イノセンス

監督 押井 守
プロデューサー 石川 光久/鈴木 敏夫
製作 石川 光久
制作 プロダクション I.G
脚本 押井 守
原作 士郎 正宗(「攻殻機動隊」講談社刊)
音楽 川井 憲次
キャラクターデザイナー 沖浦 啓之

声の出演
バトー:大塚 明夫
トグサ:山寺 宏一
草薙素子:田中 敦子
ハラウェイ:榊原 良子
キム:竹中 直人 

1995年公開のアニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の続編。
「GHOST …」を受けてのセリフやシーンがあるので、見ていないとわからない部分が多いかもしれない(できれば前作の劇場版「GHOST…」は見た方がいい)。原作の1巻も読めばより理解出来ると思うが、ネタバレも含むため善し悪しかも。
(復習として久しぶりに「GHOST…」を見たが、出だしはもろマトリックスだったのね…)
「攻殻2」なので原作から離れる訳にも行かず、ということらしく、内容は1巻第6話から。原作を知っていると、バトー君の一途なところががなんとも…。男だとまた違った感想なのかもしれないが、孤独で犬と暮らすバトーにはどうも馴染めない。

話は簡単に言うと刑事物+ラブストーリーなんだろうが、バトーとトグサの会話がこ難しく、ストーリー展開もゆっくりなので、わかりづらい。台詞を難しくしてわざと解り難くしてるんだろうかと思う程だ。

「生死去来 棚頭傀儡 一線断時 落落磊磊」
 トグサの音読は「生死(せいし)の去来(きょらい)するは 棚頭(ほうとう)の傀儡(かいらい)たり 一線断(いっせんた)ゆる時(とき) 落々磊々(らくらくらいらい)」だが、「せいしきょらい ほうとうかいらい いっせんだんじ らくらくらいらい」とも読むようだ。
これは、世阿弥の能楽書「花鏡」にある言葉で、「一旦死が訪れると、あたかも棚車の上のあやつり人形が、 糸が切れればがらりと崩れ落ちるように、一切が無に帰してしまう」という意味らしい。「傀儡」を(あやつり)人形の意味として使うなら、「くぐつ」と読む方が正しい気がする。
パンフの裏表紙だし重要なキーワードなのかと思ったが、意味を知っても内容には、それ程関係ない感じ。とまぁ、こういった引用がてんこもりな訳です。

バトーは草薙のことを「広大なネットの彼方へ去った」と、あたかも実体が消えてなくなったような言い方だが、前作の終わりで人形使いと融合した後、草薙の脳は新たなボディを得てバトーの元を立ち去っているので、意識のみがネット上に存在するということはないんじゃないだろうか…。
「今度逢う時の合い言葉にしましょ」は、単純に「別のボディに入って見た目で区別出来無くなっていた時のため」と思っていたんだけれども…違ったんですかね。

映像はこだわりたっぷり(特に車の映り込みなど)で、非常に美しいのだが、たまにCG臭さを感じる事もあった。背景は3Dを多用しているため、カメラワークが実写のよう。たまに人物が背景について行っていないが…

キムの館に入って行くところ、オルゴールのシーンは、床の微妙な凹凸(古くなった床って波打ったりするでしょ?あんな感じ)まで表現されていて、すごかった。3回見られてよかったのだが、これで作画は楽出来たのだろうか?とも思った。

バトーは「ER」のベントン先生には聞こえなかったが、平田広明の声はジョン・カーターに聞こえてしまった。キムの声は竹中直人だとはわからない。

小さい子供連れの人もいて、子供は大人しく見ていたが、多分よく解らなかっただろうなぁ。内容よりは絵(特に背景美術)を楽しむ映画かも。美術さんの苦労に敬意を表し、星4つ。
伏線たっぷりで、あとからじんわり考えさせられたので「攻殻2」より「人狼」の方が好きかな。

評価:


 
LOVERS(原題:十面埋伏)

監  督    チャン・イーモウ
製  作    ビル・コン/チャン・イーモウ
製作総指揮   チャン・ウェイピン
原案・脚本   チャン・イーモウ/リー・フェン/ワン・ビン
アクション監督 トニー・チン・シウトン
音  楽    梅林 茂

出演
金/随風:金城武
劉:アンディ・ラウ
小妹:チャン・ツィイー
牡丹坊の女将:ソン・タンタン

時代は唐の終わり(日本で言うと平安時代、藤原良房が摂政をしていた頃)、反対勢力「飛刀門」とそれを取り締まろうとする朝廷の役人との戦い、そして潜入してきた飛刀門の女かもしれない、遊郭の盲目の踊り子
恋愛映画というよりは、チャンバラ(アクション)映画だ。

竹林の緑や、秋の野山、そしていきなり雪が降ってきての一面の雪景色など音と映像が綺麗な映画。
戦っている最中にいきなり雪が降り出して、最初は「なんかすごい演出だなぁ…」と思って見ていたら、全ての野山に雪が降り積もり、スノーマシンレベルでは降らせられないほど雪が積もっていくのには驚いた。
ロケ中に雪が降ってきて、季節はずれのドカ雪になり、花畑でロケの予定が、雪山ロケになったそうだ。

ヒロインが盲目という設定であるため、見所の1つである牡丹坊での踊り〜劉と小妹の対決のシーンは、いろいろな音が効果的に使われている。テレビではなく劇場や5.1サラウンドで楽しみたい感じ。

それにしても、登場人物が刺されてもピンシャンしている。身体を鍛えているから普通の人よりも生命力あふれている、という設定というか、お約束らしいが…。

話が進んで、複雑な人物関係が明らかになってくると、劉の「悪夢」の意味も分かってくるが、小妹の行動にやや疑問を感じてしまう。
小妹は命令通り動いただけだと思うが、誰が官吏なのか知っていたのだろうか?

「歴史物でコスチューム映画」とツボな映画のはずだけど、「飛刀門」と言う組織が実在していたのかは怪しいし、衣装はその時代のものが残っていないそうで、日本にあるその当時の面影を残していると思われるものを参考に創作したそうである。
そのためか、歴史の匂いがほとんど感じられなかった。

評価:


 

 

 

 

   

 

 

  


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