Vフォー・ヴェンデッタ

原作:デイビッド・ロイド
監督:ジェイムズ・マクティーグ
製作:グラント・ヒル/ジョエル・シルバー
脚本/製作:アンディ&ラリー・ウォシャウスキー
製作総指揮:ベンジャミン・ワイスブレン
出演
V:ヒューゴ・ウィービング
イヴィー・ハモンド:ナタリー・ポートマン
フィンチ警視:スティーブン・レイ
ドミニク警部:ルパート・グレイブス
アダム・サトラー議長:ジョン・ハート
ゴードン・ディートリッヒ:スティーブン・フライ
クリーディー:ティム・ピゴット=スミス
プロセロ:ロジャー・アラム
リリマン主教:ジョン・スタンディング
デリア・サリッジ:シニード・キューザック
バレリー・ペイジ:ナターシャ・ワイトマン
 

原作はイギリスのコミック。「マトリックス」シリーズの生みの親、ウォシャウスキー兄弟はこのコミックのファンだったが、自らメガホンは取らず、「マトリックス」の第一助監督であったジェイムズ・マクティーグに監督を依頼した。(ウォシャウスキー兄弟はマトリックス制作に10年かかり、疲れたらしい)
「vendetta」は、個人的な恨みに対する復讐の意味で、イタリア語が原語。

舞台は独裁国家となった未来のイギリス。国民には厳しい規制があり、それを破ったイヴィーは秘密警察に殺されそうになるが、仮面をつけた『V』と名乗る男が現れ、助けられた。これがきっかけで、イヴィーは『V』の「ガイ・フォークス」の精神を掲げた、個人的な復讐に巻き込まれていくようになる。

娯楽映画なのかと思っていたのだが、かなりメッセージ色の強い映画。しかし、なんとなくこじつけっぽいところが…。
物語は1605年11月5日に実際に起こった、「ガイ.フォークス事件」を下敷きにしている。
この事件は国民が国王の圧政に耐えかね、自由を求めて…という事ではなかったようだ。
ジェイムズ一世の迫害に絶えかねたカトリック教徒が、国王もろとも国会議事堂を爆破しようと事件を計画したが、犯人の一人が知人の議員に警告を発したために発覚し、計画は未然に終わった。
事件は宗教上の争いで、おまけにガイ・フォークスは事件の首謀者ではなく、単なる火付け役にすぎなかったという説もある。イギリスでは現在も、事件が未然に終わった事を祝う行事が行われているらしい。

そしてよくわからなかったのが、『V』のイヴィーに対する扱い。吐かせることは『V』にとって何を意味していたのだろう?

評価:


 

嫌われ松子の一生

原作:山田宗樹
監督・脚本:中島哲也
出演
川尻松子:中谷美紀   川尻笙:瑛太
川尻恒造:柄本明    川尻紀夫:香川照之
川尻久美:市川美日子  八女川徹也:宮藤官九郎
龍洋一:伊勢谷友介   沢村めぐみ:黒沢あすか
小野寺:武田真治    大倉修二:ゴリ
岡野健夫:劇団ひとり  島津賢治:荒川良々
木村カエラ/柴咲コウ/片平なぎさ/竹山隆範/谷原章介/
谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)/BONNIE PINK/
土屋アンナ/AI/山田花子
 

かなり悲惨な人生を送った主人公の一生を、ミュージカル仕立てで描いた、笑えるエンターテイメント作品。
配役が結構豪華である。

始まりからして(映画の前の)CMなのか本編なのか、わからないような出だしで、いきなり歌いだすわ、オーバーリアクションだわ、火サスのパロディーはあるわ、いったいどういう映画なのだろう??と思ったが、それに慣れていくにしたがって、楽しめるようになった。

