戦場のピアニスト

監督 ロマン・ポランスキー
製作 ロマン・ポランスキー/ロバート・ベンムッサ/アラン・サルド
脚本 ロナルド・ハーウッド
原作 ウワディスワフ・シュピルマン
音楽 ヴォイチェフ・キラール

出演
ウワディスワフ(ウワディク)・シュピルマン:エイドリアン・ブロディ
ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉:トーマス・クレッチマン
ウワディクの父:フランク・フェンレイ
ウワディクの母:モーリーン・リップマン
ドロタ:エミリア・フォックス
ユーレク:ミハウ・フェブロフスキ
ヘンリク:エド・ストッパード 

戦争に巻き込まれたユダヤ系ポーランド人ピアニストの日々を、実話に基づいて淡々と描いた作品。
もりあがるような演出はあまりないので、「ピアニスト版アンネの日記」といったところ。

原作が「回顧録」であるせいもあると思うが、徹底して主人公ウワディクの視線で綴られている。自分のいる建物が砲撃されたときなど、一瞬自分の耳がつんざかれたかと思うほど。(これで耳が聞こえなくなってしまったのか?と思ったが違った)

「今が何時であるか」はわかるので、ヨーロッパの第2次世界大戦を良く知っている人ならば、ナチス・ドイツがどういう状態であるのか、戦争が終結するまであとどれくらいかわかるのだろうが、西暦ではなく昭和○○年と表示してくれないと、正直言ってピンとこないのだった。

序盤はユダヤ人に対するナチの酷い仕打ちが出てくるので、ドイツ人が嫌いになりそう。(朝鮮半島の人が日本人に持つ感情は、こういう感じのものなのかも…と思ったり)ゲットー(ユダヤ人居住区)では孤児の養育に力を注いだコルチャック先生とおぼしき人物も出てくる。

後半でウワディクはドイツ人将校に命令されピアノを弾くが、このシーンは美しい調べと緊張感で、圧巻だった。ウワディクが弾いた曲がショパン(ショパンはポーランド人の作曲家である)であることはわかったが(パンフによるとバラード第1番ト短調作品23、原作では彼が実際に弾いた曲はノクターン第20番嬰ハ短調だそうである)、なぜこの曲を選んだのか理由を聞いてみたい気がした。

映画では触れられていないが、後にシュピルマンはヴィルム・ホーゼンフェルト大尉の助命をポーランド権力者に直談判している。しかし聞き入れられずに彼はスターリングラードの戦犯収容所で亡くなった。シュピルマン自身はは2000年7月6日に88才で亡くなっている。

評価:


 
呪怨2(試写 2003年8月23日より全国ロードショー)

監督・脚本 清水 崇
プロデューサー 一瀬 隆重

出演
酒井法子/新山千春/堀江慶/市川由衣/葛山信吾 


ビデオ版1、2、劇場版と続いた「呪怨」の続編。
前作(劇場版)は、ビデオ版を見ていないと意味不明な箇所があったが、「呪怨2」はこれだけ見ても理解できる程、当初の「呪い」とはかけ離れてしまった感がある。
(ビデオ版1、2、劇場版を見てから鑑賞すると、細部に渡ってより楽しめます)

簡単に過去のあらすじを説明すると、ある家で殺人事件がおこり、それによってその家は地縛霊付きの「呪われた家」となってしまい、その後に入居した家族や関わった人間たちが失踪したり、死亡したりする事件が相次いだ。各犠牲者に的を絞って、オムニバス風に出来事のみが綴られていく。

「家に関わった人間」をとり殺すのだから「地縛霊」なのだと思うのだが、この映画ではすでに「地縛霊」とは呼べない程神出鬼没で、取り殺し方も無差別殺人のようだ。

ラストはパンフの通り、確かに「誰もが想像し得ない衝撃のクライマックス」なのだが、なんとも…。
随所に「リング」を連想する箇所あり。
…私はテレビから出てくる貞子の方が恐かったです。

余談:音と映像で怖がらせるシーンの後には、場内がざわめいたが、私は陳腐さに笑っているのだと思った。一緒に見に行った人は怖がってるのだと思った。

評価:


 
茄子 アンダルシアの夏

原作 黒田 硫黄(「茄子」よりアフタヌーンKC所蔵)
作監 高坂 希太郎
演出 高橋 敦史
作監補佐 三原三千雄
制作 マッドハウス

声の出演
ペペ:大泉洋
アンヘル:筧利夫
カルメン:小池栄子
エルナンデス:平野稔
リベラおじさん:緒方愛香
フランキー:平田広明
実況アナウンサー:羽鳥慎一
解説者:市川雅敏  


ジブリの「千と千尋の神隠し」に作画監督で参加していた、高坂希太郎の監督デビュー作。2003年度“文化庁メディア芸術祭マンガ部門・大賞”のコミック「茄子」から1作品をアニメ化したもの。第59回カンヌ国際映画祭「監督週間」の正式出品作品として、日本のアニメーションとしては始めて上映された。
アニメーション制作は「幻魔大戦」「メトロポリス」のマッドハウス。

ビデオ作品としてスタートしたため、47分と短いが、表現に過不足ない作品。50分弱とは思えない程、見ごたえがある。(観賞料金は一律1000円)
「ツール.ド・フランス」と並ぶ世界3大自転車レースの1つ、スペインを走る「ブエルタ・ア・エスパーニャ」でのレースがメインだが、一度捨てた故郷を複雑な思いで走るレーサーの心情と、その家族の様子が綴られていく。

カメラワークがすばらしい。アニメによくあるパンではなく、CGを使用した廻り込みのカットが多いが、手書き部分とよくマッチしている。(よく見ると、動きからCGであることがわかる)得に後半部分は臨場感溢れる、迫力あるシーンに仕上がっていた。
デットヒートのカットは、思わず笑ってしまったが…本当ににあんな風なの?

