜志恩:沢城みゆき
高江洲嘉人:土師孝也          港屋門斗:廣田行生
吹田恭慶:高坂宙            花城フレデリカ:本田貴子
常守朱:花澤香菜            霜月美佳:佐倉綾音
ドミネーター:日高のり子

今回も1時間だが、ダレることもなくテンポよく仕上がっていた。
作画のクオリティがすごくいいです。
特に須郷さんは2期と同じ人かと思うくらい、かっこよかった。
そして、かなりの爆音だった。調整の感じはCase1と似た感じ。

旧一係のメンバーが全員+須郷さん+青柳監視官と、どこかのブログに書いてあったが、ほんと「みんな生きてる」が素直な感想かも。
First Guardianは須郷さんのコードネーム。今回は本のタイトルじゃないのか。
征陸さんの声優の有本欽隆さんは、公開前の2月1日に亡くなってたらしい。
今回は新編集版で1期を復習して見たので、いろいろと感慨深かった…
しかし、見たはずなのにほとんど覚えてないのは何故なんだろう…
覚えてるところもあるのだが、覚えてないところの方が多い。



ネタバレのあらすじ






劇場版サイコパスから2ヶ月が経過した2116年10月、外務省より花城フレデリカが管理官補佐として公安1係に出向してくる。「なぜこの時期に?」という美佳の問いに、2ヶ月前のシーアンでの公安の行動は一つ間違えれば内政干渉となるところだった。このような事態の対処のために省庁間の人事交流を図るとかそんな回答をしていたが、目的は執行官須郷徹平の引き抜きのための接触だった。

美佳は朱に「出向なんか受け入れて、いいんですか?変な政治的闘争に巻き込まれないでくださいよ。もっと一係を守るような行動を取るべきです」と言うが、朱は「私はいつだって一係のことを1番に考えているよ」と答える。その答えを聞いた美佳の顔はおっというような、少し微笑んでいる感じだったのだが、2ヶ月前は朱に「空気読めってことですよ」と言っていた人がこんなに短期間で変わるものなのか?

花城はジムでトレーニングしている須郷のところにやってくる。「今度作成される外務省の部隊に参加しない?そうすれば潜在犯としての行動の制約は撤廃されます。あなたはこんなところにいるような人ではない。元国防陸軍第15旅団のエースパイロット、須郷大尉───」

須郷は自室でブランデーを飲みながら国防軍の先輩・大友逸樹らと撮った写真を眺め、昔のことを思い出す…

ここは執行官の自室だと思うが、なんでみんな地下室みたいな作りなの?
そしてソファの後ろにある植物の栽培棚みたいなのはいったい?
ここで野菜育ててるの??と思うような光景だった。
家でくつろぐときもワイシャツにスラックスなんですか?

2112年7月、沖縄の国防軍名護基地(旧キャンプ・シュワブ)で須郷・大友らは訓練を行なっていた。訓練終了後、国防軍統合参謀本部の高江洲は須郷の能力を見て「この男しかいない」と何かの任務を行わせるつもりであることを匂わせていた。

大友の妻、燐は犯罪係数が良くないことから、今回の訓練を最後に部署の移動が決まっていた。演習後バーベキューを行なっていたが、これはおそらく燐の送別会だろう。
また、大友と須郷はスパークリングのような感じで手を合わせることがあり、かつては須郷が勝っていたが最近は負けることが多くなっていた。大友はスパークリングロボットに自分のライフログを記録していたが、須郷が「マメですね」と言うと「保険みたいなもんだ。俺が死んだら、スパークリングロボットを俺だと思って慕ってくれ」と須郷に言う。そして、次は訓練ではなく実践であり「俺たち特殊部隊は人を殺しても犯罪係数が上がりにくい人間が集められている。実戦はシビュラの許可を得た殺人だ。これは良いことなんだろうか」と言って自室へ戻って行く。
作戦の場所は日本政府の資金が入ることが決定している東南アジアの通称「シーアン」、劇場版でシビュラが輸出された都市となっていく場所だった。

この「保険」は後の伏線になっていた。

その作戦は「フットスタンプ」と命名され外務省の吹田参事官も作戦に同席するという、異例さで極秘に行われた。シーアンでは反対組織が抵抗していたため、それを一掃する必要があり、ぐずぐずしていると公安に主導権を握られる、と国防軍は焦っていた。須郷は空から地上をいく大友たちを援護していたが、反対勢力はロシアの戦車を投入してきたため作戦は失敗(上層部にはこの情報は事前に入っていたらしい)、大友らは退却を余儀なくされる。退却の指示が出て上層部は作戦を次の段階へと進めることにする。

須郷は撤退する大友を援護に向かおうとするが、なぜか弾が少なく積まれていたため射撃ができない。上官は「最初に行っておかなかったのはミスだが、救援物資を積んでいる。それをD地点に投下するのがお前の任務だ」と言われ、しかたなく命令に従う。大友からは「大丈夫だ。心配するな。なんとか戻ってみせる。俺のロッカーにとっておきのブランデーがある。無事に戻れたら二人でそれを飲もう。妻には強く生きろと伝えてくれ。…お腹の子と一緒に」と言われるが、そこで上層部が「これ以上会話をさせるな」と回線を切ってしまったため、大友がどうなったのかはわからなくなってしまった。
帰国後、大友のロッカーを開けると、そこには荷物と一緒にブランデーの入ったデキャンタが置かれていた。

燐はバーベキューの写真を渡すことを口実に、須郷に連絡を取る。
大友と行動を共にしていた兵士が遺体で見つかったが、大友は発見されず「MIA」つまり行方不明扱いとなった。
須郷は燐に「謝ってなど欲しくないと思うが、謝らせてくれ。自分の力が足りず先輩を見殺しにしてしまった。申し訳ない。何かあればすぐ連絡してほしい。…」と何かを言いかけたが、燐が須郷を見上げて左頬をものすごい勢いでひっぱたいた。
妻の燐は最後まで夫の消息を探していたが、色相悪化のための薬とかもろもろで流産してしまっており、国防軍を退職することになった。
須郷も訓練中に色相の悪化が見られるようになる。

あの時、須郷はなんと言おうとしてたのか?
大友に「燐とはずっと同期だったんだってな」と聞かれ「同期だった、それだけです。他には何もありません」と言っていた。作戦が失敗して大友を助けられなかったからではなく、燐にひっぱたかれてから色相が悪化したんだと思った。
須郷は燐のことが好きだったと思うが、どこまで親しかったのかはわからない。
燐は大友の死で「自分が支える」というような発言をされるのを封じるために叩いたのか?
それとも、作戦の真相を知ったからひっぱたいたのか?

東京の国防省ビルが武装ドローンに襲われる。
ここは爆音ですごかった。久々にいい振動だった。

青柳監視官と征陸執行官が沖縄にやってくる。
武装ドローンは須郷の端末から操作されたと言う。
そして、大友が街頭スキャンで姿が捉えられたという情報が入る。
”元”国防軍人であるため、捜査は公安の管轄であるので、調査に二人が来たのだった。
大友が潜伏していたホテルを突き止めた宜野座・狡噛・縢だったが「清掃が入る前に現場を押さえたはずなのに、指紋一つ残っていない。痕跡がなさすぎる」と訝しむ狡噛。
3人で車に乗って縢が「行っても何も出ないんじゃないの?ねぇギノ先生」と言ったりするところが、昔通り…

青柳監視官と征陸執行官は須郷を伴って燐の自宅を訪ね、燐と須郷に話を聞く。燐は「国防省はやめ、シビュラの紹介で現在は地元のテレビ局に就職できている。もし夫が生きているのなら会いたい。生きていれば必ずここへくるはず」と言う。「テレビ局の仕事は好きではないのでは?」という征陸の問いに「どうしてですか?」
「最近、休暇をよく取っているみたいだから」
「休暇を取っているのは、気分を変えるためです」
須郷が「あんなことがあってメンタルの薬も増えれば、当然じゃないですか!」と反論する。
「やめて!…こうして夫を亡くした今となっては、そもそも国防省に入るべきではなかったのかもしれません。須郷くんも向いてないと思う。やめたほうがいいんじゃない?」

燐のこの発言は、須郷に迷惑をかけたくなかったからだろう。

帰りの車中で「(燐のことを)どう思う?」と征陸に聞く青柳。「余計なちょっかいが入ってしまったから(須郷が燐をかばったことを指している)何とも…。ただ、一つわかったことがある」征陸は須郷は犯人ではないと言う。「やましいところがある人間は、他人のために怒ったりできないもんだ」
燐の家から戻る途中、運転していた青柳監視官に征陸は「どこに向かってるんだ」と問うと「こんな時でもないと沖縄になんてもう来られないかもしれないわよ」と良い「宜野座」と書かれた家に寄った。指紋認証で中に入ると介護ドローンが「ご家族の方ですか〜?生体認証がIDの提示がないと入れません」と出て来る。征陸は「公安だ」と手帳を見せる。「失礼しました〜」と中にいれてくれるドローン。指紋でロック解除できたのに「公安」と言って家に入るのはなぜ??

部屋の奥には征陸の妻、つまり宜野座さんのお母さんがいた。ユーストレス欠乏症という病気だそうで、反応がない。
「少し痩せたな。忙しくてなかなか東京を離れられない。今回は九州支部の人手不足で…すまん、こんな時にも仕事の話しかできなくて」
「伸元は元気にしている。子供に恨まれるのも親の仕事だ。今となっては俺の残りの人生は伸元のためにあるようなもんだ。俺の先行きも見えてきたしな。ただ伸元が幸せでありますように」

執行官が監視官を守るのは責務として当然だけど、昨日、殉死した最終話を見たばっかりだったので…
いまわの際に「やっぱり親子だな。目元なんか若い頃の俺にそっくりだ」って言ってたけど、やっぱりお母さん似だと思う。瞳の色も同じだし。あと20年くらいたったら、宜野座さんが征陸さんのようになるとは全然思えない。
1期ではすでに宜野座さんの肉親は父親だけ、と言っていたから、この後亡くなってしまったのだろう。

一方、車では須郷が青柳監視官に「征陸さんてどんな人なんですか?」と聞いていた。「シビュラシステムが確立される前から刑事で、扱った事件を聞けばビックしてしまうようなものばっかり。優秀な刑事ってこともあるけど、それだけじゃないの。諦めない人なのよ。どんなにダメって状況でも、決して諦めないし折れない。今回自分は一係の応援で来てるけど、二係に欲しい人材」
車に戻ってきた征陸は、青柳監視官に礼を言う。

須郷は2期で二係の執行官となって青柳監視官と一緒に働くわけだけど、青柳さんは薬局の立てこもりで強襲型ドミネーターによって須郷に執行されてしまうんだよな〜…

国防軍に戻ってくるとそこへ宜野座から出島に入ったとのコールが入る。出島は外務省の管轄の入国管理センターで、公安が自由に動くことは難しいが、最後に大友が街頭スキャンに引っかかったのが出島だった。征陸は「介護ドローンから通知が来てわかるようになっているんだ!よく恥ずかしくもなく母さんに会いに行けたな!」と母親に会いに行ったことを伸元に怒られる。青柳が「私が行くように言ったのよ」と止めるが「これは俺と征陸の問題だ」「また自分の父親をそんな他人みたいに言って」というやりとりにハッとする須郷。

ガミガミメガネでうざいヘアスタイルの宜野座さんが懐かしい感じ…
朱ちゃんがくる前は誰が監視官だったんだろう?と思ってたけど、狡噛さんが執行官になってからはずっと空いてたのかな。

部屋から出てメガネを取り眉間を抑える宜野座監視官だったが、そこへ武装ドローンが襲撃してきた。狡噛が駆け寄って来るが、宜野座さん、反応鈍すぎ…

出島の教会でドローンを操作している大友の姿が映る。
この教会、すごく美しく描かれていて、その後の凄惨さが際立つ感じ。
この襲撃でかなりの軍の高官が死亡した。国防軍の1室でその情報を唐之杜から受け取る征陸たち。死亡者リストの中に参事官がいたため、須郷がその人物の名前を確認すると、フットスタンプ作戦に立ち会っていた吹田参事官であったことがわかる。須郷は「フットスタンプ…」と呟き「上官と話す」と飛び出して言ってしまった。征陸は唐之杜に「フットスタンプというのを調べてくれ。おそらく何かの作戦名だと思うが」と頼む。高江洲が部屋に入って来て、「建物一帯にジャミングをかけた。あなた方も外部との通信は控えて欲しい」と青柳と征陸に告げる。
「聞けばあんたの奥さんはユーストレス欠乏症なのに自宅療養しているそうじゃないか。通常なら施設で介護するのが普通なのに。まぁ、施設と言ってもひどいところもあるらしいがね。(モニタに移された宜野座の顔を叩きながら)エリートコースに乗った息子の経歴に傷がつく。父親が潜在犯であれば、すでにハンデを負っているからな」
征陸は高江洲の首を掴み「俺は潜在犯だ。その潜在犯が妻子を侮辱されたらどんなことをするかわからないぞ。このヤマは俺のヤマだ」と抗議する。

須郷は港屋に「フットスタンプ作戦、本当は一体何があったんですか」と聞くが「1兵士が首をつっこむな。大友は立派に死んだ!国のために!」と言われ、捉えられてしまう。椅子に拘束され拷問を受けるが、同じ作戦に参加していた兵士が隣の部屋で拷問にかけられ、おそらく死亡していると思われる姿が映し出された。港屋は「お前を殺してもいいが、そうすると疑われてしまうし、お前は優秀だから殺したくない。訓練中の不幸な事故に遭って大怪我を負ってもらう」と、左目にレーザーのようなものを当て針が瞳を貫こうとする。
急に電源が落ち、青柳と征陸が入ってくる。「あなた方全員の色相チェックを行います」「なんの権利があって」「シビュラシシテムの緊急措置です。ここであなた方にドミネーターを向けて計測してもいいのですが、国防内ではやめておきます。あなた方も色相チェックが済むまでは、このようなことは控えてください」

須郷はなんとか無事だった。
征陸に「フットスタンプというのはよほど重大らしい。国防軍がなりふり構わずジャミングしたために、うちの局長が動くことになった。大友は何か言っていなかったか。誰にも知られずに妻に渡したいようなもの、特殊任務や変わった仕事をするやつは常にバックアップをとっておくもんだ。俺だって公安は知らないセイフティハウスがいくつかある」と問われると、
「ブランデーだ!」
ブランデーのデキャンタのキャップから情報が入ったチップが出てきた。そこには旧キャンプ・シュワブの図面やフットスタンプ作戦のデータが残されており、旧キャンプ・シュワブの地下には密かに潜水艦のドックが作られていた。
地下へと降りて行く3人。出島の縢から「大友が街頭スキャンにひっかかり、今追い詰めている」と連絡が入る。「じゃあ、この警備兵を倒したのは一体誰?」

ドックには大友がいた。ドミネーターを向けると「測定不能」と出る。格闘になり青柳監視官は吹っ飛ばされて潜水艦のドックの海水へ落ちてしまう。大友を抑えかけていた征陸だったが、「いかん!」と海水へ飛び込んだ。須郷が顔を殴るとホロが歪み、それは大友がトレーニングに使っていたスパークリングロボであることがわかる。足を反対に曲げて首を一撃したら、電源が落ちた。「本当の大友先輩だったら勝てなかった」

宜野座たちもスキャンに引っかかった大友を追っていたが、宜野座がドミネーターを向けると「このエリアでは許可がないと測定できない」とドミネーター。捕まえようと格闘になるが、顔を殴るとホロであることがわかる。これもスパークリングロボだった。

一度は沈黙したロボだったが、起動し須郷に話しかけてくる。
「須郷、俺はもうすでに死んでいる。お前は何もわかっちゃいない。フットスタンプ作戦、俺たちは最初から捨て駒だった。重要だったのは、お前が落とした「救援物資」、あれは救援物資なんかじゃない。毒ガスのスーパーナノVXガス(確かこんな名前)だった。兵士なのだから捨て駒にされるのは構わん。しかし、毒ガスはないよな。一人の有能な兵士として、使ってもらいたかった」
「おまえさんはAIなのか」
「今割り込んできたのは刑事さんかな?」
「AI脳ではなく、擬似脳よ。本人の思考や口調をまねて会話する」と青柳。
「だとしても、擬似脳だけではこんな犯罪はできん。…あんたがやったことだろう?」
「そうよ。私と夫の思考を合わせた擬似脳」
急に声色が女に変わる。それは燐の声だった。
「復讐のためか」
「そうよ。夫を亡くしお腹の子もなくした私は、兵士に戻るしかなかった」
回想で「強く生きろ」というメッセージを聞いている燐。
「須郷くんの端末をハッキングしてプログラムを仕込ませてもらった。軍の高官の暗殺に失敗しても、須郷くんが疑われれば、みんな自然とここに集まって来る」
「こんなことをしても大友先輩は喜ばない!」
「どうかしら。あなたにはわからないわ」
燐を止めようと高官室のあるフロアに行く須郷。港屋は撃ち殺されていたが、高江洲の椅子に座っていたのはホロを纏った別人なのか、ロボットなのか、別人で、燐は後ろから撃たれてしまう。
室内に入り、撃たれて死んだ燐を見つけて抱きしめ、「燐…!」とつぶやくような声で叫ぶ須郷。

表に出た高江洲に青柳は「表に出たのは失敗だったわね。国防軍内ではないため、犯罪係数を計らせてもらいます」
「国益のためにやったことだ!シビュラシステムを守るために国防軍はどんなに犠牲をはらってきたことか!」
「本当に国益のためならば、色相は曇らないはず。シビュラが判定する」と征陸がドミネーターを向ける。
「犯罪係数340、執行対象です」エリミネーターが起動し、ビーチに血が飛び散った。

これからどうするんだ、と聞く征陸に、須郷は国防を離れてメンタルケアを受けるという。
「おれは正義と信念をもって仕事を行なっているだけだ。それでも、やっていてよかった、と思う時がある。そういうご褒美のようなことがあるから、やめられない。おまえも執行官に向いているんじゃないか」
征陸は須郷にそう言った。

須郷は犯罪係数の悪化から施設行き、その後執行官になったことと、征陸は殉職したことが簡単にテロップで説明され、現在(といっても2116年10月だが)に戻る。

須郷は「執行官の仕事に正義と信念を感じています」と外務省への移動を断る。
花城フレデリカは「残念だわ。あなたの気が変わるのを待っています。…気が変わる時が…変わらざるを得ない時が、必ず来るわ───」と告げ去って行く。

エンドロールの後に、TOTTUAUNDに対するメッセージみたいなのが出たが、全部アルファベットだから判別するの難しかった…

Case3の予告で「あいつが、私の家族を」と女の子が言っているのは、フットスタンプ作戦の毒ガスによって犠牲になったことと関係があるのかな。
それとも劇場版のシャンバラフロート建設に関係することなんだろうか?

