愛の流刑地

原作 渡辺淳一
脚本・監督 鶴橋康夫

出演
豊川悦司/寺島しのぶ
長谷川京子/仲村トオル/佐藤浩市/陣内孝則
浅田美代子/佐々木蔵之介/貫地谷しほり
重松豊/本田博太郎/余貴美子
富司純子/津川雅彦 

(R−15指定)

原作は「失楽園」の作者、渡辺淳一の日経新聞連載小説。
簡単に言うと「ベッドシーン付き法廷ドラマ」で、「女はなぜ男に殺してくれと頼み、男はなぜ女を殺したのか」を追っていくストーリー。しかしサスペンス(推理)でもなく、メロドラマでもなく、一本調子で話が進むため、起伏があまりなく単調な感じ。

冒頭からパワー全開のベッドシーンで始まる。
殺した後の行動や法廷での姿から、菊治(トヨエツ)が冬香(寺島)を愛しているのはよくわかったが、冬香が殺してくれと頼むほど「(自分は今)死んでもいいくらい(愛しあっていて)幸せ」だとは、ベッドシーンからは伝わってこなかった。(あえぎ声で愛の深さを感じ取れと言われてもね・・・)
「これだけの期間と回数を重ねてすごく愛し合っている」ことを描くためのものだと思うけれど、あんなにベッドシーンは必要なかったのでは。(寺島しのぶは下着姿の方がよかったです)

検事を演じる長谷川京子は、冒頭で(映画上)重要な役割を与えられていることを示唆するようなセリフがある割には、役割がいまひとつわからないし、いつも胸元を強調するような服装をしていて(法廷でも)、その格好に何か意味があるのか伏線なのか考えてしまったが、関係なかったようだ。
彼女は「自分の過去を重ねあわせ、冬香の気持ちに共感していくようになる」らしいのだが、公式サイトの解説を読んで初めて知った。そういったセリフはあるが、「その物言いの裏には何かあるのか?」と勘ぐってしまうほど棒読みで、感情がこもっていなかった。
織部検事役が別の人だったら、もうちょっとましだったかも。

ラストは一応解答が出るが、私には冬香がそういった行動を取るようになるまでの心情が理解できず、全然共感できなかった。原作の小説だと違う感想を持つのかもしれませんが・・・
テレビでしか観てないが、「失楽園」の方が、まだ共感できる気がする。
ああいった状態で首を絞めて殺す、というのがそもそも不可能だと思うし、殺してくれと頼む動機も私には身勝手極まりないものに感じるし、あんな理由では何よりも菊治が気の毒だ。

冬香の母(わざわざ「実母の・・・」と言っていたけど、実際もそういうふうに証人を呼ぶんだろうか?)も富司純子である必要はないけど、そこはまぁ、話題作りなんでしょう。富司純子は少ししか出ない割に非常に重要な役で、演技には説得力があった。

共演陣がおもしろい。全くしゃべらない阿藤快、ちょびっと出てくる六平直政、高島礼子とか。森本レオの名前がクレジットにあったが、どこに出ていたのかわからない・・・。
こんなにワキがぜいたくなのに、なんでこんなに面白くないんだろう・・・。
(実はマリー・アントワネットを見たかったのだが、満席だったため、ちょうどいい時間にはじまるコレにしたけど、武士の一分の方が良かったかも)

平井堅が歌う主題歌「哀歌: エレジー」はとてもよかった。
関係ないけど、冬香が黒い下着を付けていたのを見て、フジテレビのドラマ「今週妻が浮気します」の「黒い下着は夫のためには買わない」というセリフを思い出してしまった。

隣のバカップルがベッドシーンになると画面を指さしなにかごそごそ話はするし、男の方が女の体を触ったり、携帯を見たり、集中できなかった・・・飽きたなら出ていってくれていいんだけど。あるいはDVDになってから家で二人で思う存分イチャつきながら見てくれよ。
客層は年齢が高めで、年配の方やご夫婦もいました。

評価:


 

マリー・アントワネット

原作:アントニア・フレイザー「マリー・アントワネット」
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
製作:ロス・カッツ/ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フレッド・ルース/フランシス・フォード・コッポラ
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ

