ザ・ライト ーエクソシストの真実ー

原作:マット・バクリオ「ザ・ライトーエクソシストの真実ー」(小学館文庫)
監督:ミカエル・ハフストローム
製作:ポー・フリン&トリップ・ピンソン
脚本:マイケル・ペトローニ
製作総指揮:リチャード・ブレナー/メリデス・フイン/ロバート・ペルナッキ

出演
ルーカス神父:
アンソニー・ホプキンス
マイケル・コヴァック:
コリン・オドノヒュー
アンジェリーナ:
アリーシー・ブラガ
マシュー神父:
トビー・ジョーンズ
ザビエル神父:
キアラン・ハインズ
イシュトヴァン・コヴァック:
ルトガー・ハウアー
マシュー神父:
トピー・ジョーンズ
ロザリア:
マルタ・ガスティーニ 


事実に基づき現代の「エクソシスト」を描いた映画。
一応ホラーっぽいが地味な映画で、アンソニー・ホプキンスは脚本を読んで「是非やりたい」と言ったとか。

エクソシストは現在でもバチカンで養成され、正式な職業だそうで、年に3万件も「悪魔祓い」して欲しいという要請がバチカンには来るらしい。 ルーカス神父も言っていたが、緑のゲロを吐いたり首が360度回転したりはさすがにしないが、飲み込んでもいない5寸釘?の様な物を吐き出す人がそんなにたくさんいるもの?
西洋では一般的すぎて、ニュースにもならないのだろうか?

ストーリーは、葬儀屋を営む家に生まれたが、早くに母を亡くしたマイケル。信仰心があるわけではないが、多少のわだかまりがある父と家業から抜け出すために神学校を受ける。卒業間際に「やっぱ神父になるのはやめる」と神学校に申し出たところ、恩師に「おまえには才能があるからバチカンに行ってエクソシスト講座を受けろ。もし神父にならないなら学費は返還してもらうよ」と脅され仕方なくローマでエクソシスト講座を受ける。
現代の若者らしく、講義やルーカス神父と一緒に悪魔払いに立ち会っても「悪魔など実在しない。精神疾患と思うので、医者に見せた方がいいと思う」というマイケルだったが、「精神疾患」ではどうにも説明のつかない現象をみせつけられて…
悪魔憑きか統合失調症または解離性同一性障害なのかを見分けるのって、実際に出来るんだろうか??

憑依されている妊婦を演じたマルタ・ガスティーニがすごかった。
ちょっと名作「エクソシスト」に通じる所があるかも…

マイケルの母親が伏線として何度も出てくるが、今ひとつ意味がよくわからなかった。
ただ、エクソシストには揺るぎない信仰(というよりは心の強さかも)が不可欠であり、見えない神を信じる事と見えない悪魔を信じる事は同意であることはわかった…

ホラー映画によくある「音でびっくり」はあるが、精神面を重視して描いているので、地味だしホラー映画ではないかも。

評価:2b


ブラック・スワン

監督:ダーレン・アロノフスキー
製作総指揮:ジョン・アヴネット/ブラッド・フィッシャー/ピーター・フラックマン/
      アリ・ハンデル/ジェニファー・ロス/リック・シュウォーツ/
      タイラー・トンプソン/デヴィッド・スウェイツ
製作:スコット・フランクリン/マイク・メダヴォイ/アーノルド・メッサー/ブライアン・オリヴァー
脚本:マーク・ヘイマン/アンドレス・ハインツ/ジョン・J・マクローリン

出演
ニナ:
ナタリー・ポートマン
トマス:
ヴァンサン・カッセル
リリー:
ミラ・キュニス
エリカ(ニナの母):
バーバラ・ハーシー
ベス:ウィノナ・ライダー
デビット:
ベンジャミン・ミルピエ
ベロニカ:
セニア・ソロ
ガリナ:
クリスティーナ・アナパウ
アンドリュー:
セバスチャン・スタン
トム:
トビー・ヘミングウェイ 


ナタリー・ポートマンがアカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞などの主演女優賞に輝いたサイコスリラー?映画だけど、「スリラー」にはあまり当てはまらないんじゃないかなぁ。
プリマの座を獲得し完璧に踊ろうともがく主人公が、母親の歪んだ愛と監督の要求と、代役に抜擢された新人などによって精神的に追いつめられ、壊れて行く様子が描かれている。

