チェブラーシカ(デジタルリマスター版)

原作:エドゥアルド・ウスペンスキー
監督:ロマン・カチャーノフ
美術監督:レオニード・シュワルツマン
音楽:ウラジミール・シャインスキー
スタッフ:ユーリー・ノルシュテイン

声の出演
チェブラーシカ:クララ・ルミャーノワ
ゲーナ:ガリ・バルディン 

1969年〜1983年の間に4作が公開された、ロシアの駒撮り人形アニメーション。
チェブラーシカはロシアでは有名で、オリンピック選手団のマスコットとして起用されている。
アテネは茶色(オリジナル)、トリノは白、今回の北京オリンピックでは赤チェブラーシカがマスコット。

〜ストーリー〜
果物屋ののおじさんが「オレンジ」と書かれた箱を開けると、そこには見たこともない茶色の生き物がオレンジの皮と一緒に入っていた(オレンジはチェブラーシカが食べてしまったようだ)。
座らせてもすぐ倒れてしまうので「チェブラーシカ(ばったり倒れ屋さん)」と名付けられる。おじさんは動物園に引き取ってもらおうとするが、「正体不明だから引き取れません」と言われてしまい、通りかかった骨董品屋に「うちのショーウィンドーで働かないかい?」と誘われて、店の前の電話ボックスを住み家として生きていくことになったチェブラーシカ。
ワニのゲーナと知りあい、友達も増え、さまざまな人と触れ合っていく…

主人公はチェブラーシカよりも、どちらかというとワニのゲーナ。
ゲーナはどの子供にも分け隔てなく注意する、昔はどこにでもいたであろう近所のおじさん風だが、じつに自分の立場や色々なことをわきまえていて、何も知らないチェブラーシカや、危険な遊びをしているその辺の子供達にさまざまなことを教えていく。

登場人物に、根っからの悪人はいない。みんな素朴で素直な人たちばかり。意地悪ばあさんのシャパクリャクにも優しいところはあり、今の日本と比べるとどうしても「古き良き時代」という言葉が…。

10年以上の期間で製作されているので、人形・声優が変わっている話もあった。
シャパクリャクは最初、男性が吹き替えていたが、最後は女性になっていたようだ。

ところで、果物屋のおじさん、洋服屋のおじさんは、棚にしまいきれないものを懐に押し込んでいたが、ロシア人にはそういう習性があるのだろうか?

チェブラーシカは小さくて可愛かった。しかし作品自体が古く、リマスターでもクオリティはテレビ映像レベル。音もステレオではないようだ。

ゲーナのアコーディオン、劇中歌がよかったです。

評価:C5

←劇場にあった、巨大チェブ


スカイ・クロラ

原作:森博嗣「スカイ・クロラ」シリーズ(中央公論新社刊)
監督:押井守
プロデューサー:石井朋彦
脚本:伊藤ちひろ
音楽:川井憲次
演出:西久保利彦
キャラクターデザイン・作画監督:西尾鉄也
メカニックデザイナー:竹内敦志

声の出演
草薙水素:
菊池凛子         函南優一:加瀬亮
土岐野尚史:
谷原章介        草薙瑞季:山口愛
湯田川亜伊豆・合原:
平川大輔    篠田虚雪:竹若拓磨
山極麦朗:
麦人           本田:大塚芳忠
フーコ:
安藤麻吹          クスミ:兵藤まこ
バスガイド:
西尾由佳里       ユリ:ひし美ゆり子
マスター:
竹中直人         三ツ矢碧:栗山千明
笹倉永久:
榊原良子 

「攻殻機動隊」「イノセンス」の押井守監督の最新作。
内容は「面白い」というようなものではない。淡々とキルドレ達の日常が描かれていくため、途中で眠くなってしまった。戦争自体も、信念等に基づいているものではなく、飛んでいる瞬間は(おそらく)真剣だが、それ以外は単なる「こなさなくてはならない仕事」であるため、日々の緊張感のようなものもない。