狡噛さんは日本に戻って来ることはない(戻るとシビュラに殺される)と思っていたけど、外務省の管轄になれば殺処分を免れるんだろうか?
フレデリカは「あなたを必要としている人がいる」と狡噛さんを説得していたが、それは朱ちゃん?しかし狡噛さんが外務省に協力するかな?
でも槙島ほどシビュラを憎んではいないようだし…
でも狡噛さんがいないと面白さが足りなくなるんだよなぁ…

評価:2a


 

グリーンブック

監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・バレロンガ/ブライアン・ヘインズ・クリー/ピーター・ファレリー
製作:ジム・バーク/ニック・バレロンガ/ブライアン・ヘインズ・クリー/ピーター・ファレリー/
   クワミ・L・パーカー/チャールズ・B・ウェスラー(英語版)
製作総指揮:ジェフ・スコール/ジョナサン・キング/オクタヴィア・スペンサー/
      クワミ・L・パーカー/ジョン・スロス/スティーヴン・ファーネス

出演:
トニー・“リップ”・バレロンガ:ヴィゴ・モーテンセン
ドクター・ドナルド・シャーリー:マハーシャラ・アリ
ドロレス・バレロンガ:リンダ・カーデリーニ
オレグ:ディメター・マリノフ
ジョージ:マイク・ハットン
アミット:イクバル・セバ
ジョニー・ヴェネス:セバスティアン・マニスカルコ

トロント国際映画祭で観客賞、アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚本賞を受賞した作品。
1962年のアメリカで、イタリア系アメリカ人運転手と黒人のピアニストが、黒人差別が根強く残っているアメリカ南部でコンサートツアーを行う様子を描いた、ロードムービー。

主人公のトニーはイタリア系で、映画の冒頭で家の工事にやってきた黒人の職人に、奥さんがドリンク(レモネード?)を振舞っていたが、そのカップを「黒人が使用した」という理由で汚そうにつまんでゴミ箱に捨てる。親類縁者と一緒に暮らしていたが、家族も皆黒人を「黒ナス」と呼び差別していた。

トニーはニューヨークのクラブ「コパカバーナ」で用心棒として働いていたが、クラブの2ヶ月に及ぶ改装で失職する。
その間に黒人の天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリーに、アメリカ南部への演奏ツアーの運転手の仕事を依頼される。
最初は「週100ドル、期間は8週間、仕事は運転するだけではなく、シャーリーの世話(洗濯・アイロンがけを含む)やコンサートのマネジメントも仕事のうち」と言われたが断るトニー。しかし妻のドロレスに「旦那さんを8週間、ツアーに連れて行っても良いか」と電話をかけてきて、ドロレスは了承し、トニーの言い値の週125ドルにシャーリーが応じたこともあって、運転手の仕事を引き受ける。事前に半分支払われ、無事にツアーが終わったら残りの半分が支払われる。
なぜトニーに白羽の矢が立ったのかと言うと、トラブルの解決手腕を買われてのことだった。

ドクは身なりもきっちりしているし、ジャンクフードも食べない。
14ヶ月の間に2回、ホワイトハウスで演奏したことがある・。
暮らしているのはカーネギー・ホールの2階で、広い部屋に置いてある調度品も高価そうなものばかり。
部屋の椅子が一段高くなっていて天蓋があり、王様が座るような感じになっているのは謎だが…
それに比べてトニーはジャンクフードが好物で、超ヘビースモーカー、ガサツでいい加減な性格だった。

特にこのタバコが…
とにかくくわえ煙草のまま子供を抱っこしたり、火のついたタバコを持ったまま、色々なことをしていて、ものすごく不快だった。
そしてものすごい大食漢で、お金がないのでホットドックを食べる量を競って28個食べて50ドルゲットしたり、一人で食べるのにケンタッキーフライドチキンをバケツで購入したり、ピザ(Lサイズくらい)をカットせず半分に折って食べたり、シャーリーでなくても「手が油っぽくなって油が周りに飛び散る…」と思うのだった。

レコード会社が用意した車で、グリーンブック(黒人専用宿泊施設の案内書)を手渡され、旅が始まる。
出発時にトニーはシャーリーから「ピアノはスタンウェイであることを確認する、これはそう言う契約になっているからだ。そして毎晩カティーサークのボトルを用意すること」と言われていた。
コンサートはチェロとコントラバスを加えたトリオ、弦楽器の二人は白人で、現地集合の別行動だったが、二人ともずうずうしい態度のトニーのことをよく思ってはいなかった。

出発してもトニーの自由な行動に振り回され気味のシャーリー。寄り道がすぎて最初のコンサート開催地の到着に遅れそうになり、釘を刺される。
トニーは「ドナルドじゃなくてドクって呼ぶ」というと、シャーリーはトニー・バレロンガ、という名前が発音しにくいから、「トニー・バレ」と呼んでいいか、と言うが「トニー・リップならいいが、トニー・バレは絶対にお断りだ」と拒否する。
シャーリーはちょっと言いにくそうに「君の話しかたは大変魅力的だと思うが、コンサート終了後に土地の名士に招待を受けることもある。そう言う時はトニーも呼ばれることになるから、言葉遣いなど気をつけて欲しい。教えるし努力すれば君ならできる」と言われるが、トニーは「お偉いさんはちゃんとした言葉じゃないと理解できないのか。名前は発音できないし、食い方まで文句つけるのか」と改めることを拒否したため、会場の外で待つことになった。

最初のコンサートで、会場の外からシャーリーの演奏を聴くトニー。ドロレスへの手紙で「彼はジーニアスだ。素晴らしい演奏だ」と書いていて、才能を認めている。
次の移動先へと向かう車内で「どうして、トニー・”リップ”なんだ?」と聴くシャーリーに「子供の頃からデタラメがうまかったからさ」と答えるトニー。「でもデタラメってことは嘘をついて騙している、と言うことじゃないのか」とシャーリーに指摘され、「嘘じゃない、デタラメだ」と食い下がる。自分の生き方をちょっと指摘されたような感じのトニー。

次の開催地では、弦楽器の二人が事前にリハーサルを行っていたが、置いてあるグランドピアノの開けた弦の部分には、ドリンクのカップやゴミが散乱していた。
その辺にいた係員に「あれが演奏に使うピアノか?ゴミだらけだ。それに契約で取り決めたスタンウェイじゃない」とトニーが抗議すると「ゴミ?出せばいいじゃないか。スタンウェイ?今からなんて無理だ。黒人だったら何のピアノだって弾くよ」と言われ、思わず顔面パンチをしてしまう。結局、夜の演奏会は無事にスタンウェイで行われた。

別の開催地では、シャーリーが室内でトイレを探していると、主催者と思われる白人が「トイレですか?こちらです」と案内された先は庭の片隅の掘っ建て小屋。
「悪いのは見た目だけですよ。中は快適です」という白人の主催者。
「あなたは使用したのですか?」
「……」
シャーリーは「でしたらモーテルに戻ります。30分はかかりますよ」と言うと「じゃあ待ちます」と主催者。
結局モーテルへ車で戻るが、トニーが「その辺ですればいいじゃないか。俺ならそうするね(トニーは最初の日に「トイレ」と言って車を止めて立ちションしていた)」というと「わかっているよ」とシャーリー。シャーリーも立ちションが絶対嫌だと言うわけではないようだが、もはやこれはプライドの問題だった。

シャーリーはコンサートで、輝かしい経歴とともに紹介され、素晴らしい演奏を行い、会場にいるおハイソな白人たちから拍手喝采をされるわけだが、上っ面の賛美であることは明白なのに、いったいどう思って演奏会をしているんだろう?と思った。
お客さんの前では礼儀正しく微笑んでるし。

旅が進むにつれて、トニーとシャーリーの関係も変化していく。
トニーは最初、一人でホットドックやらいろいろ買い込んで、ムシャムシャ下品に食べていた。そして「フライドチキン、食ったことないのか?黒人はみんなフライドチキンを食べてるもんだ」と言う。シャーリーもトニーの勧める食べ物を拒否していた。
しかし、ケンタッキー州に入って、ケンタッキーフライドチキンをバケツで購入し、「食ってみろよ」と後部座席のシャーリーに渡そうとするが、「いらない。毛布(ひざ掛け)に油が飛ぶ」と拒否され、「ほら、俺がきちんとハンドルを握るためには、チキンを受け取らないとダメだろ(今までも「ハンドルは10時と2時の位置をきちんと持って前を向いて」と教習所のような注意をよくされていたのだ)」と半ば強制的に受け取らせる。恐る恐る食べるシャーリーだったが、「うまい。不衛生だが」食べおわって残った骨はどうするのか聞いたら「こうするんだよ」と窓を開けてポイッ。シャーリーも真似して捨てる。するとドリンクカップまでポイッとやったもんだから周りの観客席から「えーー」の声が…結局車はバックしてカップのところまで戻りトニーの「リスが食うよ」の講義の言葉も虚しく、拾わされていた。

休憩のために立ち寄った別の場所では、店頭で貴石が売られていた。しかし、ターコイズ(多分)一つが地面に落ちており、それを拾ってポケットに入れるトニー。この時は同行していた弦楽器の演奏者がそれを見て、シャーリーに「あいつ盗んだ」と告げ口をする。
シャーリーは「落ちてたんだよ。それを拾って持って帰って何が悪い。落ちてたただの石ころだぞ!?」というが、シャーリーが「石を出せ」というとターコイズの石を渋々見せる。「払うか、返してくるんだ。そうするまで車は出させない」とシャーリーが言うので、怒りながら渋々石を置いてくるトニーだったが、結局その石はシャーリーが買ってトニーにあげたらしい。モーテルでトニーがドロレスの写真を立てるのに使っていた。

トニーはドロレスに近況を知らせる手紙を書いていたが、シャーリーが「何を書いているんだ、見せろ」と手紙を読むと「綴りの間違いが多い。そして一体何が書きたいんだ」と言われる。
「つまりは、会えなくて寂しい、会いたい、ってことだろ?だったらストレートにそう書けばいいんだよ。今から言うことを書き留めろ。”親愛なるドロレス”、dearは、deer(鹿)じゃないぞ。”君との恋は必然だった”」
とロマンチックな言葉を並べていく。最後まで書いてトニーは「最後に”子供たちにキスを”と書き足していいか?」と尋ねると「交響曲の最後にブリキの太鼓をたたくのか」と言われ「それはいいってことなのか?そうなんだな?」と書き足してしまう。
ドロレスは家族にこの手紙を読んで聞かせ、羨ましがられる。
ファーストフードのような店で、二人で食事をしていたようだったので、シャーリーもジャンクフードを一緒に食べるようになったみたいだ。

また、シャーリーはポップスのような流行りの音楽も聴いたことがなかった。ラジオから流れる音楽をシャーリーは聞いたことがないといい、でも聞くと「なかなかいい」と言っていた。

ある時、トニーはシャーリーにピアノを始めたきっかけを尋ねる。
「ピアノは母に習った。9歳でレニングラード音楽院の初めての黒人の生徒となった。ずっとベートーベン、リスト、ショパンなどクラシックだけを演奏してきたが、レコード会社が黒人でクラッシックオンリーではダメだからと言われてポップスも弾くようになった。でも、自分はクラッシックの演奏家だ」
「ドクが弾くポップスだって」と手を胸に当てて「心に響くよ」というようなジェスチャーをするトニー。
「ありがとう。…でも、私が弾くショパンも世界に一つだけだ」

ある時、車がオーバー人してしまう。
車を止めてエンジンを冷やすトニーだったが、道の横の土地では黒人労働者が鍬で畑を開墾?していた。
いい身なりの黒人であるシャーリーを見る黒人労働者たち。
トニーはそんなことには全然気づいてないようだったが、シャーリーは何とも言えないバツが悪いと言うか、そういった表情をしていた。

別の宿泊地では黒人専用であったため、トニーは別の施設に宿泊していたが、バーでシャーリーが殴られてる、と弦楽器の奏者が呼びに来る。
白人の若い男たちに絡まれていた。
トニーは「通りすがりだ。解放してやってくれ」と若者たちに言うが、「使用人だから皿を洗わせようぜ」とやめない。
トニーは後ろに手を回して銃を取るそぶりをする。
その動作に「銃を持っているのかよ?」「はったりだろ」「でも本当に持っていたらどうするんだ」と言い合う若者たちだったが、店主が「銃ならここにもある。店でトラブルはごめんだ」と若者たちにライフルを向け、トニーたちはなんとか店から出られた。
「ここがどういう土地かわかっているなら、危ない行動はしないでくれ。自分と別行動はとるな」とトニーはシャーリーに言った。

別の都市ではウィンドウに飾られていたスーツを見ていたシャーリーに、「演奏ではタキシードだが、こう言うスーツもいいのでは。試着してみたら」とお店に入っていくが、試着するのがシャーリーだとわかると店員は「お買い上げいただければサイズはいくらでも直します。でも、試着は困ります」とスーツを渡そうとしない。シャーリーは「わかった」と店を出ていく。
その夜、別の施設に宿泊していたトニーに警察から電話がかかってくる。
呼ばれた先は「YMCA」と書かれていた施設で、シャーリーと若い白人の男が裸で拘留されていた。「タオルくらいかけてやれ」と置いてあったタオルをシャーリーに投げるトニー。
「何があったんだ」と警官に聞くと「あの”おばさん(白人の男)”と会ってたんだ」と言う。トニーは「釈放してくれたら金を払う」と交渉する。「何のための金だ」という警察に「礼だ。謝礼としての寄付金だ。好きなスーツを購入してやるよ」と金を渡し、なんとかシャーリーを釈放してもらった。そのことに対してシャーリーは「君は警察を買収するのか」となじり、トニーは「勝手に出歩くなと言っただろう」と口喧嘩になってしまう。トニーは「このことは知られたくなかった」とポツリとトニーに言う。
日本語訳は戸田奈津子だったのだが、この訳がなんだか違和感を感じた。たしか「この会合は知られたくなかった」というように訳していたのだが、はっきりと説明はなかったけど、シャーリーは同性愛者だったのだろう。検索して知ったが、YMCAとはキリスト教青年会の略称で、YMCA寮は男ばかりなので、同性愛が起こりやすく出会いの場でもあったらしい。
あの青年がシャーリーの前からの知り合いだったのかは不明だが、このように男に会いに行った、ということを知られたくなかった、という訳には何だか変だった。
シャーリーは映画の冒頭で「結婚したことがあるが、ミュージシャンと良き夫の両立はできず、離婚した」とトニーに話している。

翌日、「昨日は言い過ぎた。悪かった」と謝るトニー。そして、着いた土地でニューヨークの友人と偶然出会う。友人たちはトニーが黒人の運転手をしているのを見てイタリア語で「黒ナスの運転手をしてるのか?もっといい仕事があるから一緒にやろうぜ。3倍は稼げるよ」と話を持ちかけてくる。相手がなかなか話を切り上げないので、トニーは「今仕事中だしここでは何だから」と断ると「じゃあ8時にバーで。まってるから」と約束させられる。
その様子をシャーリーは見ていたが、8時に出かけるトニーを待ち伏せして「どこにいくんだ」と問いかける。
「友達に会いに」
「君が良ければ正式にツアーマネージャーとして君を雇いたい。責任は重くなるが…」と口ごもるようにトニーにイタリア語で言うのだった。
トニーがシャーリーにはわかるまい、と言っていた黒人を差別する言葉は、すべて理解されていたのだった。
驚くトニーだったが、「仕事の誘いは断るつもりだった。俺がお金のことしか考えてないやつだと思うのか?ドクとの契約を守る」と言って出かけていく。少しバツが悪そうなシャーリー。

土砂降りの夜の移動中、後ろからパトカーが追いかけてくる。
「夜間の黒人の外出は禁止されている」という理由で白人警官にいちゃもんをつけられるトニー。上司の警官が部下にシャーリーを車外に出してIDを調べろ、というが、トニーはこの土砂降りなのに車外に出すのか、と抗議する。部下の警官は「窓から見せてもらう」と言うが「いや、降ろせ」と執拗に言ってくる。そしてトニーがイタリア系であることを知ると、警官は「お前だってニガーみたいなもんだろ」と言い、トニーは警官を殴ってしまった。

結局拘留されてしまうが、シャーリーは「警官に暴力を振るったこの男が逮捕されるのはわかるが、なぜ何もしていない私まで逮捕されるのだ?理由を言え」と警官に言う。しかし無視されるので「弁護士に連絡する権利は認められているはずだ。弁護士に電話させろ」と言うと、部下の警官がおそるおそる「その権利は認められています」と署長に進言し、電話はかけさせてもらえることになった。
「電話番号知ってるのか?」とバカにする署長だったが、思わぬところから電話がかかってきて、署長は「州兵を向けられたくなければ釈放しろ」と言われ二人を釈放する。