終盤までくるとラストの見当はつくけど、中盤くらいまでストーリーの進む先が全然見えない。
最後まで見て、ストーリーを楽しむ映画ではないとわかったけど。

映像は全て主人公ニナが見たものをそのまま映して、淡々と話が進む。
ニナは、話が始まった時点から既に少し壊れてたように思え、いつも悲壮な表情で呼吸も浅く苦しそうだった。ホワイト・スワンの時は王子と幸せを感じる表現もあるだろうに、そんな苦しそうな表情で表現できるのか?とちょっと思った。

ナタリー・ポートマンは、子供の頃バレエを習っていたそうだが、1年足らずの訓練でバレリーナの体型になっていたのはすごい。
バレエをしている人がナタリーの演技を見たら、全然ダメと思うのかもしれないけど(実際はスタントマンを使っているカットはあるらしいが)、素人目にはプリマドンナに見えた。

引退した前プリマ、ベス役でウィノナ・ライダーが出演していたが、その他大勢の劇団員が「あんなおばあちゃんもうダメよ」「プリマは更年期じゃない人じゃないと」と噂しているのがちょっとショックだった。

R-15指定なのは、結構リアル?な自慰描写があったため。

評価:2b


プリンセストヨトミ

原作:万城目学
監督:
鈴木雅之
製作:
亀山千広/堤田泰夫/島谷能成/土屋健/稲葉直人/前田茂司
脚本:
相沢友子
撮影:
佐光朗
美術:荒川淳彦
音楽:
佐橋俊彦

出演
松平元:
堤真一           鳥居忠子:綾瀬はるか
旭ゲーンズブール:岡田将生     真田幸一:中井貴一
橋場茶子:沢木ルカ         真田大輔:森永悠希
長曽我部:笹野高史         真田竹子:和久井映見
国松の母:菊池桃子 

ミステリーっぽい話なのかと思ったら、意外と真面目な映画でした。
タイトルは「プリンセストヨトミ」ですが、本編の中ではその正体(?)は重要ではありません。豊臣の末裔でなければならない訳でもなく、要は「そのものの為に大阪人が一つに一致団結するような存在」であれば何でも良かったんだと思います。
「チャコちゃん」という呼び名はあだ名で本名は「久子」なのかな〜と思って見ていましたが、「橋場茶子」とフルネームで言われたらバレバレじゃん…
そして彼女の滑舌の悪さがすごく気になりました。

一般公募のエキストラのシーンはすごかったです。
よくこれだけ自主的に集まって来たなぁと思いました。
でも「大阪が全停止した」は言い過ぎかも。
たくさんのひょうたんで、その後「江」や「へうげもの」のひょうたんに反応してしまった。

父子の絆がテーマですが、グレてる息子が長い廊下を一度だけ一緒に歩いて奇想天外な話を聞かされて、それで関係が修復できるとはとても思えないんですが…
そしてOJOは、生まれた子が男だったらOJIになるんだろうか?

評価:2b


赤ずきん

監督:キャサリン・ハードウィック
製作:ジェニファー・デイビソン・キローラン/レオナルド・ディカプリオ/ジュリー・ヨーン
脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン
製作総指揮:キャサリン・ハードウィック/マイケル・アイルランド/ジム・ロウ
撮影:マンディ・ウォーカー
美術:トム・サンダース
編集:ナンシー・リチャードソン
編集:ジュリア・ウォン
音楽:ブライアン・レイツェル/アレックス・ヘッフェス

出演
ヴァレリー:
アマンダ・セイフライド
ソロモン神父:
ゲイリー・オールドマン
セゼール:
ビリー・バーク
ピーター:
シャイロー・フェルナンデス
ヘンリー:マックス・アイアンズ
スゼッテ(ヴァレリーの母):
バージニア・マドセン
オーガスト(ヴァレリーの父):
ルーカス・ハース
ヴァレリーの祖母:
ジュリー・クリスティ 

グリム童話「赤ずきん」のその後を描く…と紹介されていますが、オオカミに食われた赤ずきんが成長したその後の話というわけではなく、「赤ずきん」+「狼男」のエピソードを繋ぎ合わせて中世のゴシックファンタジー・ホラーっぽく仕立てた、という感じ。
白い雪と赤いフードがきれいだった。