最後で全てセリフで語って説明しているため、ある意味新設だが、観ている人に委ねるという部分がないです。
おまけにパンフには全て解説が載っているので、映画でわからない人はパンフを読むと意味がわかるようになっている。
私は原作は読んでいないが、原作ではあいまいになっている部分も、映画でははっきりと説明しているそうだ。

榊原良子の存在感がすごい。監督はホントにこの人の声が好きなのね…
加瀬亮はまぁまぁ、谷原章介は押井作品に出られたのが本当に嬉しいようで、楽しそうに演じている感じ。
菊池凛子が(出だしは特に)浮いていた。中盤までどういう人物なのかを掴みかねているような感じで、観ていても何を考えているのかわからないキャラクターだった。キルドレ自体は「大人にならない」存在だが、それはあくまでも見かけだけのようで、戦争で死ななければその分思考は経験を積み大人になっていくらしいので、余計に何を考えて行動しているのかがよくわからなかった。(本人も良くわからないまま声をあててたんじゃないかなぁ…)

空中は完全な3DCGで、オープニングの地上に降り立つところなどはまるで実写のよう。
人が住む地上の世界は車・飛行機等の機械類を除き、背景も含め基本的に人の手で作画しているようだが、人間は(わざと?)立体感がないように描いている。そのため、CGで描かれた屋外に人がいるカットや機内で操縦桿を握っているカットなどは、紙に書いたイラストを切り取って貼り付けているようにも見える。
スポンサーに讀売新聞がついているため、出てくる新聞はかなりリアルで「讀売新聞」「Dairy YOMIURI」とちゃんと書かれていた。室内の背景はすごくいいのに、ユーイチが好きだというミートパイは、なぜかまずそうだった。

音響は6.1チャンネルのスカイウォーカー・サウンド。床のきしみで床材の素材・厚み・古さが感じられたり、テーブルに置くワインボトルの音でテーブルクロスの素材がわかるような、そういう所にこだわりを感じた。オルゴールはこのために制作したそうだが、重厚で絵・音ともによかった。

押井監督によると、攻殻2.0であえて3DCGを挿入した理由は「作画ができる人材が圧倒的に足りず、代わりとなる手段」としてのテストだったようだ。
背景はモデリング+写真をマッピングで3DCGで背景を描き、人物のみ作画という手法が最近のアニメーションのはやりなのかと思ったが、もしかして、これは時代の流れでしかたがないことだったのだろうか?
そのうちに「西洋骨董洋菓子店(Noitamina枠で放送中)」のオープニングのように3DCG(『西洋骨董洋菓子店』はミニチュアのハウスの実写のなかに立て看板の人物だが)の背景の中に、立て看板のような人物が配置されたアニメが主流になってしまったりするような気がしてきた。
もともとアニメーションは「記号」と言われていたけど、さらに記号化されていってしまい、ジャパニメーションの行き着く先は…??と、別の意味で考えさせられる作品だった。
採点はちょっと辛かったかも。

評価:C2


崖の上のポニョ

原作・脚本・監督:宮崎駿
プロデューサー:鈴木俊夫
音楽:久石譲
作画監督:近藤勝也
美術監督:吉田昇
制作:スタジオジブリ

声の出演
リサ:
山口智子           耕一:長島一茂
グランマンマーレ:天海祐希     フジモト:所ジョージ
ポニョ:奈良柚莉愛         宗介:土井洋耀
赤ちゃんを抱いた婦人:柊留美    ポニョのいもうと達:矢野顕子
トキ:吉行和子           ヨシエ:奈良岡朋子
カヨ:左時枝            クミコ:平岡映美
カレン:大橋のぞみ 

人物以外は3DCGを多用した「スカイ・クロラ」とは全く正反対で、車・船なども全てを手で作画している。コンピューター処理をしているところは、人影の映り込みとか光くらいでは?
「そこまでしなくても」というくらい冒頭から小さな塵1つまで手で描いて動いる。