トニーが「誰に電話をかけたんだ?」と聞くとなんとロバート・ケネディだという。「こんなことで迷惑をかけてしまって情けない」と自分の非力さを嘆き、トニーには「暴力は何も生まない」と説教をするが、トニーは「そんなお偉いさんと知り合いだなんて、誇りにこそ思えど嘆くなんて」とシャーリーの様子を不思議がる。そして「自分の方がよっぽどクロ(黒人)だ」とシャーリーに言うと、どう言う意味だと問われて「あんたは上流階級の人で、いわばお城のてっぺんに住んでいるようなもんだ。それに比べたら自分の方がよっぽど黒人の生活に近い」と答える。トニーは悪気があって言ったわけではなく自分が思ったことをそのまま行っただけだと思うが、シャーリーは「車を止めろ」と言い、土砂降りの中車を降りて歩き出す。「雨の中どうしたんだ」と止めに行くトニーに「白人たちは教養人と思われるために自分の演奏を聴く。しかし自分はピアニストとして曲を弾いている時以外は、ただのニグロで差別を受ける。しかし育った環境から黒人の生活は知らない。白人でも黒人でもなく、どう生きるのが正解なんだ!?」とトニーに訴える。
車に戻って移動を続ける二人だったが、シャーリーが「休みたい」と言うとトニーは「黒人が泊まれるモーテルは近くにないから、俺の部屋にこっそり泊まれ」と言う。しかし、「安心なところで休みたい」というシャーリーのために黒人用モーテルに宿泊し、トニーはシャーリーと一緒の部屋に泊まる。

ベッドでドロレスへの手紙を書くトニー。「手伝ってやろうか」というシャーリーに「いや、いい。コツがわかってきたから自分で書ける」と答える。「見せてみろ。…”君はまるで家のようだ”」書き出しを少し読んでシャーリーは「いい手紙だ」と言ってトニーに返す。

最後のコンサートを行う都市についた一行。毎年クリスマスのイベントとして目玉のコンサートだと、主催するホテルの支配人に言われ、控え室に案内されるが、そこは厨房の片隅の物置だった。
トニーが食事をとりたいと言うと、レストランへ案内される。弦楽器奏者と、少し早い打ち上げでウォッカで祝杯をあげる。
トニーは「シャーリーはなんであんなに差別するやつらとも握手ができるんだ?」と二人に問いかける。二人はナット・キング・コールがかつてコンサートを開いたときに、差別者が彼をステージから引き摺り下ろしてボコボコにした逸話を話した。
「そんなところへ何でわざわざ」
「人の心を変えられると信じているから。行動すれば、何かがかわると思っているからだ」と答える二人。
そこへシャーリーが現れるが、ホテルの支配人は丁寧な口調で「黒人はレストランに入れない。古くからのしきたりなのでご理解ください」とシャーリーの入店を断る。
「控え室へのデリバリーはできます」と言うが「物置で食事をする気はない」とピシャリと言われ、表に出れば食事を撮れる場所があるからそこで、と言われる。支配人はトニーと話がしたい、と奥へ連れて行き「いくら支払えばいい?100ドルか?」と金で解決しようとしたため、トニーが胸ぐらをつかんで「イベントの目玉なんだろ?だったら今回だけ特別待遇にしたっていいじゃないか」と支配人を責める。
シャーリーが「レストランで食事ができないなら、コンサートで弾くのはやめる」と言うと支配人は本当に困った感じだったがシャーリーがレストランへ入るのを許可しなかった。シャーリーはやんわりトニーを制止し「トニーが望むなら演奏する」と言うがトニーは「こんなところ出て行こう」と二人で出て言ってしまった。

途中で「一杯飲みたい」とバーに入ると、そこでは黒人が演奏していた。
カティーサークを頼み「今日のスペシャルを」と札束をポケットから取り出して支払いをするシャーリー。その様子をチンピラっぽい若い男たちが見ていた。
シャーリーのタキシードを見て「何の職業?」と女性のバーテンに聞かれ「世界一のピアニストだ」とトニーが答える。「じゃああそこで証明して見せて」とステージを指差すと、シャーリーはクラシックの曲を弾く。すばらしい演奏で客から拍手喝采だったが、バンドがステージに上がり、ジャズを弾き出すと一緒にセッションをしてみせた。

バーを出ると、トニーは銃を取り出し二発空に向かって打った。すると、車に隠れていたチンピラが逃げていった。トニーは「こういうところで現金をちらつかせるんじゃない」と忠告する。
トニーは「いまから頑張ればクリスマスイブまでに帰れるかな」と車を飛ばす。契約の初めに「クリスマスに帰れるか?」とシャーリーに聞いていたが「わからない」と言われていたのだ。途中でパトカーがサイレンを鳴らして近づいてきて、またしょっぴかれるかと思ったが「車が傾いている。パンクしてないか?」と白人警官はタイヤ交換を手伝ってくれ、二人を「メリークリスマス」と送り出してくれた。

トニーは眠気に耐えられなくなり「だめだ、限界だ。モーテルを探して休む」と言ったがシャーリーが運転を代わり、トニーが目を覚ますと自宅へと着いていた。
トニーは「寄って行ってくれ」とシャーリーに言うがシャーリーは「メリークリスマス」と行ってカーネギーホールの自宅へと戻る。
執事を帰し椅子に座るシャーリーだったが、少し寂しげだった。
トニーは賑やかな自宅でクリスマスのディナーを楽しんでいたが、チャイムが鳴る。トニーが扉を開けると質屋の夫婦が「お招きに預かり」と立っていた。「冗談で招待したのに。手土産もないなんて」と冗談を言われ、ドロレスが中へと案内する。扉をしめようとしたが、そこにはシャーリーがワインを持って立っていた。トニーが「きてくれて嬉しいよ」とハグする。ドロレスも来てハグするが「素敵な手紙をありがとう」とささやいた。
シャーリーを室内に案内し、トニーがみんなに紹介すると、固まる一同だったが「席をあけろ」と慌ててシャーリーの席を作った。


演奏地が紹介されるんだけど、土地勘がないから全然どこだかわからない。
キャッチコピーの「二人の友情が起こした最高の奇跡とは」に違和感を感じる。奇跡って何?
シャーリーへの差別は無くならないし、トニーのシャーリーへの気持ちが変わったことは、人として普通のことで「奇跡」には値しないと思う。

公開2日目に見に行ったが、早い時期に見に行くと映画が好きな人しかおらず、ポップコーン食べるやつはおろか、みんな身じろぎもせずエンドロールまで見ていて、快適であることを知った。
竹内まりやもそうだった。

評価:1f


 

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 「恩讐の彼方に__」
《岩浪音響監督直接監修》【極上音響上映】=美声音仕立て= case.3 KOUGABION (狡噛美音)

SSストーリー原案・監督:塩谷直義
脚本:深見真
総作画監督:恩田尚之/阿部恒/中村悟
作画監督:中村深雪/古川良太/竹内知海/古川尚哉/市川美帆/黄瀬和哉/阿部恒/ 諸貫哲朗/新野量太/中村悟
演出:河野利幸/遠藤広隆
撮影監督:荒井栄児
3D:サブリメイション
色彩設計:上野詠美子
美術監督:草森秀一
音響監督:岩浪美和
音楽:菅野祐悟
キャラクターデザイン:恩田尚之/浅野恭司/阿部恒
シリーズ原案:虚淵玄
キャラクター原案:天野明
アニメーション制作:Production I.G

声の出演:
狡噛慎也:関智一
テンジン・ワンチュク:諸星すみれ
花城フレデリカ:本田貴子
キンレイ・ドルジ:志村知幸
ギレルモ・ガルシア:磯部勉
ツェリン・グルン:高木渉
ジャン=マルセル・ベルモンド:鶴岡聡

宜野座さん、征陸さん&須郷さん、ときて最後は狡噛さん。
執拗に追いかけた槙島聖護を殺し海外へ逃亡。しかし徐々に精神をやられていたが、ついにメンヘラを脱却し、「花は根に鳥は古巣に」で元いた場所へと戻る決意をした。

狡噛さんは、顔立ちと話し方と声が優しくなったというか、トゲがなくなってきれいな顔立ちになった。体はすごいマッチョだけど。

サブタイトルが「恩讐の彼方に」なので、もっと贖罪とかそんな感じになるのかと思っていたが、そうでもなく。
はるか昔に何日だったか何週間だったかかけて読んだが、覚えているのは「何十年もミイラのようになっても、トンネルを彫り続けていた」であった。

オープニングは本編のダイジェストだが、最後の方に槇島に向けて銃を構える狡噛、そして朱のカットが一瞬入る。他にもあったかもしれないけど早くて見分けるのが大変で、わかったのはこれだけ。

2117年11月。Case. 1のさらに10ヶ月後ということになるが、シーアンの事件後、狡噛はアジアを転々とし南アジアにいた。バーで傭兵に「タダで強盗から守ってやったんだってな」と絡まれる。その様子を奥の席で見ているスキンヘッドの男がいた。「ノーギャラじゃない。俺の国には一宿一飯の恩義という言葉があるんだよ」と3人でかかってきた傭兵を叩きのめして店から放り出す狡噛だったが、奥にいた男に背後を拳銃で狙われる。撃たれる
かと思った瞬間、ナイフが飛んできてその男の左目に突き刺さった。
「殺すことはなかった」とスキンヘッドの男に言うと「お前のせいだ」と言われる。その男はバーのマスターに「飲み直しだ。死体を片付けてくれ」とかなりの額の紙幣をカウンターに置く。

「俺のせいってどういうことだ」と狡噛が男に尋ねると「お前の甘さだ。おまえがさっきの奴らを徹底的に痛めつけておけば、さっきの男は拳銃を抜かなかったし、そうしたら俺も殺さずに済んだ」という。
スキンヘッドの男はガルシアといい、傭兵団のリーダーだった。傭兵が拳銃を打ちまくったら連帯責任となり、ガルシアの傭兵団もよく思われない、と言った。

ガルシアは狡噛が日本人だと気づき、「日本人はまじめで働き者だから好きだ。このあとはどこへ行く予定なんだ?」と聞く。「北のチベット・ヒマラヤ同盟王国が荒れそうだと聞いているので、そこへ行く」という狡噛に「車を貸してやる」というガルシア。
「もしかして勧誘されているのか?組織に属するとやりたくないこともやらされる。そういうのにはうんざりだ」
「やりたくないことはやらない、それはそれで険しい道だぞ。車を貸すのはさっきの乱闘がおもしろかったからだ」とガルシア。乾杯する二人。

ガルシアの手下のツェリンが運転する車でチベット・ヒマラヤ同盟王国へ向かう狡噛。ツェリンは今のチベット・ヒマラヤ同盟王国は政府軍の力が弱くなっていて、盗賊やら反同盟勢力やらが力を増しているので、危ない場所だという。途中、ツェリンが立ちションしながら狡噛に「とびきり面白い話をしてやるよ。ある雨の日に一人の男が傘もささずに大通りで踊っているんだ。そりゃぁ見事なダンスで見物人はやんやの喝采なんだ…」「おい、今銃声が聞こえた」と遮る狡噛。下を覗くと難民の避難バスが2台の車に襲われていた。狡噛は1台のタイヤをパンクさせ、もう1台の助手席の男が持っていた銃を狙い撃ちして壊した。すごい腕だ…その様子を車内で見ている女の子。
盗賊を追い払い、肩を撃ち抜かれた運転手の手当をしてやり、狡噛がバスを運転して首都まで行くことにした。ツェリンは「無茶して死ぬなよ」と言い残して戻っていった。

このチベット・ヒマラヤ同盟王国は、いたるところに旗や幟のようなものがヒラヒラしていて、これがCGで丁寧に書かれてるんだよね。

首都につくと老婆が狡噛に指輪を渡そうとするが「見返りを期待してやったことじゃない。やりたいからやっただけだ」と言って去っていく。その様子を影で見ていた女の子が狡噛の後を追う。川べりでタバコを吸っていると女の子が「すみません」と声を掛ける。
「なんだい、お嬢さん」
「私の先生になってもらえませんか」

征陸さんも宜野座さんも狡噛さんも「お嬢さん」「お嬢ちゃん」と言うんだなぁ。

食事をしながら女の子の話を聞く狡噛。彼女は眼の前で武装ゲリラに殺された家族の仇を打ちたいので戦い方を教えてほしい、という。
「戦う方法、それは人殺しの方法ってことだな。お前に殺せるのか」
「やります…がんばります!あなた日本人ですよね?日本ではこういう時、『義理人情に勇気あり』と言いますよね?」
「間違えてる。『義を見てせざるは勇無きなり』だよ」
「まぁ、どっちみち私は親の仇を探して戦います。そのときにあなたが戦い方を教えてくれていた時とそうでなかった時、どっちが生き残る可能性が高いでしょうか?」
「おまえ…交渉がうまいな。あくまで身を護る術として、という条件付きでだ。…俺は復讐なんて、命をかける価値なんてないと思ってる」
「復讐の価値につては、もっと強くなってから考えます」
彼女はテンジンといい、狡噛を「先生」と読んだが、狡噛は自分のことを先生ではなく「こうがみ」と呼ぶように言った。

テンジンは母親の弟であるキンレイおじさんを訪ねてこの地にやってきたらしい。キンレイはバス襲撃事件のことを聞いて「あんた、傭兵にしてはずいぶんまともみたいだな」といい、狡噛は「まともでありたいと思っている」と答えた。
テンジンの父親は日本人で、技術支援でこの国に来ていたときにキンレイの姉と知り合って結婚したが、テンジンが6歳のときに両親と兄弟はゲリラに殺されたのだった。キンレイはテンジンに武術を教えることを心配していたようだが、狡噛が「護身術としてだ」ということを聞いて安心する。
村外れにある現在は同盟王国軍が管理している空き家にテンジンと狡噛は暮らすことになった。狡噛はキンレイに「このあたりでタバコを買えないか」と聞くが「同盟王国は昔から禁煙の国だからね。代わりにこれを噛むか?」とカメムシのような大きさの何かの実をくれた。
キンレイおじさんは36歳だそうだが、33歳の狡噛さんはなんだかずっと若いなぁ…

狡噛はキンレイに教えてもらったほうが良くないか?とテンジンに言うが、キンレイは事務職だったが人手が足りなくなって前線へ送られてしまったと話す。
布団を干したり家の掃除をする二人。
狡噛が荷物からクラフト紙のようなものに包まれた拳銃(シーアンで宜野座さんが手渡したものだと思われる)を取り出す。その様子を見ていたテンジンは「それは…拳銃?」と尋ねる。
「ああ。いろいろとワケありの銃でな」と言って鍵はなさそうでボロいスーツケース?カバン?のようなものにしまった。そして鍵もかけないので、これはかなり物騒なしまい方なのでは…?と思った。
「ねぇ…人を撃つって、どんな気持ち?」
「人による。だが一度撃てば、もう二度と人を殺す前の自分には戻れない」
はっとするような顔するテンジン。
「背負った罪は時間が経てば立つほど重くなる。最初は平気でもな」
「私にはよくわからない」
「ところで、なにか用か」
テンジンは父の遺品の一つだという岩波文庫?のようなものを見せる。
「恩讐の彼方にか」
テンジンはたまたまこれだけ持っていたが、読めないので教えてほしい、と狡噛に頼む。

風呂に浸かりながら「全く…俺は子供に何を言っているんだか…」と狡噛。頭に手ぬぐいを載せてるのは100年たってもかわらないのか。
眠るテンジンは両親が殺されたときの夢を見る。
アシの茂みに男の子と身を隠して、捕まった両親たちをうかがうテンジン。メガネをかけた父親と他の男達が1列に並ばされ、その奥に民族衣装の帽子をかぶった母親と弟がいた。
フードを被り覆面をした男が並んでる男たちに「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」と銃を向けるが、「全員だ!」とライフルを連射する。その顔の右目のあたりには赤い痣がついていた。父親のメガネが割れ、母親のかぶっていた帽子が地に染まって飛ぶ。
テンジンは目を覚まし、台所へ行って水を飲む。
そこへ狡噛が風呂から上がってきて「眠れないのか」と声を掛ける。
「嫌な夢を見て…。狡噛は、少しだけ私の父に似ている。父はよく言ってた。見返りを期待して行動してはいけないって。たとえ自分の損になっても。やりたいことをして、後悔のないように」
「いいお父さんだったんだな」

翌朝からテンジンの訓練が始まった。
休憩中?にテンジンは「恩讐の彼方に」を読み始める。
「『それは彼らが江戸を出てから3年目の春であった。参勤交代の北国大名の行列が2つばかり続いて通ったため、木曽街道の宿々は近頃になく賑わった』?参勤交代って?」
「自分の生まれ故郷と、首都を往復する、侍パレードのことだ」懸垂をしながら答える狡噛。確かに侍パレードだ…
「やっぱり日本語の本は難しいね」というテンジンに「テンジンは物覚えがいいし、この本は短編だから、あと10日もすれば読み終えるんじゃないか」と答える狡噛。
「この物語、主人公の市九郎は自分の主人を殺して逃げてるんですね。しかも盗賊になって、沢山の人を殺して」
「まぁ、ろくでなしだな」
「市九郎はこのあとどうなるの?」とテンジンは尋ねるが「自分で読むんだな」と言われてしまう。

家まで戻ってくると、車が止まっていて、金髪の女性が立っていた。
狡噛が「なにか用か」と聞くと「始めまして、狡噛慎也」と答える女性。「追手か?俺を殺すのか?逮捕?」「日本国外務省報道課特別補佐(こう聞こえたが正しくは何課なんだろう)、花城フレデリカよ。ここには日本棄民の調査で来たの。あの逃亡執行官、狡噛慎也がいると聞いて、有名人の顔を見ておこうと思って。処分や逮捕は私の仕事じゃない」 

室内で日本棄民であるテンジンと一緒に調査について話すフレデリカ。
かつて日本政府が技術者を派遣していた時期があったが、シビュラシステムが本格稼働したと同時に支援事業は唐突に終了、技術者たちは帰国を許されなかった。
「まさか…」と狡噛。
派遣された人材は試験運用中のシビュラシステムが選んでいた。つまり、シビュラ不適合者を体よく国外追放したということなのだ。
「父は…祖国に捨てられた…」
フレデリカは、日本棄民の中に色相が良好なものがいるかも知れないので、その統計サンプルを取りに来たという。しかしテンジンは、引き上げが認められたとしても家族が愛したこの国にとどまる、と言った。

そこへバイクでキンレイが戻ってきて部屋へ駆け込んで来て、フレデリカを見て「誰だ?この美人は!」と言う。
「日本の役人だそうだ、気にするな」と狡噛。
南のレデュー?とかいうところで、補給部隊が武装ゲリラに襲われている、と狡噛に報告するキンレイ。「俺にどうしろと?」と狡噛が聞くと「手を貸してくれ。補給部隊がやられたら、この地でも餓死者が出る」殺しはしない、という約束で手を貸すことにした狡噛。フレデリカが自分が乗ってきた四駆を使うと良い、と提案したので、「ついていく」と言ったテンジンを「ばかやろう、だめに決まってるだろ!」と叱って残し、3人で現地へ向かった。
しかし、テンジンはキンレイが乗ってきたバイクに無理やり乗って、戦闘地へ向かってしまう。岩の陰から戦闘の様子を見ているテンジン。

フレデリカはものすごい銃の腕前で、ゲリラを対戦車砲みたいなもので壁ごと吹き飛ばしていた。
狡噛は足を撃ち抜いたりして、殺しはしなかったが、向かってきた子供の足を打ち抜き彼が「助けて!」と両手を上げたのを見て銃をおろして背を向けて立ち去る。
すると少年は背中から銃を抜き、狡噛を撃った。
狡噛は銃を取り出して撃とうとするが、力が入らない。
狡噛が落とした銃を遠くへ放り投げ、少年は狡噛に狙いを定め…そして少年をフレデリカが撃って吹き飛ばした。「何やってるのよあのバカは!」

背中を向けるとか、甘いんだよね、狡噛さんは。
よく生き延びてこれたなぁ、と思う。
そして冷静に考えると、バカスカ人を殺しているフレデリカは、日本にいて色相チェックで引っかからないのか?
外務省はチェックされないとか??