確かにオオカミの正体は意外な人物だった。
いろいろな伏線を意味ありげにはり巡らせて、うまーく作ってあった。
が、オオカミの腹に石を詰めて…のくだりは全くためらいなく行っていたが、そういうものなのかなぁ?
いままで積み重ねて来たものが頭をよぎったり…とか、そいういうのいっさい無い訳?と思った。
それにしてもソロモン神父の、オオカミに対する執念がすごい。
そしてラストは「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」のよう。

1時間40分と短めですが、あまり短く感じなかった。
音響もドルビー・サラウンドではないようで(映画の始めにいつも流れるロールがなかった…)、エンドロールは黒バックではなかったが、同じ映像を繰り返し使っており、本編中も「これはセットでスタジオ撮影?」みたいに見えたりと、なんとなく低予算なのかな〜と思いました。
オープニングは結構凝っていてかっこ良かったんですけど。

評価:


コクリコ坂から

原作:高橋千鶴/佐山哲郎
企画:宮崎駿
監督:
宮崎吾朗
脚本:
宮崎駿/丹羽圭子
プロデューサー:
鈴木敏夫
音楽:
武部聡志

出演
松崎海:
長澤まさみ      風間俊:岡田准一
松崎花:
竹下景子       北斗美樹:石田ゆり子
広小路幸子:
柊瑠美      松崎良子:風吹ジュン
小野寺善雄:
内藤剛志     水沼史郎:風間俊介
風間明雄:
大森南朋      徳丸理事長:香川照之
松崎空:
白石晴香       松崎陸:小林翼 

「なかよし」に掲載されていた高橋千鶴の少女漫画が原作。
リアルタイムで読んでいたはずだが、覚えているのは初回が巻頭カラーで、海の下宿は坂の上にあり、坂の途中だったか角を曲がって下宿までだったか忘れたが、下宿の手前の坂一面にひなげしが咲いており、フランス語でひなげしを「コクリコ」ということから「コクリコ坂」と呼ばれていたこと、下宿生の画家は確かフランス帰りだかフランスかぶれだかのロン毛のにーちゃんで、「海のことはフランス語で『ラ・メール』というんだよ」と教えられ、海のあだ名が「メル」になったこと、カルチェラタンという言葉、屋根から飛び降りて池に落ちる所はなんとなく見覚えがある気がする。
コクリコ荘の外見は似ている気がするが、中はもうちょっと洋風だった気がするなぁ。少なくとも釜でご飯炊くような描写はなかったような…
しかし、話はほとんど覚えていないのだった。

「耳をすませば」の時も思ったが、漫画が原作なのに全然別のキャラクターデザインで作るというのはどうなんだろう?
普通漫画のアニメ化だと、原作のキャラデザインで作るのが普通だけど「連載当時に失敗作に終わったのは、描く力量が漫画家になかったから。でも我々ジブリが制作すれば大ヒット作にする事が出来ます」みたいな感じでなんだか作家に対して失礼な気がする。

よくある高校生の成長・純愛物語で、結構淡々と話は進み、すごく盛り上がるとか、そういうのはあまりない。
「好きな人が実は血のつながった兄妹だったなんて…」ということは、高校生にとってはおそらくものすごく悩む重大事件なんだと思うのだが、セリフだけがポンポンと進んで行く感じ。「苦悩しろ」とは言わないけど、あっさりした反応だなぁと思った。
話の筋よりも、割烹着とかガリ版とかローラー式の脱水機とか万年筆とか汚い部室とか昔の横浜の風景とか、今では見かけない古き良き時代の遺物?の描写に力を注いでいる感じ。
タグボート、電車(多分)は手書きだが、大型客船はCG。
横浜にも路面電車ってあったのね。
港に泊まっていた氷川丸は、現役の時なのかなぁ
先が読めてベタだけど「サマー・ウォーズ(映画館では見なかったが、見てたら5点です)」や「もしドラ」のようなストーリー構成の方が好きだな…。
「ゲド戦記」は最悪だったが、今回は脚本が宮崎駿だからなのか、とりあえずストーリーがわかる映画になってました。

声優陣は大森南朋がちょっと「んんん〜」だったけど、その他はなかなかうまかった。特に石田ゆり子は野太い声で、こんな声も出せるのねとちょっと意外。
スタッフロールはまたしても部署に関係なく、全てあいうえお順でした。