「扉だけセル描きで動く」アニメをすごく久しぶりに観た気が。
BGはあるけどほぼ背動(背景動画)に近いカットも結構あった。よくここまで描いて動かしたものだ…と感動?感心?しました。
動画のタッチに合わせるためか、背景は絵本の挿し絵のようにラフなタッチで、わずかにフジモトの船内にジブリっぽいテイストが感じられるのみ。ジブリ美術館で上映されている短編に作風が似ている。

金魚なのに海中に棲んでいて、海水魚のはずなのにバケツの真水で死なないのか? とか
魚のポニョのあの造形を見て、トキさん以外の人が変だと思わず「かわいい」と思うのか? とか
「ポニョが人間になって戻ってきた」を、リサが不思議と思ってもすぐ受け入れてしまったのか? とか
その他もろもろの「変じゃない?」の部分は、観ているうちに気にならなくなり「そういうものだ」と深く考えずに観られるようになった。
ストーリーは基本的に「人魚姫」だが、随所に笑える箇所も多く、割と純粋に楽しめる。
特にリサのとんでもない運転がすごかった。

最近の子役はすごくうまい。宗介やクミコの泣くところなど、とても自然だった。
天海祐希はヘタではないが、「天海祐希」そのままなので顔が浮かんできてしまう。

パンフが600円と安く、さすが大入りロングラン確定で、大量の部数を発注してパンフを作れるジブリは違う…と思った。ちなみに、攻殻2.0は確か1300円だった。

評価:2b


 

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

監督:ロブ・コーエン
脚本:アルフレッド・ガフ/マイルズ・ミラー
音楽:ランディ・エデルマン
制作:スティーブン・ソマーズ/ショーン・ダニエル/ジェイムズ・ジャック/ボブ・ダクセイ
製作総指揮:クリス・ブリガム

出演
リック・オコーネル:
ブレンダン・フレイザー
皇帝:
ジェットリ・リー
エヴリン・オコーネル:
マリア・ベロ
ジョナサン:
ジョン・ハナ
ツイ・ユアン:
ミシェル・ヨー
ミン・グオ:
ラッセル・ウォン
マグワイア:
リアム・カンニガム
アレックス・オコーネル:
ルーク・フォード
リン:
イザベラ・リョン
ヤン将軍:
アンソニー・ウォン 

まず、第一印象は「エヴリンがおばんさんになった…」
前2作(失われた砂漠の都/黄金のピラミッド)のレイチェル・ワイズが降板したのを知らず、スクリーンを見つめて「同一人物??」としばし考えてしまった。
マリア・ベロは「ER」で見ているはずだが、アンナ・デル・アミコと同一人物とは思えなかったんですけど…

前2作は監督・脚本がスティーブン・ソマーズだったため、関連のある小ネタ(ドミノ倒し、読み方がわからないなど)があちこちにあり続けて観ると結構楽しかったが、監督・脚本が変わってしまったため、かなり前作とは異なった仕上がり…というか、全然別物になってしまった。

1作目は1923〜4年、2作目は1933年、そして本作品は1946年。
戦争も終わり、危ないことはもうしないと決めたオコーネル夫妻。エブリンは執筆と講演活動に精を出す。貴族階級と思われる彼らは働く必要がないようで、リックは釣りをしてみたり、暇を持て余していた。
このあと親子3人の冒険活劇となり、昔のような殴り殴られるリックに戻るのだが、前のような魅力がない。親子愛も出てくるが、説得力に欠ける。観ながら「どこかで観たことある気がする」と思ったら、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」と内容・構成が似ていたのだった。
…新しいエブリンは最後まで馴染めなかった。

今回は中国が舞台なので、やや強引な理由をつけて上海へと向かうのだが、何もかも唐突に名称が出てきてあまり説明がないし、必然性に欠ける。兵馬俑が復活するというエピソードは面白いと思うが、それ以外の設定に無理がある。そしてドラゴン登場となっては、もうファンタジー映画のようになってしまっていた。
常々思うのだが、こういった映画の怪物をよみがえらせる動機が「過去の怪物をよみがえらせれば、この世が良くなる」なんだろう?生きてる時代が違えば価値観も違うはずだし、なんとかなるようには到底思えないのだが。

エピソードも消化不足気味。ミン・グオとユアンの関係や、その他のわき役(わざわざ名前をもらった牛?バッファロー?など)の使い方を工夫すれば、もっと面白くなったのでは?