気がつくとキンレイが狡噛を介抱していた。
以前は国連維持軍だった傭兵たちが、援護部隊として到着していた。
「我々は停戦監視団だ。無駄な殺しはしたくない、今すぐ武器を捨てて投降しろ」と拡声器で訴えるガルシアがいた。
ガルシアは、狡噛の銃を拾って返してくれた。「よぅ、狡噛。また会えたな。って、お前、血まみれすぎだろ」と撃たれた狡噛を見てガルシアが言う。
「かすっただけだ。一応礼は言う」
「いやいや、これが俺の仕事だからな」
そこへ「狡噛!」とテンジンが狡噛に走って来る。
「おまえどうしてここに…」と驚く狡噛に「ばか!むちゃしちゃだめ!」と泣いて抱きつくテンジン。
「おまえ…お子様連れだったのか?」とガルシアにからかわれると「私は子供じゃありません!」と抗議するテンジン。ガルシアに大笑いされる。
ガルシアはタバコを2カートン差し入れし、ツェリンから金にならなない難民のバスを助けたことを聞いたと話し、「お前は本当に変なやつだな。とにかく、無駄死にはするな」と狡噛に言う。「俺もお前も、行きにくい世の中になっちまった」
ガルシアはタバコを吸ってるのだが、この煙がものすごくリアルに描かれていた。狡噛さんがタバコを吸っているところもそうだけど、立ち上る煙と吐き出す煙をはっきりと描き分けている。

翌日、服が血まみれになってしまったので、民族衣装を着て出てくる狡噛。足がものすごく細いのが以外。
テンジンとフレデリカに「似合っている」と言われ、フレデリカは「ここに永住する気?」と言う。
「それも良いかもな。それより、あんた本当にここに寝泊まりする気なのか?」
「客室が余ってるし、この家は政府の管理下なんだから、あなたの許可は必要ないわ」

そこへまたキンレイがものすご勢いで入ってくる。
テンジンは難民申請と避難居住登録をしてなかった、ということで、キンレイと一緒に役所へ行き、ついでに狡噛の滞在許可も延長してくれることになった。

二人を待つ間、回廊のようなところで向かいの山を見ている狡噛。
すると横にいた僧侶が山の中腹にある墓所?のようなところから立ち上る煙について「あれは鳥葬です。子供が死んだときは穢れを祓い、空へ返します。昔はこんな近くで鳥葬を行うことはありませんでしたが、今首都を離れると物騒ですし地方から避難してきた方も多いので」と説明する。
「そうですか…」
すると、僧侶の横顔が槙島聖護の顔になり話しかけてくる。
「君は悪霊に取り憑かれている。この王国の西の方にはね、死者を葬る時、死体の腰の骨を斧で折るんだそうだ。死者はこの世に未練がある場合、ノロンという悪霊になってしまう。それを防ぐために、骨を折るんだとか。…悪霊とは過去のことだ。未来からやってくる悪霊はいない。君は復讐を望んだ。それは、死者のために生きるという選択だ。そして君は復讐を果たし日本にいられなくなった。僕を殺したために生きている君が振り回されている。死んだ人間に支配されて生きること、それはつまり、悪霊に取り憑かれているということ」
「過去がすべて悪霊ってことじゃないだろ」
「ふふふ…そうだね、狡噛慎也」
テンジンが何かの入れ物を風呂敷から取り出し、供えて手を合わせているが、狡噛のところへ戻ってくると「おじさんはもう少し手続きに時間がかかるみたい。…どうしたの?」と狡噛の様子をいぶかしがる。

槇島のこの説明には、なんだか納得してしまった。
確かに悪霊とは過去にとらわれることだ。

停戦監視団の到着で、闘争が少なくなり国民の間では歓迎ムードになっていることがニュースで伝えられる。4カ国のうち3つの国は停戦に対して歓迎ムードだったが紫龍会というところだけ、停戦を働きかけたガルシアを拒否して追い返した。

その夜、風呂に入りながらテンジンがフレデリカに聞く。
「狡噛は、日本で悪いことをしたの?」
「したわ」
「それは、どんな?」
「一言で言うと、復讐よ」
はっとした顔をするテンジン。
「復讐して、狡噛は?」
「すべてを失った。多分、得たものは何もない。最後に残った自分の居場所よりも狡噛は復讐を優先した。…そして目指す場所のない旅が始まったの」

フレデリカは胸がすごく大きいが、知識と行動から30歳にはなってるよね…その年令にしては張りがありすぎるので、豊胸なのか??という感じですけど。外人の女の人って、結構たれてない?

二人が風呂に入っている間、料理をする狡噛。
自己流で覚えたので味は保証しない、と言う狡噛は「そういう予防線を張るのは潔くない」とフレデリカに言われてしまう。

食事が終わって、「恩讐の彼方に」を読むテンジン。
「『実之助は多年の怨敵が廊中のねずみのごとく眼の前に置かれてあるのを喜んだ。たとい、その下に使わるる石工が幾人いようとも、斬り殺すのになんのあるべきと勇み立った』…悪人のはずの市九郎が悔い改めて僧侶となり険しい山にトンネルを掘り始める」
「そうだ。そこに市九郎に父を殺された実之助がやってくる」
「実之助は市九郎を殺せない。…父の遺品がこの本だったことに何か意味があるのかな」
「俺は昔刑事だった。職業柄偶然という言葉は好きじゃないが、もし偶然に意味があるように感じたなら、それは運命ってことにしておかないか?」
「…運命…。狡噛は、日本で復讐をしたのね?」
「ああ、そうだ。復讐をしたよ」
「それなのに、私が戦場に出ようとすると嫌がる。銃の撃ち方だって教えてくれない」
「お前にはまだ撃つ覚悟も、撃たれる覚悟もできていない」
「できてるよ!」
「嘘をつくな。とにかくまだしばらくは訓練だ。今日はもう寝ろ…歯磨き忘れるなよ」

この辺がもう、お父さんみたい。
Case.1の宜野座さんもちょっとお父さんぽいところがあったのをちょっと思い出した。

表でタバコを吸っていると、フレデリカがやってくる。
「何考えてるの?」
「タバコ、うまいな…っと」
「それだけじゃないでしょ」
「遠くまで来た。まるで日本での事件が夢だったみたいだ」
「たしかに遠い。でも、あなたは結局同じところをぐるぐる回っているだけなんじゃない?どこに行こうが、真実が見えていない。居るべき場所、必要としている人間から目をそらし、逃げているだけ」
「日本を出て、アジアを転々としていた。シーアンのことはあんたも知っているんだろ?その後も、どこへ行っても同じだった。戦いの連続で道具として歓迎され、俺もその扱いを受け入れた。でもテンジンを訓練し始めて気がついた。この子には、俺のようになって欲しくないと。このままじゃいけないと、久しぶりに思ったよ」
「昔から言うでしょ?花は根に鳥は古巣にって。あなたの感覚は正しい」
「そうは言われても…俺は日本に戻れば殺されるんだぜ」
「いずれ状況は変わるかもしれない」
「外務省が変えるのか?それとも…ま、別にいい。ただ、適当なことを言ってテンジンを惑わすのはやめろ。日本棄民の調査っていうのは、表向きの口実に過ぎない。別の目的のために動いている」
深くタバコの煙を吐き出す狡噛に「嫌な匂い」というフレデリカ。
「心理学的にヘビースモーカーの男性は幼少期に母親から過剰な愛情を受けた可能性が高い。あるいは」
「逆に、孤独が強すぎた」と狡噛。
「俺をカウンセリングしてくれるのか?」
「ノンバーバルコミュニケーション。人間は言語以外にも様々なサインを発している。母親と聞いた瞬間、あなたは眉間にシワを寄せた。孤独と言ったときには戻っていた。もしかして、それは罪悪感?日本に置き去りにした母親が心配?少しは自分の身勝手な行動を反省しているとか?」
「…驚いたな」
「昔、私も雑賀教室の受講生だったの」

狡噛さんが眉間にシワを寄せたかどうかは横顔だったので、わからなかった…
カウンセリングを素直に認めているのがちょっと意外だった。

「実はね、つい最近まで刑事課1係の監視官補佐として働いてたの。外務省から公安局への出向。刑事課1係、あそこはただ優秀なだけじゃない、監視官と執行官の壁を超えた珍しいほどのチームワーク。そして修羅場を抜けた人間が持っている凄みを感じた」
「常森朱の影響だろう。あいつの人柄っていうのかな、あれが良いデカを集めるんだ」
「みんな元気よ」と優しく言うフレデリカ。
朱ちゃんのことを話す狡噛さんは、ちょっと昔の表情に戻った感じだった。
「それを聞くとすごく安心するな。あいつらの方は、もう俺のことなんか忘れようとしているな」
「どうしてそういうふうに考えるの?それはあなたの願望でしょ?あなたが忘れてほしいんでしょ?みんなに忘れてもらえれば、自分の気持が少しは楽になるから」
「キツイね、あんたは」

林の中に潜む男がりんごをかじっている。
そこへ紫龍会の車が何台も集まってくる。と思うと車が爆発した。
「身の程知らずが」と言い捨て、りんごの芯を落として男は去っていく。

翌朝、この爆破のニュースが伝えられる。紫龍会のトップが殺され、あとを継いだ次のトップは和平交渉を受け入れる姿勢を見せたため、和平交渉が進むと考えられた。
この和平交渉の警備の助っ人に狡噛も駆り出され、テンジンと一緒にキンレイのところにやってくる。が、テンジンは「忘れ物があるので取ってくる」と家に帰り、「みんなを守る」と狡噛の銃を持ち出してくるのだ。狡噛が寝泊まりしている家はかなり町外れにあると思われるのだが、「ちょっと」ですぐに戻ってくるんだよね…

待っている狡噛のところにガルシアが現れる。
「あんたほんとに平和を作ろうとしてるんだな」と狡噛。
「国連がなくなってずいぶん時間が経つ。うちはその時の理念を受け継いで活動している。人を殺しながらも、どこかで人を信じてる。狡噛もゲリラに情けをかけて殺されかけたじゃないか」
「俺の甘さで人が死んだ」
「死んだ人間は帰ってこない。生き残った人間は、前に進むだけだ」
ガルシアに電話がかかってくる。吸っていたタバコを携帯灰皿に入れ、それを狡噛に渡して「ようやく和平交渉にこぎつけた。粘り強く紛争を解決してみせる」
「紫龍会のボス、IEDでやられてたよな」
「ああ。これで少しは風向きが変わると信じたい」と言ってガルシアは去っていく。 

ガルシアの仲介のもと、各国のトップによる会談が行われ、それぞれ和平のための条件を検討することになる。

キンレイと狡噛はテンジンに昼食を買ってきてくれと頼む。
キンレイは狡噛に「テンジンに才能はあるか」と聞くが「兵士としての才能なんかないほうがいい。復讐なんかしてほしくない。俺のようになったら終わりだ」と言う。
「人を殺していると、慣れてくるんだ。そのうち、なんのために自分が生きているのかもよくわからなくなってくる」

テンジンはマーケットに行った。貧しそうな若い母親が子供を抱いているのを見るテンジン。肉まんのようなものを買っていると背後で「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」と言っている声が聞こえはっとする。そこには右目に赤い痣のある、家族を撃ち殺したあの男がりんごをかじっていた。
男の跡をつけるテンジンだったが、男は車なのに、テンジンはちゃんと徒歩で追いついているという不思議さ。
男はなんとガルシアと会っていた。
「この前の襲撃はどういうことだ」とガルシアに不満をいう男。
この男の話だと、この男が火付け役として襲撃やテロを起こし、ガルシアたちが火消し役をやっているという。ギャラは火付け役のほうが高く払っているだろう、というガルシアに男は「紫龍会のボスを殺したのだってオレたちだ。危ないことはいつも俺たち。フェアじゃないだろう。役割を交換しよう」と提案する。「俺の顔を見たやつはすべて殺してきた。だから俺が表舞台にたってもバレっこねぇ」
この様子を見ていたテンジンは、持ち出した銃を男に向ける。「あいつが、私の家族を…」しかしテンジンは男を撃てなかった。
「お父さん。どうしてこの本を渡しに残したの?」
「一度撃てば二度と人を殺す前の自分には戻れない」という狡噛の声が頭をよぎる。

「お前の指揮能力や腕力は高く買っている。だがジャン、お前は表舞台には向かない。短気は損気だぞ」
そう言うとガルシアは男の首を左右に曲げてへし折った。
その様子を見ていたテンジンは、思わず銃を落としてしまい、かすかな音を立てた。その音を聞いたガルシアは、ナイフを抜きテンジンにめがけて投げる。
ガルシアが仕留めたかどうか確認しに来た場所には、テンジンが落とした狡噛の銃が残されていた。

夕方になってもテンジンが戻らないので、狡噛とキンレイは心配して探し、腹を刺されたテンジンを見つける。
「家族の仇を、見つけたの。ガルシアが、仲間に、やらせてた」
紫龍会のトップを殺害した犯人として、ガルシアは狡噛の名前をあげ、殺しても構わないから捉えろと命令する。

急いで車でテンジンを家まで運ぶが、村の出口は塞がれてしまっていた。テンジンはガルシアが自分たちは火消し役だと言っていたことを話す。撃とうと思ったが撃てなかった。自分のことで停戦交渉を止めてほしくない、経緯は偽りであっても停戦交渉は本物だから、潰してほしくないと言う。争うよりもきっと価値がある、と。
「そうだな、お前の言うとおりだ」と狡噛。

そこへツェリンが飛び込んでくる。
「いったいどうなっているんだ、あんたが紫龍会のボスを殺したテロリストだと?」
「お前はそう思うのか」
「思ってたら一人で来たりしないって」
フレデリカが「こっちよ」と車まで案内する。
「近くの病院は追ってが来るかもしれないから南部の街へ行こう」ということになり、フレデリカが車を飛ばしていく。
狡噛とツェリンは残って敵の様子を伺うことになった。

塔のようなところで見張りをしながら話をする二人。
「ガルシアのやり方は典型的なマッチポンプ。自分たちで紛争を起こし、自分たちで解決する。そして依頼主から搾り取るだけ搾り取る」
狡噛がテンジンを指したナイフを見せる。
「それは…!」
「見覚えがあるようだな。俺もだよ」
「俺は何も知らなかったんだ」とツェリン。
「そりゃそうさ。悪人役と善人役をはっきり分けて秘密がもれないようにしたんだ。うまいやり方だぜ」
明け方になって、キンレイからテンジンの手術がうまく行ったという報告が来て、フレデリカが戻って来る。
「テンジンは俺のせいで死にかけた。だから責任を取る。テンジンとの約束は守る。停戦交渉が終わるまでは手を出さない。ところで、日本棄民の調査っていうのは建前だよな。何か使えるリソースはないか」と持ちかける狡噛。
「手伝う理由がないわ。…と、言いたいところだけど、取引ね。この件が終わったら私の仕事をいくつか手伝ってほしいの」
「わかった、やろう」と即答する狡噛。
「安請け合いはやめてよ」というフレデリカに「安請け合いじゃない。あの男を仕留められるなら、どんな取引に乗っても良い」
こんなにポンポン答える人だったっけ?

