チキンラン

監督/原案 ピーターロード/ニック・パーク
声の出演
ロッキー:メル・ギブソン/岸谷 五朗
ジンジャー:ジュリア・サワラ/優香
ミセス・トゥーディ:ミランダ・リチャードソン/有馬 瑞香
ミスター・トゥイーディ:トニー・ヘイガース/吉田 照美
バブス:ジェーン・ホロックス/さとう あい
ファウラー:ベンジャミン・ウィットロウ/小倉 久寛
バンティー:イメルダ・ストーントン/小宮 和枝
マック:リン・ファーガソン/加藤 貴子
ニック:ティモリー・スポール/青森 伸
フェニッチャー:フィル・ダニエルズ/桜井 敏治


「ウォレスとグルミット」でおなじみイギリスのクレイアニメスタジオ「アードマン・アニメーションズ」が、スピルバーグ率いるハリウッドの「ドリームワークス」と組んで制作した、長編クレイアニメ。

お金がある、ってこういくことなのね〜と感心することしきり。まず、セットが広い!冒頭のシーンは「大脱走」のパロディですが、カメラワークが凝っていて良いです。登場人物が「クレイのニワトリ」であることを除けば、実写の映画との差はほとんど感じられません。

そして動きが早くてなめらか!早すぎて細部をじっくり見ている余裕がない!
ハリウッドのスタッフを総動員しているだけあって、「ウォレストグルミット」よりも洗練されたクレイアニメに仕上がっています。
ロッキーのとさかの動きや、ニワトリたちの眉毛のような額の微妙な動きで出る表情などは、凝っているし、うまい。

そして冒頭だけではなく、随所に色々な映画のパロディがちりばめられていて、とても楽しいです。特にパイマシーンの中のカットはスピードとスリルにあふれていて好きだなぁ。

ストーリーはそれ程凝ったものではないので、ある程度先が見えてしまうところもありますが、楽しめます。
今回、日本語吹き替え版で見ましたが、違和感なく楽しめました。
実はジンジャーの優香にかなり不安を感じていましたが、結構うまかったです。最初の一声は「エ?」と思いましたが、話が進んでいくうちにあまり気にならなくなりました。グラビアアイドルということを考えれば、十分合格点をあげられます。実は優香って、大女優のタマゴなのかも…。

評価:


 
メトロポリス

監督 りんたろう
原作 手塚 治虫
脚本 大友 克洋
キャラクターデザイン/総作画監督 名倉 靖博
声の出演
ティマ:井元由香      ケンイチ:小林 桂
ロック:岡田浩輝      レッド公:石田太郎
ヒゲオヤジ:冨田耕生    ペロ:若本規夫
ロートン博士:滝口順平   ポンコッツ博士:青野 武
ブーン大統領:池田 勝   ノタリアン:八代 駿
スカンク:古川登志夫    ランプ:千葉 繁
ハムエッグ:江原正士    リヨン:土師孝也
アトラス:井上倫宏     フィフィ:愛河里花子


故手塚治虫氏の初期の作品を、原作にオリジナルのストーリーを加えてアニメ化された作品。何で読んだ(あるいは聞いた)のかは忘れましたが、手塚氏が作品の出来に満足しておらず、生前には本人から映画化の許可が下りなかったそうです。

映像は大変素晴らしいです。クオリティは正に日本が世界に誇る「ジャパニメーション」の集大成、と言った感じ。動画自体は中国で制作していますが、原画マンは名の通った人が多数参加しています。
ひいたカットやモブシーンが多いのですが、背景はすべて緻密に描かれていて、見ていて疲れるくらい。よくここまで描いたよなぁ、と感心します。(モブシーンのニンゲンもすべて異なった動きをしているのだ!)

CGも多用されていますが、シャープな感じはなく、セル描き部分と割合よく馴染んでいて、違和感はありませんでした。(最後の部分はちょっとやり過ぎだと思うけどね)
人物も手塚漫画特有の「太い手足」や「丸い鼻」が、うまく立体化されていて、手塚らしいキャラクターでありながら、リアルに動いていました。目玉も漫画チックでありながら、それでいておかしくない。物が超スピードで動いた跡にできる煙(埃?)も、手塚漫画のように描かれています。
個人的にはフィフィがとても気に入りました。(かわいい!)