出演
マリー・アントワネット:キルスティン・ダンスト
ルイ16世:ジェイソン・シュワルツマン
デュ・バリー夫人:アーシア・アルジェント
マリア・テレジア女帝:マリアンヌ・フェイスフル
ノアイユ伯爵夫人:ジュディ・デイヴィス
ルイ15世:リップ・トーン
メルシー伯爵”スティーヴ・クーガン
フェルゼン伯爵:ジェイミー・ドーナン
ポリニャック公爵夫人:ローズ・バーン
シャール公爵夫人:オーロール・クレマン
ソフィー内親王:シャーリー・ヘンダーソン
ヴィクトワール内親王:モリー・シャノン
ヨーゼフ2世:ダニー・ヒューストン
プロヴァンス伯爵夫人:クレメンティーヌ・ポアダッツ

オスカルなしの実写版「ベルばら」。
「ベルサイユのばら」を読んで、史実がだいたいわかっていると、より楽しめると思う。
アントワネットが王妃になるまで(ルイ15世崩御まで)をかなり丁寧に描いている。後半はやや駆け足で、「首飾り事件」はスルー。どん底に落ちるところまでは描いていないので、唐突に終わりが来る。

何といっても、豪華な衣装、たくさんのお菓子、そしてヴェルサイユ宮殿でのロケが見どころ。アントワネットのヘアスタイルや、衣装を見ているだけでも楽しい。モブシーンも多く、衣装代はさぞかしかかったろう。
衣装デザインは「アマデウス」を手がけたミレーナ・カノネロ。
所々で流れるロックは(前評判通り)多少違和感があるが、話が進むにつれて気にならなくなった。

14才で一人他国に嫁ぎ、四六時中周囲に見張られ、唯一の見方であるはずの夫は頼りない。今や自分はトップレディ、買えるものなら何でも手に入る。年代的にもおしゃれ大好き!と、ストレス解消(?)とばかりに仕立てまくっている姿や、周囲(特に母親)の期待に答えようとがんばってはみるものの、夫にそっけなくされ寂しく寝入る姿は、まるで現代のティーンエイジャーのようだし、子供を産んでからトリアノンに移り、田舎暮らしを子供と楽しむアントワネット親子はどこにでもいそうな、普通の親子だった。

時代劇だが重苦しくなく、見ていて(特にファッションショーが)楽しい映画。

評価:


パフューム ーある人殺しの物語ー

原作:パトリック・ジュースギント「香水 ある人殺しの物語」
監督/共同脚本/音楽:トム・ティクヴァ
プロデューサー/共同脚本:ベルント・アイヒンガー
共同脚本:アンドリュー・バーキン
サントラ:サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー

出演
ジャン=パティスト・グルヌイユ:ベン・ウイショー
ローラ:レイチェル・ハード=ウッド
リシ:アラン・リックマン
ジュゼッペ・パルディーニ:ダスティン・ホフマン
(PG−12指定)

生まれつきなのか、生い立ちに原因があるのかわからないが、人にはない特殊な能力を持ったために数奇な一生を送ることになった男の物語を、ユーモアをまじえた語り口で綴る。
前半はナレーションによって話が進むため、やや説明臭い。

冒頭のグルヌイユが産み落とされた魚市場のシーンは、「におわなくて良かった」と思うほど臭そうだった。正直、このシーンがいちばん「香り(臭い)」を感じるシーンだった気がする。グルヌイユは孤児となり、孤児院、なめし皮職人、香水調合師と居場所を変えていくが、彼が去ると皆不幸に見舞われる。まるで疫病神のようだ。

グルヌイユを演じるベン・ウイショーは、得体の知れなさたっぷりに演じている。体臭がない=気配がない、全く気づかれない、とは思えないのだが、いとも簡単に犯罪を犯していく。キャッチコピーに「原材料、処女」とあるが、体臭で人を選んでるようではなく、究極の香水の原料選別は、無差別で適当に選ばれているようだった。まぁ、最後の一人は髪の色だったのかもしれないが・・・。

予想外の結末だったので、ラストは「衝撃」とも言えなくない。
TVCMで流れているので、ご覧になった人も居るだろうが、あのシーンに至るような効果がある香水を本当に作ることができたとしたら、まさに「究極の香水」と言えるだろう。

