レッドクリフ Part II 〜未来への最終決戦〜

監督:ジョン・ウー
脚本:ジョン・ウー/カン・チャン/コー・ジェン/シン・ハーユ
音楽:岩代太郎

出演
周瑜:
トニー・レオン     孔明:金城武
曹操:チャン・フォンイー   孫権:チャン・チェン
尚香:ヴィッキー・チャオ   趙雲:フー・ジュン
甘興:中村獅童        小喬:リン・チーリン
劉備:ユウ・ヨン       魯粛:ホウ・ヨン
孫叔材:トン・ダーウェイ   驪姫:ソン・ジア
関羽:バーサンジャプ     張飛:ザン・ジンシェン
黄蓋:チャン・サン 


2008年秋に公開されたPart 1の続編。
テレ朝50周年記念だからなのか、異例の公開から半年経たずにPart Iは地上波で放送、セル用DVDにはPart IIの割引券封入、TVでは「残念ながらもうすぐ終了します。お早めにご覧下さい」というCMを流すという、ものすごい力のいれようだ。

前作のラストに飛ばされた鳩、実は伏線だったようだ。
鳩はいったい何羽持ち込んだの?とか、女だと普通ばれるんじゃ?とか、小喬が一人で敵陣に赴くなど「ありえなそう…」と思うエピソードはあるけど、今回は眠くならず楽しめた。(昼間だったから?ちなみに集中して見ようと家で電気を消して「ダヴィンチ・コード」を見たら眠くなってしまった…)

見どころは、いったい何処でロケしたんだろう…こんなに火炎と煙だして大丈夫なのか?と思ってしまう、大炎上の河上決戦。楯を使っての妙技?はPart1に劣らない。
背面からの劉備軍の強行突破は、「プライベート・ライアン」のノルマンディ上陸に次ぐ無謀さだと思った。

前半の船で矢を手に入れるエピソード、「2人の目に見えない信頼…」と解説されていたが、同盟関係にはあるけど、完全に利害は一致してないぞ…という部分が見え隠れしているようで、私には腹の探り合いのように見えた。
劉備の「敵を欺くにはまず味方から」作戦、張飛や関羽が立ち上がらなければ裏切ったままになってしまったんじゃなかろうか?

エンディングは「久遠の河」の中国語バージョンだったが、今回は訳詩がなくて歌詞が分からず残念。

評価:2b


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
 
EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.

原作・脚本・総監督:庵野秀明
監督:摩砂雪/鶴巻和哉
主キャラクターデザイン:貞本義行
主メカニックデザイン:山下いくと
作画監督:鈴木俊二/本田雄/松原秀典/奥田淳
特技監督:増尾昭一
デジタル演出:鈴木清崇(タツノコプロ)
美術監督:加藤浩(ととにゃん)/串田達也(美峰)
色彩設定:菊池和子
撮影監督:福士享
CGI監督:鬼塚大輔/小林浩康
編集:奥田浩史
音楽:鷺巣詩郎
テーマソング:「Beautiful World-PLANNiTb Acoustica.Mix-」
        宇多田ヒカル(EMI Music Japan Inc.)
製作:株式会社カラー

声の出演
碇シンジ:緒方恵美          綾波レイ:林原めぐみ
式波・アスカ・ラングレー:宮村優子  真希波・マリ・イラストリアス:坂本真綾
葛城ミサト:三石琴乃         赤木リツコ:山口由里子
碇ゲンドウ:立木文彦         冬月コウゾウ:清川元夢
伊吹マヤ:長沢美樹          青葉シゲル:子安武人
日向マコト:優希比呂         鈴原トウジ:関智一
相田ケンスケ:岩永哲哉        洞木ヒカリ:岩男潤子
キール・ローレンツ:麦人       加持リョウジ:山寺宏一

予定より大幅に遅れての「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の第2作目。
超特急でTVシリーズ(ヤシマ作戦以降〜第拾九話まで)を駆け抜け、旧作劇場版に足を突っ込んで終わり…といった感じだった。
旧作の劇場版は、監督がエヴァとシンクロしすぎて破綻したのかと思っていたが、ストーリーの基本はもともとああいう話だったということがわかった。
動きが速く怒濤の勢いで進んでいくので、消化し切れない感じ。使徒のデザインは全体的におしゃれになった。

ストーリーの基本は変わらないが、細部が異なっている部分がある。例えて言うなら同じ電車に乗っていて、止まる駅は以前と同じだが、見える風景が少し違う。

観客が今までのエヴァ全てを見ていることが前提に話が進んでいるようだ。「序」で初号機がシンジをかばうシーンは無くなっていたので、「パイロットの母親の魂が宿っている(らしい)」という設定はなくなったのかと思ったが、ユイがLCLに溶けたまま戻らず初号機のなかに魂が宿っているという事実がないと、つじつまが合わないセリフなどがあった。ただしパイロットは他の機体にも搭乗できるようなので、初号機だけが特別なのかもしれない。

「リメイクではなく新作」だそうだが、「また3番目なんだね(序)」「今度こそシンジを幸せにする(破)」というカヲルのセリフは、TVシリーズと劇場版の存在をふまえて、(矛盾はするが)前作とは違うラストをシンジに与えようとしているように感じた。

いつもはがら空きの平日夜の上映が、ロビーでたむろするポップコーンを持った大勢の若者、こりゃうるさいぞ…と思っていたら、以外にみんなおとなしく見ていた。
次作「Q」はいつになることやら…