次回は南米らしいです。
続編があればですが…

評価:C2


グーグーだって猫である

原作:大島弓子
監督・脚本:犬童一心
音楽:細野晴臣

出演
小島麻子:
小泉今日子     青自:加瀬亮
ナオミ:
上野樹里       マモル:林直次郎(平川地一丁目)
タツヤ:
伊坂達也       麻子のアシスタント:黒沢かずこ/村上知子/大島美幸(森山中)
サバ:大後寿々花       ポール・ウェインバーグ:マーティ・フリードマン
山本泰助:小林亜星      麻子の母:松原智恵子
京子:高部あい        エリカ:柳英里紗
近藤編集長:田中哲司     編集者・田中:村上大樹
梶原:でんでん        小林:山本浩司
UMEZU氏:楳図かずお 

大島弓子の猫漫画エッセイを映画化した作品。
大島弓子の作品は「綿の国星」と「大きな耳と長いしっぽ」に収録されている作品くらいしか読んだことはないですが、小泉今日子演じる「麻子先生」は「大島弓子って、こういう人なんだろうな」と思えて違和感がなかったです。

もっと猫が出てくるかと思ってましたが、チビ猫やサバと違って、グーグーは猫の姿のまま人間語を話すこともなく、麻子の身に起こることがメインに話が進みます。(原作でもグーグーは猫の姿のままらしいです)
途中で笑いもあり、大島弓子の作品を読んでいなくても楽しめると思いますが、サバの話を読んでいないと、サバとの再会のシーンがちょっと分かりづらいかも?
パーティのカットで挨拶していたのは、槙村さとるだったのかな。クレジットに名前がありました。

サバって、メスだったのか…。あの姿はどうみても男としか…

評価:C4


宮廷画家ゴヤは見た

監督:ミロス・フォアマン
脚本:ミロス・フォアマン/ジャン=クロード・カリエール
製作総指揮:ポール・ゼインツ
製作:ソウル・ゼインツ
音楽:バルハン・バウアー
美術:パトリツィア・フォン・ブランデンスタイン

出演
ロレンソ神父:
ハビエル・バルデム
イネス・ビルバトゥア/アリシア(二役):ナタリー・ポートマン
フランシスコ・デ・ゴヤ:ステラン・スカルスガルド
スペイン国王カルロス四世:ランディ・クエイド
異端審問所長:ミシェル・ロンズデール
トマス・ビルバトゥア:ホセ・ルイス・ゴメス
マリア・イザベル・ビルバトゥア:マベル・リベラ 

「カッコーの巣の上で」「アマデウス」のミロス・フォアマン監督の最新作。
しかし、全てにおいて「アマデウス」にはとうてい及ばない…。

異端者の摘発に励むべきだと提案し、陣頭を取ったロレンソ神父。ささいな理由で尋問にかけられた少女がきっかけとなり、それぞれの人生の歯車がだんだんと狂っていく様を、ゴヤの視点で激動のスペイン史もまじえ、淡々と綴られていく。
冒頭で「たとえ聖職者であろうとも、拷問を受ければウソの告白をする」ことを証明したシーンでは、この後劇的な展開があるのかとわくわくしたが、その後は地味だった。

15年経って、解放されたイネスを演じるナタリー・ポートマンがすごかった。どうしたらあのような顔つきになるのか…と思うほど顔つきが変わっており、収容所での暮らしの過酷さを感じた。