評価:2b


カーズ2(2D吹き替え版)

監督:ジョン・ラセター
共同監督:ブラッド・ルイスプロデューサー: デニース・リーム
プロダクション・デザイナー:ハーレイ・ジェサップ
撮影監督:シャロン・キャラハン
キャラクター・アート・ディレクター:ジェイ・シャスター
スーパーバイジング・アニメーター:ショーン・クラウス
スーパーバイジング・アニメーター:デイブ・マリンズ
スーパーバイジング・テクニカル・ディレクター:アプルヴァ・シャー

出演
メーター:
山口 智充           ライトニング・マックィーン:土田 大
フィン・マックミサイル:大塚 芳忠    ホリー・シフトウェル:朴王路美
マイルズ・アクセルロッド卿:落合弘治   フランチェスコ・ブルヌーイ:宗矢樹頼
ブレント・マスタングバーガー:中村秀利  グレム:花輪英司
ザンダップ教授:青山穣          エーサー: 津久井教生
サリー:戸田 恵子            ダレル・カートリップ :福澤 朗
トッポリーノおじさん:西村知道      ディヴィッド・ホブスキャップ:森田順平
メル・ドラド:石田太郎          ルイジ:パンツェッタ・ジローラモ
オーティス:小形満            トンベ:後藤哲夫
ママ・トッポリーノ:SOPHIA LOREN    沢田敏子 

なんで人じゃなく車なのかなぁ〜とか、車に人が住むような建物はいらないんじゃ?とか、車がトイレ?とか、そういう??はありますが、それほどツッコミどころもなく楽しめました。ちなみに1作目は見てません。
メインテーマ?の「君はありのままの君でいいんだよ」が際立つようにするにはしかたがないのかもしれないが「君のする事はみっともなくて恥ずかしい」というのは、ちょっと言い過ぎな感じ。
背景CGがとてもきれいなのと、画面レイアウトが奥行きがあるカットが多いので、3Dで見ても良かったかも。
メーターがぐっさんとはわからなかったよ。

評価:


ツリー・オブ・ライフ

脚本・監督:テレンス・マリック
製作:サラ・グリーン/ビル・ポーラッド/ブラッド・ピット/デデ・ガードナー/グラント・ヒル
製作総指揮:ドナルド・ローゼンフェルド
撮影:エマニュエル・ルベツキ/ASC,AMC
音楽:アレクサンドル・デスプラ

出演
オブライエン:ブ
ラッド・ピット
ジャック:
ショーン・ペン
オブライエン婦人:
ジェシカ・チャステイン
祖母:
フィオナ・ショウ
若きジャック(長男):
ハンター・マクラケン
R.L.(次男):
ララミー・エップラー
スティーヴ(三男):
タイ・シェリダン 

公式サイトより
「子は、親のつくりあげた世界に身をおき、その価値観の中ではぐくまれる。
成長するにつれて、情愛とともに親への反抗心が芽生えてくるが、親の定めた枠のなかで生きる限り、屈服を強いられることになる。
子供時代の記憶はその後の人生、生き方を決定づけ
その意味では、親は子に限りなく影響を与え続ける・・・・・・。
太古から、そうした感情の連鎖が、人という種をかたちづくり、生命をつないできた??。」

カンヌ映画祭のパルムドール賞受賞作。
映画情報番組で「とにかく見てください」と言っていたが、何の説明もなく短いセリフと映像だけで話が進み、話と言ってもはっきりしたストーリーがあるわけでもなく、時系列で進まない(地球規模では時系列なんだろうけど〜)ため、途中居眠りするとショーン・ペンとブラッド・ピットの関係がわからなくなるかも。
ヤマなし、オチなし、意味はあると思うが…公式サイトのイントロダクションが内容そのものと言っていい感じ。
とにかく説明が難しく評価しにくい映画だ。
美しい映像と音楽で、気がつくと目が閉じてるし…

「家族に会いたくなる」とコメンテーターは口を揃えていたが、そんな事はなかった。
子供の頃「どうして自分は禁止されていることを親はやって良いんだろう」と思っていて、その事を父親に尋ねると「大人はいいの」という訳の分からん説明をされたり、大げんかして長年不満を感じていた事をぶつけた時に「そんな風に思っていたとは」という反応が返って来たことだっり、幼い頃は「何でも出来て立派な人」だと思っていた父親が、大人になってそうでもなかった事(”偉人”ではなく普通の人間だったということだけど)を知って複雑な気持ちになったり…そういう気持ちは誰もが程度の差こそあれ誰でも持っているんだなぁ、と思った。
子供だからとごまかしたり、いい加減に接しちゃだめだよねぇ…