松子の人生は救いようのないものなのだが、それを明るくミュージカル映画のように仕立てられていて、笑えるポイントも盛りだくさんだ。(全編通して何かのパロディではないのか?と、思わせられる)
主人公の人生を年代順に追っていくので、その時代を知っている30代以上の人はより楽しめると思う。
それにしても、すごい波瀾万丈の人生だ…。

しかし、あの時代に前科ある人が銀座で働けたんだろうか…と思ってしまうのだった。

評価:


 

ゲド戦記

原作:アーシュラ・K・ル=グウィン(「ゲド戦記」)
原案:宮崎駿(「シュナの旅」)
監督:宮崎吾朗
プロデューサー:
鈴木敏夫
脚本:
宮崎吾朗/丹羽圭子
声の出演
ハイタカ(ゲド):菅原文太  アレン:岡田准一
テルー:手嶌葵        クモ:田中裕子
ウサギ:香川照之       テナー:風吹ジュン
ハジア売り:内藤剛志     女主人:倍賞美津子
王妃:夏川結衣        国王:小林薫
 

スタジオジブリの宮崎駿監督の長男、宮崎吾朗氏の第一回監督作品。
全体的な感想は、いらないところにこだわり過ぎで、説明不足。
岡田准一は、キムタクよりもうまかったです。

原作を読んだ人にはよくわかるのかもしれませんが…私は原作を読んだ事がないので、意味不明な箇所がたくさんありました。一応本編中でキャラクターが口頭で説明してくれてはいるのですが、抽象的な言い方だし、(実際の)映像がないので、なんのことやらよくわからない。パンフレットを買って読むと解説してあるので、読んで初めて「そういうことなのか」と理解できるのですが、それがストーリー中結構重要な箇所だったりする。
とにかく、パンフレットを読まないとわからない箇所が多すぎる。

キャラクターもそれぞれ魅力に欠ける感じ。ウサギは「単なるいやな奴」だし、個々の人物が何故そうなったかというような必然性というようなものが見えてこない。
テルーについては序盤に伏線がいれられてるが、ラストで存在そのものについての説明もないし、いくら「考えて解釈してほしい」という作りであっても説明が足りなすぎて、考えようがない…(私の頭が悪すぎるのか?)

カメラワークも単調で、人物にただ焦点をあててただ撮影しているという感じ。冒頭のハイタカとアレンの旅の様子は同じようなレイアウトが続いて単調で退屈。

背景画はフランス古典主義のクロード・ロラン風な、絵画として鑑賞できる背景画にしたそうですが、全体にまとまりがなく散漫で、鮮やかな色彩が使われているだけにうるさくごちゃごちゃした印象でした。(色の配色が好みの組み合わせではなかったからかも?)
あえて絵画的にしているからなのか、水と空(雲)が美しくない。もっときれい描けるはずと思うのに…。
ハウルでも感じましたが、室内の背景はとてもいいのに、遠景の風景になると、しょぼくなるのは何故なんだろう…。

メッセージが込められているはず…なのに、心に残るものがない映画でした。
演出の重要さを改めて認識しました…。

評価:


 

パイレーツ・オブ・カリビアン 〜デットマンズ・チェスト〜

監督 ゴア・ヴァービンスキー
脚本 テッド・エリオット&テリー・ロッシオ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮 マイク・ステンソン/チャド・オーメン/
      ブルース・ヘンドリックス/エリック・マクレオド

出演
ジャック・スパロウ:ジョニー・デップ
ウィル・ターナー:オーランド・ブルーム
エリザベス・スワン:キーラ・ナイトレイ
ビル・ターナー:ステラン・スカルスゲールド
デイヴィ・ジョーンズ:ビル・ナイ
ジェームズ・ノリントン:ジャック・ダヴェンポート
ギブス:ケヴィン・R.マクナリー
スワン提督:ジョナサン・プライス
ディア・ダルマ:ナオミ・ハリス
ベケット卿:トム・ホランダー
 