ストーリー紹介には「イネスの口から発せられた、驚くべき言葉。愛の裏側が、暴れようとしていた−−−」とあるが、それほど大層な真実ではなかったです。

ヨーロッパ圏の人なら当たり前なのだろうが、ゴヤの生きた時代のスペインは、フランス革命でルイ16世とアントワネットが断頭台の露と消え、ナポレオンの台頭によってフランス軍に攻め込まれ、ナポレオンの兄ジョセフがスペイン国王となった後の独立戦争と、周辺諸国との関係が歴史に深く係わっているのだと改めて実感したのだった。

評価:C5


ブーリン家の姉妹

監督:ジャスティン・チャドウィック
プロデューサー:アリソン・オーウェン
脚本:ピーター・モーガン
衣装:サンディ・パウエル

出演
アン・ブーリン:ナタリー・ポートマン
メアリー・ブーリン:スカーレット・ヨハンセン
ヘンリー8世:エリック・バナ
トーマス・ハワード(ノーフォーク公爵):デヴィッド・モリッシー
レディ・エリザベス・ブーリン:クリスティン・スコット・トーマス
トーマス・ブーリン卿:マーク・ライアンス
ジョージ・ブーリン:ジム・スタージェス
ウィリアム・ケアリー:ベネディクト・カンバーバッチ
ヘンリー・パーシー:オリヴァー・コールマン
ウィリアム・スタフォード:エディ・レッドメイン

父親や叔父の権力欲から、ヘンリー8世の愛人となったアン・ブーリンとその姉妹メアリーの波乱の生涯を描いた作品。アン・ブーリンは「ゴールデンエイジ」と言われた、エリザベス女王の母親だ。
作中ではアンが姉となっているが、史実ではメアリーが姉だと言われている。

ヘンリー8世は、メアリーを見初め待望の男子を儲けるが、アンを手に入れるためにメアリーとその子供を遠ざける。
正直言って、以前はお気に召さなかったのに、「王子とメアリーを手放してまでも手に入れたい」と王が思うほど、アンに魅力があるとは感じられなかった。フランス宮廷で洗練され、以前とは全く別人のような魅力的なアン・ブーリンとなったとセリフで説明されても、とてもそうは思えないし、何よりも「アン・ブーリン」ではなく「ナタリー・ポートマン」に見えてしまうのだ。
最後が「エリザベス」の番宣みたいで、ケイト・ブランシェットが登場しそうだった。
続けて「エリザベス」「エリザベス・ゴールデンエイジ」を見れば楽しめそうです。
(私は見ましたが、話はかなり忘れました…)

欲と権力と策略と、失脚すれば死刑が待っているというドロドロの宮廷劇は、寝不足の頭にはかなり重かった。権力の前には、愛など吹き飛んでしまうもののようです。

「宮廷画家ゴヤは見た」の方が面白かったので、点数は少し辛め。
歴史物でナタリー・ポートマンが続いたので、何も考えず楽しめる映画が観たくなりました。

評価:C5


レッドクリフ Part I

監督:ジョン・ウー
脚本:ジョン・ウー/カン・チャン/コー・ジェン/シン・ハーユ
音楽:岩代太郎

出演
周瑜:
トニー・レオン     孔明:金城武
曹操:チャン・フォンイー   孫権:チャン・チェン
尚香:ヴィッキー・チャオ   趙雲:フー・ジュン
甘興:中村獅童        小喬:リン・チーリン
劉備:ユウ・ヨン       魯粛:ホウ・ヨン
孫叔材:トン・ダーウェイ   驪姫:ソン・ジア
関羽:バーサンジャプ     張飛:ザン・ジンシェン
黄蓋:チャン・サン 

中国の歴史書「三国志」の中で、曹操軍に奇襲された劉備軍が孔明を遣わし孫権軍と同盟を結び、曹操軍に立ち向かう「赤壁の戦い」の場面の映画化。
善玉・悪玉がはっきり決まっており、脚本も分かり易いため、三国志をしらなくても楽しめた。アジア人だらけで、最初見分けがつかなかったりするが、主要登場人物のうち2人が日本人なため、なんとかなります。