評価:


ライフ -いのちをつなぐ物語-

監督:マイケル・ガントン/マーサ・ホームズ
脚本:マイケル・ガントン/マーサ・ホームズ
音楽:ジョージ・フェントン
ナレーター:ダニエル・クレイグ/松本幸四郎/松たか子

BBC製作のネイチャードキュメンタリー。
BBCのドキュメンタリーに付き物の教授の解説はなく、簡単な状況説明と映像だけで広く浅く世界中の生物の生態が綴られて行く。

ほとんど解説のない、まぁ普通のドキュメンタリー。
ニホンザルにも位?があって、温泉に入れない一族もいるとは知らなかった。
オタマジャクシを背負って木の上の水たまりに運び、卵を産んで食べさせるカエル、どういう進化でこんな生態になったんだろう…

評価:


ラビット・ホラー3D(3D:RealD)

監督:清水崇
製作総指揮:マイケル・J・ワーナー/内野エスター
製作:小椋悟/谷島正之/谷澤伸幸/大崎裕伸
脚本:清水崇/林壮太郎/保坂大輔
撮影:クリストファー・ドイル
美術:池谷仙克
音楽:川井憲次

出演
今里キリコ:満島ひかり
今里公平:香川照之
医者:大森南朋
キョウコ:緒川たまき
少女時代のキリコ:田辺桃子
今里大悟:澁谷武尊

「呪怨」の清水崇監督、撮影にウォン・カーウァイ監督作品でおなじみ?のクリストファー・ドイル、撮影機材はパナソニック社が開発した最新の一体型二眼式3Dカメラレコーダー「AG-3DA1」。
予告編で流れた「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」が飛び出す絵本レベルのチャチい3D映像だったせいもあって、3D映像は自然でその場にいるような感じで美しい。
人魚姫の飛び出す絵本とか、3Dだとよくわかる。

目玉?の「映画館のスクリーンから飛び出てくるうさぎのぬいぐるみ」は、撮影に使われた映画館で見たせいもあって、疑似体験みたいな感じだった。一瞬だったけど。 なんでこんなに大きいスクリーンにかかってんのかなぁ…そんなに観客いないんじゃ?と思ったら、わざわざ撮影が行われたスクリーンにかけてくれてるらしかった。それとも3Dがかけられるスクリーン確か3つしかないから選択肢がなかったのかも?

「ホラー」となっているが「呪怨」のような正統派ホラーではなく、ホラー映画によくある音で驚かすような事もなく、全然怖くなかった。
精神的なショック?から声が出なくなってしまった娘キリコに、公平が「お前は声と引き換えに何を得たんだろう」と話しかけるシーンがあったが、いったい何を得たんだろう?大悟?だとしたら公平は何かを失っているんだろうか?
ラストの落下してくるところと飛び散る血は生々しかった。

予告で「三銃士」も3Dで見たけど、爆発はすごかったけど2Dでもいいかな〜って感じだった。
「キャプテン・アメリカ」は3Dで観たら「金返せ」だな。

評価: 2a


はやぶさ/HAYABUSA

監督:堤幸彦
脚本:井上潔/白崎博史
音楽:長谷部徹
プロデューサー:井上潔

出演
的場泰弘:西田敏行       水沢恵:竹内結子
坂上健一:高嶋政宏       川淵幸一:佐野史郎
田嶋学:山本耕史        小田島加那子:市川美和子
喜多修:鶴見辰吾        萩原理:高橋長英
福本哲也:マギー        平山孝行:河本雅裕
矢吹豊:筧利夫         はやぶさオタク:生瀬勝久

2010年6月13日、イトカワへの7年のお使いを終えてお星様になってしまったはやぶさの旅を、(多分)「はやぶさ君の冒険日誌」をもとに作られた映画。
あの感動をもう一度!と思ったのだが、大変だったところもさらっと通り過ぎ、用語の解説も必要最低限(以下かも)しかされず、あまり大きな盛り上がりもなく淡々と終わったという印象でした…。