解説者は元ロードレーサーの現役解説者、実況も現役アナウンサーのため、嘘っぽさがなく、レース気分を盛り上げてくれる。
台詞のある女はカルメンしか出てこないが、この紅一点のキャストがいまいち…「小池栄子」の声には聞こえないが、他が芸達者ぞろいのため、ヘタさ加減が際立ってしまうのだ。台詞が少ないことが救いだ。

道路に書かれた文字「VENGA PePe」は「来い ペペ」というような意味らしい。(間違っていたらすまぬ)

スポーツはほとんど見ないのだが、ロードレース中継を一度見てみようかなという気にさせられる映画だった。
ちなみに、今年の「ブエルタ・ア・エスパーニャ」は9月1日〜28日に開催。

評価:


 
マトリックス リローデッド

監督・脚本・製作総指揮 ウォシャウスキー兄弟
製作 ジョエル・シルバー
製作総指揮 グラント・ヒル/ブルース・バーマン

出演
ネオ:キアヌ・リーブス
モーフィアス:ローレンス・フィッシュバーン
トリニティー:キャリー=アン・モス
エージェント・スミス:ヒューゴ・ウィービング
ナイオビ:ジャダ・ピンケット・スミス
予言者(オラクル):グロリア・フォスター
パーセフォニー:モニカ・ベルッチ
ジー:ノーナ・ゲイ
キー・メーカー:ランダル・ダク・キム
ロック司令官:ハリー・レニックス
リンク:ハロルド・ペリノー
ザ・ツインズ:ニール&エイドリアン・レイメント

1999年に公開された「マトリックス」の続編。2003年11月公開の「マトリックス レボリューションズ」とあわせて、3部作のまん中にあたるため、ストーリー的にはやや中だるみ。
逃げる、戦う、これしかやっていなかった印象がある。
そしてすべてのカットが少しずつ、無意味に長いような気が…

CMで流れていた、100人のスミス VS ネオのカットは、ややCGくさい。3Dのパソコンゲーム(あるいはPS)のキャラクターを連想してしまう…
時々、「キアヌに似せて作った3Dキャラクター」になってしまっている。

実際に海軍基地内に高速道路のセットを作って撮影したという、カーチェイスのシーンは圧巻。カメラアングルも車にひかれそうな視点(実際、あれでは、はねられてるだろう…)で撮影されているため、スリル満点。
マトリックスの謎も少し明らかになるが、アクションを楽しむ映画だと思う。
たまに、「マジですか!?」というような演出もある。すーぱーまんとか…

前作のオペレーター、タンクは死亡してしまったようで、残念だ。
ザイオンは、意外と近代的で驚いた。
スタッフロールの後、一番最後に「レボリューションズ」の予告あり。
途中で席を立った方は、残念でした。

評価: 


 
パイレーツ・オブ・カリビアン 〜呪われた海賊たち〜

監督 ゴア・ヴァービンスキー
脚本 テッド・エリオット&テリー・ロッシオ
ストーリー テッド・エリオット&テリー・ロッシオ/
スチュワート・ビーティー/ジェイ・ウォルパート
製作 ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮 マイク・ステンソン/チャド・オーメン/
ブルース・ヘンドリックス/ポール・ディーソン

出演
ジャック・スパロウ:ジョニー・デップ
キャプテン・バルボッサ:ジェフリー・ラッシュ
ウィル・ターナー:オーランド・ブルーム
エリザベス・スワン:キーラ・ナイトレイ
ノリントン:ジャック・ダヴェンポート
スワン提督:ジョナサン・プライス

ディズニーランドのアトラクション、「カリブの海賊」の映画版。
見終わって残ったものは…ジョニー・デップ演じるコミカルなスパロウと、呪われた海賊たちの戦闘シーンだけだったような気がする。

冒頭のジャックとウィルが剣を交える所などは、スピード感にあふれて、「マスク・オブ・ゾロ」を連想したが、これは脚本家が同じだからだろうか。
「呪われてしまった海賊たち」のCGは自然でよく出来ている。しかし、これを見せることに重点を置き過ぎているようで、各シーンはアクションあり、笑いありで面白いのだが、話がスムーズに繋がっていない感じがした。海賊たちの乱闘を見ているうちに、何故戦っているのか、これから何をしようとしているのかを忘れてしまう(それは私の頭が悪いだけ?)。

ラストはみんな良い人になってしまい、ちょっと拍子抜け。時代もきっちり定めていないファンタジーであるためか、登場人物たちの行動は現代人のようだ。
…見なくてもどうってことないかもしれないが、スタッフロールの後に1カットあり。

評価:


 
  

 

 

  


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