評価: 2a


宇宙戦艦ヤマト 復活編

企画・原作・製作総指揮・監督:西崎義展
総監修・総監督:舛田利雄
原案:石原慎太郎
脚本:石原武龍/冨岡淳広/西崎義展
キャラクターデザイン・総作画監督:湖川友謙
メカニックデザイン・副監督:小林誠
音楽:宮川泰/羽田健太郎
製作:株式会社エナジオ

声の出演
古代進:山寺宏一       バルスマン総司令官:飯塚昭三
真田志郎:青野武       メッツラー総督:家中 宏
佐渡酒造:永井一郎      女王イリヤ:田中敦子
アナライザー:緒方賢一    パスカル将軍:井上和彦
古代雪:由愛典子       ゴルイ提督:伊武雅刀
大村耕作:茶風林       シーガル艦長:子安武人
徳川太助:古谷徹       ナレーション:羽佐間道夫
折原真帆:柚木涼香
桜井洋一:野島健児
上条了:伊藤健太郎
小林淳:浪川大輔
佐々木美晴:大浦冬華
古代美幸:藤村歩
島次郎:置鮎龍太郎

「宇宙戦艦ヤマト 完結編」の続編として1994年に制作発表がされたが、紆余曲折を経てやっと公開にこぎ着けた。
主人公古代進の声優だった富山敬、音楽の羽田健太郎、主題歌の作曲者宮川泰など、亡くなってしまった関係者も多く、古代の声は山寺宏一があてている。
森雪も麻上洋子ではない。

カット替わりが唐突に切れたりなど、全体的に散漫な印象。
CGはよくできているが、作画部分とうまくマッチしていないような…ヤマトにオシャレさを求めてはいけないんだろうが、マクロスFと比べちゃうとどうもねぇ…
そして人間はあまり出てこず、CGの戦闘ばっかりだった気がする。
クライマックスの戦闘シーンのBGMは、よく聞くクラッシックのピアノ曲で、興ざめだった。
旧作のサウンドトラック使ってくれた方が良かった。

旧作へのオマージュがてんこ盛りだが、脚本がまずいのか、各キャラクターが生かせてない。徳川の部下の双子のギャグや、小林と美晴の連携(というほど息が合っていないように見えたが)は、うざいだけで無い方が良かった。上条の無鉄砲ぶりは、旧作を見ていた人はかつての古代を思い出すと思うが、初めて見た人はどう思うんだろう?

山寺宏一の古代は、口調などはかなり似ている。が、高めの声色の時はかなり近いが、太い低い声になってしまうと、もうだめ。古代ではなくトグサの声に聞こえてしまう。
ユキはもう全然違って「誰?これ?」。そして古代の代わりに護衛船の艦長に手を上げるような性格だったとは思えない。
真田さんも年取りすぎ。48才って、もっと若くない?マユゲが無くてさらに無表情で、声も低いもんだから、よけいに年寄りに見える。旧作ではスポーツ刈りだと思っていたけど、オールバックになっていた。
徳川太助はあんな顔だったかなぁ。父ちゃんにも似てないし…。
島も弟の次郎だとすぐには理解できず、「そっくりだけど、若すぎる。誰だろう?」と思ってしまった。
前半の中ボスの声優が伊武雅刀だったので、登場した時点で「デスラーは出ないのか…」とちょっとガックリ来てしまった。

移住先の先住民族と話をつけたのはいいが、移民を初めてから「SUSに加入してるんですか?」と聞くなど、突っ込みどころが満載だ。それにSUSって、なんてセンスのないネーミング…SISかと思っちゃうよ。墜落した美幸を探しに飛んでいった時も、他の生存者を探そうとせず美幸だけ助けて戻ってっちゃうし。
そして真田さんはやっぱり「こういこともあろうかと思って」の人だった。

「完結編」の時みたいに、名場面集つけてくれたらよかったのにな〜。正直、アレが一番楽しかった…。
そしてスタッフロールで、西崎プロデューサーの名前がセンスなくバカでっかく出てきて、びっくりした。
第2部、ホントに作れるのかな。

評価: 2a


バッタ君 町へ行く

製作:マックス・フライシャー
監督:デイブ・フライシャー
原案・脚本:デイブ・フライシャー/ダン・ゴードン/テッド・ピアース/イシドア・スパーバー
音楽:ホーギー・カーマイケル/フランク・ローサー/リー・ハーライン
制作:フライシャー・スタジオ

「ベティ・ブーフ」「ポパイ」を制作したフライシャー兄弟が、ディズニーの「白雪姫」に対抗して制作した作品。しかし、真珠湾攻撃の直後に封切られ興行が失敗に終わったという、不運のアニメーション。
CGなど無い時代、もちろん全てが手書き。
煙などのブラシ処理を見ると、大変そうでスゲエなぁ、と思いました。

3DCGと見まごうオープニングが良かった。
ミニチュアのセットを撮影したらしいが、2Dへの移り変わりも自然だった。
人間は「ロトスコープ」で描かれているのですごくリアル。反対に昆虫達はディズニーアニメのようなタッチ。

ストーリーは昆虫たちが安住の地を求めて、バッタのホピティに従い、なぜか高層ビルの屋上に楽園があると(ホピティだけが)信じて上っていくのだが、なぜ人間にはたき落とされないんだろう…とか、屋上には土も無く人工の庭しかないのに、そこでこの先何世代にも渡って暮らしていくのは、果たして幸せなんだろうか?とか、そういうことは考えちゃいけないんだろうなぁ。

ホピティ君は全てが裏目にでてしまう、頼りにならないヤツだった。
随所にクスッと出来る所はあるんだけど、途中でちょっと眠くなってしまった…。

最後の「人間が虫みたいに見えるよ」のところで、会場の至る所から忍び笑いが…
ジブリの情報誌?「熱風」というのをお土産にもらったです。

評価: C5


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