2003年の「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち〜」の続編。
スタッフ・キャスト共前作とほぼ同じ面子で制作された。
2007年(来年)公開の3への序章(パンフレット)となっているが、スターウォーズの「帝国の逆襲」のような終わり方で、伏線を残したままなので、やや消化不良の感が。

前作を見ていない方、また忘れた方は、復習してから見ることをお勧めします。ストーリーは見てないとわからないことはないと思うけど、前作のキャラクターや、エピソードをふまえた部分がたくさん登場するので、見てからの方がより楽しめます。最後のちょっとしたサプライズが、素直にちょっと驚けます。(私は「宇宙戦艦ヤマト 完結編」を連想してしまいました…)

ジャック・スパロウ船長は前作の方が魅力的に描かれていた。今回は出番が少なく、主人公はウィル?と思えるほど、ウィルの出番が多い。フライング・ダッチマン号はもはや「幽霊船」ではなく、「妖怪船」。幽霊(悪霊?)が居眠りするとは知らなかった。

見所はなんといってもドタバタ劇。よくまあ、こんなの撮影したねぇと思いながら笑いました。海賊風コメディ映画としては、十分楽しめます。
前作同様、スタッフロールの後に1カットあり。

評価:


 

王の男

原作:キム・ウテン(演劇「爾(イ)」)
監督:イ・ジュンイク
脚本:
チェ・ソクファン
製作:チョン・ジンワン/イ・ジュンイク
製作総指揮:キム・インス
出演
チャンセン:カム・ウソン
コンギル:イ・ジュンギ
ヨンサングン(燕山君):チョン・ジニョン
チャン・ノクス:カン・ソンヨン
チョソン:チャン・ハンソン
ユッカプ:ユ・ヘジン
チルトゥク:チョン・ソギョン
パルボク:イ・スンフン

タイトルは性的なイメージを連想させますが、政治の道具として利用されながらも権力に抗い続ける芸人の物語です。

王とコンギル、チャンセンとコンギルそれぞれに間に性的な関係を連想させる描写は全くなく、かといってチャンセンとコンギルの精神的な強い繋がりを感じさせる描写もあまりありません。
王を愛しているとは思えないのに、王のもとを去る事が出来ないコンギル。
ノクスに陥れられたコンギルを、命をかけて守ろうとするチャンセン。
王は特殊な生い立ちにより暴君となった人なので、常人には計り知れないコンギルへの思いがあるのかもしれませんが、チャンセンのコンギルに対する固執は、何が彼をそうさせるのかがよくわからず、二人の関係は不思議なものに映りました。
パンフレットには「相方をなくすと芸人として食べていけないから、チャンセンには何としてでもコンギルが必要だった」と解説されていましたが…

「王の男」とは「王の男の愛人」ではなく「王を虜にした男」という意味。
原作となる舞台では、コンギルが主人公で、王の愛人として描かれているそうです。

時代は1506年頃の韓国。
王とは悪名高いヨンサングン(燕山君)のことで、母のユンヒ(伊妃)は嫉妬心が以上に強く、側室を殺害したり王に対しても顔に爪痕を残す等の暴力を働いたため、父である王ソンジョン(成宗)によって服毒自殺させられ、この事が原因で粗暴で偏屈な性格に育ってしまったと言われています。
成人してから母の死のいきさつを知ったヨンサングンは、事件に係ったもの全てを死罪または厳罰に処しました。
余談ですが、大ヒットした韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で、チャングムの父親が暗殺に係った中宮というのがこのユンヒ。ちなみに、この頃チャングムは、カン・ドックの家でこき使われていました。

コンギル役のイ・ジュンギは大変美しかったです(これだけでも一見の価値はある気がする)。個人的には短髪よりも長髪のほうが似合う気がします。ノクスを演じたカン・ソンヨンだけが現代風の顔立ちだからなのか、衣装を着ていても違和感を感じました。

評価:


 

 

 

   

 

 

  


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