ツェリンを交えて作戦を立てる3人。
「明日、停戦交渉が終わったら移動中を計画通り襲撃する」
「下っ端の連中は何も知らない。あの連中を殺さずにやれるんだな?」と念を押すツェリン。
「そう計画を練ったけど、流石にこの人数(3人)だと成功率は低いわ。だから、私の方で切り札を用意した」
この切り札っていうのは、どうやらドローンのことらしかった。

一人表でタバコを吸う狡噛。
そこへ槇島が現れる。
「この国の人にとって死は輪廻の一部でしかない。キリスト教ならば死は贖罪の一部だ。狡噛慎也、もしかして、悪霊は君自身なんじゃないか?自分自身が死んだことにも気づかず現世をさまよい戦いの地獄へ落ちていく」
「いいや、俺はそうはならない、槇島」
狡噛さん、どこまで槇島に祟られてるんだ…
こうやっていつも常に槇島と自問しているの?
1期の狡噛さんは、槇島に対してものすごい執念だったから、こんな風になるなんて想像がつかなかった。

列車で移動していくガルシアたち。
狡噛を探しているが、見つからない。「すでに海外に出ていればいいが、そうでなければ…」と言うガルシア。
狡噛は対戦車用のようなドローンに乗って戦車に近づいていく。フレデリカがドローンを遠隔操作して爆薬が積まれた車両を爆破し、そこから後ろの貨物を切り離す。
「例のポイントまで焦らないでよ!」とフレデリカ。
ガルシアもドローンを起動し応戦してくる。吹き飛ばされて列車から落ちそうになるが、なんとかしがみつき這い上がり、プロテクターを脱ぐ狡噛。ドローンにはフレデリカがドローンで応戦し、しつこいくらいに弾を撃ち込んで沈黙させた。 
ツェリンがポイントを切り替え、「俺はあんたを許せない、ガルシア!!」と砲弾を列車めがけて打ち込む。列車の機関部分が破壊され、機関室にいた人間は死んでしまったようだった。
ガルシアは銃で狡噛に応戦する。
「ずいぶん面倒なことをしてたもんだな!普通に盗賊団になればよかっただろう!」と狡噛。
「傭兵も盗賊も、自分だけでものを精算する能力はない!奪い続けるだけでは限界が来るんだ!」
弾が切れたガルシアは銃を捨て、ナイフを取り出して「来いよ、狡噛」と誘う。「部下を食わせるってことの重さが、独り身のお前にはわからんのだろうな。お前の人生は他人の人生を背負ったことのない生き方だ」
「ああ、その通りだ」
すごい勢いでナイフを交える二人。狡噛の拳がガルシアの顎に当たり、骨が砕けるような音がした。が、ガルシアが狡噛の顔に連続パンチを浴びせる。組み伏せられそうになるが、ガルシアを抑え込む狡噛。
「俺達は、ただ、居場所が欲しかった。…それだけだ」
「…ふざけるな!」
荷物の影で見えないが、ナイフをガルシアにぐぐっと突き刺す。
「テンジンからだ。ナイフは返したぞ」
あんなに殺すことを嫌がっていたので、心臓にナイフ突き刺すのかなと思ったけど、首の頸動脈を切ったようで、右首から肩が血にそまり、動かなくなったガルシア。
頸動脈を切っただけで、すぐ動かなくなるかなぁ?

例のポイントとは壊れた鉄橋のことらしく、列車は途切れた線路から川底へと落下していった。狡噛はワイヤーを伸ばして壁面にぶら下がる。「今助けるぜ!」とツェリンが上から覗き込む。
引き上げられた狡噛はツェリンに「雨の中で踊る男の小話、オチがずっと気になっていた」と言う。ツェリンは「はぁ?」と言いながらも話してくれた。
ツェリンは見事なダンスをするその男に聞いたそうだ。「どうして雨の中わざわざ踊るんだい?そうしたら、その男は『実はさっき小便をもらして、ズボンが濡れたのをごまかすためにやってるんだ』って」
オチを聞いて、脱力して仰向けに倒れ込む狡噛。
フレデリカは「やはりピースブレイカーが武器の供給源でした」と外務省へ報告していた。

翌朝、テンジンの病室に流れるテレビのニュースで、ガルシア殺害は狡噛の仕業で、ガルシアのあとを継いだツェリンは狡噛に賞金をかけた、と報じられていた。
これは停戦交渉を反故にしないために、狡噛が自ら悪役を買って出たことだった。
テンジンは「ほんと、馬鹿な人ですよ、先生…」と本を抱きしめながらつぶやく。

「あなた、少し変わったわね」とフレデリカ。
「そうか?」タバコを吸いながら答える狡噛。
「世界の形はそう簡単には変わらない。だから、自分が成長せねばならない。過去と決着をつけないまま世界をさまよったところで、前に進むことはない」
「過去との決着か…俺はシビュラシステムと相性が悪い。システムを憎んでいると言ってもいいほどだ」
「あら。シビュラシステムのもとで暮らしている人も憎い?」
「まさか」
「あなたには救える人がいる。やることがある。本当に、いいのね?」
「ああ。…日本に、帰ろう」

公安局のシンボルが現れて消え、スタッフロールへと続く。

口元のアップだけだったけど、こんなにあっさり帰国すると言うとは思ってなかった。
過去と決着をつけるって、何なんだろう…
槇島はもうこの世にはいないし、槇島の亡霊に囚われてしまっていることは、本人もわかっているわけだし。
そうなるとシビュラとの対決?
でも、狡噛さんはシビュラの正体は知らなかったはず。

今回はシビュラもドミネーターも全く出てこず、サイコパスのテーマ?の曲はバシバシ流れたがサイコパスっぽくなかった。
しかし背景美術がものすごくきれいだった。
1→2→3と、少しずつかかる館が縮小されている感じがするんですけど・・・
case.3は結局、レイトショーの時間ではaでかからなかった・・・
バリバリの爆音で見たかったよ・・・

狡噛さんが帰国し、めでたく10月から3期に突入するわけだが、朱たちはもう出てこないのか?
これだけ期待させて狡噛さんが出てこないってことはないだろうし…
次は、リアルタイムでちゃんと見ます。

評価:2c


『よみがえる空-RESCUE WINGS-』オールナイト上映+濃厚トークショー
  (2006年放送TVシリーズ)

監督:桜美かつし
シリーズ構成:高山文彦
脚本:水上 清資
キャラクターデザイン:竹内哲也
メカニックデザイン:橋本敬史
プロップデザイン:狩生 豊
総作画監督:狩生 豊/竹内 哲也
美術監督:徳田俊之
色彩設定:店橋真弓
撮影監督:大河内喜夫
編集:西山 茂
音楽:松尾早人
OP「明日をとめないで」(作詞:畑 亜貴/作曲:田中秀典/編曲:宅見将典/歌:美郷あき)
ED「エンブレム〜名も無き英雄達へ〜」(作詞・作曲:影山ヒロノブ/編曲:須藤賢一/歌:JAM Project(影山ヒロノブ))
音響監督:三間雅文
3Dモデリング:二宮 茂幸 (HMM)
3D-CGI: サンジゲン
プロデューサー:杉山 潔/松倉友二
アニメーション制作:J.C.STAFF
製作・著作:バンダイビジュアル

声の出演
内田一宏:宮崎一成        長谷川めぐみ:能登麻美子
本郷修二郎:石塚運昇       村上龍之介:星野充昭
広沢徹:ヰズミ          田中正勝:石井英明
安田鉄平:小室正幸        久保 功:古澤 徹
黒木淳造:小山力也        白拍子克己:西 凜太朗
鈴木浩徳:喜安浩平        平田和彦:伊井篤史
西田一美:笠原留美        二本松大悟:小野坂昌也
小坂隆:志村知幸         本村 裕:飯塚昭三
本郷みどり:木村亜希子      本郷あつこ:仙台エリ 他

トークショー出演:
岡部いさく(軍事評論家)/神野幸久(「航空ファン」編集次長)/杉山潔(プロデューサー)

〜HPより〜
「あの『ガールズ&パンツァー』を手掛けたプロデューサー杉山潔さんの本職は「空」にあった!
杉山さんの熱烈なオファーによりプロデュース作品 、航空自衛隊の救難隊を描いた『よみがえる空-RESCUE WINGS-』全13話を、シネマシティにてオールナイト一挙上映開催。(21:00〜6:00)
ただ上映するだけではなく、驚くべきことに軍事評論家の岡部いさくさん、「航空ファン」編集次長の神野幸久さん、杉山潔プロデューサーという強力な布陣による、本編の各エピソードごと解説という濃厚!
こんな詳細解説上映聞いたことがありません。
またオープニングには、東日本大震災において航空自衛隊救難隊が果たした役割について解説するスペシャルトークも実施いたします。 」


結局ガルパンは見てないが、なんとなく良作の予感がしたのと、東日本大震災のスペシャルトークにちょっと興味があったので見に行った。
客席は300位ですが、
来たのは100人くらいだったそうで、「正直こんなに来てもらえるとは思ってなかった」と言ってました。
長丁場だから、空いてる席に自由に移っていいよ、と言われました。
いつもは真ん中で見るけど、9時間隣に人がいたり、前に人がいるとストレスかも、と思って、今回は通路側のはしっこで見た。
休憩はあったけど(2回、しかも最初は1回しかなくて増やしてもらったんだそうだ。どんだけしゃべるつもりなの、と遠山さんが言っていた)、結構トイレに出ていく人が多かった。

■スペシャルトーク「東日本大震災と航空自衛隊救難隊」
自衛隊がどんな活動をしたのかを、当時の被災した状況の写真を見ながらの解説など。
阪神淡路大震災の教訓を生かして、派遣要請のしかたを変えたことや、自衛隊本来の業務はあくまでも「国防」であり、本当に必要なときにだけ、最後に出動し、最初に撤退していくのが基本だと言う話があった。
豚コレラの家畜の処分や消毒なども行っているが、処分=子豚を殺す、であるため、若い隊員にはかなりキツイ業務で精神的に参ってしまうこともあるらしい。
実際に小松基地で使用していたヘリなども紹介されたが、東日本大震災で小松空港のヘリが津波などで全滅してしまい、非難を浴びたことがあったが、その理由についても説明があった。
当初、20分で津波が来ると発表があり、日頃の訓練からヘリ等を避難させるのに30分は必要であるということで、やむなくヘリをおいて避難をした。しかし、実際に津波が来たのは1時間後であった。海水に浸かってしまったため、ほとんどのヘリが部品を変えても使用できない状態になってしまっていたそうだ。
どのヘリがどう、とか、足が短いとか(これは飛行距離が短いと言う意味のようだ)結構マニア向けの説明だったけど、学校とか病院などの建物の屋上にヘリが降りて救助した話では、降りているように見えているが実はそれは車輪は屋上に接触しているだけで、実際はホバリングしている状態なんだそうだ。だからプロペラは回りっぱなし。それはヘリが着陸できるだけの強度が建物にあるかどうかわからないため。プロペラが回っているとものすごい風になるので、隊員が一人ずつ移動させたということだった。
また、普段は人を運ばない大型ヘリが病院から患者を運んだりした、ということだった。
八戸港では震災当日、探査船「ちきゅう」内を小学生が見学していたらしいが、津波が来るということで一旦離岸、地震で港に接岸できなくなったため救難ヘリで救出されたという。

ドモダチ作戦の話も少しあって、地震が起った直後に救助に行くことが決まったそうで、当時ベトナム?のあたりを航行していたドナルド・レーガンは「救助に行きたい」と申請?したそうで、救助が決まったときは船内で歓声がわいたそうだ。「そこまで?」と思ったらしいが「それほど日本が好きな人がたくさんいたってことなんでしょう」と言っていた。
あまり報道されてないけど、オーストラリア軍もかなり派遣してくれた、と言う話もあった。

■作品について
2006年にテレビ東京で放送されていたらしい。
1話がとにかく地味で、「1話切り」されてしまった…と言っていた。
去年ブルーレイが発売された。
当時はCGを使い始めた初期の頃で、サンジゲンには「実写とセルアニメの中間くらいで」と注文を出したが、どう作るのが正解なのかよくわからず、試行錯誤したそうだ。
自衛隊の基地は全国にいくつかあるが、なぜ小松基地を選んだのかというと、日本海もあれば日本アルプスなど山もあり、冬は雪もふることから、任務の範囲が広いためだと言っていた。
当時は警察や消防のヘリでは十分な救助活動ができなかったために出動件数が多かったそうだが、その後警察にも大型ヘリが配備されたため、現在は小松救助隊では雪山遭難救助はほとんど行っていない。
救難ヘリのUH-60Hは、作中では黄色と白のツートンだが、その後青の機体に入れ替えられ、現在はすべて青色になっている。

最初、解説から始まって内容ネタバレされていたが、これは「みんな一回見てる人ばっかりだよね」と思っていたからしく、途中から「見てから解説」に変わった。(クレームがあったそうです)
始めてみる人〜とやったら、約半分?もうちょっと?くらい手が上がった。
ちなみに、救難ヘリに見つけてもらいやすくするためには、鏡を持っているといいそうです。光って居場所がわかりやすいんだそう。



全編ネタバレのあらすじ






第1話「初めての仕事」
第2話「困難な仕事」
第3話「苦しい仕事」
1話は、主人公の内田が岡山から小松基地のレスキュー部隊・小松救難隊に配属され転勤してくる経過のみで、全く何も起こらない。
戦闘機(ファイター)パイロット志望だったが、救難に配備されてくさっていたのを、後に信頼関係を築いていく本郷三佐に「中途半端にやるなら帰れ」と指摘され、宅配便だか引っ越しの荷物の一
部だかが届かず、布団なしでカーテンをかぶって寝るはめになったのだった。東京の出版社に就職した彼女がいたが、携帯(ガラケー)を持たない内田は留守電ですれ違ってばかり。
この留守電の声って、日高のり子かなぁ、とちょっと思ったがエンドロールはどの人なのかわからなかった。
1話はなぜだか全編中いちばん作画がダメだった。1話と2話、同じ人に見えないことが…
真面目な話だから髪の色が赤とか青とか、ありえない色の人はなく、みんな黒髪。そして出てくる人はおっさんばかりで、ものすごく特徴がある人以外は見分けがつかないことが…
主人公の内田だけ、声優の声質がちょっと違う感じがするのだが、あえて聞いてすぐわかるようにキャスティングしたのかなぁ。

2話〜3話は、金沢沖が震源地の地震があり、本任務についていないが内田は見学として出動する。これは隊員が同じ車に同情して事故を起こし、手を負傷したための「保険」として乗せようと本郷三佐にうまく乗せられたのだった。
山あいの集落の小学校に集まっていた被災者を救護するが、内田ともうひとりが現地に残る。喘息の持病がある老人が薬を置いてきた、というので地震でいたるところが崩れているのに、家まで行って薬を取って
きてあげるのだが、その判断ってどうなの?と思った。向かう途中で崩落とかあったし、下手したら2次災害が起こると思う。薬は無事に持って帰って来られたが、そのときに子猫を見つけて一緒に連れ帰ってくる。

薬と子猫に礼を言う老人とその娘だったが、その様子を離れたところから見ている女の子がいた。飼い犬も一緒に連れて逃げると言ったが、親が説き伏せて犬は置いてきたのだ。しかし、いつの間にかこの女の子(さくらちゃん)の姿が見えなくなり、傘もなくなっていたため、犬を連れに家に帰ったのではないか?ということになり、内田が慌てて探しに行く。
青い屋根の自宅には傘があり、中からかすかな声が聞こえた。家の中に入ったら崩れてきて下敷きになってしまったのだ。
女の子はなんとか救出され、救難ヘリで病院へ搬送することになるが、搬送の途中で失禁しチアノーゼの症状が出て、危険な状態になる。さらに気温も低く向かい風の悪条件で、このままでは病院まで燃料が持たず、海に墜落する危険が出てきたため、機長の本郷は引き返す選択を撮ろうとする。内田は「ここまで来て引き返すっていうんですか」と抗議し「近くを航行している海自の船から燃料をもらったらどうですか」と提案する。本郷はその案を取り入れるが、救難ヘリが揺れる海自の船上に着艦することは今までになかったことで、戦闘機乗りならできるかもしれないが、救難ヘリのパイロットには難しいんじゃないか?と連絡を受けた海自の自衛官は言っていた。ここで本郷三佐はかつて戦闘機乗りだったことが判明し、「本郷さんなら出来ると思う」と海自の乗務員は言う。

燃料を補給して病院に着く
が、現地は停電していて真っ暗で、降りる場所がわからない。しかし、病院の前には車のヘッドライトで滑走路のように照らされていた。このシーンはちょっとジーンと来た…しかし、この時にはさくらちゃんは、すでに息を引き取っていたのだった…
「自分が猫を連れて帰ってこなかったら、さくらちゃんは自宅に戻ることはなかった。自分のせいだ」とその場に残って両親に誤りたいという内田。本郷は「必ず助ける、なんて安請け合いするからだ。お前はこれからもそうして、助けられなかった家族全てに謝るのか」と内田に言う。
そこへ葬儀社の人間が来て、内田を家族と間違えて「私こういうものですが」と名刺を渡したため、内田は胸ぐらを掴んでしまったため、「自衛官が暴行を働いた」ということになってしまった。

第4話「大切な人」
第5話「必要なこと」
GWは任務がなかったので帰省すると申請した内田だが、地震で亡くなった女の子のことで落ち込んでいたため、結局自宅でゴロゴロしていたら、東京にで手仕事をしている彼女のめぐみが突然やってきた。内田が暮らしている小松を見たい、というめぐみだったが、「小松は何もない」と金沢へ行く。
同じ高校の先輩後輩だった二人。めぐみは仕事でミスをしたため、何度も電話がかかってくるが、内田には「めぐみは仕事が楽しい」というように映る。気まずい感じで家に戻る二人だったが、「一宏は変わってしまった。どうしたら私の知っている一宏に戻ってくれるの?」とめぐみに言われてしまう。めぐみは震災の救助で何かあったらしいと気づくが、内田は「誰もがぶつかる壁にぶつかっただけのこと。八つ当たりしてごめん」と謝る。翌日、仲直りした二人は小松の街を観光する。
多分那谷寺だと思うのだが、そこで白拍子空曹と出会う。白拍子の母親は以前に岡山に済んでいたことがあり「おえん(だめだよ)」という方言が懐かしい、と言った。
内田は彼女と一緒にいることを白拍子に口止めするが、休み明けに出勤すると全員から「おえん」と言われ、挙句の果てにミーティングで全員の前で「提出した行動予定と違うのはおえん」と言われてしまった。
めぐみは帰るときに、空港で携帯電話を一宏に渡して帰っていった。