竹内結子演じる水沢恵は、わかりやすい「学者肌」のキャラクターにしたのだと思うが、ややうざかった。
文部科学省の役人の筧利夫は、静かで全然別人。
あんなふうに予算を取るべくがんばってるのかなぁ…と思いました。
佐野史郎はそっくりだったが、インタビューで見ていた川口さんよりずっと神経質そうで、テレビ用の顔だったのかなあと思ったり。
アクロバットリーダーが2005年にはないはずの最新バージョンだった…。

本編中で、帰還するはやぶさを見てみんなが喜んでいるところより、燃え尽きていくはやぶさのとカプセルの2本の光の筋の実際の映像だけの方が、感慨深かった。
旅立ち当初、太陽のフレアの影響を受けた事とか、行方不明になった時に臼田観測所が必死で計測したこととか、カプセルをウーメラ砂漠に落とす事になったのはいいが、オーストラリア政府から回収の許可が下りず苦労した事とか、川口さんが「大気圏突入を何とか避けて衛星軌道にのせる事は出来ないか(そんな事は滅多に言わない人らしい)」と言った事とか、カプセル分離の時点でミッションは終了したが「生まれ故郷を見せてあげたいからはやぶさに地球の写真を撮らせてあげてほしい」と川口さんがみんなに言ったとか、そういう事を知らずに観たら感動できたんでしょうか?

↓はやぶさ君の冒険日誌
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/fun/adv/index.shtml

評価:


とある飛空士への追憶

原作:犬村小六(小学館「ガガガ文庫」刊)
監督:宍戸淳
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:松原秀典
メカニックデザイン:山田勝哉
総作画監督:田崎聡
美術:橋本和幸
音楽:浜口史郎
アニメーション制作:マッドハウス

声の出演
狩乃シャルル:神木隆之介
ファナ・デル・モラル:竹富聖花
千々石:宮澤たけし(サンドウィッチマン)
カルロ皇子:小野大輔
ディエゴ・デル・モラル:てらそままさき
ドミンゴ・ガルシア:仲野裕
狩乃チセ:新妻聖子

「サマー・ウォーズ」が非常に良い出来だったので見に行ったが、前作には及ばない感じ。
背景は素晴らしくきれいだったが、画面全体全てが力を込めて?描かれていたので、もうちょっと抜くところがあった方がすっきり見えたのではないかと思った。大瀑布のCGは自然で本当に素晴らしい。

「追憶」となっているが話は最初から最後まで現在進行形で、いっさい「追憶」していないが、原作が後になってのファナ王妃の追憶という形で書かれているらしい。

シャルルは20歳くらいを想定してキャラデザインされたそうだが、もうちょっと年上に見えた(23歳くらい)。神木隆之介の声は結構自然だった。
ファナの、髪を切ったあとの豹変?ぶりにちょっとびっくり。
あそこまで急に変わるもんだろうか?

選民意識と過剰な差別は、見ていてちょっと胸くそ悪くなる感じ・・・
これがテーマなのか?

戦闘シーンはアスベルのように特攻していったが、あれでよく撃ち落とされないもんだ・・・
ちょっとスカイ・クロラを連想した。
一日中飛びっぱなしで、トイレはいったいどうしているんだろうか?

評価:


ベニスに死す ニュープリント版(1971年作品)

原作:トーマス・マン「ベニスに死す」(2011年8月集英社文庫刊)
製作:ルキーノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ/ニコラ・バラルッコ
音楽:グスタフ・マーラー「交響曲第3番」「交響曲第5番」
撮影監督:パスクァリーノ・デ・サンティス
編集:ルッジェーロ・マストロヤンニ

出演
グスタフ・アッシェンバッハ:ダーク・ボガード
タジオの母:シルヴァーナ・マンガーノ
タジオ:ビョルン・アンドレセン
ホテルの支配人:ロモロ・ヴァッリ
アルフレッド:マーク・バーンズ
アッシェンバッハ婦人:マリサ・ベレンソン
エスメラルダ(娼婦):キャロル・アンドレ
床屋:フランコ・ファブリッツィ

感動はしなかったけど・・・
いつの時代も恋をする人の心理と行動は、老若男女問わず同じなんだなぁ、と思った。
しかし現代では立派なストーカーだよね。
イタリア人のおてもやんのような化粧は理解できないけど。
ビョルン・アンドレセンはやっぱり美しい。