音楽はベルリン・フィルの「香りを音で表す」サントラだそうだが、実際に劇場で「バラの香り」が漂っていたため、美しい音楽だったけれど音に香りは感じなかった。

※ 観賞後に「劇中に香ります」というポスターを見つけたので、気のせいではないです。香るタイミングはストーリーとぴったりではなかったけど。
「チャーリーとチョコレート工場」でチョコレートの香りがしたのでもしかしたら何か匂うかも!?と思って映画を見てましたが期待を裏切られず、香ってきました。思えばチョコレートの香りも故意に流していた気がします。
すべての劇場が香るのかはわかりません。

評価:2e


 

ナイト・ミュージアム

原案:ロバート・ベン・ガラント/トーマス・レノン
監督:ショーン・レヴィ
製作:ショーン・レヴィ/クリス・コロンバス/マイケル・バーナサン/ボブ・ダクセイ

出演
ラリー・デリー:ベン・スティラー
レベッカ:カーラ・グギーノ
セシル:ディック・ヴァン・ダイク
ガス:ミッキー・ルーニー
レジナルド:ビル・コッブス
マクフィー博士:リッキー・ジャーヴェイス
エリカ:キム・レイヴァー
セオドア・ルーズベルト:ロビン・ウィリアムズ
ニッキー・デリー:ジェイク・チェリー
サカジャウィア:ミズオ・ペック 

予告に「博物館の秘密を解き明かせ!」とあったので、ミステリーっぽいのかと思ったが、全然そんなことはなく、超お子様向けで分かりやすい勧善懲悪なストーリー。ひねりがないので、やや物足りないが、期待を裏切らない笑いが随所にあり、親子(特に父子)で楽しめる映画。
話はありきたりだが、キャラクターの魅力で楽しめた。(特に恐竜のレックスが・・・)

夜勤のラリーは、一睡もせず博物館の陳列物について1日でマスターしてしまったのには驚く。(しかも本屋?図書館?で)
アメリカ人なら、サカジェウィアなどはなじみがあってより楽しめるのだろう。日本版に置き換えると、ナウマンゾウやトキ、卑弥呼、信長などがよみがえった感じだろうか?(どっかのCMのようだなぁ・・・)

ただ一つ気になったことは、マクフィー博士はすべてを知っていたのだろうか?ということである。

評価: 2a


 

女帝[エンペラー]

原案:ウィリアム・シェイクスピア「ハムレット」
監督:フォン・シャオガン
アクション監督:ユエン・ウーピン
美術・衣装:ティム・イップ
音楽:タン・ドゥン

出演
王妃ワン:チャン・ツィイー
皇太子ウールアン:ダニエル・ウー
リー:グォ・ヨウ
チンニー:ジョウ・シュン
イン・シュン将軍:ホァン・シャオミン 

(PG−12指定)

義理の息子への思いを抱きながら、夫を殺して王となった義理の弟に嫁ぎ、復習をする…というストーリー。
古代中国を舞台にしたハムレットということらしいが、ハムレットを読んだことがないので比べられません。
正直、チンニー以外の主要登場人物の皇太子のウールアン、現皇帝リー、王妃ワンの心の内がよくわからず、感情移入しづらい。ウールアン以外は最後にセリフで自分の気持ちを説明しているが、言葉と行動が一致していない感じ。王妃は秘めたる愛のために行動しているというよりは、自分を翻弄したもの全てへの復習をしたかったのか、もしくは自分の欲望のために突き進んでいっているように思われた。タイトルも「女帝」だし…

剣を交えるシーンは、全てが剣舞のようで、ワイヤーアクションが多用されていた。映像美と「剣の踊り」を見る映画なのかも。衛兵は皆かぶとを被っていたが、ギリシアを連想させるようなデザインだった。
ラストは謎を残したまま幕を閉じる。(私は刀の持ち主だったのではないかと思っているが…「刀には毒が」が嘘だったのか、かろうじて助かったのかは謎だ。)
チンニー役の女優が千秋に似ていて、シリアスな役どころなのに、見ているとどうしても千秋を思い出してしまって困った。
首が跳ね飛ぶシーンがあるため、PG-12指定になったと思われます。

評価:


パイレーツ・オブ・カリビアン 〜ワールド・エンド〜

監督 ゴア・ヴァービンスキー
脚本 テッド・エリオット&テリー・ロッシオ
製作 ジェリー・ブラッカイマー

出演
ジャック・スパロウ:ジョニー・デップ
エリザベス・スワン:キーラ・ナイトレイ
ウィル・ターナー:オーランド・ブルーム
キャプテン・バルボッサ:ジェフリー・ラッシュ
デイヴィ・ジョーンズ:ビル・ナイ
キャプテン・サオ・フェン:チョウ・ユンファ
ジェームズ・ノリントン:ジャック・ダヴェンポート
スワン提督:ジョナサン・プライス
ビル・ターナー:ステラン・スカルスゲールド
ベケット卿:トム・ホランダー
マーサー:デヴィッド・スコフィールド
ディア・ダルマ:ナオミ・ハリス
ギブス:ケヴィン・R.マクナリー
 

2006年に公開された「デットマンズ・チェスト」の続編。
とにかく長い。
一生懸命みていたつもりだが、話の筋の途中で(無駄に長い)妖怪との戦闘シーンがあるため、目的を見失ってしまい、途中でエリザベスとウィルが別々の船に別れた理由がわからなくなってしまった。今もどうしても思い出せない。

エピソードはてんこ盛りなのだが、消化不足気味。「海の女神カリプソ」「ジャック所有のコイン」については「それで結局何だったの?」という感じだし、サオ・フェンとベケット郷に至っては「ここへきてそんなに人柄変わるもの?」と思ってしまうのだった。
1、2作は所々「お約束」的な「そんなのアリ?」という部分があっても、ある程度現実的ではあったのだが(バケモノは除く)、3作目はもう、「何でもアリ」になってしまっていて、ストーリーとしては破綻している感じ。
「パイレーツ〜」シリーズは、CG戦闘シーンとジャックの魅力しか見るところがない(と私は思っている)のだが、今回はジャックの出番自体が少ないため、コミカルな笑いをさそうカットは少なかった。そのかわりウィルががんばっていて、たくましくかっこよかったのではあるが、やっぱり今一つ…。
ラストはやや意外な結末だったが、うまくまとめてあり、スタッフロールのあとに、結末が描かれている。

ジャック・スパロウはキース・リチャーズをモデルとして演じたそうで、その縁でキース・リチャーズがジャックの父親キャプテン・ティーグ・スパロウとして登場している。

評価: 2a


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
 
EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE.

原作・脚本・総監督:庵野秀明
監督:摩砂雪/鶴巻和哉
主キャラクターデザイン:貞本義行
主メカニックデザイン:山下いくと
新作画コンテ:樋口真嗣/京田知己
総作画監:鈴木俊二
作画監督:松原秀典/黄瀬和哉(プロダクションI.G)/奥田淳/もりやまゆうじ
メカニック作画監督:本田雄
特技監督:増尾昭一
演出:原口浩(動画工房)
美術監督:加藤浩(ととにゃん)/串田達也(美峰)
色彩設定:菊池和子(Wish)
撮影監督:福士享(T2 Studio)
CGI監督:鬼塚大輔/小林浩康
編集:奥田浩史
音響制作:楽音舎
効果:野口透(アニメサウンド)
音楽:鷺巣詩郎
テーマソング:「Beautiful World」宇多田ヒカル(EMI Music Japan Inc.)
製作:カラー
制作:スタジオカラー

声の出演
碇シンジ:緒方恵美      綾波レイ:林原めぐみ
葛城ミサト:三石琴乃     赤木リツコ:山口由里子
碇ゲンドウ:立木文彦     冬月コウゾウ:清川元夢
伊吹マヤ:長沢美樹      青葉シゲル:子安武人
日向マコト:優希比呂     鈴原トウジ:関智一
相田ケンスケ:岩永哲哉    洞木ヒカリ:岩男潤子
キール・ローレンツ:麦人

1995〜1996年にTVシリーズが放送、1997年に劇場版2作が公開され、社会現象となったアニメの今度こそ本当に?完結編となる予定の作品。「序」「破」「急+?」の三部構成で公開予定。
ガイナックスではなく、庵野監督が個人的に設立したカラーが制作している。

本作品は第六話のヤシマ作戦までで、テレビシリーズの素材をメインに使用しリメイクのような形で公開と聞いていたが、レイアウトはほとんど同じだが、おそらく全てのカット描き直しているようで、クオリティはテレビシリーズと段違い。全く同じに見えたのは、ミサトがシンジを引き取るからと電話して「心配しなくても子供に手なんか出さないわよ」といってリツコに怒られるカット、帰宅後ビールを飲み、ミサトが「おっとこの子でしょう!!」とシンジを怒るカットくらいだったような気がする。
10年間一度も見ていなかったが、見ているうちにだんだん思い出してくるのだった。