訓練の日々の内田だったが、救難員の指示通りに崖際にヘリを寄せることができない。反省会でも他人事のように話す内田を、本郷三佐はメディック(救難員)
の山岳救助訓練に参加させる。内田は張り切って途中で老夫婦を追い抜くが、その後バテて酸素を吸っているとその老夫婦に抜かされるという…
内田は見学するだけだったが、メディックの崖登りの訓練は厳しいものだった。
訓練後、ピックアップしてもらう場所へ向かう途中、その夫婦の妻が足を捻挫したが、ピックアップポイントまではかなりあるため、もと来た道を引き返してレスキューを呼ぶことになった。その場所は岩場で風も強くなって来ていたため、内田は風が収まるのを待ってからと言うが久保は的確な指示で岩壁ギリギリまでヘリを寄せ、無事に老夫婦を救助する事ができた。内田はめぐみに「自分はまだまだだ」と、もらった携帯でメールを送る。

「人間、エッチして元気になるもんです。健康な若い男女ならアタリマエのことで、大人のドラマとして描きたかった」と言ってました。
まぁ、仲直りできてよかったね、というレベルのちょろっとしか出てこんかったけど。

第6話「Bright Side of Life(前編)」
第7話「Bright Side of Life(後編)」
本郷はかつて戦闘機に乗っていたが、事故に会い同乗していた井上三尉は亡くなり本郷は生還した。葬儀は本人の希望で「ひょっこりひょうたん島」の曲が流れる中での葬式だった。
GWに「次に会えるのはお盆だね」と言ってめぐみは帰っていったわけだが、お盆はふたりとも帰省していた。
内田の実家は酒屋で、父親は事故で車椅子の生活になり、母親が店を切り盛りしていた。内田は父親に「自衛隊を辞めて店を継ごうかな」というようなことを雑談のように話す。そのことが二人は気になり、母親はめぐみに「何かあったのか」と聞くがめぐみには思い当たることがない。

一方、本郷は北海道にある妻の実家?に帰省していた。何話だったか忘れたけど、井上さんの奥さんからた届いた手紙が、本郷三佐の家の壁に貼ってあったんだよね。
娘を実家にあずけて井上三尉の家を訪ね、焼香をあげる。事故当時小学生だった井上の息子は高校生?くらいになっていた。
事故の原因はバードストライクで回避不能であり本郷に落ち度はなく、生還後も怪我もなくパイロットとしてやっていけたが、「F転」となり救難ヘリのパイロットへ配置換えとなった。「えふてん」は言葉だけ出てきたので「?」と思ったが、Fiter(戦闘機)乗りが転属させられることを指す隠語らしい。
本郷は「戦闘機を降ろされるくらいなら自衛隊をやめる」と抗議したが「頭を冷やして考えろ」と言われてしまう。
休み明け、訓練のあとに鈴木三曹に「この基地で一番うまく回転翼を操縦できる人はだれ?」と聞くと「この基地どころか本郷三佐は全国のヘリのパイロットで3本の指に入るくらいのうまさです。本村さんが言ってました」と言われる。なぜ事務方の本村にわかるのか聞いたら、2年前まではメディック(救難員)だったと聞かされる。
第303飛行隊のF-15DJが訓練から帰投中、突如レーダーロストしたと連絡が入る。捜索に出るがなかなか見つからない。二人のパイロットのうち一人は結婚して1年、妻の元へ幹部が黒塗りの車で知らせに向かう。
基地内で女性隊員に見守られながら捜索を待つパイロットの妻。
整備班は「もし整備のせいだったら」と誰もが心配していた。

内田は必死に捜索し、機体の一部を発見する。そしてパイロットの一人は遺体で上がった。もうひとりはなかなかみつからず、内田と本郷は交代のため帰投する。本郷は千歳での自分の墜落事故のことを内田に話した。後部席の自分は助かったが前席のパイロットは25歳で亡くなったと。朝になって天候が良くなり、再び捜索に出た内田たちは、漂流していたパイロットを発見する。「生きてる!」連呼しながら降下する黒木空曹。ビールを奢る約束をする。妻の元へ無事だった知らせが届いた。結局、原因は雷で不可抗力だった。
内田と同期の戦闘機乗りの小坂は、亡くなったパイロットと同乗したこともあり、とてもいい人だったと言い、自分が事故した時はよろしく、と内田にいう。以前に言われたときは「お前だけはぜってー助けない」と言った内田だったが、今回はそんな事は言わず走って去っていく小阪を黙って見送っていた。

その日は元々飲み会が予定されていて、そこで生還したパイロットは脊椎を損傷していて、最悪の場合は車椅子生活になるかもしれないが、本人は元気で必ず復帰すると言っている、特に助けに降りてきてくれた黒木が天使に見えたので、差しで飲みたいそうだ、と報告があった。たしか白拍子三曹だったと思うのだが「明るく前向きに物事を捉えるほうが、ずっと良いと思う。たとえ目が見えなくなっても歩けなくなっても、人にはできることが必ずあるはずだから」と内田に言い、内田は父親に「自衛隊はやめるといったがあれは冗談だ」と電話する。二次会のカラオケで、本郷と内田はひょうっこりひょうたん島を歌う。

この2話はこのアニメを作ろうと思ったきっかけになったエピソードだそう。
サブタイトルは、モンティ・パイソンのキリストの磔をパロディにしたしょーもない内容の映画「ライフ・オブ・ブライアン」で流れる歌「Always Look on the Bright Side of Life」で、「(クヨクヨしないで)前向きに考えよう」の意味。
救難隊の本来の業務を書いたものだそうで、人命救助も「従たる仕事」だけど、本来は自衛隊の航空事故のレスキューのために作られた部隊なんだそうだ。当時は航空事故が多く、ほぼ毎月、どこかで墜落事故が起っていた。
機体が落ちたのは自分の整備が原因ではないかと、トイレで首を吊った整備士も実際はいたらしい。
以前に誤射で撃ち落とされた事件があり、その時のパイロットは脱出して助かったそうだが、音速で飛行している機体から飛び出すためパイロットにはかなりのGがかかり、よほど正しい姿勢をとっていないと、頚椎をやられてしまい、言い方は悪いが五体満足で救助されることは殆どなかったそうだ。
そういえば、1話で内田が乗ったタクシーの運ちゃんに「自衛隊関連の人は背筋がぴしっとしてるからすぐわかる」と言われていた。
墜落も、山に落ちれば遺体が戻ってくる可能性がかなりあるが、結構ぐちゃぐちゃというかバラバラ?になってしまうと、お棺をあけて顔を見せないケースもあり、海だと遺体自体が見つからないケースも。
杉山さんは、仕事で関わったパイロットたちも、事故で十数人なくなってしまったと言っていた。
「生きてる!」は台本には1回しかなかったが、アドリブで連呼したらしい。浮いてるパイロットの顔が少し動いたときは、見ていて「生きてる!」と思ったし、ここはかなりジーンときた。
6話はオープニングで、7話はエンディングでひょこりひょうたん島が流れるのだが、脚本的にこれは外せず、そうなるとせっかく作ってもらったオープニング、エンディング曲が流れないということになる。仕方ないのでレコード会社にお願いにいったそうだ。

第8話「少年の旅路(前編)」
第9話「少年の旅路(後編)」
紅葉狩りの下見にチャリで緑山に登る鈴木三曹と内田。途中で学生服の高校生と出会い、一緒に行動することになるが、緑山に高校生の乗っているママチャリで登るのは無理だ、ということで内田と高校生はロープウェイで山頂へ行くことになった。彼は野球部でキャッチャーをしていたが、受験のために部活をやめろと言われ、本屋で万引きをして補導され、父親に叱られ、補習で学校に向かったが学校には行かず気の向くままチャリで走ってきたのだった。
この緑山というのは標高が900メートル位で、ロープウェイもあるし近くの高尾山よりもう少し高い感じなんだな、と思った。

ところがロープウェイは途中で二つある圧搾機のうちの1つが不完全握索(圧索機が外れかけている)を起こし、止まってしまう。鈴木三曹は途中で止まっているロープウェイを見て「?」と思い山頂駅の事務所に入っていくと、係員は不完全握索でロープウェイを動かすことは不可能であり、止まったところの高度が高すぎるのと風が強いため、救助用具を使って地上に下ろすのは無理だと判断する。消防または警察のヘリでレスキューを要請すると話していた。鈴木三曹は風速15メートルでは消防レベルのヘリではホバリングするのも難しく、レスキューなどできないため、自衛隊に災害要請要請してほしいと進言するが却下されてしまう。ヘリがやって来るが強風に煽られ、結局レスキューを断念する。

ゴンドラ内にいた内田が指示して、乗客を一人ずつ下ろすことになり、子供と女性、老婦人を下ろしたところで片方の握索機が外れ、上下にゴンドラが揺れたために救助用具がはずみで地上に落下してしまった。事務所には自衛隊の救難隊が到着し、ゴンドラの重量を訪ねていた。ヘリでゴンドラを吊り下げるなんてできるのか、と聞くロープウェイの係員。上空に救難ヘリが現れたのを見て内田は「おっかないのが来たぞ…」と言うが、その口元は微笑んでいた。乗客を乗せたゴンドラの重量は、UH-60Hが運べるギリギリの重さで、操縦桿を握っていた本郷三佐は「内田を飛び降りさせて軽くするか」と冗談を言う。

救難員がゴンドラの上に降りフックを付け、もう一方の握索機をバーナーで焼き切る。内田は切られた時の衝撃に供えろと言われ、ゴンドラ内に持ち込んでいた自転車の車輪のゴムを切り、中にあるポールに3人ずつ体を縛り付けた。無事に切り離され釣られるゴンドラ。こんなに重いものが吊れるのか?と思った。無事に地上に降ろされ、鈴木三曹が「少年〜!やったな!」と駆け寄ってくる。そこへ少年の父親が現れるが、その足に履いていたサンダルは、右左が違うものだった。ここで父親がひし!とか抱きしめれば愛情が伝わるのに…と思ったが、日本の頑固親父はそんなことはやっぱりしなかった。車で帰途につき、車中で父親は息子に「腹、減ってないか」と聞き、二人はラーメン屋で一緒に食事をするのだった。

圧索機はスキーのリフトや小型のゴンドラ(スキー場のゴンドラはこのタイプ)に使用されるもので、あそこまで大きいロープウェイでは2本のロープを滑車で掴むタイプ。見ていて、こんな大きなゴンドラがスキーのリフトと同じ方法で吊ってたっけ?と思った。しかしヤバイ事故を起こすために圧索機にする必要があり、突っ込まれると思ったので調べたら、四国の方で1つだけその方式のロープウェイがあったそうだ。取材を申し込むと最初は諸手を挙げて歓迎してくれるが「事故を起こすシナリオ」というとすべて断られてしまい、索どう協会?にお世話になり、ハンターマウンテンのゴンドラに取材に行ったといっていた。ゴンドラの重量は、一応吊り下げは可能であることは確認したそうだが、運用外の重さであるためその重量を本当に吊り下げると、エンジンなどの検査を綿密にやらないとならなくなり、後でものすごく整備が大変になるため、絶対やってほしくない、と整備士に言われたそうだ。最大吊り下げ重量は記録されて、あとで分かるらしい。乗客は老夫婦、離婚して子連れで再婚した親子、チンピラのにーちゃんと水商売の女性、家出少年と内田だったが、チンピラのにーちゃんは毒づいてばかりで不愉快だが、これがないと湿っぽくなりすぎるのでメンツに入ったらしい。最後に水商売の女性に「うるせーんだよ!」と一喝されておとなしくなっていた。

第10話「パーティー」
第11話「ビバーク」
第12話「レスキュー」
途中でディスクチェンジがあるので、眠くならないでね、と言われた。
内田は本郷三佐の家に食事に招待される。内田は「家族がいるっていいですね」と言うが本郷は「自分がいつどうなるかわからないし、被災者に自分の家族と同じような人がいると判断に迷うこともある。地震の時、海自で燃料を補給したことが良かったのかわからない。あのときは全員が命を落とす危険性もあった」と言う。

一方、東京の出版社に勤めるめぐみは売れ残った本の処分について聞き、販促イベントを行えないなら断裁するよりは古本屋に売ったほうがと考えるが、社長に止められる。本は断裁処理することになり、処分に立ち会う。
春陽大学山岳部のパーティ4人が日本アルプスに登山する。天候が悪くなることが予想されたが、予定通り登山を続ける一行。しかし新入部員は慣れない山登りなのに「大丈夫だ」とやや無理をした結果、意識がふっと遠くなり滑落してしまう。運良く滑落した部員を発見できたが、足がありえない方向に曲がっていた。天候も悪くなり、リーダーは二人の部員に電波の届くところまで出て救助を呼び、山小屋へ戻って救助を待つように指示し、自分は滑落した部員とともに残る。
内田は本郷に「家に来た時、近くに小学校があっただろう。もしあそこのグラウンドに緊急着陸しなくてはならなくなったとしたら、どうアプローチするか」と聞かれる。内田の回答は的確なものではなかったため「お前はいつもどんな目で空を見てる。ヘリ隊の目で見ているか」と問われてしまう。

山岳部の二人は救助を要請し、自分たちは穂高岳山荘へ戻って救助を待つと伝える。
長野県警から山岳部員の家族に連絡が入り、みんな現地で待つが、リーダーの常松の家族は他の家族から目の敵のように見られていた。
山岳部のリーダー常松は新入部員と助けを待つが、吹雪の中部員が「松本まできっぷ四枚…」と錯乱し始める。
救助を呼んだ二人は吹雪の中道を間違え、山荘へたどり着けず、猛吹雪の中テントを張って救助を待つ。内田たちはヘリで救助に向かうが、常松のいる現場には吹雪のため近づけず、山荘に向かったが誰もおらず、あたりを捜索するが、猛吹雪で何も見えない。遭難した二人からはヘリが見えており、呼びかけるがもちろん気づいてもらえるわけもなく、ヘリは去っていってしまった。寒さに凍え「もうダメだ…」とつぶやく部員。ここで鏡があれば、見つけてもらえたんだろうか…と思った。
常松は怪我をした部員に水を飲ませようとするが、口元を流れていくだけで、すでに虚ろな目となっていて…リーダーは彼の目を閉じさせた。

翌日も猛吹雪で視界が悪く「無事でいるでしょうか」という内田に本郷は「俺達の仕事は生死を推測することではなく、見つけ出して助けることだ」と答える。
なんとか発見して一人は生存を確認できたが、悪天候のため救難員を下ろしても風に煽られるばかりで、救助は難航、これ以上は無理だと諦め一旦引き上げる。生存していたリーダーは目の前でヘリが去っていくのを見るしかなかった。再び救助を試み、別のテントを見つけてなんとか降りるが、二人はすでに死亡していた。
天候が収まるのを待って再び救助に向かう。テントを見つけアイスバーンで足場が悪かったが、降りるとリーダーは涙を流しながら「自分はどうなってもいいから仲間を先に乗せてくれ」と頼む。しかしもう一人はすでに死亡しており「仲間はもう死亡している。君の仲間も必ず乗せる。だから君の救助が先だ」と説得してヘリに乗せる。天候が更に悪化し、落石が起こり操縦席のガラスに岩があたって砕け、本郷が怪我をする。操縦を内田に変わり、本郷は「救助者はちゃんと収容したのか。…お前は本当に、操縦が下手だ…」と言う。

結局4人のパーティのうち1人しか生還できず、ワイドショーでは「計画が無謀だったんじゃないか」とか、好き勝手に批判していた。
本郷三佐は怪我のため入院し、内田は見舞いに行く。登山パーティのリーダーの父親からお見舞いの品が届いていた。本郷は「自分に何度も頭を下げて、憔悴した様子で気の毒だった」と言い、内田は「息子さん、ワイドショーで叩かれていた。極限状態で下した判断が正しいかどうかなんて、簡単にわかるはずないのに」と答えた。「彼が収容された時、涙を流していたんです。まるで生き残ったことを後悔しているかのように。あの涙を見たのは俺達だけです」「生きていくのはなかなかやっかいだ」と言って本郷は自分が戦闘機を降ろされたときのことを内田に話す。
「自分が回転翼機から降ろされた時、空から拒絶されているようで、飛ぶのが楽しくなかった。でも、ある時わかったんだ。空が俺を拒絶してるんじゃない、俺の方が空を拒絶してたんだって。飛ぶのが嫌になったのを人のせいにしてたんだって。それからは自分を憐れむのをやめた。そうしたら、死んだように見えていた空が生き返った」
「俺には、よくわかりません」
「お前にはまだわからんさ」
帰るという内田に本郷は聞いた。
「この近くで着陸するとしたら、どうアプローチする?」
「南西から侵入して、スーパーマーケットの駐車場に降ります」
「正解だが50点だ。お前の腕だと、2回に1回は失敗する」
「100回やって100回成功するようになります。また怒鳴られる日を楽しみに待っています」と言って内田は病院を出る。

帰り道、ロープウェイで一緒になった少年に出会う。少年は吉岡覚と言い、メディックになりたいのだと言った。
東京のめぐみは、新しく出す翻訳本をどうやったら多くの人に手にとってもらうかを考えていたが、人気イラストレーターに装丁を頼んだらどうか、と社長に進言する。社長は「どうせ受けてくれっこないよ」と言うが、テレビのインタビュー番組で彼の書斎に、原作者の本がおいてあるのが映っており、おそらく今度出す本の作者のファンだろうから、この人なら受けてくれるのではないか、と話す。めぐみの思ったとおり、彼は装丁を引き受けてくれた、という連絡が社長から入る。