ストーリーはティマが生まれ出てくるまでは、とても丹念に描かれているのですが、自分が何者であるかを知り、暴走していくところはちょっと説得力に欠けます。自分が「人間であって欲しい」理由も、「機械を差別してきた人間に対する怒り」も、中途半端でよくわかりません。
この点は監督(ではなく脚本家だったかも)自身も「あと15分尺が長ければ、描けた」と言っていたので、商業的な理由だったのかもしれません。

「このカメラワーク、スゲー!」とか「○○の作画最高!!」という見方をするオタクと、手塚漫画を知り尽くしているマニアには超オススメかも…。
映像は5点満点あげてもいいんですけど、ストーリーがいまいちだったので総合評価は3つ星半。

評価:


 
千と千尋の神隠し

監督 宮崎 駿
原作脚本 宮崎 駿
音楽 久石 譲
作画監督 安藤 雅司/高坂希太郎/賀川 愛
声の出演
千 尋:柊 瑠美       ハ ク:入野 自由
湯婆婆・銭婆:夏木 マリ
お父さん:内藤 剛志     お母さん:沢口 靖子
青 蛙:我修院 達也     坊:神木 隆之介
リ ン:玉井 夕海      番台蛙:大泉 洋
河の神:はやし・こば     父 役:上条 恒彦
兄 役:小野 武彦
釜 爺:菅原文太


ジャパニメーションの最高ブランド、宮崎監督率いるスタジオジブリ2年ぶりの新作アニメ。ここ10年ほどの宮崎アニメはあまり好きではなかったのですが、この作品は「天空の城ラピュタ」のような、のびのびとしていて遊び心あふれる冒険活劇に仕上がっていると思います。

宮崎監督のアニメは、多くの方が作品にこめられたメッセージを(こじつけてでも)感じなくては、というような見方をしているようですが、そんなことは考えずに素直に楽しんで見ることをオススメします。みんな深く考えすぎなんじゃ…

CGも回り込みなど作画が大変な部分に多用されていましたが、違和感なくとけ込んでいました。ただ、千尋の両親の畜舎へ行く花の道は、頑張っていることはわかるのだが、ちょっと浮きすぎだったような…。
半透明になる所などさすがデジタルペイント、綺麗にぼけていました。(あたりまえか)

時たま「カリ城」のパロディかと思われるようなカットがあり、見ていて楽しかったです。冒頭のアウディが突っ走るカット、なんだか不自然にスピード出していたような気がしたけど、そういうわけだったのね…?
電車のシーンはエヴァを連想してしまったが。

メインキャラクターの声の出演は、プロの声優ではなく俳優を起用していますが、子役がすごくうまかったです。特にハク役の入野自由(いりの みゆ)くんは凛とした声で13才とは思えないほど。千尋役はNHK連続テレビ小説「すずらん」のチビ萌ちゃんでした。釜爺の菅原文太氏も、「〜じゃけん」を連想しない好演で、声を聞いただけでは誰だかわからなかったです。

雑面やら式やら龍やら名で縛る呪やら、陰陽師ファンには嬉しくなっちゃうシーンもたくさん。
次はDVDなどで、町の細部などを映像を止めてじっくり眺めながら見たいですね。

評価:


 
陰陽師

監督 滝田洋二郎
原作 夢枕 獏
キービジュアル・コンセプトデザイン 天野喜孝
出演
安倍晴明:野村萬斎
源博雅:伊藤英明
陰陽頭 道尊:真田広之
青音:小泉今日子
密虫:今井絵理子
藤原元方:柄本明
今上帝:岸部一徳
祐姫:夏川結衣
瓜の女:宝生舞
橘右近:八巻建弐


今流行の「陰陽師」の映画化。

一応、原作その他のファンを裏切らない出来であると思う。
ストーリーは複数の話からエピソードをピックアップしたダイジェスト版。そのため話がやや散漫で、2時間は少し長すぎると感じた。真田広之氏と野村萬斎氏で持っている。
博雅役の伊藤英明氏も、天然ボケっぷりなど違和感はないのだが、この2人の前だとちょっと役不足。

アニメの「源氏物語」もそうだったが、全体的にテンポが遅い。当時(平安時代)の流れている時間の早さは、あのくらいだったのかもしれないが、超スピードの今日ではやや退屈である。

脚本に原作者の獏さんも参加されているが、「岡野晴明」を意識したのか、醒めた目で世間を見ている所など、性格は小説よりも漫画の方に近いように思われる。野村萬斎氏の晴明は、正にハマリ役。これ以上のキャストはあり得ない、と断言できる。ふとした表情など、まるで漫画からそのまま抜け出て来たよう。動く生身の「岡野晴明」、これだけでもファンには見る価値があるだろう(マジです)

予告でも少し流れていたが、CG・特殊メーキャップは邦画ってことで、あんなものなんでしょう。多少違和感を感じなくもないが…。
平安の町並みはうまく再現されていたと思う。

興味深かったのが、「陰陽寮」を再現したところ。晴明が呪符を書くシーンなどもあり、あんな感じで仕事していたんだろうなぁと思った。
職業柄、呪文を唱えるシーンが多いのだが、なんて言っているのかほとんどわからない。シナリオには何て書かれているのだろうか?