3Dは多用していたが違和感はなく、車やビルなどのクオリティが格段にアップした。新宿ミラノ座で見たが、画面が暗くピントが甘い映像だったため、出力画像を元に2Dで描いてるのか3Dでレンダリングして使ってるのかはよくわからなかった。

シンジのエヴァとの初対面時、使徒の攻撃で落ちてきた蛍光灯からあたかもシンジを守るようにエヴァが手をかざすシーンはカットされていた。エヴァとパイロットの関係を象徴するシーンなのに…なぜ?
一番の見どころであるヤシマ作戦は、壮大なスケールに描かれていて、送電車?など3Dを多用したカットは動きが精巧で見ごたえがある。爆発と閃光がすごく、話を知っていてもレイがほんとに溶けちゃいそうな感じだった。レイがラミエルの攻撃からシンジを守るカットは、TVシリーズの方が分かり易かった。

使徒はTVシリーズだと「死体」のように動かなくなるもしくは自爆するだったが、コア爆破の後、血のような液体へと変化する。「リリスから生まれた人類のもう一つの可能性(だったっけか?)=人類と兄弟の生物」という設定をふまええているのだろうか?
アスカは出てこず、カヲルがラストに登場。その他にも新たな伏線と思われるセリフが所々にあった。

CM「パチンコエヴァンゲリオン」の三石琴乃の声を聞いた時には「年取ったなぁ・・・」と思ったが、若干シンジの声に違和感はあったものの、10年の時間は感じない。伊吹マヤの声はなんだか変だったが…。

「ありがとう(TVシリーズラスト)」は「??????」、「気持ち悪い(劇場版ラスト)」はポカンと口を開けたまま椅子から動けず「あんたたちこんなになった世界に二人残されてこの後いったいどうすんの?」と思うラストだったため、今回は理解できるラストであって欲しいと祈るばかりです。

作画4点、ストーリーは目新しさがないため3.5点(まあしかたないか)、総合評価で3.75点。

評価: ミラノ


パンズ・ラビリンス

監督/脚本/プロデューサー:ギレルモ・デル・トロ
プロデューサー:アルフォンソ・キュアロン
撮影:ギレルモ・ナバロ
美術:エルヘニオ・カバレロ
特殊メイクアップ:ダビド・マルティ

出演
オフェリア:イバナ・バケロ
カルメン:アリアドナ・ヒル
ビダル大尉:セルジ・ロペス
メルセデス:マリベル・ベルドゥ
ドクター:アレックス・アングロ
ペドロ:ロジャー・カサメジャー
カザレス:フレデリコ・ルピ
カーセス:マヌエル・ソロ
パン(牧神)/怪物ペイルマン:ダグ・ジョーンズ
(PG-12指定)

コピーは『世界が賞賛した感涙のダーク・ファンタジー、待望の日本公開!!』
確かに物語は「昔々あるところにお姫さまが…」と始まり「こうしてお姫さまは末長く倖せに暮らしました」と終わるが、ファンタジーと言えるのかどうか…

1944年の内戦下のスペインで、夫と死に分かれた母親が軍人と再婚したことによって人生が変わってしまった少女オフェリア。戦争下の軍人の残酷さがそのまま描かれ、拷問やさしたる理由もなく人を殺したり、切り裂かれた頬を自分で縫うシーン(このシーンは結構長く、目を背けたくなった)など、見ていて痛い描写が多い。そういうのが苦手な人は見ない方がいいかも。
ファンタジーというと、「目には見えないもの、特定の人間にしか見えない世界」は「存在している」という仮定の元に話が進んでいくが、それが信じられたのは最後の試練の前までだった。ラストのシーンは、試練に打ち勝ち倖せを得たはずなのに、こうあって欲しいという願いと、自分の存在価値を見いだすためにオフェリアが作り出した幻想の世界のように見えて、痛々しい。

感動で涙が流れるというよりは、切なさとやるせなさで涙が流れるという感じ。私は泣きませんでしたが…。
全てに救いがなく、後味が悪い映画でした。
妖精の虫はミミックを連想させる、カマキリに似たかなり大きめの虫。これを可愛いと思えるとはオフェリアはスゴイ。
ベンツのメルセデスは女性の名前だったんですね…

評価:


 

 

 

   

 

 

  


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