評価:


源氏物語 千年の謎

原作:高山由紀子
監督:
鶴橋康夫
製作総指揮:
角川歴彦
脚本:
川崎いずみ/高山由紀子
撮影:
藤石修
美術:
今村力
照明:
磯野雅宏
録音:
甲斐匡
編集:
田中愼二
衣裳デザイン:
宮本まさ江
音楽:
住友紀人

出演
光源氏:生田斗真       紫式部:中谷美紀
安倍晴明:窪塚洋介      藤原道長:東山紀之
葵の上:多部未華子      桐壺の更衣/藤壺の女御:真木よう子  
夕顔の君:芦名星       中宮彰子:蓮佛美沙子
弘徽殿の女御:室井滋     六条御息所:田中麗奈
桐壷帝:榎木孝明       藤原行成:甲本雅裕
頭中将:尾上松也       一条天皇:東儀秀樹
王命婦:佐久間良子

「世界文学史上燦然と輝くこの偉大な恋愛小説は、不可思議にして美しいなぞに包まれている。(中略)語り尽くせない魅力はどこからくるのか。日本の平安時代にもあった『ダ・ヴィンチ・コード』を完璧なまでに映像化できないものか」
監督が「愛の流刑地」の監督だと知って、もしかして外れるかも・・・の予感はありましたが、ダ・ヴィンチ・コードのような謎解きは全くありませんでした。

帝の心を彰子につなぎ止めるために、紫式部に物語を書かせた道長だが、彰子の懐妊後は書く必要が無くなったにもかかわらず、物語を書き続ける紫式部。
渦巻く愛憎は、いずれ物語から飛び出でて現実に禍をもたらすようになるかもしれない・・・

ということなんでしょうが、まず、式部の道長に対する秘めた愛情?恋心?のようなものはあまり感じられず、説得力が無い。
そして中谷美紀のナレーションの部分がTBSドラマ「JINー仁ー」の野風の声に聞こえ、いつ「ありんす」って言うかなぁ・・・と思ってしまうのだった。
そして物語をこのまま書き続ても災いが起こるとはとても思えない。

生田斗真の源氏は中途半端な感じ。
1987年製作の杉井ギサブローの「源氏物語」は、母への思慕からものすごい勢いで女性に迫りまくっていたが、そこまでの念も感じられないし、かといってチャラ男でもないし、いきなり「お慕いしていたんです」と押し倒すところに説得力がない。

六条御息所の田中麗奈は、配役を知ったときは「えー」だったが、案外うまく演じられるのかも?の淡い期待は素晴らしく裏切られた。丸顔童顔なので「年上の貴婦人」に見えない。
芦名星と配役替えした方が合っていたのでは・・・
生き霊となって飛んでいくシーンは、まるでホラー映画。どこかのレビューで「陰陽師III」と書かれていたが、言い得て妙かも。
ついでに言えば、クモの巣の衣装も「あさきゆめみし」やホリ・ヒロシの人形芝居でも御息所が着用していたデザインで、お手軽な発想&使い古された感がある。
衣装といえば、後半で源氏がきていた絵羽模様の狩衣にはびっくりした。
まるで訪問着みたい・・・。

現実世界から物語の世界に入り込んで呪を唱える窪塚洋介の安倍晴明は、まあそれなりで許容範囲内だったが、晴明の家に雷が落ちたのは978年(天元元年)7月24日のことで、道長は当時12歳。彰子の入内は999年で、晴明は84歳のはず。
そして有名な「この世をば」の詩を詠んだのは1018年10月16日の宴だが、晴明は1005年に既に85歳で亡くなっている、と突っ込みどころ満載であった。

それでもヒガシの道長は「私は何をしても許されるのですよ」と言う通りの威厳があり、見事な公達ぶりだった。
東儀さんの篳篥も美しい音色だった。
佐久間良子はなんでこんな端役で出てるのか、謎。

関係ないけど、セリフ以外の音がないシーンが多く、(おそらく)上の階のTHXシアターで上映されている「リアル・スティール」の音が微妙に聞こえてくるため、集中できなかった・・・

評価:


サラの鍵

原作:タチアナ・ド・ロネ(新潮クレスト・ブックス刊)
監督:ジル・パケ=ブレネール
脚本:ジル・パケ=ブレネール/セルジュ・ジョンクール
製作:ステファーヌ・マルシル