見どころは周瑜公瑾、甘寧興覇、関羽雲長、張飛翼徳、趙雲子龍らのものすごい戦いぶり。
雑兵は身を固め、大将自らが単身敵に切り込んでいき、しかもあまり傷つかない。超人だ。

とにかく戦いのシーンが多い。
序盤の戦いはもうちょっと短くても良い気がするが、見せ場の「九官八卦の陣」のところは見ごたえがあった。
中村獅童が思いの外、出番をもらっていて、大活躍していてかっこよかった。本当にあんな戦い方だったかどうかはちょっと疑問ですが。

2時間半以上あり、途中で2回ほど眠くなってしまった。
(ちなみに、隣の席のオジサンはいびきをかいていた…いびきかいて寝てる人に遭遇したのは初めてだ)
濡れ場になって目が覚めたが、あれはあまり必要性を感じない。…水戸黄門の由美かおるみたいなものなのか?それとも後編への伏線なのか…。
終盤も、盛り上がった後すぐにラストではなく、だらだらと作戦会議などが続いて、ダレたままエンディングを迎えた感じ。スタッフロールの前に「席を立たずに予告編までご覧下さい」みたいな字幕が入るし。

エンディングのスタッフロールは、テーマソング「心・戰」の中国語版が流れたが、日本語版とかなり歌詞が違っていて、映画の内容(三国志の史実?)をそのまま歌詞にしたようだった。
日本語版もこの歌詞の訳の方がよかったのでは…?

エンターテイメント作品として、素直に楽しめました。

評価:2b


K-20 怪人二十面相・伝

原作:北村想「怪人二十面相・伝」
監督・脚本:佐藤嗣麻子
エグゼクティブ・プロデューサー:阿部秀司/奥田誠治
音楽:佐藤直紀

出演
遠藤平吉:金城武
明智小五郎:仲村トオル
羽柴洋子:松たか子
源治:國村隼
菊子:高島礼子
浪越警部:益岡徹
謎の紳士:鹿賀丈史
小林芳雄:本郷奏多
シンスケ:今井悠貴

何も考えず楽しめる娯楽大作。それはあり得ないんじゃ…とか、その他お約束的な展開も結構あるが、素直に笑って楽しめた。

第二次世界大戦が回避され華族制度が続いた結果、激しい格差社会となったという設定の架空の都市、帝都。1945年らしいが、東京タワーが建っていた。
金城武のアクションは本格的で(スタントは使ったらしいが)、障害物があっても町を一直線に縦断する修業や、怪人二十面相との対決は見ごたえ十分だった。しかし、黒ずくめの人が建物の壁をよじ登っていたりしたら、普通怪しまれて通報されるんじゃないか?

國村隼と高島礼子の泥棒夫婦がすごくいい。尼さん姿で歌うところなど、笑わしてもらった。
松たか子はそれほど好きではないけど、鼻に付く所がないお嬢様ぶりでハマリ役。言われてみればクラリスだったかも。
小林少年は虎の威を借る狐みたいで、いただけなかった。二十面相の手先かと思ってしまった。そういう演出だったのかもしれないけど。

CG(VFXっていうの?)も良くできてる。
冒頭の”帝都”のシーンなどは、ハリウッド映画に引けを取らない出来栄えだ。

泥棒仲間を前に怒る平吉とか、お嬢様に格差社会について説教するところとか、「社会を変える」ことは結局出来てないし、二十面相の盗み方のからくりのマヌケさ(私はそう思った)とか、そもそも二十面相は何のために泥棒していたのか?義賊かと思ったけどそうじゃないし…など、しっくりこない部分はちらほらあるが、面白かったです。
重松豊はどこに出てたんだろう?分からない…

評価:C2



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