予告編ではモーツアルトの「レクイエム(怒りの日)」が使われていて「エッ」と思ったが、本編では使用されていなかった。

正直な感想としては「夢枕陰陽師を岡野晴明で映像化し、王都岩崎エッセンスをプラス」です。
小説・舞台(宝塚じゃないヤツね)・ドラマと同じエピソードを繰り返し見ているので、ちょっと「またか〜」な感じ。思い入れがある分、辛口になってしまったかも…

評価:


メメント(試写) 2001.11.3〜 渋谷シネクイントにて公開

監督 クリストファー・ノーラン
出演
ガイ・ピアーズ/キャリー・アン・モス/ジョー・バントリアーノ

〜チラシから〜
「衝撃のラストシーンから始まり、事件の核心に向かって時制が巻き戻されていく予測不能なストーリーは、まるでレナードと同様に、記憶喪失に陥ったような錯覚を我々にもたらす___」
「かつてない衝撃的な映画体験」だそうだが、それもそのはず。

話は普通、過去から未来へと向かって流れるものだが、細切れにして現在から過去へと話が流れていく。(まさか主人公レナードが記憶を保てる時間と同じように、10分刻みでカット割りしてあるということはないだろうが、それに近いものがある)
どういう映画かわからずに漫然と見始めると、ストーリーがわからなくなるだろう。

全くブツ切れだと、話の前後がわからないので、わかる程度にだぶっているところがあるのだが、そのおかげで同じシーンを何度となく見るため、「一晩寝たら明日ではなく、また今日だった」みたいな錯覚に陥って、さらに話が分かりにくい。

おまけにレナードは、妻を殺されたという事件のショックで10分以上前のことは記憶できないから、昨日会った知っているはずの人さえ、初めて会ったときと同じような会話を何度もすることになるので、よけい混乱する。

これから見ようと思う方は、解くべき謎をしっかりあたまの中に入れて、全カットを覚えているようなつもりで見るよう、心がけよう。特に冒頭のシーンは、結末を理解するために非常に重要なので、最初は何だかわからなくても、覚えているように。

まるでパズルのピースをバラバラに見せられているようなので、次は時間軸の通りに話を追って見たい。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を寛大な気持ちで見られる人向きかも。おそらく好き嫌いがはっきり別れると思う。「ブレア…」と違い、結末は一応ある。

評価:


シュレック

監督 アンドリュー・アダムソン/ヴィッキー・ジェンソン
製作総指揮 ペニー・フィンケルマン・コックス/サンドラ・ラビンス
製作 ジェフリー・カッツェンバーグ/アーロン・ワーナー/
   ジョン・H・ウイリアムス

脚本 ジョー・スティルマン/ロジャー・S・H・シュルマン/
   テッド・エリオット/テリー・ロッシオ
音楽 ハリー・グレグソン・ウィリアムス/ジョン・パウエル
声の出演
シュレック:マイク・マイヤーズ(濱田雅功)
プリンセス・フィオナ:キャメロン・ディアス(藤原紀香)
ドンキー:エディー・マーフィー(山寺宏一)
ファークアード卿:ジョン・リスゴー(伊武雅刀)

ハリウッドの巨匠・スティーブン・スピルバーグが設立した、ドリームワークス製作の3Dアニメ映画。「アニメ」となっているのは、フル3DCGではないためと思われます。遠景、つまり背景に当たる部分はマットペインティングしているようです。

良くも悪くもマンガチック。ストーリーはもう少しひねりがあった方が楽しめたのでは?CMでキャメロン・ディアスが言っているそのままです。少々説教臭いかも。

CGは良くできたゲームのCGのよう。「姫を助けにドラゴンの住む城へ」という設定が、RPGゲームにありがちだし、ドラゴンはまるで「チョコ○の不思議なダンジョン2」を連想させるキャラデザインなので、よけいにそう思うのかもしれない。
モチーフが「おとぎ話」だから、あえてリアルに作らなかったのかもしれないが、主要人物以外のモデリングやマッピングのツメがあまい気がする。

「3DCG映画」としての見るなら、「トイ・ストーリー」の方が動きや見せ方などがうまい。

随所に笑わせてくれるシーンがあり、本当に笑える。「お約束の笑い」もあるのだが、こうなるとわかっていても笑ってしまう。映画のパロディは、「たくさん」とあるが、私は3つくらいしかわからなかった…。

本編91分と映画としては短めだが、長く感じた。
本編の前に「E.T.」の再上映の予告が流れたが、再プリントのせいもあってか、20年の時の流れを感じさせない。「新作映画」として十分通用しそうだ。こちらの方がおどろきだった。

評価:


 
  

 

 

  


紫堂トップページシネマの部屋