出演
ジュリア・ジャーモンド:クリスティン・スコット・トーマス
サラ・スタルジンスキ:メリュジーヌ・マヤンス(少女)/シャーロット・プートレル(成人)
ジュール・デュフォール:ニエル・アレストリュプ
ベルトラン・テザック:フレデリック・ピエロ
ウィリアム・レインズファード:エイダン・クイン

戦時中のフランスで起こったヴェルディヴ事件(ユダヤ人一斉検挙)を題材にした原作は、300万部のベストセラーらしい。
ユダヤ人といえば「アンネの日記」と「アウシュビッツ収容所」くらいしか知らず、フランスでもユダヤ人のアウシュビッツ送りが行われていたのを初めて知った。

前半は過去の出来事と現代が交互に話が進んでいくが、場面転換がはっきりしていて分かり易かった。
トレーラーでも流れているので察しが付くと思うが、一斉検挙の時に納戸に鍵をかけて閉じこめてしまった弟は、結局生きて納戸を出ることはなかった。
そのアパートに暮らすことになったアメリカ人ジャーナリストのジュリアは、雑誌の取材をしていくうちにその出来事を知り、サラのその後の人生を追って行く、というストーリー。
登場人物が全て1つの糸で結ばれているのは、出来過ぎのような感じがするが、パズルをはめていくように謎(といえるのかどうか)が全て解かれていく感じだ。

サラの息子が「自分はフランス人だ。(自分の母親がユダヤ人たったかもしれないという事実を)知ろうと思わないし、知りたくない」と言ったのがちょっと衝撃でした。
今でも「ユダヤ人の血が混じっている」ということは、「よいことではない」という認識なんでしょうか・・・。
関係ないけど、2009年のジュニアグランプリファイナルのアイスダンスで、エレナ・イリニフ&ニキータ・カツラポフが優勝したとき、表彰台にはフリーダンスの「シンドラーのリスト」の衣装(青と白のストライプで収容所の服)ではどうしても上がることが出来ない、と言って着替えてきたことを思い出した。

評価:


タンタンの冒険 ★ユニコーン号の秘密★(日本語吹き替え版/3D:RealD)

原作:エルジェ「タンタンの冒険旅行」
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作:スティーヴン・スピルバーグ/ピーター・ジャクソン/キャスリーン・ケネディ
製作総指揮:ケン・カミンズ/ニック・ロドウェル/ステファーヌ・スペリ
脚本:スティーヴン・モファット/エドガー・ライト/ジョー・コーニッシュ
編集:マイケル・カーン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
シニア視覚効果監修:ジョー・レッテリ

声の出演
タンタン:ジェイミー・ベル/浪川大輔
ハドック船長:アンディ・サーキス/チョー
サッカリン:ダニエル・クレイグ/森田順平
デュポン:サイモン・ペッグ/大川透
デュボン:ニック・フロスト/浦山迅

スピルバーグ監督初の3Dアニメーション映画。
CGアニメならではのカメラワークは良かったが、ハドック船長の回想に入っていくところなどはややくどい気も。
やっぱりピクサーの方が出来がいいような気がする。
トイ・ストーリーと違い、人間が人間らしくCGで描かれているが、顔は何となくろう人形みたい。でも、腕の血管の浮き出た感じとか靴下のしわなどはすごくリアル。
このまま進化したら俳優いらなくなるかも・・・とちょっぴり思った。

テンポよく話がすすむが、テンポよすぎて最初から最後まで同じ感じで力が入っていてちょっと疲れた。
そして冒険映画のドキドキワクワク感があまりない。

中盤の羊皮紙をめぐってのバトル?は、3Dだと臨場感があって楽しめたと思うが、3Dでなくても良かったかも。
ものすごい勢いで町をメチャメチャに壊していくので、住んでいる人はいい迷惑(というレベルではないけど)だろうなぁ。
最近の3Dはあまり飛び出た感がないように作っているらしいので、やっぱり「アバター」の感動ほどではないのだった。

3部作の予定で、話は続きがあるような終わりだが、予告めいたものは無く、「次作も是非見なくては!」と思わせるようなものも無く・・・

それにしても、スノーウィは優秀だなぁ。
そしてタンタンの声は浪川大輔っぽくなかった。

評価:


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