状況が悪く救助を断念しなくてはならないことは何度もある。
アニメ同様、下ろしたけど無理だった、とか。
韓国籍の船が漂流しているのを助けに向かったが、波が強くて救助を断念して戻り、翌日また現地に行ったら死亡していたそうだ。2次災害を防ぐと言う意味で、救助を断念した判断は正しかったと思う、でも、自分にもっと技術があったら、救難員じゃ自分ではなく先輩だったら別の方法を考えられたんじゃないか、とそう思ってしまう、と言っていた。
また、パイロットのエピソードのときもそうだったけど、全員生還、はほんとに少なく今回も結局リーダーだけが生き残れた。それは無計画でもなく誰が悪いわけじゃない、きちんとやっていてもそういうことは起ってしまうので、遭難のニュースでみんな非難したりするが、状況をよく見てほしい、とも言っていた。
眼の前の人を救助できないと言う状況は同じだが、最初のエピソードで内田は引き返すという本郷に反論したが、雪山では「了解」と言って従ったのは、プロとしての彼の成長だと言っていた。
ちなみに、海で遭難した場合は費用はほとんどかからないが、山で遭難した場合は1時間で50万くらいかかり、基地から現地までの費用ももちろん請求されるので、雪崩に埋もれてしまって何日も捜索が続くと言うような場合は、1000万くらいかかってしまい、それはすべて請求されるため、身代を潰してしまうこともあるそうだ。
主人公が天職を見つけるような話にはしない、成長して「もうちょっとここで頑張ってみよう」という話にしたい、ということだった。

第13話「最後の仕事」
本村がメディック最後の仕事を終えるまでを描いた、DVDに収録されている話。毎朝カレンダーに斜線を入れ、タイムを測りながらランニングしながら小松基地へ出勤し、帰宅すると奥さんがカレンダーに斜線を入れてバツにする。
やがて娘が結婚し、本郷はF転となり回転翼へ移動。本村がメディックをやめるのと入れ替わりに鈴木が赴任し、その二年後に内田が赴任してきた。
現役を退き、事務官になってからは、やっと無事に帰宅を待つ日々から開放され、カレンダーにバツをつけなくて良くなった。
杉山さんはこのエピソードが好きだと言っていたが、淡々と進んでいくだけなので、眠くなってくる…

本村は木村さんというメディックの人がモデルなんだそうだ。
現役から退くかどうかは自分で決めるそうなのだが、周りからは「まだ大丈夫だよ」と言われても、厳しい中でベストな仕事ができるかどうか、難しい判断になってくるんだろう、と言っていた。

地味だけど、ストーリーがしっかりしていてしかもご都合主義のハッピーエンドじゃない。
よくこのストーリーで作らせてもらえたよなぁ…
なかなか言い作品だったです。

評価:2a


バトルシップ【極上爆音上映】(2012年公開作品)

監督:ピーター・バーグ
脚本:ジョン・ホーバー/エリック・ホーバー
製作:サラ・オーブリー/ピーター・バーグ/ブライアン・ゴールドナー/ダンカン・ヘンダーソン/
   ベネット・シュナイアー/スコット・ステューバー

出演
アレックス・ホッパー:テイラー・キッチュ
ユウジ・ナガタ:浅野忠信
サマンサ・"サム"・シェーン:ブルックリン・デッカー
コーラ・レイクス:リアーナ
ストーン・ホッパー:アレクサンダー・スカルスガルド
シェーン提督:リーアム・ニーソン
ウォルター・"ビースト"・リンチ:ジョン・ツイ
ジミー・"オーディ"・オード:ジェシー・プレモンス
ミック・キャナルズ:グレゴリー・D・ガトソン
キャル・ザパタ:ハミッシュ・リンクレイター
ノグレディ博士:アダム・ゴドリー
ブラウリー中佐:リコ・マックリントン
国防長官:ピーター・マクニコル


これ、爆音で定期的にやってるよね…

内容全く知らずに「見た方が良いよ!」と言われていたのを思い出して見に行ったけど、冒頭から何の映画?とさっぱり先が見えず…
「トランスフォーマー」とついてるけど、トランスフォーマーシリーズじゃないのになんで?と思ったら、それはパクったということらしい。

アホな映画だった。ラズベリー賞ノミネートだけのことはある。
浅野忠信の「おまえらアホか!」が全てを表現していると思う。
テイラー・キッチュって、市原隼人に似てない?
市原隼人みたいだなぁと思ってずっと見てた。


ネタバレのあらすじ








冒頭で、地球型惑星を発見し、そこへ向けて電波を発信する国際ビーコンプロジェクトが立ちあげられ、ハワイ、オアフ島に造られた送信施設から電波が発信され始める。確か2005年?
そして、正体不明の物体5個が地球に向かって飛来してくるのだが、監視している職員が報告すると「またそんな画像作っちゃって、騙されないよ」と信じられないノリの発言をしていた。

プーで金もなく車もなく、兄貴にニート生活をしていたアレックス・ホッパーは、誕生日に兄貴がカップケーキにろうそくを挿してお祝いしてくれたが、お願いごとは店に入ってきた「あのいい女を落とす!」だった。

「腹ペコなのでブリトーが食べたい」という彼女に店のスタッフは「キッチンは終わった」と出してくれない。ホッパーは「5分で用意する」と向かいのスーパーに走るが閉店時間になり、店は閉められてしまった。
なんと防犯カメラの目の前で裏口から侵入し、チキンブリトーを取りレジにお金を置いて、脱出を試みるがうまくいかず、警察がやってきて、捕まりながら彼女にチキンブリトーを渡す。

この行動自体がアホ過ぎて、何やってんの?って感じなのだが、本人は自分は優秀と信じているらしい。

彼女は海軍に勤める兄貴の上官であるシェーン提督の娘サマンサで、結局何をやってもダメだったホッパーは、兄貴のつてで海軍に勤めることになる。

サマンサとの結婚を許してもらうべく、サマンサに励まされてシェーン提督に話そうとするが、環太平洋合同演習(RIMPAC / リムパック)の演習初日に遅刻し、「お前は素質はあるのにそれを生かせてないどころか、素行が悪い。この演習が終わったら船を下りることになるだろう」と言われてしまう。
ミサイル駆逐艦「サンプソン」の艦長になっていた兄貴に何とかしてもらおうとするが「オマエは司法局?から呼び出しくらってる」と言われ「コネとか無いの?」と聞くと「あるわけない」と言われる。

兄貴に「やることないんだから海軍に入れ!!」と入れられた割には、挨拶の時にサングラスかけて将校の列にコソコソ加わっているということは、あんなにダメなのに出世したってことなのか?この辺は見ていて????だった。
そして14カ国が参加する合同演習の余興でサッカーをやっているのだが、決勝戦でなぜかアメリカ対日本、ペナルティキックでホッパーはホームランのようなキックをし、日本が優勝したのだった。
ハワイの地でアメリカ対日本、して日本が勝っちゃうのか…ブラックじゃない?
海軍にいるのに何かやらかしたのかは不明だが、お縄を頂戴しそうになって、コネをつかってもみ消してもらおう、とは…
なんでこんなのが将校になれたんだろう。

そうこうしているうちに謎の飛行物体が地球に落っこちてくるが、1つは衛星に当たって分解、残りがアメリカ、香港、に墜落。
ハワイ沖に墜落した謎の物体を演習中に発見し、ホッパーとウォルターとジミーで偵察に行くが、ホッパーが不用意に物体に触れたとたん変な電波が発射され、ハワイ諸島全体がおおわれて外部と一切通信ができなくなってしまった。

この辺はプロメテウスと良い勝負なアホさ加減だ。
応戦しようとしたが、謎の物体は戦闘機のようだがよくわからない変形をしてミサイルやら火を噴くトゲトゲ付の巨大なボールを発射、都市は壊滅状態になる。味方の艦は全てやられ、海自の戦艦も沈没、残ったのはホッパーが乗る艦のみ。しかも1番の階級の将校はホッパーで、艦長となって応戦を命じたが、結局無駄に死人が出ただけだった。
それを乗り合わせていた海自のナガタに指摘され、ナガタに艦長を譲るホッパー。
宇宙人を捕獲した、という知らせを受けて駆けつけると、宇宙服?銭湯スーツ?を着た生き物が横たわっていた。
なんと体を縛ったりもせずそのままヘルメットを取ったところ、宇宙人が目を覚まし襲ってくる。その瞳は交際がものすごく細く蛇のようだった。「あの細い目だと光に弱いんじゃないか?」となんとか甲板へおびき寄せてヘルメットを外し宇宙人を爆破した。

一方、サマンサはは仕事で知り合った片足を失った負傷兵のミックと山歩きをしているときに、宇宙人が襲って来たことを知る。彼らは世界最大の送信施設を占領し、自分たちの居場所を知らせるために通信しようとしていた。

宇宙人の戦艦はレーダーに映らず、どうやって撃沈するんだ?というホッパーにナガタは「秘策だ」と言って海に浮かぶブイの揺れから敵艦の位置を知る方法を教える。しかし、今いる場所はわかってもその先どこへ行くかは推測になるため、2回ほど外したが、3回目でなんとか撃沈した。だが、塔のような宇宙船?からミサイルが発射されアレックスたちの乗る戦艦は爆破され沈没する。
この様子がまるでタイタニックのように船尾が持ち上がって縦になり、ここで飛んでもスクリューにぶつかって死ぬでしょ、という感じなのに海にダイブ。

次のカットでは、あっさりゴムボートに乗っているナガタたち乗組員たち。
えーあんなにすごい爆発だったのに、無傷でビンシャンしてるのに驚き。「武器もないしなすすべがない」というナガタにホッパーは「方法はある」となんと博物館となっている第2次世界大戦時代の戦艦ミズーリのところへ連れていった。ナガタは「蒸気機関で、動かせるやつなどいない」というが、なんと合同演習でゲストに招かれていた当時の乗組員である退役軍人がいたのだった。
長いこと繋がれていた船が、そのまま動くのかね?

しかしそこは作り話、普通に動いているし、年代物の武器も機能していた…攻撃を受けそうになると主砲を横に向けて進み、不意をついて一斉射撃する。前半あんなに簡単にやられてたのに、ミズーリ号は「この船は沈まん!」って、なんの根拠で?
敵の砲撃を受けそうになると片側だけ錨を下ろし艦をものすごく傾けて砲弾をかわす。夜になりダイアモンドヘッドへ回り込み、朝日が出てくるタイミングで宇宙人の目をくらませてなんとか撃沈することができた。上空に張られたバリアが解除され、ハワイは外部と通信ができるようになる。

サマンサからの報告で、宇宙人が電波を送信して援軍を呼ぼうとしていることを知り、地球を滅亡から救うには通信装置を破壊するしかない、となる。
サマンサとミックは車で突っ込んで一時的に通信の妨害に成功するが、サマンサは壊された車に足を挟まれて脱出できなくなる。「俺はごめんだ」と逃げていった通信技術者のキャルが戻って来てなんとかサマンサたちは脱出できた。

ミズーリから撃たれた最後の一発のミサイルが、見事にアンテナを直撃、通信施設は破壊された。通信が回復したため、援護の部隊が宇宙人たちを壊滅させる。
敵を壊滅させた祝いの式典で、ミックは栄誉を称えられる。式典の後、ホッパーは無事にシェーン提督に「娘さんをください」ということができたが、断られる。「これから歩み寄りが必要だ」とチキンブリトーを食べることを提案するのだった。

ところで、これで終わりか?と思ったら、エンドロールの後にスコットランドのある村で不思議なコンテナのようなものが発見される。村の子供とあまり頭の良さそうではない青年がポッドをこじ開けると、そこから宇宙人の手がにゅっと出て来た…

往年の乗組員が出て来たところは話が見えたけど、ラストの一発があんなに都合よく命中して全て炎上するか?各国の合同演習で、いろんな国が参加していたが、場所はハワイ、そして真珠湾、そこに海自(将校一人だけだけど)と米軍が協力して第二次世界大戦時代の戦艦を使ってエイリアンをやっつける…しかも大統領はオバマ、「中国はやってないのか?」「北朝鮮の陰謀だ」など、タイムリーなパロディが満載。
最後は表彰式で明るく記念撮影していたが、地球の場所はエイリアンにバレてるわけだから、今後も襲ってくるよね?の心配を裏切らないラストだった。

かつて人類はボイジャーに地球の位置を記した金属板を乗せて宇宙絵H送り出したが、もしかしてそれを発見した宇宙人に襲われてしまうのか?
確かに見つけた宇宙人が友好的とは限らない…と思ってしまったのだった。

評価:2a


バースデー・ワンダーランド

監督:原恵一
原作:柏葉幸子「地下室からのふしぎな旅」
脚本:丸尾みほ
キャラクター・デザイン:イリヤ・クブシノブ
作画監督:浦上貴之 他
演出:長友孝和
色彩設計:楠本麻耶
美術監督:中村隆
CG監督:遠藤工
撮影監督:田中宏侍
製作:竹枝義典/本多史典/長南佳志
製作総指揮:種田義彦
音楽:富貴晴美
主題歌:milet
「THE SHOW」(テーマソング)
「Wonderland」(イメージソング・挿入歌)
撮影:田中宏侍
編集:西山茂
制作会社:SIGNAL.MD

声の出演
上杉アカネ:松岡茉優       上杉チィ:杏
上杉ミドリ:麻生久美子      ピポ:東山奈央
ザン・グ:藤原啓治        ドロポ:矢島晶子
ヒポクラテス:市村正親


「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」の原恵一監督作品。
キャラデザインが可愛い。
杏は自由奔放で声の表情が豊かな感じだったけど、松岡茉優はいまいちしっくりこない…まあ慣れたけど。

ロードムービーのような感じだが、各エピソードのつながりがあまり感じられないんだよね。
最後に複線のピースがぴったりはまって話が完成する、っていうのがない。
アカネの成長もあまり感じられないし。
最初は確かに「やりたくない、家に帰りたい」とは言っていたけどその後の行動が積極的になったかというと、それほどでもない。
実際、何したかと言われても「死ぬ!」と飛び込もうとした人に、すがって引き止めるくらいしかしてないんじゃ?


ネタバレのあらすじ





アカネは窓から表を眺め、天気の良さに嘆き?具合が悪いと言って学校をサボることにする。
正直、何で学校をさぼろうと思ったのかが、全然分かんない。
実は前日?ヘアピンをみんなでつけてくると言う約束を守れなかったクラスメートを、結果的に仲間はずれにしてしまったという事件があったのだが、これが原因で学校に行きたくなかったような感じではなく、この仲間はずれはなんの関係が?という感じだった。
飼い猫のゴロベエの尻尾をひっぱったりしていたが、空腹を我慢できずにリビングへと降りていく。

母親はサボリであることはわかっていると思うが、朝ごはんを作ってあげて、明日のアカネの誕生日プレゼントを自分で取ってこい、とチィちゃんの店「ちゅうとはんぱ」へお使いに出す。なぜだか「なんで私がチィちゃんのお店に、しかも自分の誕生日プレゼントを取りに行かなくちゃならないの!?」と頑なに拒むアカネ。そんなに行きたくない理由があるのか?
この辺は唐突というか、物語の関連性があまり感じられず、しかもおつかいの理由が「あなたの誕生日プレゼントを頼んであるから、取って来て」って、普通あるか?
チャリンコでチィのところへ行くが、近所の人に「アカネちゃん、学校は?」と言われはしないのだろうか、と思った。

アカネと母親がそっくりなことにも驚くが、机の横に置かれたランドセル、そして学校でのシーンではランドセルを背負って登校してるってことは小学生?でもキャラデザイン的に小学生には見えない…

「チィちゃん」というのはやや年齢不詳の親戚と思われる女性だが、アカネの叔母というには若く、いとこ?と思える外見。
アカネの母親も親というよりはアカネとは姉妹に見えるような若さだし。

チィちゃんはオシャレに言えばセレクトショップだが骨董品屋みたいなお店をやっていて、買いに来た音大生?に「あなたにはこっちがいいと思うのよ」と本人が欲しいと言うものとは別のものを強引に持ち帰らせる、マイペースというか、自由奔放な女性。しかし、アカネの誕生日プレゼントの注文は受けてないと言う。
アカネはその変においてあった不思議な手形の石膏?に手を入れてみたらぴったりで、そしてなぜだか手がくっついて抜けなくなる。床下の地下室から物音がして怪しい男が現れる。
その男は手形にぴったりのサイズの「みどりの風の女神」を探しに来た、錬金術師のヒポクラテスだと名乗った。手形にぴったりはまっているアカネを見て「探していた女神だ」と言い、地下室とつながっている向こうの世界を救って欲しい、と「前のめりの錨」というペンダントをくれた。後ろ向きになりそうな時に急に重くなり、いやでも前のめりになってしまう優れものなんだそうだ。

地下室に降りるとそこは時間を時間を操る蜘蛛が紡ぐ回廊になっていて、抜けて出た先は高い塔の上の、大きな鳥の巣の中だった。
地上に降りるとヨロイネズミと呼ばれる装甲車のようなものが現れ、塔へ上がる階段を破壊し塔が傾いたため、鳥が抱いている卵がおっこちて来そうになるのをスカートでキャッチするチィちゃん。

ヨロイネズミにはザン・グという怪人とドロポという猫のような小さい生き物が乗っていた。
村の巨大羊の群れがヨロイネズミに突進してくる。まるで青い服を着たナウシカに向かってくる王蟲の群みたいで、みんな空中になげとばされるとか?と思ったけど、そうはならなかった。ヨロイネズミは退散する。
そこは鶏頭の村で、その世界ではどんどん色が失われて行って降り、水がうまく循環しなくなった結果、色がなくなっていくのだ、それをみどりの風の女神であるアカネに救って欲しいと、ヒポクラテスと村人たちはアカネに言うのだ。600年前にも同じようなことが起こり、その時に少女が現れて救ってくれ、彼女をみどりの風の女神と呼ぶようになったらしい。
この国を治める時なし雨の王は、水を操ることによってこの国を収めていると言う。しかし、数年前に雨王と妃は亡くなってしまった。残された王子も体が弱く、ここ1年ほどは姿をみてない。水が枯れたのも王子の力が弱まったせいじゃないかと言われていた。
時なし雨の王の城には、魔法使いのカマドーマが住んでおり、錬金術師と魔法使いはそれぞれ自分の土地を納めていたが、仲が悪かった。
カマドーマは3年間寝ないで起きていたが、ある時ぱたっと寝てしまうそうで、今はその眠りの時で、頼りにならなかったのだ。
ヒポクラテスはアカネを連れて来たのは、王子を助けて欲しいからだと言う。壁には600年前に現れたと言うみどりの風の女神のモザイク画が描かれていて、緑の衣を纏ったその顔はアカネにそっくりだった。

ヨロイネズミは街にも現れ、鉄を略奪し、鍛冶屋に何かを作ることを依頼する。

アカネたちは村長の家に泊めてもらうことになった。
ヨロイネズミに奪われてしまった羊の毛を鶏頭で染めたセーターをもう一度編んで、時なし雨の城の城下町で開かれる、逆さとんがり市のコンテストに出すというので、アカネたちが持っていくことになる。
村長が防寒具やお弁当を持たせてくれて、車で出発する。ものすごい砂嵐をやりすごし、道端の食堂みたいなところで食事を取り、ヒポクラテスは燃料の補充へ行った。するとザン・グとドロポが現れる。

ドロポはヒポクラテスが燃料を買い胃に行った先の職人に、ミサイル状の大砲の玉を注文していた。それを受け取りにきたのだが、ヒポクラテスと鉢合わせし、ドロポが魔法でヒポラテスをハエの姿に変えてしまう。ヒポクラテスは「しまった、私としたことが」と、なんとも頼りない…

アカネとチィちゃんは戻ってこないヒポクラテスを探しに来て、車を発見する。燃料の石炭?は補給されていたが、ヒポクラテスがいない。チィちゃんが運転して城へ向かう。
ブンブンまとわりつくハエ(ヒポクラテス)を追い払いながら、途中でピポの故郷でもあるヒポクラテスの家に寄るが、ヒポクラテスは帰っていなかった。
チンタラしていると王子が出席する明日の雫切りの儀式に間に合わないため、先を急ぐことにする。
近道をするため、森の中の道を行き、ゆらゆら揺れる吊り橋をなんとか渡り、池では大きな蓮に乗った車を巨大な鯉に渡してもらう。よくわからない粘膜を体に塗ると、水の中でも呼吸ができるようになり、アカネはピンクのハート形の貝殻を拾う。

なんとか城のある街へ到着すると、番所を通れと言われそこへいく。なんと番所の役人は猫だった。カマドーマが猫好きなので、猫が役人をしているらしい。しかも飼い猫のゴロベエにそっくりな裁判官にアカネは「何の罪もない猫のしっぽを引っ張った」という理由で有罪になり、尻尾引っ張りの刑にされてしまう。

セーターをコンテストに出品するが、受け取った品物は後ろにうず高く積み上げられていて、ぞんざいに扱われているような感じだった。チィちゃんはお店に並べる商品の買い出しにせいを出す。
街はすり鉢状になっていて、中心部の広場には井戸があり、そこで雫切りの儀式が行われることになっていた。
しかし、肝心の王子が実は行方不明になっていたのだ。王子の寝室には鉄人形が横たわっており、カマドーマが儀式の前日までに元の姿に戻してくれる約束だったが、一向に目を覚まさない。
ピポはアカネに「ドロポはもしかしたら昔、学校で一緒だった友人のロンかもしれない」と言う。

ザン・グは作らせたミサイルを、街の入り口付近から井戸に向けて照準を合わせるが、発射はできなかった。
ドロポはザン・グに「やるって決めたんでしょ」と言うが、「うるさい」と一蹴される。
カマドーマが目を覚まし、王子の部屋にやってくるが、ベッドに寝ているのは王子ではなくただの人形だと言う。
ピポはザン・グがこの世界になくてはならない井戸を破壊しようとしていることに気づき、アカネにヨロイネズミの中に入って、大砲の球を盗んでくることを提案する。こっそり忍び込むアカネとハエのヒポクラテス。
中にはハエが一匹飛んでいて、なぜか人参にたかろうとする。
ピポが囮となるが、中ではドロポがザン・グに「あした、やるんじゃないの?みんなの前で、井戸を破壊するんじゃないの?あんな井戸があるから悪いんだって」と責めるように言うが「うるさい!落ちこぼれ魔法使いのくせに。俺をこんな醜い化け物の姿にしかできないくせに」と言われれてしまう。「ごめん!おれ、喜んでもらいたくて、王子に嫌われたくなくて…」ザン・グは、本当は王子だったのだ。

両親を亡くした王子が、自暴自棄になって変なことをしないよう、カマドーマに鉄人形の姿に変えられていた。カマドーマの弟子だったドロポは王子の部屋に行き、指を鳴らして王子の姿を変えるが、元の姿には戻せず、何度も指を鳴らして姿を変えているうちに、恐ろしいザン・グの姿になってしまった。その姿を見て王子は「おれはザン・グだ!もう王子じゃない!」と王子であることをやめてしまったのだ。

「カマドーマさま、そろそろ目を覚ます頃だ。怒られるよね」というドロポに「カマドーマも一緒に吹き飛ばすか」というザン・グ。アカネが飛び込んで来て「やめて!大切なものなんでしょ!」と言うが、「よそ者に何がわかる」
ピポは「水がなくなったら、この世界が枯れてしまう!」と言うと「うるさいうるさい!お前らに関係ないもんね〜!」というドロポ。
「ロンだろ。久しぶりだね。ロンだってわかってるんだろ。井戸がなくなったらみんな枯れちゃうんだよ」と諭すピポ。
その様子を水晶玉で見てるヒポクラテスが「なんだ、ロンも王子も近くにいるじゃない。戻るかどうかは王子が決めること。でも、魔法だけは解かないとね」

魔法が解けてハエだったヒポクラテスと王子の馬が元に戻り、慌てて馬をヨロイネズミから出す。ヨロイネズミを止めてと頼むアカネに「みどりの風の女神なら止めてみせろ」ザン・グはいう。「どうせ何もできないくせに。この虫けらのようにな」と明かり取りのために飼っていたヒカリムシを殺そうとする。「だめ!」と止めるアカネ。ヨロイネズミは城壁をぶち破り、街の中へ入って行った。「あなたのするべきことは、こんなことではない!」と言うヒポクラテス。

「怖かったのね。生まれながらに決められていた運命を受け入れたくなかった」というアカネにザン・グは
「父も祖父も儀式を成功させた。私もいつかはするものだと思っていたが、いつしか反抗するようになった。父母がなくなり、地を這うような暮らしをしているやつらとも知り合った。カマドーマは1年の眠りに入る時期で私が心配だったのだろう、私を鉄人形に閉じ込めた…」
「あの井戸を壊したら、その恐怖と怒りはなくなるの?私、みどりの風の女神らしいから、手伝うよ、雫切り。きっとうまくいくよ。ここまでくる間にこの世界はなんて色の綺麗な世界なんだろう、ってびっくりした。私たちの世界は科学が発達しているけど、みんな忘れちゃってる。だから、この世界を守って。それができるのはあなたしかいない」
すると、魔法が解けてザン・グの姿は王子へと戻った。

アカネは王子にも前のめりの錨があるといい、とヒポクラテスに作ってもらうよう頼む。龍の糞で作った強力な燃料でヒポクラテスの家へ戻り、怒りのペンダントを作って戻るアカネたち。
雫切りの儀式を行う王子。
井戸に突き出た飛び込み台のようなところに立ち、剣を向けて月の光を取り込んで念じる王子。剣から水滴が1滴湧き出て、井戸の底へ落ちていく。しばらく待っても何も起こらなかった。王子は下で見守っていた臣下にうなづきかけ、臣下もそれに答える。
「儀式は失敗した。私はこの身を井戸に捧げなければならない」
雫切りに失敗した場合、施行者は命を落とす。その命を捧げて次の代まで水を繋ぐのだ。
「そんな残酷なこと、やめさせて!」とアカネは言うが「お前たちの世界には残酷なことがないと言うのか!」と反論されてしまう。
「ありがとう。さようなら」飛び込むのを止めようとして頑張るアカネだったが、一緒に井戸の底に落ちてしまう。
井戸の底にはカマドーマがいて「よくやったね、王子。雨王としての立派な覚悟を見たよ。おめでとう。その娘に感謝しなさい。勇敢な娘だ。ほい」と握っていた手のひらを開くと、1滴の水滴が地面に落ち、ものすごい勢いで水が湧き出し井戸の側面を伝って吹き出した。
アカネたちは魔法で桟橋の上に戻る。
「アカネ離れろ、雫切りだ」飛び込み台の上でアカネに言うと、王子は手にした剣で滝のような壁になった水を切る。

ここでmiletの歌と共に王子が水を切っていくんだけど、すごく効果的で良かった。
こういうシーンで歌詞がしっかり入った歌ってあまり流さないと思うけど、すごくよく合ってた。
ちなみに、セーターはコンテストで最優秀賞を獲得した。

「失敗したら死ぬんだよ」と言われていたら、確かに逃げ出したい気持ちはよくわかるけど、その後の覚悟の良さは別人みたいだった。
しかし、カマドーマのあの様子だと、毎回「失敗した、だから死ぬ覚悟見せてもらう」をやっている感じだよね。
それって、どうなの?
騙してるようで、なんだか納得できない。

600年前にみどりの風の女神が残した手形があった場所へアカネを連れていく。手形は削り取られてピポがお店にこっそり並べておいたわけだけど、アカネはつまずいて修理した柔らかい壁に手をつき、また手形が出来上がってしまった。
「女神は同じところでつまずくんだな」
前のめりの錨を返す、というアカネに「いいんだ、あれの効果はもうとっくになくなってる」と答えるヒポクラテス。
「きっかけは作ったが、おまえは全て自分の意思で前に進んできた。一番大切なのは、道具は使う人の思いだ」
ピポの頼みでアカネとチィちゃんはピポのほっぺたにキスをする。
ヒポクラテスは雨王から客人への贈り物だと、一枚の絵を渡す。
この世界に3日滞在したが、この世界の1日は元いた世界の1時間にしかならない。
「次に来た時は自分たちはいないが、この世界は変わっていない。あの音楽がお前たちを導いてくれる。前を向いて行きなさい。決して振り返ってはいけない」
ヒポクラテスに見送られ、地下室から出ると、そこにはさっきの音大生?がバイオリンを弾いていた。彼は、持ち帰ったランプが気に入ったので、買おうと思って戻って来たと言う。
チィちゃんはランプはあげるからと言って彼に店番を頼んで、寝てしまった。

アカネは家に帰り「素敵な誕生日プレゼントをありがとう」と母親にいい、母親の横に座り寄りかかって眠り込んでしまった。
床に落ちた絵を眺める母親のミドリ。

前に訪れた女神って、母親のミドリだよね。600年前で、あちらの世界の1日はこちらの世界の1時間。
計算すると、600年÷24時間=25年前、ということになる。
あのお土産の絵、お母さんがもらってきたやつ、どこかに出てたのかな。気がつかなかった。(ゴロベエが爪とぎしていたカーペットだったとか?)

お母さんの「おつかい行って来て」は、アカネをチィの店に行かせる(=ヒポクラテスに会わせる)ことが目的だったように思えるのだが、そうする理由が全然わからない。
事前にヒポクラテスに頼まれていたとも思えないし、虫の知らせなのか?
アカネの帰って来てからの「素敵な誕生日プレゼントありがとう」も、「お母さんがこの素敵な冒険をプレゼントしてくれた」が前提になってないと、なんのこっちゃ???だし。

そして、アカネが一生懸命拾っていたハート型のピンクの貝殻、スタッフロールを一生懸命見ていて気がつかなかったのだろうか、どうやらクラスメートにあげて仲直りをしていたらしい…
ワンダーランドを旅して、アカネが変わってそういう行動をとったのであれば、そういうの、わかるように描かなくちゃダメなんじゃ?

常に寝不足なため、中盤はちょっと眠くなってしまったのだった。
雫切りのところが良かったので、ちょっとおまけ。

評価:1K


E.T.(1982年作品)<午前十時の映画祭ファイナル>【極上音響上映】

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:メリッサ・マシスン
製作:スティーヴン・スピルバーグ/キャスリーン・ケネディ
音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演
エリオット:ヘンリー・トーマス
ガーティ:ドリュー・バリモア
マイケル:ロバート・マクノートン
メアリー:ディー・ウォレス
キーズ:ピーター・コヨーテ
グレッグ:K・C・マーテル
スティーブ:ショーン・フライ
タイラー:C・トーマス・ハウエル
E.T.の声:パット・ウェルシュ

午前十時なのだが、どういうわけか夜の回で一回だけやっていたので見に行った。
何もかも古く懐かしい…
車も古いし、電話は普通の電話で携帯などもなく、エリオットとE.T.との脳波のシンクロを見るモニタ、まるでカラオケの音程みたいなチープな感じで、これおもちゃ?って感じだった。
空を飛ぶCGは、画像の荒さを感じるのと、今のフルCGを見慣れてしまうと、背景と人物の合成が若干違和感ある。当時は画期的だったけどさ。
空からのシーンは、今だとドローン撮影なんだろうな…と思いながら見た。
最初のE.T.が逃げるところ、あの足で驚異のスピードで、宇宙船が飛び立つところだけ、爆音だった。DOLBY SURROUND作品だが、音響は最近のものと比べると、やっぱりちょっと落ちるような。
それでもジョン・ウィリアムスの音楽は堪能できた。
ドリュー・バリモアが可愛かった。合成シーンでそこに本物はないと思われるカットも、しっかり演技していた。
最後の別れのところはやっぱり涙する。

評価:2a


メカゴジラの逆襲(1975年作品)【極上爆音上映】

監督:本多猪四郎(本編)/中野昭慶(特撮)
脚本:高山由紀子
製作:田中友幸
音楽:伊福部昭
撮影:富岡素敬
編集:黒岩義民

一之瀬明:佐々木勝彦                真船桂:藍とも子
真船信三博士:平田昭彦               田川(国際警察東京支局・署長):中丸忠雄
ムガール隊長:睦五郎                草刈:大門正明
村越二郎(インターポール捜査官):内田勝正     山本ユリ(海洋開発研究所助手):麻里とも恵
津田副官:伊吹徹                  若山勇一(海洋開発研究所技術員):六本木真
太田(海洋開発研究所所長):富田浩太郎       真船家の老人:沢村いき雄
防衛隊司令:佐原健二                漁師:小川安三
中谷艇長(あかつき1号艇長):守田比呂也      侵略部隊員:鈴木和夫、山田太郎
基地の地球人労働者:広瀬正一            あかつき1号技術者:鈴木治夫、門脇三郎
あかつき1号艇員:今井和夫             あかつき2号艇員:加藤茂雄
海洋開発研究所所員・写真の学者:吉田静司      海洋開発研究所所員・桂を撃つ防衛隊員:細井利雄
侵略部隊員:桐島好夫、菊地正孝           山下:石矢博
漁師の女房:東静子                 ゴジラ:河合徹
メカゴジラII:森一成                 チタノザウルス:二家本辰巳

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」公開記念?イベント上映。
「恐龍」の発音がきょう、りゅう、と一文字ずつ語尾下げ?
これは意味があるのだろうか?
35mmの上映なので、右上に表示されるフィルム交換の●を久しぶりに見た。
爆音とうたっているが全体的に音が大きく、揺れるような爆音ではなかった。
「フィルムの状態が良かったので、これにした」そうだが、他の劇場と比べていいのか悪いのか全然わかんない。
クレジットに中の人の名前も出るのね・・・

メカゴジラを見てないが、一応最初に復習的なカットがあった。
しかし宇宙人の侵略の話だったとは・・・
真船博士が「認めてもらえず亡くなった(生きてたけど)」は、シン・ゴジラの牧博士みたい。

ストーリーは、前作「ゴジラ対メカコジラ」で倒したメカゴジラの残骸を探索していた潜水艦「あかつき号」は、何者かに撃沈されてしまう。
ブラックホール第3惑星人は地球への移住をあきらめておらず、地球人(日本人)になりすまして、侵略しようとたくらんでいた。

なんで日本に潜伏?
山奥の秘密基地でメカゴジラを作っているのだが、これが戦隊●●レンジャー的なノリで、ゴジラってお子様向け映画だったのね・・・と改めて認識した。

操られたチタノザウルスという恐龍によってあかつき号は沈没してしまったが、「きょうりゅう」と言っている録音が残っていた。
これがなんとカセットテープ!

真船博士は宇宙人と結託してメカゴジラを使って地球壊滅?をもくろむのだが、どこからかゴジラが現れてメカゴジラと戦う。
口から吐く光線は、あれ、セルに描かれたのを別に撮って合成しているのか?手書きだった。
ミサイルで生き埋めにされ、チタノザウルスに踏み踏みされていたが穴から飛び出して来て復活、そしてパンパンと体についた泥をはたいて、元気に応戦!
威厳などあったもんじゃない。
そして、これぞ怪獣映画という、ミニチュアの街が爆破されて破壊していく。

このあたりから記憶が怪しくなっていくのだが、結局宇宙人に命を助けられサイボーグとしてよみがえっていた真船博士の娘、桂が自らを犠牲にしてメカゴジラ?チタノザウルス?どっちだっけ?のコントロール装置を破壊する。
インターポールが宇宙人を特定し捕まえに行くと、「これで終わりじゃないぞ!」と海に飛び込んで逃げ、宇宙船が飛び立つが、ゴジラの吐く火炎にあっけなく破壊された。

桂に好意を寄せていた一之瀬は、桂の亡骸を横たえ、海へと帰っていくゴジラを眺めていた。
着ぐるみだから波との縮尺がやっぱり変。
エンドロールが全くなかった。
昔の映画はこんなんだったのか・・・

しかし、ずーーっと睡魔との戦いだった。

評価:2a


 

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